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日常1

蒼悟とヤキモチ(おまけ)

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□ ■ □

 翌朝。
 珍しく蒼悟が時間になっても起きてこなかった。

「あれ?アイツ、部屋にいねぇじゃん」

 訝しんだ類が彼の自室を見に行ったが、部屋の主の姿はない。

「え、じゃあ何処行ったの?」

 朝のコーヒーを用意しながら、帝人が首を傾げる。

「デンデンの部屋じゃないの? 昨日、ずっとくっついてたし」

 寧太の言葉に、帝人と類は顔を見合わせた。

「さすがに……伝の部屋では寝ないんじゃねぇ?」

「じゃあ、何処行ったのさ?」

「普通に買い物とか……」

「まだスーパー開いてないよ」と、帝人。

 類は渋々伝の部屋に向かい、扉をノックした。

「伝。おーい、伝」

 声をかけてしばらく待つも返事はない。
 類は寧太と帝人を振り返ってから、意を決したようにドアノブを回した。

「……伝、もう朝だぞ――って、ホントにいた」

 類の背後から、寧太と帝人も中を覗き込む。
 寝息を立てる伝に、蒼悟が身体を丸めてくっついていた。

「ソウちゃんも、デンデンのアルファ波には適わなかったか」と、寧太。

 すると、類と帝人が足早にベッドに近づいて、蒼悟と伝、それぞれの肩を揺すった。

「……おい、ソウ」

「伝くん、朝だよ」

「ちょっとちょっと、ふたりとも。休日なんだから、まだ寝かせてあげたらいーじゃん」

 寧太の言葉を無視して、ふたりは声をかけ続ける。
 と、伝がぼんやりと瞼を持ち上げた。

「ん……あれ? 類さん……? それに、帝人さんまで……おはようございます……」

 寝ぼけまなこで、彼はふにゃふにゃと微笑む。
 その横で、蒼悟が小さく呻いた。

「まだ……眠い……」

 伝を抱きしめ直したかと思えば、また寝息を立て始める。
 困ったように眉尻を下げる伝。
 それに帝人がフラリとよろける。

「ソウ……そんなに伝くんのことを……」

「だーかーら! 起きろって!!」

 類は蒼悟を引き離そうとしたが、抱きついた彼はビクともしない。

「昨日からお前らくっつきすぎなんだよ!」

「もー、ヤキモチやめなよー」

 見かねた寧太が、手を腰に当てて溜息を付く。
 次いで彼は、あっ、っと手を打った。

「なんだ、こうすれば解決じゃんね?……ダーイブ!」

 叫ぶや否や、両手を広げて類と帝人に突進する。

「どわっ!?」

 そのまま彼は、ブルドーザーよろしくふたりを巻き込むと、伝と蒼悟が横になるベッドに飛び込んだ。

「休日だし、このままみんなでゴロゴロしよ」

「この面積でゴロゴロできるか!」

「ぐ、くるし……」

「ちょ、伝くん潰れてるから! さっさと退いてあげて――」

 帝人の言葉の途中で、バキッ! っとベッドが断末魔の悲鳴を上げる。

「あ……」



 こうして伝は寝床を失い、しばらく蒼悟が彼にべったりだったせいもあり……
 誰が彼らふたりを引き取るのか、揉めに揉めたのは言うまでもない。



「蒼悟とヤキモチ」おしまい
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