普通の僕が性王と呼ばれる世界【R-18】

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新たな驚き

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上条を娼館に匿ってから一週間が経った。
心配していた上条の親が上条を取り返すような行動は無かった。
学校に怒鳴り込まれるのではないかとひやひやしていたのだが杞憂に終わりほっとしている。

それ以外にも予定外の事があった。
それは高橋と委員長が交代で娼館の部屋に来ることだ。
流石に泊まり込むことは無かったが、2人から交代で誘惑されると僕は簡単に調略されてしまう。

お陰で上条を匿う部屋なのか、高橋や委員長とのやり部屋なのか判らない状態になっている.
それでも僅かに存在する僕の自制心を総動員して上条とは一線を保っている。

正直、上条との間で一線を守っているのは、もう僕の意地でしかない。
高橋や委員長とのセックスを上条に見せておきながら、上条とだけしないのは逆に差別になっているのではないか。
そう考えるとセックスをしない事でも心は痛むのだが、自分の決意の前ではやはり最後の一線は越えられない。

その代わりと言ってはなんだが、毎晩上条とは裸で抱き合って寝ている。
もちろん、寝る前には上条とたっぷりいちゃいちゃをしている。
だから僕にとっての女のぬくもりは上条と肌を重ねることと言っても良いほどだ。

でも、そんな生活も後数日で終わる、、
そう思っていたところにいきなり爆弾が投げつけられた。

「ごめん、山本、本当にごめん」

僕の前で平謝りしているのは高橋だ。
高橋がこんな風に必死に謝る姿は貴重だよな。
そんな事が思わず頭に浮かぶが、まあこの状況では幾ら謝っても足りないぐらいだ。

「へええ、凄い部屋じゃん」

高橋の横で興味深げに部屋を眺めまわしているのは高橋と普段つるんでいる島村朱音だ。
こいつは高橋に輪を掛けて派手な奴で金髪の髪にカラコンを入れているのかブルーの瞳をしている。
そして歩くたびにパンティーを見せつける短いスカート姿と派手な化粧で街を闊歩している。

「ねえ、島村さん、ここは島村さんには場違いな場所だと思うんですよ」

真底面倒くさいんだが僕は島村さんに穏便に帰ってもらうために下出に接している。

「はああ、なに山本は私ごときはこの部屋に釣り合わないとか言ってるわけえ」

やっぱりだ、この感じはチョット前の高橋を3割増したギャルだよね。

「いや、部屋の話じゃ無くて、僕みたいなモブになんの用事かなって思う訳なんですよ」

「何の用事?、山本チョー受けるんだけど、娼館で男と会う用事なんてきまってるしい」

これは、高橋の奴はどこまで島村に話してるんだろうか?

「ねえ、島村さん、高橋さんから何を聞いているかは知りませんが、別に娼館としてここを利用しているわけじゃ無いんですよ。
10日間限定の臨時の宿泊場所として使ってるだけなんですよ」

僕の言葉で高橋がびくっとする。
こいつは本当に島村に何を話したんだ?

「はああ、山本はうちにそんな嘘をつくんだ、いけないんだよお、嘘をついちゃ」

「嘘って?」

「嘘も嘘、大嘘じゃん、高橋を孕ませといて、なあ高橋、山本ったらうちが馬鹿だから騙せると思ってるのかな?」

「わ、わああああ、朱音のあほ、なし、なし、今の無しだからね山本」

僕の頭が信じたくないという思いでフリーズする。

「ダメじゃん、あき、妊娠したらちゃんと届けないと、山本にお金が入らないじゃん」

お金、はああ、ふざけんな、怒りで僕は再起動する。

「島村、ふざけんなよ、僕は金目当てで女を妊娠させたりしないぞ。
それに、高橋はアフターピルを飲んでたんだから妊娠するわけは無いだろう」

「受けるわ、山本、やってるってばらしてるしい。
それに、アフターピルって、あれって飴玉だったらしいよ。
やるよね、流石にあきの姉貴じゃん」

あ、飴玉、ええ、ちょっと、ちょっと待ってよ??

「な、なあ、高橋、飴玉って、えええ、それって、あの飴玉って、あのアフターピル、ええ」

うわああ、焦って言葉まで無茶苦茶だ。
でも一応は通じたみたいだ。

「う、うう、ごめん、姉貴がくれたアプターピルは実は飴玉だったみたい」

「じゃあ、島村の話って....」

島村が言った高橋が妊娠してるって言葉は本当なのか?

「うん、検査の結果陽性だった」

陽性、陽性ッてことは高橋は妊娠してるってことか。
それに飴玉って、もしかして委員長もかよ。

「なあ、高橋、もしかして委員長のアフターピルも飴玉か?」

「うん、飴玉だよ。
あっ、でも委員長は明日調べるって言ってたからまだ分かってないはず」

「はあああ」

僕は全身から力が抜けて崩れ落ちてしまう。

「なに、山本は落ち込むの?、マジ判んない、山本やるじゃんって話だしい」

まあね、この世界で女を妊娠させる男は立派だと言われるんだろう。
それに娼館で畑に種をまいて芽が出ても、種をまいた男に責任も無いんだけどさ。
でも僕はそんな風に割り切って考えられないんだ。

「それで、なんで高橋が妊娠すると島村がしゃしゃり出てくるわけ?」

「何でって、うち高橋から聞いたし、山本って毎日でもできるんだろう。
だったら、朱音ともしてほしいんだな。
朱音は子供が必要だし」

子供、欲しいんじゃなくて必要なんだ。

「なあ、島村は何で子供が必要なんだ」

「うちはバカだからね、大学に行くつもりもないし、ちゃんと就職するのも無理だし。
子供がいれば養育費に年金も貰えるし、アパートだって斡旋してくれる。
それにパートの仕事も優先的に貰えるし。
自立した大人?、目指してるわけよ!」

うわああ、真底頭が痛いんだけど。

「なあ、高橋も同じなのか」

言った瞬間、しまったと思った。
高橋の顔が大きく歪み、目からは涙が溢れ出す。

「ひどい、ひどいよ、わたし、わたしはちがう、ちがうよ、ひっ、ひっ、ひっ、ひっ」

「悪い、島村は取り合えず帰って」

「ええ、山本はうちに冷たくない。
うちのナイスボディーを『悪い、かえって』好きに....」

「高橋はこっち、上条はリビングにいて」

僕は高橋を連れて寝室に入る。
泣きじゃくる高橋をベッドの端に坐らせて、自分も横に座る。

僕の気配を感じた高橋は横にいる僕に縋ってくる。

「英ちゃん、ごめん、ごめんね、でも私、子供が欲しかったの、英ちゃんの子供が欲しかったの」

それだけ言うと高橋は僕にしがみ付いてただただ嗚咽をあげ続ける。
僕には正直高校生の年齢で親になりたいという高橋の気持ちは判らない。
でもそれを聞いてしまうと高橋をまた傷付けそうで聞くことを躊躇してしまう。

僕は僕にしがみ付いている高橋の頭を撫でて慰める事しかできないようだ。
それにこの世界では中絶などという堕胎を行う事は極刑に値するので高橋が僕の子を産むのは確定事項だ。

であれば、高橋が僕の子供を産むという事実を受け入れて、高橋と僕にとってどうすれば良い方向に進めるかを考えるのが生産的だ.

でもね、理屈は判るけど、僕には高橋のお腹に自分の子供がいるという事を実感できるわけもないんだ。 

どうしよう、何ができるんだろう?

答えの無い問いが僕の頭の中をぐるぐると回り続けるのだった。
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