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しおりを挟む「こ、これ、ですか?」
三角形の布の下を指さして、震える声で問いかけると、エリオットは陶然とした表情で頷く。
「あぁ、そうだ。私のモノを、君のその小さな手で慰めておくれ」
腰砕けになりそうな甘え声の命令に、私が逆らえるはずもない。優しく髪を梳く手に励まされるように、私は生まれて初めて男の人の欲望に手を触れた。
「うっ」
「あ……あつい……」
指先が触れたと同時にびくりと跳ねたそれを、そっと下穿きから取り出して、両手で包み込んだ。どくりどくりと拍動するような欲望の昂りは、まるで意志を持つかのようにびくびくと動く。その周りを覆うのは皮膚のはずなのに、エリオットの腹や手とは全く違う温度と質感だった。
「……くっ、もどかしいな」
「あ、どうすればよろしいでしょう?……んっ」
そっと撫で摩ると、物足りないかのようにエリオットが呻いて腰を揺らした。私が戸惑って顔を上げると、エリオットはうっとりと私を見下ろしながら耳朶を喰んだ。
「いや、……ん、そのまま、続けてくれ。きもちいいよ」
「は、い……んん」
耳朶を舐め回され、エリオットの感じ入るような吐息や呻き声が鼓膜に直接吹き込まれる。前世で自分を慰めるために嗜んでいたその手のCDや動画なんか目じゃないくらい、この上なく色っぽくて、……ものすごく、興奮した。
「……は、ぁ」
「ん?イザベラ、どうしたの?」
勘付かれまいとそっと深呼吸をしたはずなのに、私の耳を弄んでいたエリオットはあっさりと私の異常に気付いてしまう。いや、わざとか。イザベラ、とこれまでは滅多に呼んでくれなかった私の名前を、甘やかに何度も呼んで、エリオットは私の欲情を煽り立てる。
「んあっ」
「まだ触られてもいないのに、どうしたの?」
ひょい、と前触れもなく下着の中に手を入れられて、私の体が跳ねた。エリオットの指が私の秘所をなぞれば、ぐちゃり、といやらしい音がする。私は真っ赤に顔を染めた。
「あ、ぃやぁ……」
「何が嫌なの?」
恥ずかしさに涙ぐむ私に、エリオットは優しい微笑みを浮かべて頬に口付けた。まるで御伽話の王子様のような顔で。本性は舌舐めずりする飢えた狼のくせに。
「とってもイイコトでしょう?上手に興奮できて、偉いねぇ」
「ぁ……」
どくん、どくん、と心臓がうるさい。私、前世も含めて未経験の本気の処女なのに。何でこんなに濡れてるの?
「な、んで……」
「ふふ、そりゃ僕と交わるのが楽しみなんでしょう?」
「そんなぁ」
まるで私が淫乱な売女のようじゃないか。けれど、エリオットが私の頬を、耳を、首筋を、肩を、背中をそっと撫でるだけで、体は飛び跳ね、じわり、じわりと股の間からは蜜が溢れ出る。下着にシミを作り、次第に太腿まで溢れてくる愛液に、私は羞恥のあまり取り乱した。
「わ、たし、おかしい、ですわ……っ」
「おかしくなんかないさ」
エリオットに縋るように抱きついて訴える。泣き出しそうな私に、優しい笑みを浮かべたエリオットが慰めるように抱き寄せた。
「僕は用意がいいんだ。さっき飲んだお茶に、混ぜといたんだよ」
「え?」
「媚薬。初めてとはいえ、痛みなんて不要でしょ?」
「なっ!?」
当然のように言われて、驚愕に固まる。非難することもできず、まじまじとエリオットを見つめるしかない私に、彼は悪魔のように囁いた。
「君は何も考えなくて良い……ただ、キモチイイのだけ、感じていれば良いんだよ」
ぞっとするほど美しく顔で、凶悪に魅力的な声で。
「媚薬を盛った、僕のせいなんだから」
エリオットは、私の理性を堕とした。
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