127 / 387
声にならない声を聞いて
虫の知らせ
しおりを挟む
……虫の知らせ、という言葉を知っているだろうか?
なんの根拠もないのに、良くないことが起こるような気がする……そんなものだったと、僕は記憶していた。
そして、文字通り『虫の知らせ』が来たとき、事態は、すでに最悪の状態だった。
「……あれ?」
明日ミネドールを出る準備をしていたとき、フローラが不意に声をあげ、窓を開いた。
「フローラ……? どうした?」
「今……あっ、ほら! あそこに」
フローラが指差した先、そこには、一頭の蝶がいた。鮮やかな蝶の羽はボロボロで、ふらふらと飛び、やがて、風にあおられ、力尽きたように地面に落ちた。
「……気になるか?」
「はい……」
「そっか。……ウタ!」
アリアさんがわざと明るく僕を呼んだ。
「なんですか?」
「ちょっと見てくる。すぐに戻るからな!」
そして部屋を出て外へ行った。ちょっと気になって窓から外を見ると、アリアさんは地面に落ちた蝶をそっと拾い上げた。
そしてそのまま、見えるところから消える。……アリアさんのことだ。きっと、サラさんあたりに、庭に埋めてもいいか聞いているんだろう。
アリアさんが部屋に戻ってきて、再び準備を始める。
それから何時間か経ったあと、部屋でくつろいでいたら、なにやら慌ただしい足音が上ってきた。
「……っ、アリアっ!」
「姉さん……? どうしたんだ?」
サラさんはあがった息を整え、一つ、大きな深呼吸をすると、アリアさんに訊ねる。
「はぁ……っ、お前、エドって騎士を知ってるか?」
「エド……?」
僕には聞き覚えのない名前だったが、アリアさんは知っているようで、不思議そうな顔をしながらうなずいた。
「あぁ、知ってるよ。父さんの幼馴染みで、よく護衛をしていてくれた人だ。見かけは怖いが、優しい人だよ。
……でも、どうしてエドのことを?」
「……アリアが、知っている……ってことは、本当、なのか…………」
「姉さん……?」
……サラさんはどこか絶望に満ちたような、そんな顔をしていた。なぜそんな顔をするのか、僕らには分からなかった。
「…………ウタ、アリア。こっちに来てくれ。ポロンとフローラはここにいた方がいい。分かったか?」
「わ、分かった。おいらたち、ここにいるよ」
ただならぬ気配を感じ取ったのか、ポロンくんはそう言うと黙りこみ、フローラは黙ったままうなずいた。
「よし……。こっちだ」
階段を一段一段降りていくサラさんの足取りは重かった。顔色は悪く、心なしか体も震えている。
「……姉さん、本当にどうしたんだ?」
アリアさんが訊ねるが、答える代わりにサラさんはこんなことを言った。
「……私からは、言えない。私だってまだ、受け止めきれていないんだ」
「…………」
そして連れていかれたのは、客間のようだった。
「……入ってみろ」
「…………」
サラさんに促され、恐る恐るといった感じでアリアさんは扉を開く。
なんの変哲もない部屋のベッドに、一人の男性が眠っていた。綺麗な銀髪、体は鍛えあげられ、屈強そうに見える。が、その頬はこけ、酷くやつれているようだった。
その人を見た瞬間、アリアさんは血相を変えベッドに駆け寄った。
「エド……?! どうしてここに」
その言葉に反応したのか、男性はピクリと体を震わせ、少しだけ目を開いた。
「…………アリア、さま……!」
そしてその声の主がアリアさんだと分かると、無理矢理体を起こそうとしたが、アリアさんがそれを制する。
「いい! ……そのままで」
「さっき、ラトが外で見つけてきたんだ。馬車から落ちて、気を失ってるのをな。
少し診た感じ、栄養失調だ。何日も食べないでいたみたいだからな。今、食事を作らせてる。馬車は心配するな。今ごろラトが馬に餌をやってるよ」
「どうしてそんな……」
それに答える前に、エドさんは僕を見て、警戒するように言う。
「……君は、誰だ?」
「……柳原羽汰、です」
「私と一緒に旅をしている。大丈夫、こいつは信頼できるやつだ」
「……そう、ですか。ヤナギハラ・ウタ……聞いたことがありますよ、エヴァン様から」
「……聞いておいた方がいいかと思って呼んだ。
…………すまない。私からは、なにも言ってない。言えなかった」
「そうですか……構いませんよ。俺から伝えますから」
「…………伝えるって、なにを?」
怯えたようにアリアさんが言う。僕はそっとその隣に歩みより、エドさんを見た。
「そう怯えることじゃありません……と、普段ならば言えるのですが」
「そうとうよくないこと……なんですか?」
僕が言うと、エドさんは静かに目を閉じ、そして、アリアさんを真っ直ぐに見て告げる。
「……今すぐ、国へ戻ってきてください、アリア様」
「…………」
「…………」
しばらくの静寂が、その場を包む。
「この十日間、飲まず食わずであなたを探していました。そしてようやく……ようやく、見つけたのです。どうか、戻ってきてください」
「…………理由を、聞いてもいいか?」
…………そのあとのエドさんの言葉は、覚えていない。ただ、それを聞いたアリアさんは僅かに笑みをこぼし、エドさんから離れた。
「……は、はは…………。嘘だろ? なぁ、吐くならもうちょっとましな嘘を――」
「嘘でも夢でもありません。……これが現実です。現実なんです」
「だって、そんな……そんなことあるわけない。そんなこと、あっちゃいけない」
「アリアさ」
「嘘だっ! そんなの、絶対嘘だ! 私は認めない! 絶対に認めない! だって……っ、だって…………!」
「アリア……!」
パニックになり、過呼吸になったアリアさんをサラさんが優しく抱き止め、ソファーに座らせ、ゆっくりと息をさせる。
「…………これが、現実じゃなかったらって……俺だって、思いましたよ」
エドさんが伝えた内容は、こんな感じだった。
――マルティネス・エヴァンが死んだと。
誰かに、殺されたと。
なんの根拠もないのに、良くないことが起こるような気がする……そんなものだったと、僕は記憶していた。
そして、文字通り『虫の知らせ』が来たとき、事態は、すでに最悪の状態だった。
「……あれ?」
明日ミネドールを出る準備をしていたとき、フローラが不意に声をあげ、窓を開いた。
「フローラ……? どうした?」
「今……あっ、ほら! あそこに」
フローラが指差した先、そこには、一頭の蝶がいた。鮮やかな蝶の羽はボロボロで、ふらふらと飛び、やがて、風にあおられ、力尽きたように地面に落ちた。
「……気になるか?」
「はい……」
「そっか。……ウタ!」
アリアさんがわざと明るく僕を呼んだ。
「なんですか?」
「ちょっと見てくる。すぐに戻るからな!」
そして部屋を出て外へ行った。ちょっと気になって窓から外を見ると、アリアさんは地面に落ちた蝶をそっと拾い上げた。
そしてそのまま、見えるところから消える。……アリアさんのことだ。きっと、サラさんあたりに、庭に埋めてもいいか聞いているんだろう。
アリアさんが部屋に戻ってきて、再び準備を始める。
それから何時間か経ったあと、部屋でくつろいでいたら、なにやら慌ただしい足音が上ってきた。
「……っ、アリアっ!」
「姉さん……? どうしたんだ?」
サラさんはあがった息を整え、一つ、大きな深呼吸をすると、アリアさんに訊ねる。
「はぁ……っ、お前、エドって騎士を知ってるか?」
「エド……?」
僕には聞き覚えのない名前だったが、アリアさんは知っているようで、不思議そうな顔をしながらうなずいた。
「あぁ、知ってるよ。父さんの幼馴染みで、よく護衛をしていてくれた人だ。見かけは怖いが、優しい人だよ。
……でも、どうしてエドのことを?」
「……アリアが、知っている……ってことは、本当、なのか…………」
「姉さん……?」
……サラさんはどこか絶望に満ちたような、そんな顔をしていた。なぜそんな顔をするのか、僕らには分からなかった。
「…………ウタ、アリア。こっちに来てくれ。ポロンとフローラはここにいた方がいい。分かったか?」
「わ、分かった。おいらたち、ここにいるよ」
ただならぬ気配を感じ取ったのか、ポロンくんはそう言うと黙りこみ、フローラは黙ったままうなずいた。
「よし……。こっちだ」
階段を一段一段降りていくサラさんの足取りは重かった。顔色は悪く、心なしか体も震えている。
「……姉さん、本当にどうしたんだ?」
アリアさんが訊ねるが、答える代わりにサラさんはこんなことを言った。
「……私からは、言えない。私だってまだ、受け止めきれていないんだ」
「…………」
そして連れていかれたのは、客間のようだった。
「……入ってみろ」
「…………」
サラさんに促され、恐る恐るといった感じでアリアさんは扉を開く。
なんの変哲もない部屋のベッドに、一人の男性が眠っていた。綺麗な銀髪、体は鍛えあげられ、屈強そうに見える。が、その頬はこけ、酷くやつれているようだった。
その人を見た瞬間、アリアさんは血相を変えベッドに駆け寄った。
「エド……?! どうしてここに」
その言葉に反応したのか、男性はピクリと体を震わせ、少しだけ目を開いた。
「…………アリア、さま……!」
そしてその声の主がアリアさんだと分かると、無理矢理体を起こそうとしたが、アリアさんがそれを制する。
「いい! ……そのままで」
「さっき、ラトが外で見つけてきたんだ。馬車から落ちて、気を失ってるのをな。
少し診た感じ、栄養失調だ。何日も食べないでいたみたいだからな。今、食事を作らせてる。馬車は心配するな。今ごろラトが馬に餌をやってるよ」
「どうしてそんな……」
それに答える前に、エドさんは僕を見て、警戒するように言う。
「……君は、誰だ?」
「……柳原羽汰、です」
「私と一緒に旅をしている。大丈夫、こいつは信頼できるやつだ」
「……そう、ですか。ヤナギハラ・ウタ……聞いたことがありますよ、エヴァン様から」
「……聞いておいた方がいいかと思って呼んだ。
…………すまない。私からは、なにも言ってない。言えなかった」
「そうですか……構いませんよ。俺から伝えますから」
「…………伝えるって、なにを?」
怯えたようにアリアさんが言う。僕はそっとその隣に歩みより、エドさんを見た。
「そう怯えることじゃありません……と、普段ならば言えるのですが」
「そうとうよくないこと……なんですか?」
僕が言うと、エドさんは静かに目を閉じ、そして、アリアさんを真っ直ぐに見て告げる。
「……今すぐ、国へ戻ってきてください、アリア様」
「…………」
「…………」
しばらくの静寂が、その場を包む。
「この十日間、飲まず食わずであなたを探していました。そしてようやく……ようやく、見つけたのです。どうか、戻ってきてください」
「…………理由を、聞いてもいいか?」
…………そのあとのエドさんの言葉は、覚えていない。ただ、それを聞いたアリアさんは僅かに笑みをこぼし、エドさんから離れた。
「……は、はは…………。嘘だろ? なぁ、吐くならもうちょっとましな嘘を――」
「嘘でも夢でもありません。……これが現実です。現実なんです」
「だって、そんな……そんなことあるわけない。そんなこと、あっちゃいけない」
「アリアさ」
「嘘だっ! そんなの、絶対嘘だ! 私は認めない! 絶対に認めない! だって……っ、だって…………!」
「アリア……!」
パニックになり、過呼吸になったアリアさんをサラさんが優しく抱き止め、ソファーに座らせ、ゆっくりと息をさせる。
「…………これが、現実じゃなかったらって……俺だって、思いましたよ」
エドさんが伝えた内容は、こんな感じだった。
――マルティネス・エヴァンが死んだと。
誰かに、殺されたと。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
収納持ちのコレクターは、仲間と幸せに暮らしたい。~スキルがなくて追放された自称「か弱い女の子」の元辺境伯令嬢。実は無自覚チートで世界最強⁉~
SHEILA
ファンタジー
生まれた時から、両親に嫌われていた。
物心ついた時には、毎日両親から暴力を受けていた。
4年後に生まれた妹は、生まれた時から、両親に可愛がられた。
そして、物心ついた妹からも、虐めや暴力を受けるようになった。
現代日本では考えられないような環境で育った私は、ある日妹に殺され、<選択の間>に呼ばれた。
異世界の創造神に、地球の輪廻の輪に戻るか異世界に転生するかを選べると言われ、迷わず転生することを選んだ。
けれど、転生先でも両親に愛されることはなくて……
お読みいただきありがとうございます。
のんびり不定期更新です。
魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる