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27話 街へ行く 魚市場編
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まず街の右手から入って海岸に沿って開かれている魚市場に連れて行ってもらう。漁船だろうか、たくさんの船も見える。この辺りは集落の周りよりも海の匂いが強い。海鳥がたくさん空を舞っていた。
「でも、魚市場って一般の人も入ることができるの?」
僕の知っているイメージだとプロの人しか入れないのかと思っていたけど。
「どういう意味だ?」
クローディアが不思議そうな顔をする。市場に行ってみるとその心配は杞憂だと分かった。色々な年代の人間が大勢行きかっていて市場は賑わっていた。普通の主婦のような女の人達もずかずかと歩き回って品定めをしている。市場の人と大声で値段の交渉をしている人もいた。
なるほど、こんな感じなのか。
でも僕みたいな子供でも大丈夫だろうかと思ったがそれも問題はなかった。
「こちらでよろしいでしょうか?」
いかに目利きですと言った感じの恰幅の良い強面のおじさんが敬語で確認してくる。
「はい、それでお願いします。」
答えたのは僕だったけどおじさんの目線はチラチラとクローディアに注がれている。どうやら、王都でも魔法使いは畏怖の対象の様だ。クローディアの黒い服と帽子のせいか、印象的な金色の目のせいか、周りの人間はすぐに魔法使いだと分かるようだ。買い物をしている周りの人達からの視線が感じられるのも気のせいではないと思う。
クローディアは慣れっこなのか全く気にしていないようだけど。
まあ、きっと僕だけなら舐められていただろうからここは良しとするべきだろう。
おじさんは何も言わずに明らかに一番大きくて立派な魚を選ぶと木箱に入れて僕に渡してくれる。
びくびくしながらクローディアから硬貨を受け取るとぺこぺこと頭を下げてお礼を言った。
「へい、またよろしくお願いいたします。金の魔法使い様。」
一度、魚を荷馬車に運ぶとクローディアが魔法を使って魚を氷で埋め尽くしてくれる。
他にもイカを3箱買ってこれはお願いして瞬間冷凍してもらう。どんな料理に使うか今から考えるだけでも楽しみだ。
「海藻は売っていたけど、乾燥したものはなかったね。」
だしに仕える昆布がないかと期待していたのだけど。
「それなら、あれじゃないのか?」
そう言って魚市場に沿って並んでいるいくつかの小さな店を指さす。
確かに店の軒先に魚の干物やわかめのような海藻がぶら下がっている。
「本当だ!」
近くまで行ってみると、あるある。昆布にわかめに干しエビ、干しホタテのような貝を干したものもまであった。和食だけじゃなくて美味しい中華料理も作れそうだ。僕はウキウキとして店の品物を見ていたが、店の奥の方に棚にあるものを見つけて驚いた。これは!
「鰹節?」
まさか、本当に?もちろんあの削られてパックされた鰹節ではなく削る前の塊の状態のものだ。
手に取ってみると確かにカチコチに硬い。一度、家庭科の先生が体験してみましょうとクラスの皆に順番で削らせてくれたことがあった。
「おや、あんた若いのにそれを知っているのかい?」
年老いた店番のお婆さんが興味深そうに聞いてくる。
「はい。」
たぶん僕の知っている鰹節ならば。でも、そうだとしたら削るものが必要だ。この店には削り器は見当たらない。
「異国出身の年寄りしか使わないからねぇ。うちの店でも頼まれて少しずつしか入れないんだけどさ。」
「それも買うのか?」
クローディアが僕の手元を不思議そうに覗き込んでくる。
「うん、買いたいんだけどこれを削るものが必要なんだ。」
「削って使うのか。」
「うん。あの...削り器は置いていないですか?」
お店のお婆さんに聞いてみる。
「いいやぁ、年寄りしか使わないからねぇ。これを買うようなやつは普通は自分たちで持っているだろう?」
そうか、じゃあやっぱりジェイに頼んで作ってもらうしかないか...。上手く説明できるだろうか?
「削るってことは刃物なんだろう?」クローディアが聞いて来る。
「うん、刃物って言うか...こう木製の箱に金属の歯が付いていて...。ってまさか?」
クローディアがこくんと頷く。ええ?本当に?
僕は肩から斜めに掛けていた布袋にそっと手を入れてみる。その袋には大切なものだから遠出する時は持ち歩くようにとクローディアと叔母さんに言われて、今回の買い物にも持ってきていた僕の包丁、ベテルギウスの剣が入っていた。
そして心に思い描いて包丁に触れると、それは四角い箱型のものになっていた。
凄いぞ勇者の剣!鰹節の削り器にもなれるなんて!
「でも、魚市場って一般の人も入ることができるの?」
僕の知っているイメージだとプロの人しか入れないのかと思っていたけど。
「どういう意味だ?」
クローディアが不思議そうな顔をする。市場に行ってみるとその心配は杞憂だと分かった。色々な年代の人間が大勢行きかっていて市場は賑わっていた。普通の主婦のような女の人達もずかずかと歩き回って品定めをしている。市場の人と大声で値段の交渉をしている人もいた。
なるほど、こんな感じなのか。
でも僕みたいな子供でも大丈夫だろうかと思ったがそれも問題はなかった。
「こちらでよろしいでしょうか?」
いかに目利きですと言った感じの恰幅の良い強面のおじさんが敬語で確認してくる。
「はい、それでお願いします。」
答えたのは僕だったけどおじさんの目線はチラチラとクローディアに注がれている。どうやら、王都でも魔法使いは畏怖の対象の様だ。クローディアの黒い服と帽子のせいか、印象的な金色の目のせいか、周りの人間はすぐに魔法使いだと分かるようだ。買い物をしている周りの人達からの視線が感じられるのも気のせいではないと思う。
クローディアは慣れっこなのか全く気にしていないようだけど。
まあ、きっと僕だけなら舐められていただろうからここは良しとするべきだろう。
おじさんは何も言わずに明らかに一番大きくて立派な魚を選ぶと木箱に入れて僕に渡してくれる。
びくびくしながらクローディアから硬貨を受け取るとぺこぺこと頭を下げてお礼を言った。
「へい、またよろしくお願いいたします。金の魔法使い様。」
一度、魚を荷馬車に運ぶとクローディアが魔法を使って魚を氷で埋め尽くしてくれる。
他にもイカを3箱買ってこれはお願いして瞬間冷凍してもらう。どんな料理に使うか今から考えるだけでも楽しみだ。
「海藻は売っていたけど、乾燥したものはなかったね。」
だしに仕える昆布がないかと期待していたのだけど。
「それなら、あれじゃないのか?」
そう言って魚市場に沿って並んでいるいくつかの小さな店を指さす。
確かに店の軒先に魚の干物やわかめのような海藻がぶら下がっている。
「本当だ!」
近くまで行ってみると、あるある。昆布にわかめに干しエビ、干しホタテのような貝を干したものもまであった。和食だけじゃなくて美味しい中華料理も作れそうだ。僕はウキウキとして店の品物を見ていたが、店の奥の方に棚にあるものを見つけて驚いた。これは!
「鰹節?」
まさか、本当に?もちろんあの削られてパックされた鰹節ではなく削る前の塊の状態のものだ。
手に取ってみると確かにカチコチに硬い。一度、家庭科の先生が体験してみましょうとクラスの皆に順番で削らせてくれたことがあった。
「おや、あんた若いのにそれを知っているのかい?」
年老いた店番のお婆さんが興味深そうに聞いてくる。
「はい。」
たぶん僕の知っている鰹節ならば。でも、そうだとしたら削るものが必要だ。この店には削り器は見当たらない。
「異国出身の年寄りしか使わないからねぇ。うちの店でも頼まれて少しずつしか入れないんだけどさ。」
「それも買うのか?」
クローディアが僕の手元を不思議そうに覗き込んでくる。
「うん、買いたいんだけどこれを削るものが必要なんだ。」
「削って使うのか。」
「うん。あの...削り器は置いていないですか?」
お店のお婆さんに聞いてみる。
「いいやぁ、年寄りしか使わないからねぇ。これを買うようなやつは普通は自分たちで持っているだろう?」
そうか、じゃあやっぱりジェイに頼んで作ってもらうしかないか...。上手く説明できるだろうか?
「削るってことは刃物なんだろう?」クローディアが聞いて来る。
「うん、刃物って言うか...こう木製の箱に金属の歯が付いていて...。ってまさか?」
クローディアがこくんと頷く。ええ?本当に?
僕は肩から斜めに掛けていた布袋にそっと手を入れてみる。その袋には大切なものだから遠出する時は持ち歩くようにとクローディアと叔母さんに言われて、今回の買い物にも持ってきていた僕の包丁、ベテルギウスの剣が入っていた。
そして心に思い描いて包丁に触れると、それは四角い箱型のものになっていた。
凄いぞ勇者の剣!鰹節の削り器にもなれるなんて!
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