生まれる前から一緒の僕らが、離れられるわけもないのに

トウ子

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これは神の啓示だと思いました。私は一切後悔なんかしていません。

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『今日はxxxに行ってきました』

鍵アカウントに呟かれた、簡潔な一言。

『とても美しいものを見ることが出来ました。醜いものが近くにあることで、より美しさが際立つのですね』

感嘆とともにアップされたのは、今日、瞬達が訪れたはずのロケ地の風景。

『闇があることにより、光はより眩く、そして強く我々を照らしてくれるのかもしれません』

写真の中では、真っ青な空の頂点で、太陽が燦々と輝く。

『けれど、汚物と並んで輝き続けることは、、どれほど負担なのでしょうか』

雨上がりの地面はぐちゃぐちゃに踏み躙られ、ポイ捨てされたタバコと空き缶が土に埋もれている。

『隣から流れてくるヘドロに、その輝きが侵されてしまわないと、どうして言えるでしょうか』




一般に、テレビ収録のロケ地など、公開されていない。
たまたまそこ居た人だけが幸運にも出会えるだけのはずなのだ。
それなのに、『信者』はいつだってその場にいた。
まるであらかじめ知っているかのように。
いや、まるで、に同行しているかのように。

「『信者』様は、業界の方なのでは」
「もしや、瞬くんの側にいる方なのでは」
「周りの人々も、アイツは瞬くんの相応しくないと思っているのでは」

盛り上がり、高揚するファン達は、ますます積極的に動き出す。
日に日に激しくなるバッシング、そして高まるユニット解散派の声。

「なぜ『信者』様は行動しないのだろう」
「瞬くんのそばにいるはずなのに」
「動けないのだろうか」
「最近呟きも減っている」
「何かあったのでは」
「あの悪魔が、なにか卑怯なことをしたのでは?」
「きっとそうに違いない、あの野郎」
「あいつには、瞬くんと同じカタチの中に、真っ黒な悪魔の魂が入っているんだ」

次第にフォロワー達は『信者』を崇拝するようになり、そのお告げにも似た言葉から真意を読み取ろうとし始めた。
あたかも『信者』自身が彼らの神……いや、神の代弁者かのように。
己の愛し子を愛する神、その神の代弁をし、人々を導き、神の愛し子を守ろうとする『信者』。
そんな構造が出来上がっていた。

「でも、一刻も早く、瞬くんを助け出すべきだと考えているに違いない」
「もちろん、そのはずだ!」
「あの悪魔の手から救出しなければ」
「救い出さなければ」
「昨日の言葉は、きっとそういう意味だったに違いない」
「急げということか」
「そうだ」
「そうだ!そうだ!そうだ!」

曖昧な言葉に扇動されて、フォロワー達は熱狂し、浮き足立っていく。

「絶対に実現できるはずだ」
「だって瞬のそばには、『信者』様がいるのだから!」




ある日、珍しくアカウントで「あしたは、xxxへ行きます」と呟かれた。
翌日の予定を告げることなど、これまで一度もなかったのに。

フォロワー達はざわめき、『信者』の意図を読み取ろうと夜を徹して激論を交わした。
色めきたつ人々の中で、さまざまな推測が飛び交う。
そして、『信者』の……いや、『神』の意思を汲み取った、一人の女が行動を起こす。

「分かりました、信者様!
……私が、瞬くんを、私たちの王子様を助けてみせます。あの醜い悪魔の手から!」


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