人狼坊ちゃんの世話係

Tsubaki aquo

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番外編2

♡セシルくんは素直になりたい。(7)

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 唇を尖らせて、ポツリと言う。
 口にした瞬間、バクバクと心臓が高鳴った。

「………………なに?」

「た、たくさん抜いてくれたお礼だよ」

 ボクは平然を装って続ける。

 このまま寝てしまった後、
 彼の欲求がどこに向かうのか考えると、何でか落ち着かなかった。

「……馬鹿なことを言うな」

「なんで? ココ、こんなに硬いのに。ヤりたいでしょ?」

 内腿を撫でて、指先で膨らみをなぞる。

「……っ」

「ほら。ねえ、早くズボン脱ぎなよ」

「冗談が過ぎるぞ」

「冗談じゃないってば」

 ボクは逃げるようにベッドから立ち上がった彼の手を引っぱった。

「もちろん女役はボクがしてあげる。そっちの方が自然だしね」

「そういう問題じゃない」

「じゃあ、どういう問題?」

 じいっとヴィンセントの顔を覗き込んで、ボクは小首を傾げた。

「ボクのお尻の中、指でグリグリしたの……
 そういう意図があったんじゃないの?」

 言葉に、ヴィンセントが目に見えて狼狽する。

 やっぱり。
 ヴィンセントだって、ボクとエッチしたいと思ってるんじゃないか。

 ボクはダメ押しとばかりに、節くれ立った指先に唇を押しつけた。
 ちろりと舌を出して、爪の先を舐める。
 舐めて、唇でくわえて、ちゅ、と音を立てて唇を離す。

 ヴィンセントが、もの凄く渋い顔をした。
 それから、長い長い溜息を吐いた。

「……お前は何も分かってない」

 そう言ったヴィンセントは、また苦しそうだった。

 それでもボクが手を離さないでいると、
 諦めたのかボクをベッドに組み敷いた。

「…………本当にいいんだな?」

「良くなかったら、こんなこと言わないって」

 ボクら、もうエッチしたようなもんじゃないか。
 むしろ、これでおしまいにする方が不自然だと思う。

 促すように、ボクは瞼を閉じた。
 ヴィンセントの指が、ボクの髪をを優しく梳く。

「ん……」

 それから彼はズボンをくつろげ、
 反り立った欲望を取り出した。……のだけれど。

 ソレを目にしたボクは、ヒクリと口の端を震わせた。
 ちょっと、いや、たぶん、凄く……
 …………要するに、彼のソレはとても立派だった。
 
『別に大したことない。ボクがちゃんと年相応に成長していたら、
 それくらいはデカくなってる』
 ――なんて、強がっても言えないレベルだ。

「……足、開け。もう少し解そう」

「え、あ、う……うん……っ!」

 恐怖を気取られないようにボクは明るく頷いた。
 唾液を絡ませた太い指が、ゆっくりと中に侵入してくる。

「ん、ぅ……っ」

 つ、と背中を冷たい汗が流れた。
 解したとして……こんな大きさ、入るもの?
 こんなの挿れられたら、体が裂けちゃうんじゃないか……?

「力を抜け」

「わ、分かってるよ!」

 ボクは瞼を閉じると、何も見なかったことにした。
 そうして、ヴィンセントの心地良い指の動きに集中しようと努めた。

 大丈夫。しっかり解せばなんてことない。
 あんな狭かったのに、ヴィンセントの指が入ったくらいだ。
 きっと、もっと柔らかくなれば、もっと太くたって問題無くいける。はず。

「……セシル」

「なに」

 薄く目を開ければ、ヴィンセントが心配そうにボクを見下ろしていた。

「怖いんだろう?」

「は……はあっ!? こっ、怖くないし!」

「震えている」

「震えてないってば!」

「それなら、これは……感じてるのか?」

「んぁっ!」

 お尻の中で、ヴィンセントが指を曲げた。
 敏感な部分を突かれて、衝動的に腰が揺れる。

「ここか」

「ひゃっ、あぅっ、ヴィンセントっ……
 そこ、はっ……」

 1本の指で、的確に感じる場所を攻められた。
 更にもう1本指が追加されて、グッとお尻の穴が拡げられる。

 ヴィンセントの指が、出たり入ったり、中でバラバラ動いたりした。
 更に、もう1本指が追加されて呼吸が荒くなる。

「痛いか?」

「だい、じょうぶ……」

 苦しいとは思った。でも、痛くはない。
 それどころか、ヒリヒリした感触がなんだか気持ち良いくらいで、
 ボクは……凄く恥ずかしかった。

「あっ。う、ヴィンセントっ……」

 ゆっくり、じっくり、拡張されていく。

「ん、んんっ……ふぁあ……」

 やがて、頭がふにゃふにゃになった頃、指が抜かれた。

「……来い。セシル」
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