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ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!

ドラゴン召喚!

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 四方八方を敵に埋め尽くされ、いくらお強いとはいえ、任せっきりには出来ない。……そういえばここ、結界の外だった! よし、ドラくんを呼んで応戦しよう!


「ドラゴ――」

「ドラゴン召喚っ!」

「……えっ?!」


 僕が言おうとしたことを、隣でドロウさんがいう。何事かとビックリしていると、空に大きな影が生まれる。


「おう、主。どうし……って、こいつら、相手にすればいいのか?」


 現れたのは大きな大きな赤いドラゴン。金色の瞳は美しく揺れ、ゆっくりとこちらを見据える。


「うん、サン、お願いね」

「任せろ! ……ところで、あいつら生きていないが、普通に燃やしていいのか?」

「そうねー、そうしてくれるとありがたいかな。さすがに何回も人殺すのはちょっとね」

「了解した」

「……えっと……ドラ、ゴン…………?」


 僕やアリアさんはともかく、他の二人はドラくん以外のドラゴンを見たのは初めてだろう。呆気にとられたように空をみて、なにも言えずに立ちすくんでいる。
 しかし、見たことがあるからといって、僕とアリアさんも、そんなに冷静にいられるわけじゃない。……だって、ドラゴンだよ?

 そんな僕らを気にもせず、真っ赤なドラゴンは翼を大きく羽ばたかせ空に舞い上がると、


「調整は出来ない。主! そいつら守ってくれよな!」


 そういって口から炎を吐き出した。と同時に、


「シエルト」


 ドロウさんがバリアを張る。おかげさまで僕らにはなんのダメージもない、が、黒い人たちの大半は悲鳴をあげ、焼け死んでしまった。
 しかし、まだ残っている。サン……? と呼ばれた真っ赤なドラゴンは一度地面に降り、ドロウさんをみた。


「あいつら、炎への耐性持ってるぜ。俺じゃあ無理だ。他を頼ってくれるか?」

「えええっ?! ど、ドラゴンなのに倒せないって……」


 思わず声をあげると、サン……は、こちらをじっとみて、そして、どこか笑ったような気がした。


「なんだお前。主に助けでも求めに来たのか?
 心配しなくても、こんくらいの敵、ドラゴンなら倒せるっての。な、主!」

「そうだねー、さすがにドラゴンには負けるでしょ、こいつら」

「で、でも、たった今倒せないって言ってたよな!?」


 ポロンくんも声をあげる。それに反論するように、ドロウさんは腕を組んだ。


「俺には倒せないさ。でも――ドラゴンには倒せない、なんて、一言も言ってねーよ?」

「ドラゴン召喚!」


 ドロウさんが再び、そう詠唱する。と同時に、僕らに迫ってきていた黒い人々に白い雷が落ちる。


「主、こーんな感じでいいの?」


 いいながら降りてきたのは白いドラゴン。体を埋め尽くす鱗はしなやかで美しく光輝き、瞳は金色。
 声色と口調から、女性であるということがわかる。


「ありがとうビャク。……でも、あそこは耐性持ち?」

「そうそう。炎とか雷とか、ほとんどの魔法に耐性持ってるよ。……でも、あいつなら行けると思う」

「はいはい……ドラゴン召喚っ!」

「三回目っ?!」


 現れた青いドラゴンは僕らには目もくれず、残っていた人たちの方へと飛んでいき、息をはく。
 すると、そこにいた人々が一気に凍結し、そのまま尾で強く殴ると砕け散ってしまった。


「……で、なんで三体も呼び出しているんだドロウ」


 青いドラゴンはこちらに戻ってくると、どこか不満げにドロウさんをみた。やはりその瞳は金色に輝き、静かにその先を見据えていた。


「お前なら一人でもこいつらを倒せただろう?」

「……えっとですね、正直にいうと、会いたくなったので」


 すると、ドロウさんは一番近くにいたサンの首にぎゅっと抱きつく。


「はぁーーー、やっぱりドラゴンっていい。かっこいいし、強いし、本当癒し」

「あはは! そうかなぁ?」

「癒し……?」

「ちょ、サンばっかりずるいって! 主! 私も!」

「……ふん、俺には関係ないな」

「なにさ、ナイルは一番の焼きもち焼きのくせに」

「違う!」


 そこで、あ、そういえば、と、ドロウさんが僕の方をみた。


「ドラゴン召喚、持ってるよね?」

「え? あ、はい」

「ねぇどんなドラゴン!?」

「ど、どんなって……どんなですか?」


 急に詰め寄られ、助けを求めるようにアリアさんをみた。ドラゴン召喚三連発に呆然としていたアリアさんだったが、ハッとしたように少し考えていう。


「そ、そうだな……黒い?」

「黒……?」


 その言葉に反応したのはドラゴンたちだった。


「黒って……もしかして、そいつの瞳金色じゃなかったか?」

「え、あ、はい」


 すると、三体のドラゴンたちが僕に詰め寄る。す……すごい圧……。迫力が半端ないってぇ……。


「「「今すぐ呼び出して!」」」

「は、はいぃぃぃぃぃっ! ど、ドラゴン召喚っ!」


 そうして、見慣れたドラゴンが現れる。黒い巨体の中に光る金色の瞳で僕をとらえると、声をかける。


「どうしたウタ殿。なにかあったか?」

「……後ろを、見てー?」

「後ろ……?」


 ドラくんが振り向くと、そこにはドロウさんが呼び出した三体のドラゴンがいた。


「……え、あ、え? お、お主ら……どうしてここにいる――」

「それはこっちの台詞だ……」

「今までどこ行ってたんだ!」

「急に西から消えたと思ったらまんまと操られて帰ってきて……」

「「「ダークっ!」」」

「いや、その、一旦落ち着いて話を聞いてくれないか?」


 ……こんなにたじたじになるドラくん、始めてみたなぁ。


「……ウタ殿、面白がってないか?!」

「そんなことないよねー、ポロンくん!」

「そんなことないよ! 多分!」

「そんなことないですよ! きっと!」

「そんなことないさ! もしかして!」

「不確かすぎるぞ!?」
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