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八品目 バーベキュー
四十八話 想い溢れるバーベキュー(2)
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「ま、まぁまぁ二人とも。これでも飲んで元気出して! シュワっとするから気分もスッキリするわよ!」
とりあえず元気づけようと、二人が持っていたお皿を回収し、代わりにガラスのコップを渡してやる。
そしてそこに自家製のはちみつレモンスカッシュを注いでやれば、ヤケになったように二人は一気に飲み干した。
「ぷはぁっ! 確かにこれはスッキリするアカ!」
「はぁー! シュワシュワが喉に効くアオ!」
「炭酸だからね。どう、少しは元気出てきた? おかわりいる?」
聞けば二人が目の前にコップを突き出してきたので、たっぷりとおかわりを注いでやる。
するとすぐさまもそれも二人は飲み干してしまった。
「ふぅ……やっと気持ちが落ち着いてきたアカ。しかし結局、閻魔様に火を起こさせて一体何をするつもりなんだアカ?」
「さっき言ってた、〝ばーなんとか〟ってやつと関係あるアオ??」
「バーベキューよ、バーベキュー!」
またもコップを突き出して更におかわりを要求する二人に苦笑しつつ、わたしは追加のはちみつレモンスカッシュを注いてやりながら訂正する。
「んん? ばー……アカ?」
「横文字は難しいアオ」
「えっとね……」
やはりいまいちピンときていない二人にどう説明したものかと考えあぐねていると、唐突に背後からジューっと香ばしい音がして、同時に肉の脂が溶け出したいい匂いが辺りに立ち込めた。
それに真っ先に反応したのは、茜と葵だ。
「「おおおっ!?」」
「私も桃花に聞いて初めて知ったのだが、〝バーベキュー〟とはこのように外で肉や野菜を焼いて食す料理らしい。なんでも現世では、祭り事があるとこの料理をするのだそうだ」
見ればいつの間にかわたしが持っていた串焼きを乗せたお皿は閻魔様の手にあり、どんどんと鉄板の上に串焼きが並べられている。そして串をくるんとひっくり返せば、香ばしい焦げ目が綺麗についており、食欲をそそる見た目と匂いに茜と葵だけでなく、わたしまでゴクリと唾を飲み込んだ。
「桃花、焼き上がりはこんな感じでいいのかな?」
「ええ、ありがとう閻魔様。すっごく美味しそうに焼けてるわ! さぁ、バーベキューがどんな料理かを分かったところで、早速みんなでいただきましょう! 串焼きにはこのタレをつけて食べてね!」
「「よっしゃー! いただきまーすアカ(アオ)!!」」
わたしの言葉を皮切りに、瞬く間に茜と葵が焼き上がった串焼きを掻っ攫い、タレにつけてパクリと一口。
「んむっ!? これは絶品だアカ!」
「肉の表面がカリカリになってて美味いアオ! 炭火の香ばしい匂いがずっと口の中に残ってるアオ!」
「ほぉ、どれどれ……」
遅れて閻魔様も串焼きを一本、手に取ってかじる。もちろんフーフーして冷ますのは忘れずに。
「うん、美味い。このタレがまた肉の香ばしい旨みをまろやかに包み込んで、より格別の味わいとなっているな」
「さすが閻魔様! そうなの、そのタレはわたし特製の手作りタレで、すりおろした林檎と生姜、それに蜂蜜を加えてあるから、マイルドかつコクのあるタレに仕上がっているのよ!!」
「うまい! もっと肉焼くアカ!」
「どんどん追加してくアオ!」
「……って、全然聞いてないわね」
こちらの語りなど一切無視して、バーベキューの美味しさに目覚めた茜と葵が鉄板の上に所狭しと肉を並べていき、焼けた側からどんどん口に入れる。
するとそれを見かねた閻魔様が、二人を注意した。
「こら二人とも、肉ばかりじゃなく、野菜もちゃんと焼いて食べなさい」」
「「は、はいっ! すみませんアカ(アオ)!!」」
その言葉に弾かれたように慌てて二人が野菜を焼いて口に詰め込めば、閻魔様は満足そうに頷く。
「偉いぞ二人とも。料理というのは、バランス良く食べないとな」
「「えっ……!?」」
閻魔様から褒め言葉が発されたことに驚いて、茜と葵は虚を突かれたように固まった。
「……へへ」
「ふへへ」
しかしじわじわと褒められた実感が湧いて来たのか、次第にニヤニヤと茜と葵は表情を緩ませる。
なんだかこの三人、前よりも距離が縮まったみたい。こうやって見てると、まるで親子のようだなぁ。
嬉しそうな茜と葵に、わたしの顔も自然と綻んだ。
とりあえず元気づけようと、二人が持っていたお皿を回収し、代わりにガラスのコップを渡してやる。
そしてそこに自家製のはちみつレモンスカッシュを注いでやれば、ヤケになったように二人は一気に飲み干した。
「ぷはぁっ! 確かにこれはスッキリするアカ!」
「はぁー! シュワシュワが喉に効くアオ!」
「炭酸だからね。どう、少しは元気出てきた? おかわりいる?」
聞けば二人が目の前にコップを突き出してきたので、たっぷりとおかわりを注いでやる。
するとすぐさまもそれも二人は飲み干してしまった。
「ふぅ……やっと気持ちが落ち着いてきたアカ。しかし結局、閻魔様に火を起こさせて一体何をするつもりなんだアカ?」
「さっき言ってた、〝ばーなんとか〟ってやつと関係あるアオ??」
「バーベキューよ、バーベキュー!」
またもコップを突き出して更におかわりを要求する二人に苦笑しつつ、わたしは追加のはちみつレモンスカッシュを注いてやりながら訂正する。
「んん? ばー……アカ?」
「横文字は難しいアオ」
「えっとね……」
やはりいまいちピンときていない二人にどう説明したものかと考えあぐねていると、唐突に背後からジューっと香ばしい音がして、同時に肉の脂が溶け出したいい匂いが辺りに立ち込めた。
それに真っ先に反応したのは、茜と葵だ。
「「おおおっ!?」」
「私も桃花に聞いて初めて知ったのだが、〝バーベキュー〟とはこのように外で肉や野菜を焼いて食す料理らしい。なんでも現世では、祭り事があるとこの料理をするのだそうだ」
見ればいつの間にかわたしが持っていた串焼きを乗せたお皿は閻魔様の手にあり、どんどんと鉄板の上に串焼きが並べられている。そして串をくるんとひっくり返せば、香ばしい焦げ目が綺麗についており、食欲をそそる見た目と匂いに茜と葵だけでなく、わたしまでゴクリと唾を飲み込んだ。
「桃花、焼き上がりはこんな感じでいいのかな?」
「ええ、ありがとう閻魔様。すっごく美味しそうに焼けてるわ! さぁ、バーベキューがどんな料理かを分かったところで、早速みんなでいただきましょう! 串焼きにはこのタレをつけて食べてね!」
「「よっしゃー! いただきまーすアカ(アオ)!!」」
わたしの言葉を皮切りに、瞬く間に茜と葵が焼き上がった串焼きを掻っ攫い、タレにつけてパクリと一口。
「んむっ!? これは絶品だアカ!」
「肉の表面がカリカリになってて美味いアオ! 炭火の香ばしい匂いがずっと口の中に残ってるアオ!」
「ほぉ、どれどれ……」
遅れて閻魔様も串焼きを一本、手に取ってかじる。もちろんフーフーして冷ますのは忘れずに。
「うん、美味い。このタレがまた肉の香ばしい旨みをまろやかに包み込んで、より格別の味わいとなっているな」
「さすが閻魔様! そうなの、そのタレはわたし特製の手作りタレで、すりおろした林檎と生姜、それに蜂蜜を加えてあるから、マイルドかつコクのあるタレに仕上がっているのよ!!」
「うまい! もっと肉焼くアカ!」
「どんどん追加してくアオ!」
「……って、全然聞いてないわね」
こちらの語りなど一切無視して、バーベキューの美味しさに目覚めた茜と葵が鉄板の上に所狭しと肉を並べていき、焼けた側からどんどん口に入れる。
するとそれを見かねた閻魔様が、二人を注意した。
「こら二人とも、肉ばかりじゃなく、野菜もちゃんと焼いて食べなさい」」
「「は、はいっ! すみませんアカ(アオ)!!」」
その言葉に弾かれたように慌てて二人が野菜を焼いて口に詰め込めば、閻魔様は満足そうに頷く。
「偉いぞ二人とも。料理というのは、バランス良く食べないとな」
「「えっ……!?」」
閻魔様から褒め言葉が発されたことに驚いて、茜と葵は虚を突かれたように固まった。
「……へへ」
「ふへへ」
しかしじわじわと褒められた実感が湧いて来たのか、次第にニヤニヤと茜と葵は表情を緩ませる。
なんだかこの三人、前よりも距離が縮まったみたい。こうやって見てると、まるで親子のようだなぁ。
嬉しそうな茜と葵に、わたしの顔も自然と綻んだ。
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