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第25話ポーションを売ったら、銀とサミー、2人の魔法教師が付いてきたんです、ラッキー!

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薔薇騎士の館でのポーションの作成が軌道に乗って充分過ぎるポーションの在庫が地下の貯蔵室に積みあがっています。

父さまはそれを見て、幾ばくかのポーションを売却し換金する事を決められました。
そして前にした約束を守り、前回ポーションを売却したオーランドのお店にポーションを売却すると連絡をしました。

お店の人は凄く喜んで、勇んで馬車に乗りオーランドからこの領地に向かったのです。
その馬車がいます着きました。

馬車の扉があき、中からはまず狐獣人の舞緋が降りてきます。

「我が主様、銀はお約束通りに主様に仕えるために参上いたしました」

銀、そうですね真名は内緒ですからね。銀が通り名なのでしょう。

「銀、お疲れ様、オーランドからの旅は大変だったのではないですか」

「はい、疲れました.でも幸いなことにサントスさんの馬車に乗せて頂けたので安全にここまでの旅が出来ました」

商人の名前はサントスさんと言うんですね。
それに安全にですか。
よく見れば、馬車の周りに護衛の人が4人、いや6人はいますね。
ポーションは高価な商品ですから護衛もこのくらいは必要なのでしょうね。

それにしても銀が一緒に来るとは思いませんでした。
きっと父様がサントスさんに銀のことも頼んでおいてくれたんでしょうね。
流石は父さまです。

「ねえ、銀、いつになったら私の事を紹介してくれるのかしら」

あれっ、銀さんの後ろにもう一人女性がいますね。
耳が長く尖っていますよ。
これってエルフさんですかね?

「ああ、ごめん、ごめん。
我が主様、私の後ろにいるのはオーランドでの商売仲間のサミーです。
見た通りエルフです。
ですから見た目と違いババアです」

「は、なによ。
銀、随分と酷い紹介ね。
ふん、心配しなくても私は銀と違って幼児には興味はないの」

困りましたね。
二人が喧嘩を始めそうです
2人を連れてきたサントスさんも困り顔です。

それに父さまも困ってます。
そんな父さまとサミーの目が合うとサミーが父さまに話しかけてきます。

「ああ~、カルロス、カルロスよね。
ねえ、ねえ、カルロス、私の事、覚えてるわよね。
も~、カルロスったら、私、カルロスの情熱的な瞳に陥落したのよ。
だから、オーランドからこんな田舎まで来たんだから。
ねえ、カルロス、あの時と同じくらい情熱的に『貴方、そちらのご婦人に私を紹介いただけないかしら』、えっ、あら貴方はカルロスの奥様かしら?」

父さまが頭を抱えています。
母さまの目が怖いです.

「ああ、この人が温泉の小部屋で父さまを相手に唸っていた『オイゲン』、はっ、はい、母さま」

「オイゲン、貴方はそちらの銀さんをお部屋に案内しなさい。
部屋はリリーに聞けばわかります」

「で、貴方、そちらの淫売を入れて少し話をする必要がありそうですね。
サントスさん、商談は明日致しますので、今日は宿に入っておくつろぎくださいね」

そう言うと、母さまは、父さまとサミーを連れて行ってしまいました。
困りましたね。

でもサントスさんも、護衛の人も母さまの言われたとおりに宿に向かいました。
なは、僕は銀を案内しますかね。

「リリー、お客さんをお部屋まで案内するので先導してください」

僕は母さまに言われた通り、銀を部屋へと案内したのでした。

 

☆☆☆☆☆


「それで、貴方、結局これをどうする気ですか」

夕食の席でも母さまは機嫌が悪いです。
父さまに冷たい言葉を投げかけますね。

夕食の前に行った三人での話し合いでは決着はつかなかったんですかね?

「これじゃないです。私にはサミーというちゃんとした名前があります」

「はあ、それでサミーさん。貴方は何を考えて当家にいらしたのかしら」

母さまが頭を抱えながらもサミーに尋ねます。

「何を考えてですか。先ほどの繰り返しですけど、面白そうだからですかね」

「何度聞いても同じ答え。
面白そうですか?
こんな田舎に面白い所なんかありませんよ」

「はい、田舎ですよね。
確かに面白みが有る場所では無いですね」

「まあ、はっきりと」

「でも、面白そうな人がいますから」

「カルロスはそんなに面白みがある人だとは思えないのですが?」

「お、おい」

おっ、父さまが初めて声を出しました。

「そうですねえ。
カルロスの魅力は面白みでは無いですね。
でも馬なみの『ゴ、ゴホン』、まあ女を満足させる男ですよね。
それで、面白みを感じたのはもちろん、オイゲン坊やですわ。
あの、銀を従えてしまうなんて普通じゃありませんもの」

「はあ、やっぱりオイゲンですか」

母さまがあきれ顔で僕を見ています。

「私の精霊が囁くのです、この子を見守りなさいと。
そしてその合間にカルロスからお情けを貰いなさいと」

「まあ、妻がいる前でぬけぬけと」

「あら、心配はいらないと思いますわ。
私は純血のエルフですから千年は生きますもの。
20年もすれば男の魅力を失う人の男など、一夜の戯れ程度の相手にすぎませんよ」

そうなんだ。サミーは千年も生きるんだ。

「はあ、オイゲンの周りには私では計り知れない女ばかりが集まるのですね。
私ごときの常識では付いていけませんわ」

母さまが投げやりになっていますね。

「ですから、奥様が心配されるようなことは起きません.。
カルロスとの間に子を成すこともしませんのでお家騒動にもなりません
奥様の都合の良いときに少しだけカルロスを貸していただければ充分なのです。
ねえ、奥様だって体調とかでカルロスに抱かれたくない時はあるでしょう」

「まあ、無くは無いですわ」

「でしたら、便利でしょう私。
それに、私は魔法が得意ですよ。
オイゲン坊ちゃまの魔法の教師もできますし」

「はい、母さま。
オイゲンはサミーから魔法を習いたいです」

魔法、魔法の先生です。
これは何としてもゲットしなければなりません。

「はあ、オイゲンを調略しますか。
しょうがないですね。
当家の客人として認めましょう。
でも、カルロスの相手をするのは私が認めた日だけですよ」

「「やった」」

「はあ、オイゲンまで」

僕とサミーの声がハモってしまいました。
でもしょうがないですよ。
銀に加えてサミーと言う魔法の先生が出来たんです。
僕にとってはとってもハッピーなことです。

僕は今日からでもサミーから魔法の事を聞きたくて夕食後に時間を貰おうと思ったのですがサミーに却下されました。

サミーは母さまと密談をした後に父さまの腕を取って部屋へと下がっていきました。
そして、父さまとサミーが入っていった部屋からは2人の野獣のような咆哮が夜遅くまで続くのでした。

 
☆☆☆☆☆

 
そして、次の日。

母さまは機嫌は最悪です。
父さまはお疲れで、サミーだけは元気で肌も艶々です。

そんな父さまと母さまもサントスとの商談が終わった後は2人してニコニコ顔です。
どうやら、随分と良い値段でポーションがサントスに売れたみたいです。

そして、ポーションの売却金の一部はサントスが持ってきて今は母さまの胸元を飾っているネックレスに変わったようです。
他にも母さまは父さまから装飾品を買ってもらったみたいです。

流石はサントス、商売人ですね。
やっぱり、そう商売人は機と利を見るのに敏感じゃないとダメなんですね。
だとすると、銀とサミーのことで父さまと母さまの間に一波乱あると見て、ネックレスとかの装飾品を運んできたんじゃないでしょうか。

結局、サントスが一番の勝者のようです。
ほくほく顔で帰ってゆきましたし、次のポーションの買い取りの件でも父さまと話を付けてサントスが買い取る権利を得たみたいです。

 
☆☆☆☆☆

 
そして、僕は銀とサミーと一緒に魔法の訓練をしようと広場に木の的を並べています。

この木の的を銀とサミーに自分の得意な攻撃魔法で破壊してもらいます。
まずは、目の前でじっくりと2人の攻撃魔法を見る事にしたんです。

銀は火の属性の魔法、サミーは風の属性の魔法で木の的を攻撃してくれるんだそうです。

最初は銀が攻撃魔法を見せてくれます。

銀の腕が天に向かって突き出されます。
そして銀が魔法の詠唱を始めます。
詠唱が続くに従い銀の手の先の空気が揺らいで、ゆっくりと炎の玉が育ってゆきます。
そして詠唱が終わり、銀の腕が振り下ろされます。

銀の手の先に合った炎の玉が木の的に向かって進みます。
炎の玉は木の的に触れると爆発し木の的は爆散しました。

「主様、どうですか、私の魔法は。
この魔法はファイヤーボールといって火属性の魔法の基本です」

銀がキラキラした目で僕を見ています。
きっと褒めてほしいんですよね。

でも、僕にはさっぱりなんです。
訳が分からないんです。

だって炎を作るってどう言う事なんですかね?
炎は燃焼の現象としてあらわれるものですよね。
では、あの炎はドコで何が燃焼して作り出されているんですかね?
解らんですよ。

それに炎が動くんですよ。
極めつけは炎が的に当たると爆発するんです。
炎って爆発しますかね?
百歩譲って炎で温度上昇が起きたとしてもこんな解放空間では熱だけで爆発は起きないですよね。

「主様、難しいお顔ですが、なにかありましたか」

銀が心配そうに僕を見ます。
まあ、僕も元文系ですから大した知識は無いんです。
でも、納得できないんです。
なら、僕なりの知識で納得出来る形で銀の魔法に近いことをしてみましょう。

「銀、僕なりの解釈で銀の魔法を再現しますね」

僕はそう言って的を狙う位置に立ちます。
そして僕の出来る魔法を発動します。

すると、いきなり木の的が燃え上がります。

「ええ、主様、なにをしたんですか?」

いきなり木の的が燃えたので銀はびっくりしていますね。

「木は、高温にさらされれば燃え上がります。
僕は木の的の周りに分子運動だけでなく原子振動もしている酸素を出現させました。
3千度に近い酸素に包まれて木が燃え上がったんですよ」

「はいい、???」

ああ、僕は銀が使う魔法が理解できないし、銀も僕が使う魔法が理解できないようです。

これは、どう進めたら良いんでしょうか?
いきなり暗礁に乗り上げた気分です。

 ほんと、困りましたね。

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