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決して離れない……
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わかっていたはずだった……あの頃とは違う……何も知らない……無垢だったあの頃とは……。
谷崎先輩は優しかった……自らの快楽を追うばかりではなく、僕の快楽をも気にしてくれる……。
痛みを伴わぬ侵入が、経験を物語っていた……。
僕は数えきれないほどの男に抱かれてきたくせに、谷崎先輩が男を知らぬことを願っていた……。
初めて言葉を交わした日、谷崎先輩が見ていた藤の花……。
僕は夢の中ではいつも、藤の花の中で抱かれていた……。
思い入れのある花のだから。と思っていたのだが、最近花言葉を知ってしまった……。
決して離れない……。
僕自身気付かぬ執念が、谷崎先輩を藤の中に閉じ込めているのではないのかと思うと、恐ろしくなった……。
抱かれて、気持ちは変わるだろうか……。決して離れまいと、執念を燃やしてしまう自分が……。
初体験を夢見ていた頃は、こんな部屋で……と考えていた……。
谷崎先輩は大学進学と共に一人暮らしをすると言っていたから、古い、薄暗い、散らかった部屋で、お互い右も左もわからない状況で……もしかしたら初めては失敗するかも……なんて考えていた……。
互いに純潔を求めていたのだ……。
だから僕は谷崎先輩に傷つけられた時、汚れようとした……復讐として……。
三年は長かったのかな……谷崎先輩はいつ、初めて男抱いたのだろう……。
体は興奮しているのに、心は段々と冷めてしまう……。
気持ち良いのに、心はどうでもよくなってしまう……。
体を売っていた時のような状況に、心の中で笑った……。
僕はもう、あの頃の僕じゃなかった……。
少しだけ眠っていたらしい……。
谷崎先輩は隣で、静かに寝息を立てている。
僕は起き上がると服を身に着けて、静かに部屋を出た……。
鍵を掛けた後、ドアポストの口から滑り込ませる。
さようなら、谷崎先輩……今度こそ本当にさようなら……。
空が白みかけた頃、二十四時間営業のファミリーレストランでモーニングを食べる。前にもこんなことあったな……なんて考えながら。
土日は仕事が休み。マスターも泊りがけで出ていて、話し相手もいない……。
今日は食べ歩きをしよう。思いついて、思わず笑顔になった。
一人なのに自然と笑みが浮かんだのは、あの日以来初めてだった。
そして夜、マスターが戻る頃、部屋に押しかけよう。食事は終えているだろうから、美味しいケーキを持って、話を聞いてもらおう……。
やっと、谷崎先輩を過去にすることができた……。
谷崎先輩は優しかった……自らの快楽を追うばかりではなく、僕の快楽をも気にしてくれる……。
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僕は数えきれないほどの男に抱かれてきたくせに、谷崎先輩が男を知らぬことを願っていた……。
初めて言葉を交わした日、谷崎先輩が見ていた藤の花……。
僕は夢の中ではいつも、藤の花の中で抱かれていた……。
思い入れのある花のだから。と思っていたのだが、最近花言葉を知ってしまった……。
決して離れない……。
僕自身気付かぬ執念が、谷崎先輩を藤の中に閉じ込めているのではないのかと思うと、恐ろしくなった……。
抱かれて、気持ちは変わるだろうか……。決して離れまいと、執念を燃やしてしまう自分が……。
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互いに純潔を求めていたのだ……。
だから僕は谷崎先輩に傷つけられた時、汚れようとした……復讐として……。
三年は長かったのかな……谷崎先輩はいつ、初めて男抱いたのだろう……。
体は興奮しているのに、心は段々と冷めてしまう……。
気持ち良いのに、心はどうでもよくなってしまう……。
体を売っていた時のような状況に、心の中で笑った……。
僕はもう、あの頃の僕じゃなかった……。
少しだけ眠っていたらしい……。
谷崎先輩は隣で、静かに寝息を立てている。
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鍵を掛けた後、ドアポストの口から滑り込ませる。
さようなら、谷崎先輩……今度こそ本当にさようなら……。
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今日は食べ歩きをしよう。思いついて、思わず笑顔になった。
一人なのに自然と笑みが浮かんだのは、あの日以来初めてだった。
そして夜、マスターが戻る頃、部屋に押しかけよう。食事は終えているだろうから、美味しいケーキを持って、話を聞いてもらおう……。
やっと、谷崎先輩を過去にすることができた……。
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