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一日目、昼。
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「赤尾、ちょっと来い」
一日目、昼。僕は頼人くんに絡まれていた。あまり親しいわけではない、自然、緊張してしまう。
背が高くて、ちょっと獰猛そうな顔つき。しかし、今日はどこか落ち着かないような感じがする。彼から。
「あのー、どうしたの」
頼人くんはこちらをじっと見つめてくる。
「お前は…本当に赤尾なのか?」
「え、うん。そのつもりだけれど」
いったい何だろう?彼は別に霊的なものと交信したり、超能力を信じていたりするようなタイプではなかった。
しかし、様子を見る限り、相手も自身の思っていることを理解しているわけじゃないのかもしれない。
「用がないなら行くけど」
「あ、ああ」
その場に残った頼人は、自分の手を見る。微かに震える手。
「俺が…怯えている?」
昼休み、頼人は彼女と話す。赤尾って奴いるよな。お前、あいつにあんま近づかない方がいいよ。その、上手く説明できないんだが…。
一方、赤尾も情報を入手していた。曰く、頼人は痴漢を捕らえたことがあるらしい。曰く、海外生まれで、銃を用いて狩猟をしたことがあるらしい。すべて眉唾だった。
「あかおくん、何か話してた?」
「まあ。結局向こうの勘違いだったみたいだけれど」
「頼人くんって、色々なウワサ聞くけどね。クマを素手で狩ったとか」
「いや、それは嘘じゃないかな?!」
未凪さんと会話すると、モヤモヤしていたものが解消されたような気さえしてくる。しかし、頼人くんの言っていたことについて、ちょっと考えてみるべきかもしれない。
僕はそそっかしいので小さな怪我をすることが多いのだが、それが、退院してから一度もない。偶然かもしれないし、幸運かもしれないけれど、僕が実はロボットになっていた…とかだったら、肌がものすごく硬くなっているかもしれないし。
一日目、昼。僕は頼人くんに絡まれていた。あまり親しいわけではない、自然、緊張してしまう。
背が高くて、ちょっと獰猛そうな顔つき。しかし、今日はどこか落ち着かないような感じがする。彼から。
「あのー、どうしたの」
頼人くんはこちらをじっと見つめてくる。
「お前は…本当に赤尾なのか?」
「え、うん。そのつもりだけれど」
いったい何だろう?彼は別に霊的なものと交信したり、超能力を信じていたりするようなタイプではなかった。
しかし、様子を見る限り、相手も自身の思っていることを理解しているわけじゃないのかもしれない。
「用がないなら行くけど」
「あ、ああ」
その場に残った頼人は、自分の手を見る。微かに震える手。
「俺が…怯えている?」
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僕はそそっかしいので小さな怪我をすることが多いのだが、それが、退院してから一度もない。偶然かもしれないし、幸運かもしれないけれど、僕が実はロボットになっていた…とかだったら、肌がものすごく硬くなっているかもしれないし。
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