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第1話 だし巻き玉子
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桜が散って実がついてきたこの季節の少しだけ肌寒い夜…。俺ーー高橋重信(たかはししげのぶ)は夜飯を食べた後洗い物も全部済ませ、折りたたみ式のソファの上で暇を持て余していた。
「あー暇だなぁ。」
大学の課題は既に片付け、何となくゲームもやる気が起きない。もう寝るしかないのだが、今は9時と寝るにはまだ早い時間だ。とりあえず暇を潰すためスマホを眺めていると急に無料通信アプリ『LIBON』に着信が入る。
「なんだ?…またあいつからか…どれどれ…。」
メッセージを読むと『ビール』としか書かれていない最早文章ですらない単語だけが送られてきた。これだけでは他の人には何を伝えたいのかはわからないだろう。しかし…俺達の間ではこれで十分なのだ。
「さて…冷蔵庫には何かあったかな…?」
俺は立ち上がり冷蔵庫の中を物色する。
「そういえば、さっき夜飯作ったばっかで食材殆ど切らしていたんだよな…。おっこれがあったか。」
俺が見つけたのは二日前に買った卵だった。
「うん…ちょうど三つあるし、これで良いか。」
俺は卵を持って台所へ向かい、玉子焼き用フライパンと計量カップ、菜箸に調味料一式を取り出す。
「よし始めますか」
俺はまず計量カップに出汁を大さじ1、水大さじ2、そして砂糖約大さじ1を入れ箸でかき混ぜる。俺もあいつも甘めの方が好きだからな。砂糖大さじ1とか言ったが正直、砂糖に関しちゃ入れ過ぎなきゃ適当で良いだろう。次に調味料を混ぜたカップに卵三個を割り入れ、よくかき混ぜる。
「よしこれで卵の方は大丈夫だな。次はフライパンか…。」
フライパンにサラダ油を塗り、中火で熱する。
「さて…フライパンの熱は良い頃かな…。おっ…良い感じ良い感じ。」
フライパンに卵液をたらし、固まったことがわかると俺は少しだけコンロの温度を下げ、卵液を注ぎ入れ焼き固まるのを待つ。
「この焼けるまで泡を潰すのが何となく気持ちいいんだよな…。よし…巻くか。」
ある程度焼けたら焼けた部分を菜箸でツンツンと突付き玉子の膜を剥がしながら巻いていく。
「ここからが本番だな…。」
残った卵液を薄く注ぎ、フライパン全体に行き渡らせる。そして少し焼けたら手首のスナップを活かし菜箸で玉子を抑えながら玉子の重みを利用してひっくり返し巻いていく。これが難しい人はフライ返しと菜箸を使えば割と簡単に巻ける。これを繰り返し形を整えて皿に盛り付けたら完成だ。
「よしよし…。良い感じに焼けたな。」
出来た玉子焼きはぷるぷると柔らかく震え、甘い香りが食欲をそそる。今すぐにでも食べたいがあいつもすぐ来るだろうし我慢だ。そして俺が出来ただし巻き玉子を切り分けると、タイミングよくインターホンが鳴る。
「はーい」
俺がドアを開けるとそこにいたのは物静かで艶めいた短い黒髪にスラリとした華奢な体型、少し強い印象を与える吊り目をした整った面立ちのどこからどう見ても美しいといえる女性だった。
「…こんばんは。」
彼女ーー水国玲奈は小声で挨拶する。
「あぁ…こんばんは。おつまみは完成しているぞ。外もまだ肌寒いし早く入ったほうが良い。」
「…お邪魔します。」
俺は水国を部屋へと通し、テーブルに案内する。
「ちょうどおつまみも完成してるぞ。お前も例のアレは持ってきたよな?」
「…もちろん。」
彼女が少しドヤッとしているようなしていないような微妙な顔でレジ袋を上げる。
「…これ。」
袋の中から取り出したのは例のアレこと多くの成人の喉と魂を潤す一杯…つまり缶ビールである。買ったばかりだからか十分に冷えていて飲みごたえもありそうだ。
「ありがとうな。よしじゃあ食べるか。」
「…うん。」
俺は切り分けた玉子焼きを器によそい、缶ビールをグラスに注ぐ。黄金の美しさと炭酸のシュワシュワがたまらない。
グラスと皿をテーブルに並べ、俺達は手を合わせる。
「いただきます。」
「…いただきます。」
『いただきます』の言葉と共に俺達はグラスを傾ける。すると…
「ングッ…ングッ…ゴクリ……。プハァ~~!!あー生き返りますねぇ!!」
先程の大人しさとは逆のハイテンション人間が誕生した。いつ見てもこの豹変っぷりには慣れない。
「お前は酒を飲むといっつも性格変わるよな…。」
「えぇ~?そうですかぁ?私はいつもこんなものですよぉ!!」
ヘラヘラと笑い酒を飲みながら話す。
「というか~高橋さんが大人し過ぎるんですよぉ!!もっと呑まんか~!!」
あぁ…ウザい…。見た目がなまじ綺麗だからかこのギャップについていけない。これでも完全に酔っぱらっている訳ではないから恐ろしい。
「よし、次は高橋さんが愛情を込めて作ってくれた玉子焼きを食べましょうかぁ。」
「愛情は余計だ。」
彼女の発言にちょっと恥ずかしくなった俺はすぐさま訂正する。
「あれ~?込めてくれなかったんですかぁ?残念だなぁ。」
彼女がガックリと頭を下げ、わざとらしく落胆する様子を見せる。冗談なのはわかってはいるが何時までも頭を下げられていられると気まずい…。
「愛情じゃなくても真心を込めているから大丈夫だ…。」
俺がそう言うと彼女はまた勢いよく頭を上げ目を輝かせ、口元をニヤつかせる。
「へぇ~?真心ですかぁ~。うふふ…嬉しいなぁ。」
「う…うるさい。早く食え!」
先程の自分の言葉に顔を熱くし、慌てて誤魔化す。…俺も少し酔っ払ったのだろうか。
「あー照れてる~!まぁここは高橋さんの言うとおり食べますか。」
彼女はそう言うと箸で玉子を切り、つまんで口の中にいれ咀嚼する。
「うーん!美味し~い!」
彼女は飲み込むと大声で叫んだ。
「このぷるぷるに柔らかく優しい食感は勿論、噛むと同時に出汁の美味しさが口いっぱいに広がる~!!お砂糖も入れてるのかな?この甘さもちょうど良い!まるで出来たてのプリン食べてるみた~い!!」
彼女は頬を緩ませ見事な食レポを語りながら満面の笑みで食べる。そうだ…この笑顔が見たくて作ったんだ…。
「そうだ!ビールも飲もうっと!!」
再びグラスを傾ける。グビッグビッと飲む音がこちらにもハッキリ聞こえてくる。
「ぷはぁ~!!うん!玉子が甘いからか爽やかで苦味のあるビールがこれまたクセになるねぇ!甘いと苦いの無限ループだよぉ!!」
そう言いながら夢中で食べ続ける。そんなにバクバクいかれると喉が詰まるなり、急性アルコール中毒になりそうで見てるこっちまでハラハラする。
「少し大人しく食べろよ。身体に悪いぞ。」
俺がそう注意すると彼女は再び顔をニヤつかせながらこちらを見る。
「大丈夫!大丈夫!私、これでも風邪とかひいたことないから。心配してくれるなんて優しいねぇ。」
「.‥うるさい。」
「ふふっ…。照れちゃって…。高橋さん…」
彼女はそう言うと少ししんみりとした表情になる。
「どうした?」
急な声のトーンの下がり具合に思わず聞いてしまう。
「いつも直前に連絡して迷惑かけてごめんね…。私…臆病で1つメッセージ送るだけでずっと悩んじゃって…。でもあなたはそんな私のワガママに付き合ってくれて…こんなに美味しい料理ご馳走してくれて…一緒にお酒を飲んで…初めて楽しいって思い始めたんだ…。だからね…」
彼女は一呼吸おいて、満面の笑顔で言う。
「いつも本当にありがとう!!!!」
俺は失礼なのはわかっているが彼女のお礼の言葉よりもそのとびっきりの笑顔にドキッとしてしまった。彼女はお礼の言葉を言うと、再びビールを飲み、残った玉子焼きを少しずつ食べる。俺はその小鳥のような光景に微笑ましく見ていた。
これでも俺達は付き合っている訳ではない。彼女が酒を持ってきて俺が料理を作り、一緒に酒を飲むだけの関係だ。もちろん、大学では会話すらないし遊びに行ったこともない。俺達がこんな不思議な関係になったのは大体一ヶ月くらい前のことになる。
「あー暇だなぁ。」
大学の課題は既に片付け、何となくゲームもやる気が起きない。もう寝るしかないのだが、今は9時と寝るにはまだ早い時間だ。とりあえず暇を潰すためスマホを眺めていると急に無料通信アプリ『LIBON』に着信が入る。
「なんだ?…またあいつからか…どれどれ…。」
メッセージを読むと『ビール』としか書かれていない最早文章ですらない単語だけが送られてきた。これだけでは他の人には何を伝えたいのかはわからないだろう。しかし…俺達の間ではこれで十分なのだ。
「さて…冷蔵庫には何かあったかな…?」
俺は立ち上がり冷蔵庫の中を物色する。
「そういえば、さっき夜飯作ったばっかで食材殆ど切らしていたんだよな…。おっこれがあったか。」
俺が見つけたのは二日前に買った卵だった。
「うん…ちょうど三つあるし、これで良いか。」
俺は卵を持って台所へ向かい、玉子焼き用フライパンと計量カップ、菜箸に調味料一式を取り出す。
「よし始めますか」
俺はまず計量カップに出汁を大さじ1、水大さじ2、そして砂糖約大さじ1を入れ箸でかき混ぜる。俺もあいつも甘めの方が好きだからな。砂糖大さじ1とか言ったが正直、砂糖に関しちゃ入れ過ぎなきゃ適当で良いだろう。次に調味料を混ぜたカップに卵三個を割り入れ、よくかき混ぜる。
「よしこれで卵の方は大丈夫だな。次はフライパンか…。」
フライパンにサラダ油を塗り、中火で熱する。
「さて…フライパンの熱は良い頃かな…。おっ…良い感じ良い感じ。」
フライパンに卵液をたらし、固まったことがわかると俺は少しだけコンロの温度を下げ、卵液を注ぎ入れ焼き固まるのを待つ。
「この焼けるまで泡を潰すのが何となく気持ちいいんだよな…。よし…巻くか。」
ある程度焼けたら焼けた部分を菜箸でツンツンと突付き玉子の膜を剥がしながら巻いていく。
「ここからが本番だな…。」
残った卵液を薄く注ぎ、フライパン全体に行き渡らせる。そして少し焼けたら手首のスナップを活かし菜箸で玉子を抑えながら玉子の重みを利用してひっくり返し巻いていく。これが難しい人はフライ返しと菜箸を使えば割と簡単に巻ける。これを繰り返し形を整えて皿に盛り付けたら完成だ。
「よしよし…。良い感じに焼けたな。」
出来た玉子焼きはぷるぷると柔らかく震え、甘い香りが食欲をそそる。今すぐにでも食べたいがあいつもすぐ来るだろうし我慢だ。そして俺が出来ただし巻き玉子を切り分けると、タイミングよくインターホンが鳴る。
「はーい」
俺がドアを開けるとそこにいたのは物静かで艶めいた短い黒髪にスラリとした華奢な体型、少し強い印象を与える吊り目をした整った面立ちのどこからどう見ても美しいといえる女性だった。
「…こんばんは。」
彼女ーー水国玲奈は小声で挨拶する。
「あぁ…こんばんは。おつまみは完成しているぞ。外もまだ肌寒いし早く入ったほうが良い。」
「…お邪魔します。」
俺は水国を部屋へと通し、テーブルに案内する。
「ちょうどおつまみも完成してるぞ。お前も例のアレは持ってきたよな?」
「…もちろん。」
彼女が少しドヤッとしているようなしていないような微妙な顔でレジ袋を上げる。
「…これ。」
袋の中から取り出したのは例のアレこと多くの成人の喉と魂を潤す一杯…つまり缶ビールである。買ったばかりだからか十分に冷えていて飲みごたえもありそうだ。
「ありがとうな。よしじゃあ食べるか。」
「…うん。」
俺は切り分けた玉子焼きを器によそい、缶ビールをグラスに注ぐ。黄金の美しさと炭酸のシュワシュワがたまらない。
グラスと皿をテーブルに並べ、俺達は手を合わせる。
「いただきます。」
「…いただきます。」
『いただきます』の言葉と共に俺達はグラスを傾ける。すると…
「ングッ…ングッ…ゴクリ……。プハァ~~!!あー生き返りますねぇ!!」
先程の大人しさとは逆のハイテンション人間が誕生した。いつ見てもこの豹変っぷりには慣れない。
「お前は酒を飲むといっつも性格変わるよな…。」
「えぇ~?そうですかぁ?私はいつもこんなものですよぉ!!」
ヘラヘラと笑い酒を飲みながら話す。
「というか~高橋さんが大人し過ぎるんですよぉ!!もっと呑まんか~!!」
あぁ…ウザい…。見た目がなまじ綺麗だからかこのギャップについていけない。これでも完全に酔っぱらっている訳ではないから恐ろしい。
「よし、次は高橋さんが愛情を込めて作ってくれた玉子焼きを食べましょうかぁ。」
「愛情は余計だ。」
彼女の発言にちょっと恥ずかしくなった俺はすぐさま訂正する。
「あれ~?込めてくれなかったんですかぁ?残念だなぁ。」
彼女がガックリと頭を下げ、わざとらしく落胆する様子を見せる。冗談なのはわかってはいるが何時までも頭を下げられていられると気まずい…。
「愛情じゃなくても真心を込めているから大丈夫だ…。」
俺がそう言うと彼女はまた勢いよく頭を上げ目を輝かせ、口元をニヤつかせる。
「へぇ~?真心ですかぁ~。うふふ…嬉しいなぁ。」
「う…うるさい。早く食え!」
先程の自分の言葉に顔を熱くし、慌てて誤魔化す。…俺も少し酔っ払ったのだろうか。
「あー照れてる~!まぁここは高橋さんの言うとおり食べますか。」
彼女はそう言うと箸で玉子を切り、つまんで口の中にいれ咀嚼する。
「うーん!美味し~い!」
彼女は飲み込むと大声で叫んだ。
「このぷるぷるに柔らかく優しい食感は勿論、噛むと同時に出汁の美味しさが口いっぱいに広がる~!!お砂糖も入れてるのかな?この甘さもちょうど良い!まるで出来たてのプリン食べてるみた~い!!」
彼女は頬を緩ませ見事な食レポを語りながら満面の笑みで食べる。そうだ…この笑顔が見たくて作ったんだ…。
「そうだ!ビールも飲もうっと!!」
再びグラスを傾ける。グビッグビッと飲む音がこちらにもハッキリ聞こえてくる。
「ぷはぁ~!!うん!玉子が甘いからか爽やかで苦味のあるビールがこれまたクセになるねぇ!甘いと苦いの無限ループだよぉ!!」
そう言いながら夢中で食べ続ける。そんなにバクバクいかれると喉が詰まるなり、急性アルコール中毒になりそうで見てるこっちまでハラハラする。
「少し大人しく食べろよ。身体に悪いぞ。」
俺がそう注意すると彼女は再び顔をニヤつかせながらこちらを見る。
「大丈夫!大丈夫!私、これでも風邪とかひいたことないから。心配してくれるなんて優しいねぇ。」
「.‥うるさい。」
「ふふっ…。照れちゃって…。高橋さん…」
彼女はそう言うと少ししんみりとした表情になる。
「どうした?」
急な声のトーンの下がり具合に思わず聞いてしまう。
「いつも直前に連絡して迷惑かけてごめんね…。私…臆病で1つメッセージ送るだけでずっと悩んじゃって…。でもあなたはそんな私のワガママに付き合ってくれて…こんなに美味しい料理ご馳走してくれて…一緒にお酒を飲んで…初めて楽しいって思い始めたんだ…。だからね…」
彼女は一呼吸おいて、満面の笑顔で言う。
「いつも本当にありがとう!!!!」
俺は失礼なのはわかっているが彼女のお礼の言葉よりもそのとびっきりの笑顔にドキッとしてしまった。彼女はお礼の言葉を言うと、再びビールを飲み、残った玉子焼きを少しずつ食べる。俺はその小鳥のような光景に微笑ましく見ていた。
これでも俺達は付き合っている訳ではない。彼女が酒を持ってきて俺が料理を作り、一緒に酒を飲むだけの関係だ。もちろん、大学では会話すらないし遊びに行ったこともない。俺達がこんな不思議な関係になったのは大体一ヶ月くらい前のことになる。
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