普通の僕が性王と呼ばれる世界【R-18】

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上条の想い

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「ねえ、雪、山本には気を付けるのよ。
こいつ手が早いからね」

「ねえ、本当に私たちが泊まらなくても平気なの」

「え~い、高橋も委員長も鬱々しいうつうつしいしい。お前たちは帰るの、お家にね。ママが待ってるから」

「ううう、山本醜い」

いや、醜いのはお前たちだろう。
人の事をぼろかすに言ってくれたじゃん。

「うふふふ、私は平気ですから、祥子も明子も帰って大丈夫ですよ」

「ううう、雪のその笑顔が怪しいよ。
雪が抜け駆けしそうで心配になってきたわ」

「抜け駆けですか?
二人のあの痴態の後では抜け駆けにはならないような気がしますけど」

なに、上条もしかして参戦する気か。
でも、上条とはしないぞ。

「ほらほら、これ以上遅くなると2人とも怒られるぞ」

「ううう、良いわよ、帰るわよ。
でも雪、本当に抜け駆けはダメだからね」

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

うるさい2人が居なくなるとこの部屋は途端に静かになる。

「山本君、珈琲でも淹れましょうか」

「ああ、うれしいな」

「じゃあ、淹れますからチョット待っててくださいね」

上条がキッチンに珈琲を淹れに行く。
暫くするとキッチンから良い香りが漂ってくる。

「一応、レギュラー珈琲です。
直ぐにドリップできるように一杯ずつ珈琲フィルターに粉が入っているやつですけど」

それは簡便に淹れられる珈琲のくせに、普通に良い香りを漂わせた珈琲だった。
期待してその珈琲に口を付ける。

「うん、美味しいよ。
簡単に美味しい珈琲が入れられるのは凄いよね」

「美味しいですか?
あ、本当に美味しいです」

上条は珈琲の味が判る子の様だ。
ブラックで美味しそうに飲んでいる。

「ふう、こうしてゆっくり珈琲を飲んでいると落ち着くよね」

「本当にそうですね」

まったりとした時間が2人の間に流れている。
この雰囲気を壊すのは正直嫌なんだが、上条に聞くならこのタイミングだよね。

「ねえ、上条、答えたくなかったら答えなくても良いんだけど、上条のお母さんの事で少し聞いても良いかな?」

僕の問いに顔をこわばらせる上条。
やっぱり、聞かれたくない事があるんだろうね。

「正直、お母さんの事はあまり話したくないんですが、山本君には知っておいてもらうべきなんでしょうね」

「そうか、少し辛い思いをさせるかも知れないけど教えてくれるかな」

「はい、知っている範囲なら」

上条も覚悟を決めてくれたようだね。

「それじゃあ、不躾だけど、上条のお母さんとお父さんは余り上手くいってないんじゃないかな」

「本当に不躾ですね、でもその通りです。
お母さんとお父さんはあまり仲良くないですね。
一番の原因はお父さんが娼館で作った子供とその母親とあっているせいですね」

「娼館で作った子供と会っている?
でも、普通は娼館の相手とは娼館を離れたら他人だし、子供が出来ても知ることも無いだろう」

「それ、山本君が言いますか?
同じですよ、山本君と」

寂しそうに上条が言う。
僕と同じ、ああ、相手が知り合いだったって奴かな。

「お父さんが娼館で子作りをした相手が中学時代の知り合いだったようです。
それに、その人は夫と上手くいって無くて、別れてシングルマザーを目指していたらしいです。
だから、お父さんがその人を心配して、連絡を取り合って、そして子供が生まれて。
やっぱり、自分の遺伝子が入っている子供は可愛いらしいです」

上条の顔に悔しさが滲む。

「だから、私はあまりお父さんに可愛がられた記憶が無いんですよ。
きっと、お母さんの連れ子程度の認識なんですよね。実際に血は繋がってないし。
だから、お母さんはお父さんを取り返すために、私を供物にしたいんです。
若いころのお母さんに似ている私を差し出して、お父さんの気持ちを私たちに向けさせたいんです」

「そっか、でもそこには上条の意思は無いよな」

「そうですよ、私の事なんておかあさんはどうでも良いんです。
お父さんをあの人から取り戻せさえすればね」

「でも、お父さんは、その人の所にはいかないでお母さんと上条と暮らしてるんだろう。お父さんをその人に取られた訳でも無いんじゃないのかな?」

「山本くん」

上条が立ち上がって僕に抱き着てくる。

「私はいらない子なんです。

お父さんがあの人の所に行かないのはあの人がシングルマザーに拘ってるからです。
それでもお父さんは週末はあの人とその子供の所に入り浸りなんです。
どこがシングルマザーだよって話です」

僕にしがみ付きながら上条は胸の内を訴える。

「ねえ、山本君、私はいらない子なんですよ」

自虐気味な上条、繰り返されるいらない子という言葉。
いつの間にかしがみ付いている上条から嗚咽が上がり始めている。

「悪かったな、話したくもないことを話させて」

僕はせめてもの償いにゆっくりと上条の頭を撫でる。
そして慰めの言葉をかける。
ありきたりで本当に慰めにしかならない言葉だ。
でも僕はそれ以上の言葉を持っていない。

「上条はいらない子なんかじゃないよ、いらない子なんていないんだよ。
上条は僕の大切な友達だから」

そんな言葉でも上条の琴線に触れた様だ 。

「本当、本当に私はいらない子じゃないの」

「ああ、もちろんだよ」

「なら、なら、私いらない子じゃないなら山本君に雪って呼ばれたい。
上条じゃ私を表さないもの。
ねえ、雪って呼んでよ」

「そうだな、これからは雪って呼ぶよ」

「うれしい、もっと雪って呼んで、ねえ、お願い」

 「ああ、雪、雪は僕の大切な友達だよ。
ずっと雪と僕は友達だよ」

そんな僕の言葉に安心を得たせいか、雪は急にハードルを上げる。

「ねえ、娼館で二人で抱き合ってるのに私達って友達なの?
山本は私を抱きたいとは思わないの」

「いや、そこは思う、思わないとかじゃなくて、僕は雪を守るために頑張ってるんだから。
そこは一線を引かないと」

「それって、実は思ってるってこと」

僕の顔を上条が覗き込んでくる。
その瞳は不安に怯えていて、僕にすがりたいと訴えている。
でも、僕にも矜持はあるんだ。

「雪、雪を抱きしめることもエッチなこともしたいけど、セックスだけは絶対にダメだよ。
それをしたら僕は雪を君のお母さんやお父さんから救ったことにならないからね」

「そう、エッチなことは良いんだ、じゃあしようよ」

僕の唇が雪の唇で塞がれる。
雪の手が僕の手を雪の胸に導く。

「ねえ、祥子や明子と山本君がするのを見て私だって高ぶってるのよ。
山本君は私のおっぱいを触ったし、まんこだって舐めてくれたわよね。
でもまだ足りないの。
ねえ、私の疼きを収める義務が山本君にはあると思うんだ」

そしてまた僕に上条は情熱的なキスをしてくる。
上条の舌が僕をとろかすように口の中を這いまわる。
そんな上条の舌が僕の口から離れる。

「ねえ、私をベッドに連れて行って」

そんな上条の言葉に逆らえるわけも無く、僕は上条をお姫様抱っこしてベッドへ向かう。
この後、僕は最後の一線を留める事が出来るのだろうか。
実は全く自信が無いのだった。
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