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信じるべきは君か悪魔か

無属性

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「四つって……日本語だって三つなのに、それ以上何があると言うんですか……」

「相当ショックを受けておるな」


 アリアさんとドラくん、それとレイナさんとブリスさん。四人は僕を苦笑いしながら見ていたが、ポロンくんとフローラとスラちゃん、三人はそうでもないようだ。


「いや……アリアさん、私、四つ目の魔法なんて聞いたことありませんよ?」

「おいらもない。スラちゃんは?」

「……ん、ぼくもない、かな」

「あれ……これもしかして、知らなくても大丈夫な感じですか?」

「一般常識のうちだ。ま、フローラはまだ習っていなかったんだろう。ポロンはそもそも学校に行ってなかったからな。スラちゃんは実質一歳だし」


 アリアさんはそう笑うと、ブリスさんとレイナさんに問いかけた。


「……使えるか? 無属性」

「無属性?」

「まさか。私は使えませんよ」

「レイナは?」

『ちょっとだけなら』

「使えるのか、お主!」

「すごいな!」

『熟練度低いけど』

「……で、無属性って、なんですか?」


 と、ドラくんが僕らに問いかける。


「属性魔法、いくつ属性があるかは知っているな?」

「えーっと……炎と水と氷、土、風、雷、光、闇、回復……9属性だな!」

「そうだ。……ウタ殿、今の属性魔法の熟練度はいくつだ?」

「えっ? ……炎が3、水と氷と回復が2、風と土が1.5、光が3.5だね」

「闇と雷以外習得してるのか。すごいな」

「あはは」

「無属性魔法は、全ての属性魔法の熟練度を平均した熟練度を持つ魔法のことだ。非常に難度が高く、使うのが困難とされている魔法だ」

「……ん、ん?」

「だからな?」


 アリアさんがしてくれた説明を噛み砕いて言うと……。
 全属性魔法、すなわち、炎水氷風土雷光闇回復の九つの熟練度をすべて足して、9で割った数が、無属性魔法の熟練度となるわけだ。
 僕の場合は雷魔法と闇魔法は持っていない。習得していないものは0として、

 3.5+3+2+2+2+1.5+1.5+0+0=15.5

 となる。それを9で割ると、1.72…になる。四捨五入して1.7。これが僕の無属性魔法の熟練度だ。ちなみにアリアさんは2.6、ポロンくんは0.8、フローラは1.1、ドラくんは2.8、スラちゃんは0.6だ。
 見ての通り、みんなとっても低い。これが、無属性魔法が難度が高く、扱うのが困難と言われている理由の一つだそう。1に達していない場合はそもそも扱うことができないし、無属性魔法熟練度6以上なんてほぼありえないそう。……まぁ、約五名、達成できそうな方を知っているんですけどね。


「まぁ、それだけでも十分難しいとは伝わるとも思うんだが、ここにもう一つ問題がある」

「えっ!? まだあるのか!?」


 ポロンくんが声を上げると、ドラくんはうなずき、とんでもないことを口にした。


「……90%以上の無属性魔法は、」

「…………」

「熟練度4以上じゃないと扱えない」

「……へ?」

「さらに、その9割のうちの70%は熟練度6以上じゃないと使えないときた」 

「……はひ?」

「ちょっと何言ってるか分からないですね」

「さらに、消費MPの平均は4500だ」


 ……え、どういうこと? そんなに難しくしなくてもいいと思うんだけど。そんなに!? そんなに難しいの!?


「ま、基本魔法使いとか、魔術師とか? そういう職業のやつしか扱わないな」

「その代わり、効果は属性魔法や特殊魔法と比べても、場合によってはユニークスキルと比べても、強力で役立つものが多い。おそらく、思いつくこと何でも出来るぞ。生死に関わらなければな。
 ……個性の塊'sが我らの心を読んだりだとか、瞬間移動したりとか、そういうのは無属性魔法かもしれん。とにかく融通が効いて、どんなことにでも使える。だが、難易度は高い。これが無属性魔法だ」

「……でもさ、ちなみにだけど、ウタ兄とか使える魔法あるの?」

「あるぞ、ウタ殿が使える魔法」

「え、どんな魔法!?」

「じゃんけんで次相手が出す手が分かる」

「…………」


 く、くだらねー! なんてくだらないんだ! 一応覚えておきたい!


「……あとで、教えてください」

「じゃんけんなんて、度の場面でするんだ。しかもこれ、相手も知っていたれ無効だぞ」

「あー……」

「消費MPは2700」

「かなーり痛いね、やめておくよ」

「というか、そんな難易度の高い魔法使えるって、レイナってすごいんだな!」


 ふと、ポロンくんがそう言い、笑顔をレイナさんに向けた。


『そうかな?』

「そうだよ! ちなみに、熟練度っていくつなんだ?」

『ぴったり3。本当に少ししか使えないよ? 「復元」と「描写」だけ』

「3!? 結構高いな! 私は熟練度はあるが、覚える機会もなにもなかったからな。よければ今度教えてくれ」

『もちろん』

「『復元』と『描写』って……どんな魔法なんですか?」

『復元は壊れた物を元の状態に直すもの。一つの物に対して、一回しか使えない。
 描写は記憶の中の映像を相手に見せるもの。
 やってみせてあげたいけど、体に負担が大きいから、ちょっと』

「あぁ! 大丈夫ですよ!」


 と、そこまで聞いて、僕はふと思ったのだ。
 テラーさんが魔法を使うその前……。ジュノンさんが、わざわざテラーさんに合図して、それからテラーさんは魔法を使った。

 そして聞いたことのない詠唱。ひどく複雑だった魔方陣。……もしかしてあれは、無属性魔法だった? ジュノンさんは、その熟練度に達していないから、テラーさんに頼んだ?
 確かに魔法だけをとればテラーさんの右に出る人はいないけど……。

 さすがに他人のステータスを丸覚えしているわけじゃない。憶測はそこまでに留まった。
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