夢と現実の境界線のようなモノ

みつ光男

文字の大きさ
上 下
8 / 71
Ⅰ. ゾンビ大会

【暗闇から現れし者】

しおりを挟む
 問題は逃げ惑う偽物のゾンビ、ではなく
反対側の下駄箱の外から感じられる気配。

そして更には渡り廊下の向こう側からも
怪しい気配をまとった集団が
こちらへ向かって歩いてくるシルエットが
確認できた。

 もう5人、10人のレベルではない
少なく見積もって4、50人の
"ヤツら" がこちらに回り込んできた?

もう選択の余地は残されていない…

このままだと正面玄関と渡り廊下から
に挟み撃ちされてしまう。

「シオンはここに来れるんやろか?いや、それより無事なんか?」

さあ、どうする?
選択肢は…


 僕は現段階では最も安全と思われる
視聴覚室へと逃げ込み様子を伺った。

ここからシオンの携帯を鳴らして
この事態を伝えてここに来るよう、伝えなければ…

その時、背後に人の気配を感じた。
振り返るとそこには・・・

「父さん!」

僕が下駄箱周辺と正面玄関を捜索している間に
ただならぬ気配を感じたシオンは
慌ててこの部屋へ逃げ込んだらしい。

「何回も鳴らしたのに…」

「悪い、マナーモードやった」

 遮光カーテンで閉ざされた
真っ暗な視聴覚室を二人で進む。

「見たか?あれ」

「オレは2階の窓から…あれは演出ちゃうぞ」

「他の参加者は?」

「まだのんきに上の階歩いとる」

隠れる場所を探すと奥に扉があり
もう一つ小さな部屋があった。

手渡されたペン型のライトは既に電池切れだ、

仕方なく携帯のライトで入り口を照らすと
" 談話室" と言う看板が目に入った。

 鍵がかかっていないので二人で入ってみると
テーブルの上には
ペットボトルのお茶と食べかけの菓子パン。

明らかについさっきまで人がいた形跡がある。

その更に奥には再び
" DANGER " と書かれたドア。

嫌な予感が的中している

これまでの "不安" がこれで " 確信" に変わった。

これらの武器の数々は
"何か"が起きた時の緊急措置の対策として
館内の至るところに武器庫を設置して

施設内で武器がチャージできるように
なっているのだ。

ならばこの建物は何だ?

ゲームなんてのはただの名目で
ヤバい生き物たちの収容施設なのでは?

これはいよいよ
あの不気味なを纏った

ゾンビが本物なのでは?と言う
リアリティが増してきた。

 いや、この世にゾンビなど存在するはずがない
存在しないからこそこんなゲームに参加するのだ

誰も本物の幽霊が出るお化け屋敷になど
入らないだろう。

いずれにしてもここから逃げるのが賢明だ。

と、その時…

「誰や!」

 背後から声がしたので振り返ると
迷彩服に身を包んだ一人の女性が立っていた。

しかもかなり若くて美人。

彼女は鋭い眼光で
銃を構えて僕たちに近づいてきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

石好きにおくるショートホラー

紫月 由良
ホラー
ミネラル分多めのショートホラーになっております。 ネタが浮かんだときに続きを書く感じの連載予定。 エブリスタからの転載です。

ハプスブルク家の姉妹

Ruhuna
ファンタジー
ハプスブルク家には美しい姉妹がいる 夜空に浮かぶ月のように凛とした銀髪黒眼の健康な姉 太陽のように朗らかな銀髪緑眼の病弱な妹 真逆な姉妹だがその容姿は社交界でも折り紙付きの美しさだった ハプスブルク家は王族の分家筋の準王族である 王族、身内と近親婚を繰り返していた 積み重なったその濃い血は体質だけではなく精神も蝕むほどの弊害を生み出してきているなど その当時の人間は知る由もない

【全64話完結済】彼女ノ怪異談ハ不気味ナ野薔薇ヲ鳴カセルPrologue

野花マリオ
ホラー
石山県野薔薇市に住む彼女達は新たなホラーを広めようと仲間を増やしてそこで怪異談を語る。 前作から20年前の200X年の舞台となってます。 ※この作品はフィクションです。実在する人物、事件、団体、企業、名称などは一切関係ありません。 完結しました。 表紙イラストは生成AI

ホラー短編集

ショー・ケン
ホラー
ショートショート、掌編等はたくさん書いていますが短編集という形でまとめていなかったのでお試しにまとめてみようと思います。

骸行進

メカ
ホラー
筆者であるメカやその周囲が経験した(あるいは見聞きした)心霊体験について 綴ろうと思います。 段落ごと、誰の経験なのかなど、分かりやすい様に纏めます。

皆さんは呪われました

禰津エソラ
ホラー
あなたは呪いたい相手はいますか? お勧めの呪いがありますよ。 効果は絶大です。 ぜひ、試してみてください…… その呪いの因果は果てしなく絡みつく。呪いは誰のものになるのか。 最後に残るのは誰だ……

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

私、シュワワちゃん

ツヨシ
ホラー
メリーさんならぬ、シュワワちゃん。

処理中です...