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ウタと愉快な盗賊くん
おっとこれはぁ?!
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ふっと、真夜中に目が覚める。なぜ真夜中だと分かったかというと、まだ外が真っ暗だったからだ。
(……のぼせて、変なタイミングで寝ちゃったから、目が覚めちゃったのかな)
ぼんやりとそんなことを思いつつ、もう一度目を閉じる。やはり、眠いのだ。
しかし夜中に一度目が覚めてしまうとなかなか眠れないもので、寝返りをうちつつ、もんもんとする。
「…………?」
…………ん? あれ? あれれー?
「――――っ!?!?」
では問題です! ジャージャン!
寝ぼけ眼の僕の目に飛び込んできたものとはなんでしょう!
……正解は…………。
(……ここここここ、これは、ヤバヤバヤバ……ヤバイってぇぇぇぇぇ!!!)
――熟睡する、アリアさんの寝顔でした。
かぁっと顔が熱くなるのを感じる。な、なんでアリアさんが隣に寝てるの!? (回答、アリアさんとアイリーンさんが同じ部屋にしたから) そしてなんでよりにもよってこっち向いてるの!? (回答、たまたま偶然。神様のいたずら) てゆうか、なんでこんなに美人なのこの人はぁぁぁぁぁ!!! (回答、そこに言及しても仕方がない)
よしよし、落ち着けー、落ち着くんだ柳原羽汰! 僕はこれでも、一度は『勇気』を発動させた身だ。落ち着けば大丈夫。落ち着いて、よーく見るんだ。昼間からずっと一緒にいた、頼れる先輩的な人だろ? な?!
(……じーーーーーーーーーー)
僕はアリアさんをじっと見る。……いや、見てしまったと言うのが正しいのか?
……少し開いた赤い唇、透き通るように白い肌、長いまつげ、ゆっくりと上下する膨らみ、そして、ほどかれた金色の髪…………。
(色気半端ないってぇ!!!!!)
大迫選手のことではないが、これは半端ないってぇ! 健全な男子高校生に聞く! これ耐えられる?! 無理でしょ! なんで同じ部屋にしちゃったの!? てか、これ、この状況、ラミリエにいる限り毎晩やって来るの!? 嘘でしょ!? 眠れない眠れない! み、見なきゃよかった。マジで見なきゃよかった……。
…………いや? 慣れてきたかもしれない。一周回って慣れてきたかもしれない。
お、おお!? これは……! 行ける、行けるぞ! よーし、このまま精神的に色々落ち着かせて、目閉じて眠よう。そうしよう。そうだ。さっさと眠るのだ羽汰よ!
そうして、まさに目を閉じようとしたその瞬間だった。
「……んぅ…………」
アリアさんの口から、淡い吐息が零れる。
「――――!??!!!?!」
いや……いやいやいやいや! ちょっと待ってよぉ! 寝れないよぉ! どうすればいいんですか僕は! どうすればいいんですか僕は!
というかあれだね!? アリアさんは僕のこと、男として見ていないから大丈夫とか言ってたけど、僕はアリアさんのことバリバリ意識してるんだから無理じゃん!
(…………! そうだ!)
僕はなるべく音を立てないように起き上がり、アイテムボックスから例の腕時計を取り出す。
うんうん、あの人言ってたもんね、校長先生のながーい話は、最高で最悪の睡眠用BGMになるって!
しかもこれ、どういう仕組みか分からないけど、イヤホンもつけられるんだよね! イヤホンくれたし! いや、付属してた……? っていうのかな。まぁどうでもいいや。これならアリアさん起こす心配もないよね!
…………。
『録音データがありません』……だと……?!
確かに録音してないねぇ!? 初期からされてるとか思ってしまった僕は一体なんなの!? バカなの?! バカだよね?! 普通こういうのって、自分で録音するんだよね!?
あっ! そそそ、そうだ! 睡眠学習用枕アンドリピートラーニング用CD! こ、これなら少しは現実をシャットアウトしてくれるかな!?
ほんの少しの希望をもって、イヤホン――これもつけられる。なんのための枕だよ――を差し込み、CDを流す。
『よーし今から、正しい「メヌマニエ」の信仰の仕方を教えるぞー! 準備はいいかい少年少女! えー、まずは…………どうするんだっけな?
ねー、あのさー? メヌマニエってどうやって崇めるんだっけ? なんかめんどくさかったよね、あれ。
…………あー、そうそう! まずねー、黒いものを身につけてー、祭壇に行ってー、食べ物とか置いてー、んで…………えっとー――』
――あの人の声がする。このCDまでぼったくりの一貫だったのか。もうあれだ、あの人からまともな物が買えることはないと思おう。そうしよう。
ってかなんだよメヌマニエって。神様? 神様そんな雑に扱っていいの? ダメだよね? 絶対ダメだよね?
というかこの枕固い……頭が痛くなる。高さも合わない。うぅ……あー、メヌマニエってなにぃ? 何この一発録り感満載な音声。はぁー……もう……気が遠くなってくるよ…………。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
「ん……朝、か…………」
窓から差し込む光で目を覚ました私は、隣の様子にぎょっとする。
「……私が寝ている間に、何があった?」
腕には時計をつけ、枕の上に枕を置き、そこから伸びたコードを耳にはめ、どこかうなされながらウタが寝ていた。
「うぅん……メヌマニエ……」
……これは、起こす方がいいのだろうか? というか、メヌマニエって、なんだ?
(……のぼせて、変なタイミングで寝ちゃったから、目が覚めちゃったのかな)
ぼんやりとそんなことを思いつつ、もう一度目を閉じる。やはり、眠いのだ。
しかし夜中に一度目が覚めてしまうとなかなか眠れないもので、寝返りをうちつつ、もんもんとする。
「…………?」
…………ん? あれ? あれれー?
「――――っ!?!?」
では問題です! ジャージャン!
寝ぼけ眼の僕の目に飛び込んできたものとはなんでしょう!
……正解は…………。
(……ここここここ、これは、ヤバヤバヤバ……ヤバイってぇぇぇぇぇ!!!)
――熟睡する、アリアさんの寝顔でした。
かぁっと顔が熱くなるのを感じる。な、なんでアリアさんが隣に寝てるの!? (回答、アリアさんとアイリーンさんが同じ部屋にしたから) そしてなんでよりにもよってこっち向いてるの!? (回答、たまたま偶然。神様のいたずら) てゆうか、なんでこんなに美人なのこの人はぁぁぁぁぁ!!! (回答、そこに言及しても仕方がない)
よしよし、落ち着けー、落ち着くんだ柳原羽汰! 僕はこれでも、一度は『勇気』を発動させた身だ。落ち着けば大丈夫。落ち着いて、よーく見るんだ。昼間からずっと一緒にいた、頼れる先輩的な人だろ? な?!
(……じーーーーーーーーーー)
僕はアリアさんをじっと見る。……いや、見てしまったと言うのが正しいのか?
……少し開いた赤い唇、透き通るように白い肌、長いまつげ、ゆっくりと上下する膨らみ、そして、ほどかれた金色の髪…………。
(色気半端ないってぇ!!!!!)
大迫選手のことではないが、これは半端ないってぇ! 健全な男子高校生に聞く! これ耐えられる?! 無理でしょ! なんで同じ部屋にしちゃったの!? てか、これ、この状況、ラミリエにいる限り毎晩やって来るの!? 嘘でしょ!? 眠れない眠れない! み、見なきゃよかった。マジで見なきゃよかった……。
…………いや? 慣れてきたかもしれない。一周回って慣れてきたかもしれない。
お、おお!? これは……! 行ける、行けるぞ! よーし、このまま精神的に色々落ち着かせて、目閉じて眠よう。そうしよう。そうだ。さっさと眠るのだ羽汰よ!
そうして、まさに目を閉じようとしたその瞬間だった。
「……んぅ…………」
アリアさんの口から、淡い吐息が零れる。
「――――!??!!!?!」
いや……いやいやいやいや! ちょっと待ってよぉ! 寝れないよぉ! どうすればいいんですか僕は! どうすればいいんですか僕は!
というかあれだね!? アリアさんは僕のこと、男として見ていないから大丈夫とか言ってたけど、僕はアリアさんのことバリバリ意識してるんだから無理じゃん!
(…………! そうだ!)
僕はなるべく音を立てないように起き上がり、アイテムボックスから例の腕時計を取り出す。
うんうん、あの人言ってたもんね、校長先生のながーい話は、最高で最悪の睡眠用BGMになるって!
しかもこれ、どういう仕組みか分からないけど、イヤホンもつけられるんだよね! イヤホンくれたし! いや、付属してた……? っていうのかな。まぁどうでもいいや。これならアリアさん起こす心配もないよね!
…………。
『録音データがありません』……だと……?!
確かに録音してないねぇ!? 初期からされてるとか思ってしまった僕は一体なんなの!? バカなの?! バカだよね?! 普通こういうのって、自分で録音するんだよね!?
あっ! そそそ、そうだ! 睡眠学習用枕アンドリピートラーニング用CD! こ、これなら少しは現実をシャットアウトしてくれるかな!?
ほんの少しの希望をもって、イヤホン――これもつけられる。なんのための枕だよ――を差し込み、CDを流す。
『よーし今から、正しい「メヌマニエ」の信仰の仕方を教えるぞー! 準備はいいかい少年少女! えー、まずは…………どうするんだっけな?
ねー、あのさー? メヌマニエってどうやって崇めるんだっけ? なんかめんどくさかったよね、あれ。
…………あー、そうそう! まずねー、黒いものを身につけてー、祭壇に行ってー、食べ物とか置いてー、んで…………えっとー――』
――あの人の声がする。このCDまでぼったくりの一貫だったのか。もうあれだ、あの人からまともな物が買えることはないと思おう。そうしよう。
ってかなんだよメヌマニエって。神様? 神様そんな雑に扱っていいの? ダメだよね? 絶対ダメだよね?
というかこの枕固い……頭が痛くなる。高さも合わない。うぅ……あー、メヌマニエってなにぃ? 何この一発録り感満載な音声。はぁー……もう……気が遠くなってくるよ…………。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
「ん……朝、か…………」
窓から差し込む光で目を覚ました私は、隣の様子にぎょっとする。
「……私が寝ている間に、何があった?」
腕には時計をつけ、枕の上に枕を置き、そこから伸びたコードを耳にはめ、どこかうなされながらウタが寝ていた。
「うぅん……メヌマニエ……」
……これは、起こす方がいいのだろうか? というか、メヌマニエって、なんだ?
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