夢と現実の境界線のようなモノ

みつ光男

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Ⅰ. ゾンビ大会

【暗闇から現れし者】

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 問題は逃げ惑う偽物のゾンビ、ではなく
反対側の下駄箱の外から感じられる気配。

そして更には渡り廊下の向こう側からも
怪しい気配をまとった集団が
こちらへ向かって歩いてくるシルエットが
確認できた。

 もう5人、10人のレベルではない
少なく見積もって4、50人の
"ヤツら" がこちらに回り込んできた?

もう選択の余地は残されていない…

このままだと正面玄関と渡り廊下から
に挟み撃ちされてしまう。

「シオンはここに来れるんやろか?いや、それより無事なんか?」

さあ、どうする?
選択肢は…


 僕は現段階では最も安全と思われる
視聴覚室へと逃げ込み様子を伺った。

ここからシオンの携帯を鳴らして
この事態を伝えてここに来るよう、伝えなければ…

その時、背後に人の気配を感じた。
振り返るとそこには・・・

「父さん!」

僕が下駄箱周辺と正面玄関を捜索している間に
ただならぬ気配を感じたシオンは
慌ててこの部屋へ逃げ込んだらしい。

「何回も鳴らしたのに…」

「悪い、マナーモードやった」

 遮光カーテンで閉ざされた
真っ暗な視聴覚室を二人で進む。

「見たか?あれ」

「オレは2階の窓から…あれは演出ちゃうぞ」

「他の参加者は?」

「まだのんきに上の階歩いとる」

隠れる場所を探すと奥に扉があり
もう一つ小さな部屋があった。

手渡されたペン型のライトは既に電池切れだ、

仕方なく携帯のライトで入り口を照らすと
" 談話室" と言う看板が目に入った。

 鍵がかかっていないので二人で入ってみると
テーブルの上には
ペットボトルのお茶と食べかけの菓子パン。

明らかについさっきまで人がいた形跡がある。

その更に奥には再び
" DANGER " と書かれたドア。

嫌な予感が的中している

これまでの "不安" がこれで " 確信" に変わった。

これらの武器の数々は
"何か"が起きた時の緊急措置の対策として
館内の至るところに武器庫を設置して

施設内で武器がチャージできるように
なっているのだ。

ならばこの建物は何だ?

ゲームなんてのはただの名目で
ヤバい生き物たちの収容施設なのでは?

これはいよいよ
あの不気味なを纏った

ゾンビが本物なのでは?と言う
リアリティが増してきた。

 いや、この世にゾンビなど存在するはずがない
存在しないからこそこんなゲームに参加するのだ

誰も本物の幽霊が出るお化け屋敷になど
入らないだろう。

いずれにしてもここから逃げるのが賢明だ。

と、その時…

「誰や!」

 背後から声がしたので振り返ると
迷彩服に身を包んだ一人の女性が立っていた。

しかもかなり若くて美人。

彼女は鋭い眼光で
銃を構えて僕たちに近づいてきた。
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