悪役令息の俺はXXされるよりXXしたいタイプです。

トウ子

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「屈辱だ……ッ。って、待て。その言葉遣い……そんな庶民みたいな……おい、お前、ホンモノか!?」
「そこから?もぉ~ホンモノだよ、もちろん」

子供のように言いがかりを喚いている王太子に、俺はクスリと笑んで飄々と返した。

「お綺麗な言葉遣いの、お綺麗令息チャンの方がよかった?ん?」

雄モード全開で、まだ起き上がれないらしい王太子に顎クイしてやる。王太子はカッと頬を染めて、俺の手を振り払った。照れてるじゃん。可愛い~。

「や、やめろ!失敬だぞ!」
「おや?偉そうな口をきいちゃって。……まったくもう。俺みたいな超絶美形の最高の婚約者がいるのに、他の男に心変わりしたワルイコには、まだまだお仕置きが必要かな?」
「うるさい!黙れ!この無礼者!ド変態!品性下劣な人間の屑めぇえええ!」
「はいはい、落ち着け落ち着け」

真っ赤になって恥じらいながら俺に文句を言ってくる王太子だが、さっきまで俺の下でアンアンひんひん泣いていたと思えば可愛らしいものだ。
こんな精神年齢の低い子供相手に、マジになるのも馬鹿馬鹿しいしな。なにせ俺の精神年齢は二十八歳プラス十六歳だぞ。こんなもの、ガキの地団駄みたいなもんだ。……まぁ、ガキの地団駄で断罪されちゃ敵わないけどな。でもされるんだけどな。ふざけてるよな。

「うるさい!何が心変わりだ!お前だって,侍従と仲が良すぎるくせにっ!なんか他にも私とはタイプが違う色んな男を侍らせているし……この浮気者め!」
「へ?」

思いがけない鋭いツッコミに、内心ドキッとした。しかし俺は、表情には動揺を欠片も載せず、呆れた顔で首を傾げてみせた。

「はぁ?俺はちゃんと未通だけど?なんなら指を突っ込んで確かめてみる?狭いと思うケド?」
「っ、な、そんな破廉恥な言い方をするな馬鹿者!」

赤くなって喚いている。
なんだ、確信しているわけじゃないのか。言いがかりか。よかった。
まぁ、証拠を残すようなヘマはしてないつもりだけどさ。相手も厳選しているし。そもそも俺の尻の純潔は保たれている。だからどれだけをされても平気だ。尻に純潔とかあるのか知らないが。

「じゃあなんて言えばいいんだよ」
「う、うるさい!とにかくお前は精神的な浮気だ!不敬罪と傷害罪に加えて姦通罪だ!ばーかばーか!この浮気者め!」

平然とした顔で首を傾げて問い掛ければ、完全に俺に押し負けている王太子が半泣きで言い返してきた。
どうあっても俺を罪人にしたいらしいのは理解しているが、なんだか恋人を詰るような言い方が気になる。
もともとビジネスライクな付き合いでだったよね、俺たち。最初から恋人でもないのに浮気ってナニゴトよ。
なに?まさかとは思うけど、実は俺のこと好きだったの?好きな子につい嫌な態度とっちゃう系男子なの?

「なんすか、その言い方。もしかして殿下、俺のこと好きだったの?」
「っな!」

冗談のつもりで聞いてみたら、茹で蛸のように真っ赤になった。え。まじ?
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