62 / 387
怪しい宗教はお断りします
お願いがあるのだ
しおりを挟む
さーて、テラーさんのステータス、どれから鑑定していこうかなぁ。短期間ゴリラ、三時のおやつ、プランツファクトリー、ポイズネーション、生活魔法、飛行ってあるわけだけど、おさらいがてら『三時のおやつ』と『プランツファクトリー』を鑑定する。
三時のおやつ……一時的にパーティー全員のステータスを10倍にする。発動時間は30分間。パーティーで行動していない場合、対象(1~5まで)を選択可。
プランツファクトリー……対象(無限に選択可)に草木が絡み付き、完全に動きを封じる。発動時間は解除しない限り無限。焼却するには熟練度9以上の炎魔法。
うん、もうすごいよね。でも、これはまぁ知ってたからさ。ましっていうかさ? ……いや十分おかしなことになってるんだけど。よーし、次は『短期間ゴリラ』だ!
短期間ゴリラ……パーティー全員を高速、自身を神速にさせた後、対象(1~3まで)に大ダメージ。高速、神速の発動時間は30分。連続しての使用可。また、高速、神速状態の時、HP、MPが常に大回復する。
神速ってなんですか。あのめちゃ速い動きをしてたのはこれの影響なのか……。
ていうか、神速のときはHPとMP、常に大回復とか……。そりゃあ減らないよなぁ、MP。
うーん、強すぎる……。ところで。だが
「ポイズネーションって」
「ネーミングについての質問は拒否するよ?」
「いや、あの……ポイズネーション、ですよね?」
「そうだね」
「ポイズネーション? ポイズンか?」
アリアさんが首をかしげると、同じようにポロンくんが疑問を口にする。
「ポイズンって、闇魔法のあれか? でも、ポイズネーションなんて聞いたことないけどなぁ」
「……うん、まぁ、でしょうね」
気になったので、とにかくポイズネーションを鑑定してみる。
ポイズネーション……対象(無限に選択可)を猛毒状態にする。発動時間は解除しない限り無限。解除には熟練度9以上の回復魔法。
……純粋に思ったことを言わせてもらおう。
「これ使われた人、めっちゃ苦しくないですか!?」
「えーそう?」
「だって、ほぼほぼ解除できない毒ってめっちゃ苦しくないですか!?」
「……ジュノンの侵略すとアイリーンのジャッジメントよりはましかと」
う、うーん。確かにそうかもしれない(?) 侵略すの方は知らないけど。
とにかく! 残りの二つも鑑定だ!
飛行……空中を自由に移動できる。発動時間は10分。
生活魔法……稀に手に入れられる属性魔法。ユニークスキルに分類される。平凡な生活で行うことであれば、この魔法で代用可。
はーい、ありがとうございましたぁ! と、そこまでの情報をポロンくんとアリアさんとで共有する。
「……個性の塊'sはみんなこんななのか」
「あのね、私なんかまだ人間だよ? アイリーンとジュノンはマジでヤバイから。特にジュノンね。会っても絶対怒らせないでね。
アイリーンはチョコレートあげたらどうにでもなるけど、ジュノンは死ぬまで終わらないから」
「なにその人! 怖い! めっちゃ怖い!」
「ま、それはともかくとして……あ、ウタくん、ドラくん帰してあげて?」
「あ、はい。……ありがとうね、ドラくん」
すると、ドラくんは少し照れくさそうに笑った。
「お主は我の主君だろう。当然のことをしたまでだ。テラー殿、感謝する」
「いえいえ。ドラゴンお粗末にしたらどこかの誰かに殺されそうだし?」
ドラくんはそんなテラーさんに改めて一礼し、空に高く舞い上がると、王都の方へ向かって飛んでいった。……なんか、ドラくんも人間味出てきたなぁ。
テラーさんは馬車の中を覗き込み、震えるばかりのコルトンさんに声をかける。
「終わりましたよー。もう大丈夫ですよー」
「……え? た、倒せたんですか!?」
コルトンさんが驚いたように顔を覗かせる。そして、目をぱちくりとさせて、それから馬車から飛び降りてきた。
「す……すごい! あれだけの数のキマイラを……! あれだけいたらもう無理かと思ってました。ありがとうございます!」
「いや……ほとんど倒したのテラーだよな」
「おいらたち、なんかしたか?」
「なにもしてないね。したとしたらドラくんだね」
そんな僕らをにこにことしながら見ているテラーさんは、不意にこんなことを言ってきた。
「まぁまぁ。とりあえずみんな無事に助かりましたっと。
……ところで、話したいことがあるんだ。馬車出してもらって、中で話してもいいかな?」
特に断る理由はない。僕らはうなずき、馬車の中に乗り込んだ。
全員が乗り込み、馬車が動き出すと、テラーさんはこんな風に切り出した。
「助けてあげたからっていうのもなんだけど……一つ、お願いがあるのだ」
「お願い? って、なんだ?」
ポロンくんが聞く。お願いといっても色々ある。助けてもらったし、僕らにできることなら協力したいけど……。
「喫茶店をやってるんだけどね、隣に宿があるんだ。そこに泊まってほしいってこと」
「……え?」
「一泊のお金も結構安いし、ご飯も美味しい。そこに泊まってほしいんだよね」
言ってはなんだが、テラーさんにとっての利点が見当たらない。全てが僕らにとっての利点ではないか?
「……なぁ、どうしてそこに泊まってほしいのか、聞いてもいいか?」
アリアさんがそう訊ねると、テラーさんは素直に教えてくれた。
「守ってほしい子がいましてね」
三時のおやつ……一時的にパーティー全員のステータスを10倍にする。発動時間は30分間。パーティーで行動していない場合、対象(1~5まで)を選択可。
プランツファクトリー……対象(無限に選択可)に草木が絡み付き、完全に動きを封じる。発動時間は解除しない限り無限。焼却するには熟練度9以上の炎魔法。
うん、もうすごいよね。でも、これはまぁ知ってたからさ。ましっていうかさ? ……いや十分おかしなことになってるんだけど。よーし、次は『短期間ゴリラ』だ!
短期間ゴリラ……パーティー全員を高速、自身を神速にさせた後、対象(1~3まで)に大ダメージ。高速、神速の発動時間は30分。連続しての使用可。また、高速、神速状態の時、HP、MPが常に大回復する。
神速ってなんですか。あのめちゃ速い動きをしてたのはこれの影響なのか……。
ていうか、神速のときはHPとMP、常に大回復とか……。そりゃあ減らないよなぁ、MP。
うーん、強すぎる……。ところで。だが
「ポイズネーションって」
「ネーミングについての質問は拒否するよ?」
「いや、あの……ポイズネーション、ですよね?」
「そうだね」
「ポイズネーション? ポイズンか?」
アリアさんが首をかしげると、同じようにポロンくんが疑問を口にする。
「ポイズンって、闇魔法のあれか? でも、ポイズネーションなんて聞いたことないけどなぁ」
「……うん、まぁ、でしょうね」
気になったので、とにかくポイズネーションを鑑定してみる。
ポイズネーション……対象(無限に選択可)を猛毒状態にする。発動時間は解除しない限り無限。解除には熟練度9以上の回復魔法。
……純粋に思ったことを言わせてもらおう。
「これ使われた人、めっちゃ苦しくないですか!?」
「えーそう?」
「だって、ほぼほぼ解除できない毒ってめっちゃ苦しくないですか!?」
「……ジュノンの侵略すとアイリーンのジャッジメントよりはましかと」
う、うーん。確かにそうかもしれない(?) 侵略すの方は知らないけど。
とにかく! 残りの二つも鑑定だ!
飛行……空中を自由に移動できる。発動時間は10分。
生活魔法……稀に手に入れられる属性魔法。ユニークスキルに分類される。平凡な生活で行うことであれば、この魔法で代用可。
はーい、ありがとうございましたぁ! と、そこまでの情報をポロンくんとアリアさんとで共有する。
「……個性の塊'sはみんなこんななのか」
「あのね、私なんかまだ人間だよ? アイリーンとジュノンはマジでヤバイから。特にジュノンね。会っても絶対怒らせないでね。
アイリーンはチョコレートあげたらどうにでもなるけど、ジュノンは死ぬまで終わらないから」
「なにその人! 怖い! めっちゃ怖い!」
「ま、それはともかくとして……あ、ウタくん、ドラくん帰してあげて?」
「あ、はい。……ありがとうね、ドラくん」
すると、ドラくんは少し照れくさそうに笑った。
「お主は我の主君だろう。当然のことをしたまでだ。テラー殿、感謝する」
「いえいえ。ドラゴンお粗末にしたらどこかの誰かに殺されそうだし?」
ドラくんはそんなテラーさんに改めて一礼し、空に高く舞い上がると、王都の方へ向かって飛んでいった。……なんか、ドラくんも人間味出てきたなぁ。
テラーさんは馬車の中を覗き込み、震えるばかりのコルトンさんに声をかける。
「終わりましたよー。もう大丈夫ですよー」
「……え? た、倒せたんですか!?」
コルトンさんが驚いたように顔を覗かせる。そして、目をぱちくりとさせて、それから馬車から飛び降りてきた。
「す……すごい! あれだけの数のキマイラを……! あれだけいたらもう無理かと思ってました。ありがとうございます!」
「いや……ほとんど倒したのテラーだよな」
「おいらたち、なんかしたか?」
「なにもしてないね。したとしたらドラくんだね」
そんな僕らをにこにことしながら見ているテラーさんは、不意にこんなことを言ってきた。
「まぁまぁ。とりあえずみんな無事に助かりましたっと。
……ところで、話したいことがあるんだ。馬車出してもらって、中で話してもいいかな?」
特に断る理由はない。僕らはうなずき、馬車の中に乗り込んだ。
全員が乗り込み、馬車が動き出すと、テラーさんはこんな風に切り出した。
「助けてあげたからっていうのもなんだけど……一つ、お願いがあるのだ」
「お願い? って、なんだ?」
ポロンくんが聞く。お願いといっても色々ある。助けてもらったし、僕らにできることなら協力したいけど……。
「喫茶店をやってるんだけどね、隣に宿があるんだ。そこに泊まってほしいってこと」
「……え?」
「一泊のお金も結構安いし、ご飯も美味しい。そこに泊まってほしいんだよね」
言ってはなんだが、テラーさんにとっての利点が見当たらない。全てが僕らにとっての利点ではないか?
「……なぁ、どうしてそこに泊まってほしいのか、聞いてもいいか?」
アリアさんがそう訊ねると、テラーさんは素直に教えてくれた。
「守ってほしい子がいましてね」
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。
悪役令嬢ですか?……フフフ♪わたくし、そんなモノではございませんわ(笑)
ラララキヲ
ファンタジー
学園の卒業パーティーで王太子は男爵令嬢と側近たちを引き連れて自分の婚約者を睨みつける。
「悪役令嬢 ルカリファス・ゴルデゥーサ。
私は貴様との婚約破棄をここに宣言する!」
「……フフフ」
王太子たちが愛するヒロインに対峙するのは悪役令嬢に決まっている!
しかし、相手は本当に『悪役』令嬢なんですか……?
ルカリファスは楽しそうに笑う。
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
愛されなかった私が転生して公爵家のお父様に愛されました
上野佐栁
ファンタジー
前世では、愛されることなく死を迎える主人公。実の父親、皇帝陛下を殺害未遂の濡れ衣を着せられ死んでしまう。死を迎え、これで人生が終わりかと思ったら公爵家に転生をしてしまった主人公。前世で愛を知らずに育ったために人を信頼する事が出来なくなってしまい。しばらくは距離を置くが、だんだんと愛を受け入れるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる