124 / 387
ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!
逃げろ
しおりを挟む
「で、お前らは次はどこに行くんだ?」
パン屋さんを出て歩いていると、おもむろにサラさんが言った。
「ミネドールは狭い。次の国に行くなら、クラーミルか?」
「そうだなぁ……。うーん、クラーミルに行って、そこから北に行ってみるか。なんの情報もないし」
「クラーミルって、確か、工業で有名なんですよね」
フローラが言う。農業の次は工業か……。どんなところなんだろう。
「でも、お前、クラーミル行くの初めてじゃないか?」
「え、そうなんですか?」
アリアさんはマルティネス帝国の姫だ。行ったことあっても不思議じゃないし、むしろ行ったことがないというほうが意外だった。
「そもそも、マルティネスとクラーミルはそんなに仲は良くないんだ。今、特出してこうと言う訳でもないが……お国柄もあるな。
向こうはプライドが高いから、取っつきにくいイメージが強いんだ」
「そうなんですか……」
どこの世界にも、こういう問題があるもんだなぁ。人間同士のいざこざは無くならないのか。
「もう何十年も前だが、戦争をしていた歴史もあるしな。まぁ、お互い腫れ物に触れるような感じなんだろう」
「まぁ、そんなところとの会談に、未成年の私がついていけるはずもなくてな」
サラさんとアリアさんがそう苦く笑う。が、ふと、ポロンくんが言った。
「……実はさー、おいら、前にハンレルの方にいたことがあるんだけどさ」
「ハンレル……って、国だよね。どこにあるの?」
「山を挟んで、マルティネス帝国の北側にある。クラーミルとも隣接しているな」
「そうそう。でさ、クラーミルの王子がアリア姉に気があるって噂、聞いたことあるんだよ」
「……クラーミルの王子が? 私に? そんなわけないだろ」
アリアさんは笑い飛ばすけど……この容姿だ。可能性が無いとは言えない。
「ま、それだったらそれで大変だな。あそこの王子、かなりの強者だからな」
「サラさんは、会ったことあるんですか?」
「もちろん! 大体の国とお友だちなのがミネドールの強みでもあるからな。……正直、ラトよりも粘っこいぞ、あいつ」
「えっ、ちょ! 俺と比べないでくださいよぉ!」
「お前も相当粘っこいから安心しろ」
「どこに安心したらいいんですか!?」
……そんな風に、次の街への想いを膨らませる僕らには、予想もできなかった。
「あっちに行ったらそうゆっくりも出来ないだろう? ここでもう何日か過ごしていけばいい。急ぐ旅じゃないんだろ?」
「そうだな……。そうさせてもらうよ」
まさにこのとき、事態は、文字通り真反対の方向に進んでいたのだった。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
(……なにかが、おかしい)
彼がそう感じ始めたのは、一週間ほど前から。違和感は、ほんの小さなものだった。
例えば、馬車が遅れてきたり。例えば、部屋の写真が倒れたり。例えば、めまいが酷かったり。
こんなことは今までなかった。それに、こともあろうか森の力も弱まっているような気がする。
山と、森と、海と、空。
この世界を形成すると言われている一つが弱まると言うのは、少なくとも、いいことではない。
「……エヴァン様、今日は、このくらいにしましょう」
彼の旧知の仲である騎士、エド。彼は国王であるエヴァンのことを、唯一『エヴァン様』と呼ぶ。年も近く、国王になる前からの間柄だから、それで落ち着いたようだ。
「そうだな……。しかし、一体何が起こっているんだ」
「……俺には分かりかねます。そもそも、なにも感じられません」
「俺だって昔はそうだった。ただ、王になってから、急に分かるようになったんだ。……なにかが、おかしい」
「…………」
しかしその日はもう日が落ちかけていた。暗くなる前に切り上げ、次の日にまた、ということだ。
屋敷へと帰るため、街中を歩いていたエヴァンは、遊んでいた子供たちに「早く家に帰るんだよ」と声をかけた。
「……もし不安であれば、しばらくの間、屋敷の護衛をしますが?」
「いや大丈夫だ。……家族もいるだろう?」
「しかし」
「いいんだ。……家族って言うのは、素晴らしいものだぞ」
懐かしむようなエヴァンに、エドは遠慮がちに声をかける。
「……アリア様は、どうされてるんでしょうね」
「笑ってくれてればいいさ」
そして、エドを見ると優しく微笑んだ。
「早く帰れ。今日の最後の命令だ」
「……もし何かあれば、すぐに」
「分かっている」
二人は別れ、エヴァンは屋敷に入っていった。
瞬間、なにかおぞましい気配が背後から迫ってくるのに気がついた。
咄嗟に腰の剣を抜き迎え撃つ。相手の第一打から免れると、エヴァンは相手から一気に距離をとる。
(……この殺気。それに、この剣術。エドにも劣らない技術だ)
確実に自分の命を狙うそれと対峙する。それでも一国の王だ。冷静に、言葉を投げる。
「……お前は、なんだ?」
いいながら、王室の加護を発動させ、『相手からのダメージを二分の一にする』ことに成功した。これで少しは乗りきれるはずだ。
「私は……取り戻しに来ただけですよ」
「取り戻しに…………?」
エヴァンに、その答えを聞く時間はなかった。なぜなら、気がついたときには、目の前に相手の顔があり、剣が体を貫いていた。
「……っ?!」
あまりの速さに声もあげられず、膝をつく。手のひらをエヴァンに向けながら彼は笑った。
「あぁ……さすがは血の繋がった親子だ。あなたもなかなかに美しい」
「なにを…………っ、」
「そうやって痛みに苦しんで、もがいて、金を赤に染めながら倒れ伏す。その様子は、いかなる芸術品にも劣らない『美』だ」
こいつはなにを言っているんだ。それにあの剣術……ただ者ではない。一体何者だ? 誰だ? 何が目的だ?
訳の分からない言葉が駆け巡り、訳の分からない行動に惑わされるなか、エヴァンの心は、この敵が言った一言に奪われていた。
「……血、の……繋がった……おや、こ…………」
「そうですよ。……あなたが死ねば、私のもとに戻ってきてくれるかと。襲うだけじゃあ確実じゃないんでね」
もう彼の思考回路の中には、今置かれている状況への不安や混乱、殺されることへの恐怖、怒り……。そんなものは全てなくなっていた。
あるのは、たった一つ。
「……や……めろ」
「やめろって、何をですか? なにも、悪いことはしていませんよ。私はただ……」
彼の右手から、黒い光が溢れ出す。
「――私のモノを取り返しに来ただけですよ」
無数の黒い槍。それが一気にエヴァンを襲う。ろくに抵抗も出来ないエヴァンの体を、槍は何度も突き抜けた。
赤い血は止めどなく流れだし、その度に狂人は狂喜の声をあげた。
……やがて彼がいなくなったそこで、床に付したままのエヴァンは、虚ろな瞳でポツリと呟いた。
「…………逃げ、ろ……。アリア……」
その後、屋敷の中は異常な静寂に包まれた。
――チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない
第四章 ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ! 完結
パン屋さんを出て歩いていると、おもむろにサラさんが言った。
「ミネドールは狭い。次の国に行くなら、クラーミルか?」
「そうだなぁ……。うーん、クラーミルに行って、そこから北に行ってみるか。なんの情報もないし」
「クラーミルって、確か、工業で有名なんですよね」
フローラが言う。農業の次は工業か……。どんなところなんだろう。
「でも、お前、クラーミル行くの初めてじゃないか?」
「え、そうなんですか?」
アリアさんはマルティネス帝国の姫だ。行ったことあっても不思議じゃないし、むしろ行ったことがないというほうが意外だった。
「そもそも、マルティネスとクラーミルはそんなに仲は良くないんだ。今、特出してこうと言う訳でもないが……お国柄もあるな。
向こうはプライドが高いから、取っつきにくいイメージが強いんだ」
「そうなんですか……」
どこの世界にも、こういう問題があるもんだなぁ。人間同士のいざこざは無くならないのか。
「もう何十年も前だが、戦争をしていた歴史もあるしな。まぁ、お互い腫れ物に触れるような感じなんだろう」
「まぁ、そんなところとの会談に、未成年の私がついていけるはずもなくてな」
サラさんとアリアさんがそう苦く笑う。が、ふと、ポロンくんが言った。
「……実はさー、おいら、前にハンレルの方にいたことがあるんだけどさ」
「ハンレル……って、国だよね。どこにあるの?」
「山を挟んで、マルティネス帝国の北側にある。クラーミルとも隣接しているな」
「そうそう。でさ、クラーミルの王子がアリア姉に気があるって噂、聞いたことあるんだよ」
「……クラーミルの王子が? 私に? そんなわけないだろ」
アリアさんは笑い飛ばすけど……この容姿だ。可能性が無いとは言えない。
「ま、それだったらそれで大変だな。あそこの王子、かなりの強者だからな」
「サラさんは、会ったことあるんですか?」
「もちろん! 大体の国とお友だちなのがミネドールの強みでもあるからな。……正直、ラトよりも粘っこいぞ、あいつ」
「えっ、ちょ! 俺と比べないでくださいよぉ!」
「お前も相当粘っこいから安心しろ」
「どこに安心したらいいんですか!?」
……そんな風に、次の街への想いを膨らませる僕らには、予想もできなかった。
「あっちに行ったらそうゆっくりも出来ないだろう? ここでもう何日か過ごしていけばいい。急ぐ旅じゃないんだろ?」
「そうだな……。そうさせてもらうよ」
まさにこのとき、事態は、文字通り真反対の方向に進んでいたのだった。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
(……なにかが、おかしい)
彼がそう感じ始めたのは、一週間ほど前から。違和感は、ほんの小さなものだった。
例えば、馬車が遅れてきたり。例えば、部屋の写真が倒れたり。例えば、めまいが酷かったり。
こんなことは今までなかった。それに、こともあろうか森の力も弱まっているような気がする。
山と、森と、海と、空。
この世界を形成すると言われている一つが弱まると言うのは、少なくとも、いいことではない。
「……エヴァン様、今日は、このくらいにしましょう」
彼の旧知の仲である騎士、エド。彼は国王であるエヴァンのことを、唯一『エヴァン様』と呼ぶ。年も近く、国王になる前からの間柄だから、それで落ち着いたようだ。
「そうだな……。しかし、一体何が起こっているんだ」
「……俺には分かりかねます。そもそも、なにも感じられません」
「俺だって昔はそうだった。ただ、王になってから、急に分かるようになったんだ。……なにかが、おかしい」
「…………」
しかしその日はもう日が落ちかけていた。暗くなる前に切り上げ、次の日にまた、ということだ。
屋敷へと帰るため、街中を歩いていたエヴァンは、遊んでいた子供たちに「早く家に帰るんだよ」と声をかけた。
「……もし不安であれば、しばらくの間、屋敷の護衛をしますが?」
「いや大丈夫だ。……家族もいるだろう?」
「しかし」
「いいんだ。……家族って言うのは、素晴らしいものだぞ」
懐かしむようなエヴァンに、エドは遠慮がちに声をかける。
「……アリア様は、どうされてるんでしょうね」
「笑ってくれてればいいさ」
そして、エドを見ると優しく微笑んだ。
「早く帰れ。今日の最後の命令だ」
「……もし何かあれば、すぐに」
「分かっている」
二人は別れ、エヴァンは屋敷に入っていった。
瞬間、なにかおぞましい気配が背後から迫ってくるのに気がついた。
咄嗟に腰の剣を抜き迎え撃つ。相手の第一打から免れると、エヴァンは相手から一気に距離をとる。
(……この殺気。それに、この剣術。エドにも劣らない技術だ)
確実に自分の命を狙うそれと対峙する。それでも一国の王だ。冷静に、言葉を投げる。
「……お前は、なんだ?」
いいながら、王室の加護を発動させ、『相手からのダメージを二分の一にする』ことに成功した。これで少しは乗りきれるはずだ。
「私は……取り戻しに来ただけですよ」
「取り戻しに…………?」
エヴァンに、その答えを聞く時間はなかった。なぜなら、気がついたときには、目の前に相手の顔があり、剣が体を貫いていた。
「……っ?!」
あまりの速さに声もあげられず、膝をつく。手のひらをエヴァンに向けながら彼は笑った。
「あぁ……さすがは血の繋がった親子だ。あなたもなかなかに美しい」
「なにを…………っ、」
「そうやって痛みに苦しんで、もがいて、金を赤に染めながら倒れ伏す。その様子は、いかなる芸術品にも劣らない『美』だ」
こいつはなにを言っているんだ。それにあの剣術……ただ者ではない。一体何者だ? 誰だ? 何が目的だ?
訳の分からない言葉が駆け巡り、訳の分からない行動に惑わされるなか、エヴァンの心は、この敵が言った一言に奪われていた。
「……血、の……繋がった……おや、こ…………」
「そうですよ。……あなたが死ねば、私のもとに戻ってきてくれるかと。襲うだけじゃあ確実じゃないんでね」
もう彼の思考回路の中には、今置かれている状況への不安や混乱、殺されることへの恐怖、怒り……。そんなものは全てなくなっていた。
あるのは、たった一つ。
「……や……めろ」
「やめろって、何をですか? なにも、悪いことはしていませんよ。私はただ……」
彼の右手から、黒い光が溢れ出す。
「――私のモノを取り返しに来ただけですよ」
無数の黒い槍。それが一気にエヴァンを襲う。ろくに抵抗も出来ないエヴァンの体を、槍は何度も突き抜けた。
赤い血は止めどなく流れだし、その度に狂人は狂喜の声をあげた。
……やがて彼がいなくなったそこで、床に付したままのエヴァンは、虚ろな瞳でポツリと呟いた。
「…………逃げ、ろ……。アリア……」
その後、屋敷の中は異常な静寂に包まれた。
――チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない
第四章 ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ! 完結
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
【完結】結婚前から愛人を囲う男の種などいりません!
つくも茄子
ファンタジー
伯爵令嬢のフアナは、結婚式の一ヶ月前に婚約者の恋人から「私達愛し合っているから婚約を破棄しろ」と怒鳴り込まれた。この赤毛の女性は誰?え?婚約者のジョアンの恋人?初耳です。ジョアンとは従兄妹同士の幼馴染。ジョアンの父親である侯爵はフアナの伯父でもあった。怒り心頭の伯父。されどフアナは夫に愛人がいても一向に構わない。というよりも、結婚一ヶ月前に破棄など常識に考えて無理である。無事に結婚は済ませたものの、夫は新妻を蔑ろにする。何か勘違いしているようですが、伯爵家の世継ぎは私から生まれた子供がなるんですよ?父親?別に書類上の夫である必要はありません。そんな、フアナに最高の「種」がやってきた。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる