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女
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妄想の中の初体験は、薄暗い部屋で抱き合って……。
でも現実は、光の降りそそぐ部屋で、ペチャペチャと淫猥な音が響いている。
響くって程大きな音じゃない。ただ、僕の耳にはやけに大きく聞こえるだけで……。でも、わざと大きめの音を出しているだろうとは感じていた。
イヤラシイね、僕達……。
口の中で大きくされて、何かヌメヌメするものを塗られて、指を挿し込まれて、体は興奮しているのに、心は冷めていた。
なんでこんなに優しいの? もっと乱暴にすればいいのに……。
指が何本入っているのかは分からないけど、考えていたような痛みもなくて、ただ、恥ずかしいだけで……。
「痛くない? 挿れてもいいかな?」
言った後、下唇を舐めた。
僕は頷くと、目を閉じた。
さようなら、谷崎先輩……僕はもう、あなたを忘れるから……。
腰を持ち上げられて、レイジさんが入ってくる。多少の違和感はあるけれど、時間をかけて準備をしてくれたお陰で慣れていた体はすんなりとそれを受け入れた。
何人くらい抱いたんだろう……レイジさんにしてみれば、慣れた行為なんだろう、一度きりの関係なんて……。
そっと目を開けると、レイジさんの眉間に皺が寄っているのが見えた。何かを堪えているような、色っぽい表情。
薄く開いた唇からは、あぁ……って、気持ちよさそうな声が漏れた。
根元まで収めて動きを止めると、僕の目を見て笑みを見せ、顔を近づけて来た。また、キスをする。
それが合図みたいに、レイジさんは体を動かし始めた。さっきまでの穏やかな優しい動きとは違って、貪るようなって表現がピッタリくるような動きだった。
飢えていたんだ……男に……。
激しく前後に揺すぶりながら、時々僕のを扱いてくれる。
優しいんだね……初対面の、一度きりの男にこんなに気を遣ってくれるなんて……
あの人から優しさが欲しかった……抱いてくれなくても良いから……ごめん、気持ちには応えられない……でも、俺達友達だよな……って、言って欲しかった……。
段々と気持ち良くなってきて、自然と漏れる喘ぎ声をあげながら、レイジさんの広い背中に腕を回した……。
「それなりに出世しようと思えば、結婚は避けては通れない」
ぐったりとした僕の頭や首、胸を指先で撫でながら、結婚してるの? って僕の不躾な質問に、レイジさんはやっぱり優しく答えてくれる。
「相手を選ぶ際は気を付けないとね。セックスの好きな女はだめだ。奥床しい、男を知らない女が良い。
それから大事なのは、家事や育児に積極的に協力すること。そして、妻に礼を言い、愛していると伝えること」
ドラマなんかで観る夫像とは正反対だ。
「妻や子供を大事にしていれば、セックスが少なかろうと愛情を疑いはしない。仕事で疲れているんだろうって、勝手に解釈してくれるんだ」
「子供いるの?」
「娘が一人。俺に似てるかな。とにかく可愛いよ。あの子ためにも、離婚はしたくない」
「こんなことしてるって、気付かれてないの?」
「気付くもなんも、浮気なんて言葉は、他人のためにあるとしか考えていまいよ。
俺は、妻を愛している。とてもできた女だ。妻としても母としても。だから、家庭は上手くいっているし、俺も満足している。
ただ、どうしても体は男を求めるんだ……」
奥さんを愛しているのは本当なのだと感じた。話している時、目が輝いていた。
今は……ちょっと寂しそうに見えた……。
理解できる気がした。僕だって女嫌いってわけじゃない。中学の時は女子とも仲良しだった。
だけど、あの、ふくよかな胸や盛り上がったおしりを見るのがなんだか嫌だった。
僕は、女の子とデキルかな? ヤルしかないのかな?
将来を考える上で、悩みがもう一つ増えた……。
レイジさんが顔を近づけて来た。何度目だろう、キス……。
「もう一度、良い?」
僕は返事の代わりに、首に手をまわした。
良いよ、何度でも。だって、気持ち良いもの……何度だって良いよ……。
でも現実は、光の降りそそぐ部屋で、ペチャペチャと淫猥な音が響いている。
響くって程大きな音じゃない。ただ、僕の耳にはやけに大きく聞こえるだけで……。でも、わざと大きめの音を出しているだろうとは感じていた。
イヤラシイね、僕達……。
口の中で大きくされて、何かヌメヌメするものを塗られて、指を挿し込まれて、体は興奮しているのに、心は冷めていた。
なんでこんなに優しいの? もっと乱暴にすればいいのに……。
指が何本入っているのかは分からないけど、考えていたような痛みもなくて、ただ、恥ずかしいだけで……。
「痛くない? 挿れてもいいかな?」
言った後、下唇を舐めた。
僕は頷くと、目を閉じた。
さようなら、谷崎先輩……僕はもう、あなたを忘れるから……。
腰を持ち上げられて、レイジさんが入ってくる。多少の違和感はあるけれど、時間をかけて準備をしてくれたお陰で慣れていた体はすんなりとそれを受け入れた。
何人くらい抱いたんだろう……レイジさんにしてみれば、慣れた行為なんだろう、一度きりの関係なんて……。
そっと目を開けると、レイジさんの眉間に皺が寄っているのが見えた。何かを堪えているような、色っぽい表情。
薄く開いた唇からは、あぁ……って、気持ちよさそうな声が漏れた。
根元まで収めて動きを止めると、僕の目を見て笑みを見せ、顔を近づけて来た。また、キスをする。
それが合図みたいに、レイジさんは体を動かし始めた。さっきまでの穏やかな優しい動きとは違って、貪るようなって表現がピッタリくるような動きだった。
飢えていたんだ……男に……。
激しく前後に揺すぶりながら、時々僕のを扱いてくれる。
優しいんだね……初対面の、一度きりの男にこんなに気を遣ってくれるなんて……
あの人から優しさが欲しかった……抱いてくれなくても良いから……ごめん、気持ちには応えられない……でも、俺達友達だよな……って、言って欲しかった……。
段々と気持ち良くなってきて、自然と漏れる喘ぎ声をあげながら、レイジさんの広い背中に腕を回した……。
「それなりに出世しようと思えば、結婚は避けては通れない」
ぐったりとした僕の頭や首、胸を指先で撫でながら、結婚してるの? って僕の不躾な質問に、レイジさんはやっぱり優しく答えてくれる。
「相手を選ぶ際は気を付けないとね。セックスの好きな女はだめだ。奥床しい、男を知らない女が良い。
それから大事なのは、家事や育児に積極的に協力すること。そして、妻に礼を言い、愛していると伝えること」
ドラマなんかで観る夫像とは正反対だ。
「妻や子供を大事にしていれば、セックスが少なかろうと愛情を疑いはしない。仕事で疲れているんだろうって、勝手に解釈してくれるんだ」
「子供いるの?」
「娘が一人。俺に似てるかな。とにかく可愛いよ。あの子ためにも、離婚はしたくない」
「こんなことしてるって、気付かれてないの?」
「気付くもなんも、浮気なんて言葉は、他人のためにあるとしか考えていまいよ。
俺は、妻を愛している。とてもできた女だ。妻としても母としても。だから、家庭は上手くいっているし、俺も満足している。
ただ、どうしても体は男を求めるんだ……」
奥さんを愛しているのは本当なのだと感じた。話している時、目が輝いていた。
今は……ちょっと寂しそうに見えた……。
理解できる気がした。僕だって女嫌いってわけじゃない。中学の時は女子とも仲良しだった。
だけど、あの、ふくよかな胸や盛り上がったおしりを見るのがなんだか嫌だった。
僕は、女の子とデキルかな? ヤルしかないのかな?
将来を考える上で、悩みがもう一つ増えた……。
レイジさんが顔を近づけて来た。何度目だろう、キス……。
「もう一度、良い?」
僕は返事の代わりに、首に手をまわした。
良いよ、何度でも。だって、気持ち良いもの……何度だって良いよ……。
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