チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない

植木鉢たかはし

文字の大きさ
上 下
35 / 387
ウタと愉快な盗賊くん

考え事

しおりを挟む
週末

クライスの妹の婚約披露パーティーへ車で向かう。

「クライスの妹って何歳?」

「14歳?だっけ?」

王子の誕生日パーティーで2人が踊っているのを見たっきり。クライスと似てる金髪の綺麗な女の子だった。



「名前は?」

何も知らないな。ルイスは笑いながらえーと?

「アメリア?だな。」

と答えた。

バートリー家の家の少し手前で車を止めて貰う。結構、玄関前は人が多く出席者が多いのが解る。

・・・と思っていたら原因は会長だった。



「そういや玄関前で待ち合わせてたな。」

握手会の様に会長に握手を求めて中へ入っていく御令嬢や御子息達。

私達を見付けた会長は遅い!!と言い放った。

その途端に視線が此方へ向かう。

「ルナリー様にルイス様だわ!!」

あはは。握手会突入。



「さあ、時間になりますから中へ。」

見かねたバートリー家の使用人が声を掛けてくれて漸く中へ入る事が出来た。



「会長、申し訳ない。」

「いやいや、待ち合わせは玄関前は今後は却下だな。」

目立つ場所は避けよう。



相変わらず広くて豪華な大理石の玄関ルームを抜けてパーティールームへ案内される。

パーティールームはレストランが開けるくらいの広さがあった。

立食パーティー形式で今日も食べる暇が無さそうな気がする。



庶民にはこれを食べない感覚が未だに解らない。勿体ないよなあ。



クライスは両親の隣で挨拶をしている様だ。御令嬢達が次々に挨拶に来ている。

「僕達も御両親には挨拶しておこうか。」

会長と共にクライス達の元へ。途中、色々な方々から声を掛けられるのでやっと辿り着けた。



「本日はお招きありがとうございます。」

「おめでとうございます。」

クライスの御両親は嬉しそうに

「まあ!ようこそ!いつもクライスがお世話になっております。」

と丁寧にお辞儀をされた。

「やっと来たねー。もう辛い。」

クライスがゲンナリと愚痴を言う。



「こんにちは。お招きありがとうございます。」

背後から王子とキャサリンが声を掛ける。

本日のメンバーは揃った。



「もう握手会は嫌だわ・・。」

キャサリン達も此処に来るまでに相当捕まったようだ。



「では、お父様、お母様。今日は会長と一緒におりますので。」

クライスは嬉しそうに此方へ。御両親は会長に息子が我儘を言ってすみませんと謝っていた。

シャッフルダンスの件は無事に両親にOKを貰えた様だ。



私達の婚約披露パーティーの時の様に御両親の挨拶からパーティーが始まった。

妹さんの結婚相手は同級生のビクター君と言う。好青年になりそうな感じ。今は可愛い感じの子だ。



ダンスも14歳ってまだ可愛らしい。2人とも綺麗な顔立ちだし今まで婚約していなかったのが不思議なくらいだ。

いや、クライスや会長にカインにジョージも婚約してないから普通なのかな。



「クライス様は誰と踊られるのかしら?」

「誰も御令嬢が御一緒じゃないわ!」

「もしかして?え?ケビン様?いやーん!素敵!」



御令嬢達、聞こえてますよー。その通りですよー。

クライスと会長は笑いを堪えて聞こえないフリをしている。

やっぱり素敵なのね。

エリザベス様程では無くても皆、こう言うの好きなんだなあ。



「さあ、行こうか会長。」

「ああ。レッツゴーだね。」

クライスが会長をエスコートして前へ出る。

続いて王子をエスコートするルイス

キャサリンをエスコートする私と続くと御令嬢達や御子息達の声援の様な歓喜の悲鳴の様な。

キャー!!!と言う声と共に拍手が起こった。



「ノネット・クライムの皆様だわ!」

「クライス様とケビン様!お似合いですわ!」

「あら!ジェファーソン様とルイス様の方がお似合いよー!」

「キャサリン様とルナリー様、可愛い!!」



好き放題言ってる声が周囲から聞こえる。



「何と言うかウケるよな。」

「アイドルって大変なのね。」

キャサリンと踊りながら呟く。お陰様で男性のパートもすっかり覚えてしまった。



「ねぇ。クライス見てよ。」

キャサリンがクライスと会長の方へ視線を向ける。

「う。。何かめっちゃ嬉しそう。」



「どんだけ御令嬢嫌いなのかしら。困った奴だわー。」

「会長が本気で好きになったらどうするんだろうな?」

2人で顔を見合わせる。



「私は会長を応援するかなあ。」

キャサリンが真剣な顔で言う。

「まあ、そうなるか。」

そうなったらそうしよう。うん。



ダンスは無事に終了し主役の妹さんと婚約者よりも大きい拍手を貰ってしまった。



幸せそうな御令嬢達。そしてもっと幸せそうなクライス。



「お疲れー!任務完了だよな?」

6人で部屋の隅へ移動。



「ありがとうー!本当に助かったー!」

クライスは本当に嬉しそうだ。

勿論、会長も。



今日は隅でこっそり食事出来そう。

「美味いな。」

「うん。クライスの家の料理人も凄いなあ。」

ルイスもモグモグ。



「マッケンジー夫妻食べ過ぎだぞ。」

会長に笑いながら突っ込まれる。お腹空いてるしー。



パーティーは無事に終了。

クライスにお茶でも飲んで行きなよ!と客間に案内された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

どーでもいいからさっさと勘当して

恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。 妹に婚約者?あたしの婚約者だった人? 姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。 うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。 ※ザマアに期待しないでください

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

前世の記憶さん。こんにちは。

満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。 周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。 主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。 恋愛は当分先に入れる予定です。 主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです! 小説になろう様にも掲載しています。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

処理中です...