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関係
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意識を取り戻すと、裸のままだった。汚れは拭われている。
外はすっかり暗く、洋燈の仄暗い光で、田辺は隣に寝転がったまま享を見つめていた。
「洋燈?」
電気の通っている家なのにも関わらず、どうして洋燈なのだろう。などと、どうでもいいことを考えていた。
「煩わしいのだ、電気の光は。寝るだけの部屋に明るさは必要あるまい」
享の考えが分かったかのように、田辺は面倒臭そうに説明すると、顔を寄せてきた。
優しく触れるだけの接吻に、初めての理解できぬ感情が霞のように心に広がる。
「加賀谷先生とどういう関係なのですか?」
優しい接吻の後には相応しくない質問。享には田辺の優しさが怖かった。理由はわからぬけれど、怖かった。
「加賀谷はあぁ見えてかなりの野心家だ。結婚は出世のための手段だと考えているからには、下手な女と関わり合って、万一のことがあってはならないと考えている。
薄々気付いているのだろう? 私達は一年ほど前まで関係を持っていた。あいつにとっては都合の良い相手だったのだろう。欲望の捌け口は必要だろうからな。
しかし、元々が男色ではない加賀谷は、いつしかここには現れなくなり、学校の中で相手を物色するようになったのだ。
一時は、凌雲閣辺りの私娼窟で遊んでいたようだが、病気が怖くなってやめたのだとか。
最近はお前に似た感じの一年生に言い寄っているようだが」
田辺は享の目を覗き込んだ。
「加賀谷に言い寄られて、またここを硬くしていたのか?」
触られて、思わず声が出た。
明日は日曜日で、誰もいない下宿に帰る必要もない。
「今日は……」
「今日は?」
意地の悪い質問をしながら、田辺は先端を親指で円を描くようになぞる。
「今日はどうした?」
「今日は……していません……加賀谷先生は僕を……好きなんかじゃない」
吐き出すように言うと、享も田辺のそれに手を伸ばした。
既に硬いそれを撫で回し、更に硬くする。
元々が男色ではない……田辺はどうなのだろう。あの場にいたのは偶然だとしても、どうして享にあんな真似をしたのか。どうして享を抱くのか。聞きたくはあるが、聞けずにいる。
もう、どうでもいい……そんなこと……どうでもいい……
「先生……」
享は田辺を見つめると、足を開いた。
田辺は満足そうに笑うと、弄んでいた手を太腿に掛け、態勢を変えながら口づけた。
唇を重ね、舌を絡め、腕を背中に回す。今までとは違う交わりに、しかし、戸惑いはなかった。
「享」
初めて名前を呼ばれて、驚きながらも口元は笑んだ。
享の足を抱えて、体をゆっくりと支配する。
いつもよりも大きなそれを受け入れて、享は歓喜の悲鳴を上げた……。
外はすっかり暗く、洋燈の仄暗い光で、田辺は隣に寝転がったまま享を見つめていた。
「洋燈?」
電気の通っている家なのにも関わらず、どうして洋燈なのだろう。などと、どうでもいいことを考えていた。
「煩わしいのだ、電気の光は。寝るだけの部屋に明るさは必要あるまい」
享の考えが分かったかのように、田辺は面倒臭そうに説明すると、顔を寄せてきた。
優しく触れるだけの接吻に、初めての理解できぬ感情が霞のように心に広がる。
「加賀谷先生とどういう関係なのですか?」
優しい接吻の後には相応しくない質問。享には田辺の優しさが怖かった。理由はわからぬけれど、怖かった。
「加賀谷はあぁ見えてかなりの野心家だ。結婚は出世のための手段だと考えているからには、下手な女と関わり合って、万一のことがあってはならないと考えている。
薄々気付いているのだろう? 私達は一年ほど前まで関係を持っていた。あいつにとっては都合の良い相手だったのだろう。欲望の捌け口は必要だろうからな。
しかし、元々が男色ではない加賀谷は、いつしかここには現れなくなり、学校の中で相手を物色するようになったのだ。
一時は、凌雲閣辺りの私娼窟で遊んでいたようだが、病気が怖くなってやめたのだとか。
最近はお前に似た感じの一年生に言い寄っているようだが」
田辺は享の目を覗き込んだ。
「加賀谷に言い寄られて、またここを硬くしていたのか?」
触られて、思わず声が出た。
明日は日曜日で、誰もいない下宿に帰る必要もない。
「今日は……」
「今日は?」
意地の悪い質問をしながら、田辺は先端を親指で円を描くようになぞる。
「今日はどうした?」
「今日は……していません……加賀谷先生は僕を……好きなんかじゃない」
吐き出すように言うと、享も田辺のそれに手を伸ばした。
既に硬いそれを撫で回し、更に硬くする。
元々が男色ではない……田辺はどうなのだろう。あの場にいたのは偶然だとしても、どうして享にあんな真似をしたのか。どうして享を抱くのか。聞きたくはあるが、聞けずにいる。
もう、どうでもいい……そんなこと……どうでもいい……
「先生……」
享は田辺を見つめると、足を開いた。
田辺は満足そうに笑うと、弄んでいた手を太腿に掛け、態勢を変えながら口づけた。
唇を重ね、舌を絡め、腕を背中に回す。今までとは違う交わりに、しかし、戸惑いはなかった。
「享」
初めて名前を呼ばれて、驚きながらも口元は笑んだ。
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