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魔王だよ! 全員集合!
学校だ!
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その後僕らはお城を出て、あまり離れていないところで宿を見つけることができた。……ちなみに、もはや定番となってしまった台詞がこちら。
「えっと、お部屋は」
「一緒で頼む!」
「アリアさぁぁぁぁん!」
全く……突っ込むことすら、もう疲れてきた。次からは触れないようにしよう。そうしよう。
まぁとにかく、寝る場所が確保できた。今は、少し休んでからジュノンがいるという学校に言ってみようと話していたところだ。
「にしても、驚いたなぁ。レイナ様、耳聞こえないんだなぁ」
ポロンくんがそう言うと、アリアさんは少し笑って話す。
「生まれつきだそうだ。耳が聞こえないと、言葉の発音も分からないから、気にして、あまりしゃべらないんだな。その分、無詠唱で魔法が使えるすごい方だ!」
「ふーん、大変だなぁ……」
「でも、実際は普通にしゃべれるらしい。父上が言ってたんだが、前少し話したとき、普通の人と変わらないと言っていたからな」
「回復魔法とか……ダメなんですか?」
「回復魔法は、あくまで後天的な外傷を治癒するためのものなので……。先天性となると、回復はできませんね」
「そうなのかぁ」
……不意に、僕はさっき聞いた『声』のことを思い出した。僕らを呼び止めるかのように、悲痛に叫んでいたあの声――。聞き間違い……には、あまり思えないのだが……。
「…………みんな、声、聞かなかった?」
「声?」
「声って……どんな声ですか?」
「女性の……叫ぶみたいな……『待って』っていってたような気がするんだ」
「そんな声、おいら聞いてないよ? 叫んでたなら聞き逃すはずないと思うんだけど……」
「うん……だよね、ごめん。僕の聞き間違いだったんだと思う」
それで一旦その話は終わった。しかし、アリアさんだけはそのあとも、少し考え込んだようにうつむきながら、どこか一点を見つめていた。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
お昼を宿で食べて、僕らは学校へと向かった。大通り沿いの大きくて立派で、きれいな建物だったから、すぐに分かった。
白い外装の、どちらかというと大学というより高校って感じの学校だった。三階建ての建物が二つ。一階と二階の渡り廊下で二つの校舎が繋がってる感じだ。
「えっと……あ、事務はあそこだな。あっちで受付してもらって中に入ろうか」
「でも、ジュノンがこっちにいるか、向かいの建物にいるか、分かんないんだろ?」
大通りを挟んだ向かい側、そこには大きな大きな研究所があった。パッと見で、6、7階はありそうだ。しかも、学校の校舎二つを繋げたよりも大きな建物だ。相当広い。
「えー、でも、ほら……な?」
「いや、全然わかんないよアリア姉」
……そういえば前に、アリアさん、学校に行ってみたいとか言ってたなぁ。それで今、中に入るためのとってもいい口実があるわけだ。中にジュノンがいなくても、行ってみたいとか思うのは当然かもしれない。
「……せっかくだし、いなくてもちょっと、覗いていきますか?」
「いいのか!?」
「行きたいなら素直にそう言えばいいんですよ。神出鬼没なおさくさんと違って、いる場所はほぼわかってるんですから」
ポロンくんもフローラも、アリアさんが学校に行ったことがないこと、そしてそれに憧れていたことを知らない。効率だけ考えれば、いないなら行かない方がいいのだ。
「それに、ポロンくんも学校、行ったことないでしょ?」
「え、うん、まぁ……」
「学校って、色んなこと体験できるから、一回見てみたら何かいいことあるかもしれないよ!」
「とりあえず、ジュノンさんいるかもしれませんし、事務の方に聞いてみましょうか」
「そうだな」
そして、事務室の方へ向かって話を聞くと……
「ジュノンさん……あぁ、まだ授業中なのでいらっしゃいますよ」
「いるんかーい!」
さっきのやり取りはなんだったんだ……。無駄…………ではないか。
「ジュノンさんは化学教師なので、東棟の二階にいるかな思います。向こうに渡り廊下ありますんで、そこ通って東に」
「あぁ分かった。ありがとう」
そうして僕らは東棟へ向かうのだが……。
「化学……」
「どうしたウタ」
「いや……こんな非化学的なことが起こりまくる世界で、化学かぁって思いまして…………」
「化学は学校で一通り習いましたよ。酸素の生成とか、実験、楽しかったです!」
「そんなことまでしてるの!?」
「化学については私はあまり知らないが、この概念を持ってきたのも過去の転生者だな」
「そうなんですか……。持ち込まれたの、多いですね」
「それだけ転生者も多いってことだ」
そうして東棟に着くと、ちょうど、何か音楽が流れ、学生……って言わないんだった。エッグたちが教室から飛び出してくる。ぶつからないように気をつけながら教室の中を覗き込んでいくと、教卓の前で、一人の女性が教科書を整理しているのを見つけた。
前髪を分け、ピンで止め、眼鏡をかけた女性。黒髪黒目で、なぜか白衣じゃなく黒衣を着ている。
「あの人……くらいしかいませんよね、この辺」
「話聞いてみるか?」
「そうですね」
そんなことを話していると、女性がこちらに気がついて、歩み寄ってきて、にこりと微笑む。その瞬間、
――全身に、感じたことの無いような悪寒が走った。
「えっと、お部屋は」
「一緒で頼む!」
「アリアさぁぁぁぁん!」
全く……突っ込むことすら、もう疲れてきた。次からは触れないようにしよう。そうしよう。
まぁとにかく、寝る場所が確保できた。今は、少し休んでからジュノンがいるという学校に言ってみようと話していたところだ。
「にしても、驚いたなぁ。レイナ様、耳聞こえないんだなぁ」
ポロンくんがそう言うと、アリアさんは少し笑って話す。
「生まれつきだそうだ。耳が聞こえないと、言葉の発音も分からないから、気にして、あまりしゃべらないんだな。その分、無詠唱で魔法が使えるすごい方だ!」
「ふーん、大変だなぁ……」
「でも、実際は普通にしゃべれるらしい。父上が言ってたんだが、前少し話したとき、普通の人と変わらないと言っていたからな」
「回復魔法とか……ダメなんですか?」
「回復魔法は、あくまで後天的な外傷を治癒するためのものなので……。先天性となると、回復はできませんね」
「そうなのかぁ」
……不意に、僕はさっき聞いた『声』のことを思い出した。僕らを呼び止めるかのように、悲痛に叫んでいたあの声――。聞き間違い……には、あまり思えないのだが……。
「…………みんな、声、聞かなかった?」
「声?」
「声って……どんな声ですか?」
「女性の……叫ぶみたいな……『待って』っていってたような気がするんだ」
「そんな声、おいら聞いてないよ? 叫んでたなら聞き逃すはずないと思うんだけど……」
「うん……だよね、ごめん。僕の聞き間違いだったんだと思う」
それで一旦その話は終わった。しかし、アリアさんだけはそのあとも、少し考え込んだようにうつむきながら、どこか一点を見つめていた。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
お昼を宿で食べて、僕らは学校へと向かった。大通り沿いの大きくて立派で、きれいな建物だったから、すぐに分かった。
白い外装の、どちらかというと大学というより高校って感じの学校だった。三階建ての建物が二つ。一階と二階の渡り廊下で二つの校舎が繋がってる感じだ。
「えっと……あ、事務はあそこだな。あっちで受付してもらって中に入ろうか」
「でも、ジュノンがこっちにいるか、向かいの建物にいるか、分かんないんだろ?」
大通りを挟んだ向かい側、そこには大きな大きな研究所があった。パッと見で、6、7階はありそうだ。しかも、学校の校舎二つを繋げたよりも大きな建物だ。相当広い。
「えー、でも、ほら……な?」
「いや、全然わかんないよアリア姉」
……そういえば前に、アリアさん、学校に行ってみたいとか言ってたなぁ。それで今、中に入るためのとってもいい口実があるわけだ。中にジュノンがいなくても、行ってみたいとか思うのは当然かもしれない。
「……せっかくだし、いなくてもちょっと、覗いていきますか?」
「いいのか!?」
「行きたいなら素直にそう言えばいいんですよ。神出鬼没なおさくさんと違って、いる場所はほぼわかってるんですから」
ポロンくんもフローラも、アリアさんが学校に行ったことがないこと、そしてそれに憧れていたことを知らない。効率だけ考えれば、いないなら行かない方がいいのだ。
「それに、ポロンくんも学校、行ったことないでしょ?」
「え、うん、まぁ……」
「学校って、色んなこと体験できるから、一回見てみたら何かいいことあるかもしれないよ!」
「とりあえず、ジュノンさんいるかもしれませんし、事務の方に聞いてみましょうか」
「そうだな」
そして、事務室の方へ向かって話を聞くと……
「ジュノンさん……あぁ、まだ授業中なのでいらっしゃいますよ」
「いるんかーい!」
さっきのやり取りはなんだったんだ……。無駄…………ではないか。
「ジュノンさんは化学教師なので、東棟の二階にいるかな思います。向こうに渡り廊下ありますんで、そこ通って東に」
「あぁ分かった。ありがとう」
そうして僕らは東棟へ向かうのだが……。
「化学……」
「どうしたウタ」
「いや……こんな非化学的なことが起こりまくる世界で、化学かぁって思いまして…………」
「化学は学校で一通り習いましたよ。酸素の生成とか、実験、楽しかったです!」
「そんなことまでしてるの!?」
「化学については私はあまり知らないが、この概念を持ってきたのも過去の転生者だな」
「そうなんですか……。持ち込まれたの、多いですね」
「それだけ転生者も多いってことだ」
そうして東棟に着くと、ちょうど、何か音楽が流れ、学生……って言わないんだった。エッグたちが教室から飛び出してくる。ぶつからないように気をつけながら教室の中を覗き込んでいくと、教卓の前で、一人の女性が教科書を整理しているのを見つけた。
前髪を分け、ピンで止め、眼鏡をかけた女性。黒髪黒目で、なぜか白衣じゃなく黒衣を着ている。
「あの人……くらいしかいませんよね、この辺」
「話聞いてみるか?」
「そうですね」
そんなことを話していると、女性がこちらに気がついて、歩み寄ってきて、にこりと微笑む。その瞬間、
――全身に、感じたことの無いような悪寒が走った。
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