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7、異世界にて
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その時ーーーーーーー!
ドォォォンンッ!!!!
凄まじい轟音とともに体にかかっていた謎の圧が嘘のように消え去った。
今まで緊張していたからだから力が抜け、そのまま重力に従って尻餅をつく。
すると
「怪我はないかっ!?」
焦ったような男性の声が聞こえた。
声のする方向へ瞑っていた目を開け、視線をそちらに移す。
そこには、いかにも戦士というような風体の赤い髪をした男性が立っていた。
その足元にはあの角の生えた猪のような獣が息絶えていた。
腰に剣を携えた逞しい体、焦燥を称える表情に髪と同色の燃えるような深紅の瞳。
…どこをどう見ても日本人ではないです、という風貌だが流暢に日本語を話している事が不思議でならない。
先程から怒涛の展開すぎて状況が飲み込めていない俺は、その男性の言葉に応えることなく唖然としていた。
「おいっ!そこの黒髪!
お前に行っているんだ!怪我はないか!?」
そうもう一度声をかけられ、やっと正気に戻った俺は掠れた声で
「......はい…どこにも怪我はしてません…。」
と答えることで精一杯だった。
俺の言葉に息を吐き出し安堵した様子の男性は、俺の方に近づいて来た。
獣の屍を飛び越えてこちら側までやってくると、俺に手を差し伸べてくれた。
「立てるか?」
「..はい....すみません....」
差し伸べられた手に縋って立ち上がろうと思ったとき、強い力で体を引っ張られた。
驚いて男性の方を伺うとまるで鬼のような表情で俺の顔を見ていた。
「この傷はどうした?」
そう言って手首や首顔の暴行のあとを指した。
「ッいえ!!!これは何でもないですッッッ!!!」
そう言って無理やり手を払った。
「....」
男性は無言の圧と真っ直ぐな視線に、顔をそらし俯いた。
俺が話す気がないと悟り
「......今は深く聞かないでおこう。」
そう言うと、俺から距離を取った。
俺は俯いたままだった視線を上げ、獣の方に近づいていく男性を見つめた。
こうして全身を見ると男性がいかに立派な体躯をしているかが分かった。
180cmある俺でも、見上げなければ会話ができない。
獣の処理があらかた終わると、
「こんな軽装でしかも子供一人で森に入るなど、何を考えているんだ!?
俺が助けられたから良かったものの、普通なら死んでいたぞ!」
と強めにお叱りを受けた。
........え? 今子供と言ったか??
俺のどこが子供に見えるんだ!?
「ま、待ってください!俺は子供ではないです!!
もう立派に成人しています!!!!!!!!」
焦ってとっさに答えたが、「そんなわけがないだろう」と言って信じてもらえなかった。
確かにお前と比べれば誰でも子供のようなものだろうが、それはお前がでかいだけだろう!?と言いたい気持ちは山々だが、命の恩人であるしここはグッと抑えた。
だいたい、2mを有に超えていそうなそちらがおかしいのだ!俺は日本人の遺伝子にしては優秀に育ったほうだぞ!?
心のなかで毒が止まらない間にも、男性が親はどこだ?なぜ森にいたんだ?と質問を投げかけていた。
仕方なく、玄関先で光りに包まれたと思ったらここにいた。と分けがわからないが本当の事を伝えると男性は血相を変え
「なんと悪質な....」
と呟いた。
「どういうことですか.....?」
俺の不安げな様子に男性眉を下げて困り顔だ。
しかし、この状況の手がかりを掴めるならここでひいてはいられない。
「お願いです!どんな事でもしますから心当たりがあるなら教えて下さい!!!!」
俺の必死な様子に押されたのか眉間にシワを寄せて迷うような素振りを見せた後、口を開いた。
「あまり気持ちの良い話ではないのだが…」
と前置きし、俺の状況について思い当たることを話してくれた。
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お読みくださりありがとうございました。
何を話しだしたかは次回!
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