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怪しい宗教はお断りします

塊はすごかった

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 勇者――ラノベで主人公がなる職業第一位だ。一人で召喚されることもあれば、転生して勇者として生まれ変わる場合もある。そして、パーティーで召喚される場合も多いだろう。


「というか、うちら日本生まれだし」

「そうなんですかぁ!?」

「うん、高校生だった。私はまだ17だったかなぁ、誕生日過ぎてなかったし」


 じ、情報が次から次へと……。ど、どういうことだ?


「というか、彰人さんは、自分が転生してから、日本人の転生者は僕だけだって……」

「だってほら、私たちは召喚された身だし。こう、いきなり魔王城に近い場所に、ぽんと」

「……ウタ、私たちはものすごいことを聞いている。間違いないな?」

「はい、間違いないです」

「ポロン」

「間違いないよ」

「それにしても、どうして派手なことするなって言われるんだ?」

「勇者って世界救えるじゃん? 裏を返せば世界滅ぼせるからだよ」

「あ、うん。あぁ」


 動揺しまくる僕らの反応を楽しんでいるのか、テラーさんはニヤニヤしながら訊ねる。


「……聞きたい? 個性の塊'sの英雄譚かっこはてな」

「かっこはてななんですか。でもまぁ、聞きたいです」


 するとテラーさんは、ニヤニヤクスクス笑いながら話してくれた。


「えっとね、こう、教室に五人でいたんだけどね、女神様に呼び出されて『とある世界で魔王が復活しかけています。その前に倒してください』って言われてさ」

「まて。復活する前に倒したのか?」

「いやー、びっくりしたよ! 魔王って復活する前からレベル500もあるんだね!」

「それをさらっと話すテラーにおいらたちはびっくりだよ!」


 レベル500……生まれたときからレベル500ってことと同じだよね? え、すごくない?!


「で、倒しにいったのは……ジュノン以外がレベル70で、ジュノンが75のときだったかな」

「待ってレベル差!」

「まぁ、ゆうてレベル20あれば倒せたんだけど、めんどくさくて後回しにしてさ」

「めんどくさくて!?」

「だってほら、知らない人に従うのって嫌じゃない? 何様のつもりだーって」


 めんどくさくて、倒しに行かない……。そして、何様のつもりだって、神様のつもりでしょうよ向こうは……。


「お金ももらってたし、なんかステータスめっちゃ強かったし、適当に異世界満喫していたら……その……」

「……その?」


 突然テラーさんの歯切れが悪くなる。過去に、なにかあったのだろうか?


「えっと、さ……? 詳細は省くけど、アイリーンが街中でジャッジメントうって」

「あっ」

「しかも相手がバカでさ、チョコレート足で踏み潰したりしちゃうから」

「あー」

「威力マックスのジャッジメントと同じく威力マックスのチョコレートの恨みの連続技って言うヤバイやつをやってしまって。
 いや、あの、確かに向こうが悪かったんだよ。悪かったんだけど……」

「……そこまでくると、もはやただの被害者だな」


 うーん……アイリーンさんの全力攻撃かぁ……。うん、無理だね。


「で、その一件で、その時いた街から森の中の魔物の討伐を頼まれて、騒ぎ起こしちゃったししょうがないかぁって思ったんだけど、行った先に魔王城があって、んで、倒したの」

「魔王の扱いが雑!」


 普通はさ?

 転生する→チートならその能力で魔王の刺客を倒す→レベリング→一回負ける→再チャレンジで勝利

 くらいないの? ねぇ、あるよね? 行った先で倒しちゃうとかなんなの? 『あー、なんかあるねー』『魔王城じゃね?』『うおマジか。どーする?』『一狩りいく?』『いえあー!』みたいなノリなの!? ウィンドウショッピングしてる女子高生なの!? いや女子高生だったけども。


「でも、意外と弱かったよ?」

「そんなわけねーだろ!? 魔王だぞ!? 魔王って、強いから魔王なんだぞ!?」


 ごもっともである。


「……だってジュノンの方が魔王っぽいし。あ、でも、四天王もいたよ、一応」

「一応」

「瞬殺だったけど」

「瞬殺……」

「ウタ、ダメだ。考えるな、感じろ」

「無理がありますよアリアさん」

「で、でもほら、魔王は瞬殺じゃなかったんだよな? な!?」

「そうだねー。四天王よりは苦戦したよそりゃあ」

(よ、よかった。本当によかった)

「3分もかかっちゃった」

「3分!?」


 カップラーメンのびないで食べられるじゃん! 美味しい感じで食べられるじゃん!


「そうそう3分。カップヌードルにお湯入れてさぁ」

「マジでカップ麺!?」

「まぁ、なによりも私たちにとって幸運だったことは……なんだと思う?」


 急に話をふらないでください。とはいえ、何が幸運だったんだろう? んー……。


「やっぱり、ステータスか? スキルとか、HPMPの値とか、テラーのやつだって、常人じゃとても越えられない」


 テラーさんは首を振る。


「確かにステータス高くて助かったけど、低くてもどうせ私たちは自由に過ごしただろうから特に問題ないしね」

(女神様からしたら問題おおありだよなぁ)

「じゃあ、もとの世界の友達と一緒だったことか?」


 テラーさんはまた首をふる。


「ま、嬉しかったけどね! おかげで周りに気を使わないで暴れられたし!」

「……それは、あの…………」


 どうなんだそれは。色々被害が出ているような……。


「ウタくんはどう思う?」

「……モウ、イロイロワカンナイデス」

「そっかぁ。あのね、私たちにとって一番幸運だったのはね……」


 そして、とっても、とっっってもいい笑顔で言うのだ。


「魔王や四天王たちが、私たちがとっても嫌いな先生方に酷似していたことなんだよねぇ!
 今思い出しても清々しいほどの殺られっぷりだったよ!」


 ……あ、うん。あー…………。
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