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ウタと愉快な盗賊くん
作戦大事マジ大事
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時間はとんで夜。僕はアイマスクを手にした。あのカフェによった帰りに、雑貨屋のようなところで見つけてきたのだ。一つ鉄貨2枚! うーん、安くていいね!
アリアさんには『そんなのどうすんだ?』的な目で見られたけど、僕にとってはこれが重要なライフラインになる。
しかし、残念ながら耳栓はなかった。普通にこの世界には耳栓というものがあまり流通していなくて、目にする機会は少ないらしい。そして、あったとしてもそこそこ値もはるという。
なのでこちらは、リピートラーニングでしのぐ。寝心地悪いとか言ってられない。
黙々と寝る準備を整えていく僕に、アリアさんは苦く笑った。
「なぁ……本当にそれで寝るのか?」
「はいこれで寝ます! 拒否権はありません!」
「いや別に、お前が寝るわけだから私はいいんだが……。今朝、お前変な風にうなされてただろう? 大丈夫か? それ聞いて」
「あー……メヌマニエですか?」
「そうだ」
メヌマニエ……未だによくわからない単語だが、睡眠学習のおかげなのかなんなのか、内容は覚えている。だが……とりあえず信仰されているようなもの、としか分からなかった。
「なんかCDでは崇め方がどうとかこうとか言ってましたけど……」
「崇める? この国では特に宗教の規制なんかはしていないが、そんな宗教、聞いたことないぞ?」
ま、まさか……ここまでぼったくりなんて、そんなわけないよね!? ね!?
「……寝るか」
「寝ましょう」
……そういえば、昨日は言えてなかったんだっけ。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
アリアさんが部屋の電気を消し、僕らはベッドに潜り込んだ。よし、今日はちゃんと寝れるぞ! イヤホンとアイマスクを装着して横になり、目を閉じた。
…………うんうん、例のごとく訳の分からないことばかり連発しているが、完全にアリアさんの気配をシャットアウトできている! これなら寝れる!
『そんなわけだから、メヌマニエっていうのは果物がだーいすきでー、それでー――…………』
……あれ?
CDの音声がぷつっと途切れた。終わったのか? まさか。それにしたって不自然な切れ方だ。どんな映画やドラマだって、終わりよければ全てよし、の考えに乗っ取ってそれなりな終わりかたをするもんじゃなかろうか?
そんなことをぼーっと考えていると、CDから新たに音が流れ始めた。
『えー? 忘れちゃったー? しょうがないなぁ、優しい私が、もう一度だけ教えてあげよう!
氷、雷、光、風、炎。この順番だぜベイベー。ベイベーのベイは?』
「米っ!」
「なっ!?」
あまりの驚きに、質問に律儀に答え、アイマスクをはずしながら僕は飛び起きる。僕の声に驚いたのか、アリアさんも飛び起きる。
電気をつけ、戸惑ったように僕を見る。
「な、なんだなんだ……どうした急に」
「……読まれてる」
「は?」
「こ、これが、お前ら忘れてるなら教えてやるって、氷、雷、光、風、炎って……米ベーって……」
「…………」
慌てたり動揺したりでうまく伝えられなかったが、それでもアリアさんはなんとか察してくれたようだった。
「……もう、あれだ。あいつのことは考えることをやめよう」
「そうですねそうしましょう」
「ところで、ずっと知りたかった情報、だが……氷、雷、光、風、炎か」
「魔法ですよね」
「そうだな。それ以外は考えられない。……これが、上層部の弱点、ということは考えられないか?」
僕はうなずいた。十分あり得る。この順番、ということは、塔はもちろん下から登っていくわけだ。下から順に、この順番で攻撃しろ、っていうことなのか?
「仮にそうだとすると、『奥の手』を出せるのは最終階ってことになりますよね」
「そうなるな。確か、ポロンは風魔法を使えたな。四階はポロンに任せるか」
「アリアさん、アイリーンさんにもらったジャッジメント、三階で使えるんじゃないですか? あと、雷魔法って、持ってますよね?」
「あぁ。だから、二、三階は私に任せろ。お前は一と五を頼む。さすがに三回連続は辛いし、奥の手はお前しか使えないからな」
「了解です! サポートもちゃんとしますから、安心してください!」
リピートラーニングCDの、おかげなのかせいなのか。明日に関しての作戦会議が始まった。備えあれば憂いなし、ともいうし、出来るところまで話し合っておこう!
「あ、アイリーンさんに貰った魔属性球体、いつ使いましょうか?」
「おやつの方か?」
「そうです」
発動時間は30分。その間は僕らはキルナンスよりも上になる。30分で全てを終らせてしまいたいが……。
「30分で、終わりますかね?」
RPGをやったことがある人は思い出してみてほしい。五連続ボスとか、絶対一体につき15~20分はかかるだろう!? かける五だ。30分でよう足りるとは思わない。ましてや、本来格上の相手なのだ。
「……とにかく、発動させないと話にならない」
アリアさんが真面目な顔で言う。
「間に合わなかったら……そのときは、そのときということで」
「あ、はい」
いいのかそれで。
「それより、私たちはもっと大事な『可能性』について話しておいた方がいいと思うのだが?」
アリアさんには『そんなのどうすんだ?』的な目で見られたけど、僕にとってはこれが重要なライフラインになる。
しかし、残念ながら耳栓はなかった。普通にこの世界には耳栓というものがあまり流通していなくて、目にする機会は少ないらしい。そして、あったとしてもそこそこ値もはるという。
なのでこちらは、リピートラーニングでしのぐ。寝心地悪いとか言ってられない。
黙々と寝る準備を整えていく僕に、アリアさんは苦く笑った。
「なぁ……本当にそれで寝るのか?」
「はいこれで寝ます! 拒否権はありません!」
「いや別に、お前が寝るわけだから私はいいんだが……。今朝、お前変な風にうなされてただろう? 大丈夫か? それ聞いて」
「あー……メヌマニエですか?」
「そうだ」
メヌマニエ……未だによくわからない単語だが、睡眠学習のおかげなのかなんなのか、内容は覚えている。だが……とりあえず信仰されているようなもの、としか分からなかった。
「なんかCDでは崇め方がどうとかこうとか言ってましたけど……」
「崇める? この国では特に宗教の規制なんかはしていないが、そんな宗教、聞いたことないぞ?」
ま、まさか……ここまでぼったくりなんて、そんなわけないよね!? ね!?
「……寝るか」
「寝ましょう」
……そういえば、昨日は言えてなかったんだっけ。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
アリアさんが部屋の電気を消し、僕らはベッドに潜り込んだ。よし、今日はちゃんと寝れるぞ! イヤホンとアイマスクを装着して横になり、目を閉じた。
…………うんうん、例のごとく訳の分からないことばかり連発しているが、完全にアリアさんの気配をシャットアウトできている! これなら寝れる!
『そんなわけだから、メヌマニエっていうのは果物がだーいすきでー、それでー――…………』
……あれ?
CDの音声がぷつっと途切れた。終わったのか? まさか。それにしたって不自然な切れ方だ。どんな映画やドラマだって、終わりよければ全てよし、の考えに乗っ取ってそれなりな終わりかたをするもんじゃなかろうか?
そんなことをぼーっと考えていると、CDから新たに音が流れ始めた。
『えー? 忘れちゃったー? しょうがないなぁ、優しい私が、もう一度だけ教えてあげよう!
氷、雷、光、風、炎。この順番だぜベイベー。ベイベーのベイは?』
「米っ!」
「なっ!?」
あまりの驚きに、質問に律儀に答え、アイマスクをはずしながら僕は飛び起きる。僕の声に驚いたのか、アリアさんも飛び起きる。
電気をつけ、戸惑ったように僕を見る。
「な、なんだなんだ……どうした急に」
「……読まれてる」
「は?」
「こ、これが、お前ら忘れてるなら教えてやるって、氷、雷、光、風、炎って……米ベーって……」
「…………」
慌てたり動揺したりでうまく伝えられなかったが、それでもアリアさんはなんとか察してくれたようだった。
「……もう、あれだ。あいつのことは考えることをやめよう」
「そうですねそうしましょう」
「ところで、ずっと知りたかった情報、だが……氷、雷、光、風、炎か」
「魔法ですよね」
「そうだな。それ以外は考えられない。……これが、上層部の弱点、ということは考えられないか?」
僕はうなずいた。十分あり得る。この順番、ということは、塔はもちろん下から登っていくわけだ。下から順に、この順番で攻撃しろ、っていうことなのか?
「仮にそうだとすると、『奥の手』を出せるのは最終階ってことになりますよね」
「そうなるな。確か、ポロンは風魔法を使えたな。四階はポロンに任せるか」
「アリアさん、アイリーンさんにもらったジャッジメント、三階で使えるんじゃないですか? あと、雷魔法って、持ってますよね?」
「あぁ。だから、二、三階は私に任せろ。お前は一と五を頼む。さすがに三回連続は辛いし、奥の手はお前しか使えないからな」
「了解です! サポートもちゃんとしますから、安心してください!」
リピートラーニングCDの、おかげなのかせいなのか。明日に関しての作戦会議が始まった。備えあれば憂いなし、ともいうし、出来るところまで話し合っておこう!
「あ、アイリーンさんに貰った魔属性球体、いつ使いましょうか?」
「おやつの方か?」
「そうです」
発動時間は30分。その間は僕らはキルナンスよりも上になる。30分で全てを終らせてしまいたいが……。
「30分で、終わりますかね?」
RPGをやったことがある人は思い出してみてほしい。五連続ボスとか、絶対一体につき15~20分はかかるだろう!? かける五だ。30分でよう足りるとは思わない。ましてや、本来格上の相手なのだ。
「……とにかく、発動させないと話にならない」
アリアさんが真面目な顔で言う。
「間に合わなかったら……そのときは、そのときということで」
「あ、はい」
いいのかそれで。
「それより、私たちはもっと大事な『可能性』について話しておいた方がいいと思うのだが?」
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