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06. 飽満
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「あぁっ、や、ぁん……! い、く……また、いっちゃ……!」
「さっきからイキっぱなしだろう」
可笑しそうに笑いながら、グラートは意地悪く腰を回した。
ごり、と子宮の入り口を刺激されて、ソフィアはぎゅうっとシーツを掴む。
「やぁぁっ! あ、あぁ……っ」
今また達したはずだけれど、グラートは動くことを止めてくれずに背後からの抽挿を続ける。
ソフィアはもうずっと高いところから下りる事を許されずにいて、待って、と訴える事はとうに諦めた。
貪っているのか、貪られているのか、そんな事すらよく分からない。
絶え間なく与えられる苦しいくらいの快楽と濃厚な精気に、ソフィアはただただ溺れた。
ばちゅ、ばちゅ、と身体のぶつかる音と激しい水音を奏でながらグラートに最奥を突き上げられて、ソフィアは嬌声を上げてシーツに額を擦り付ける。
幾度も体勢を変えられて、何度達して、何度射精されたのか、ソフィアには分からなかった。
ただ視界の片隅で捉えたカーテン越しの窓の外が明るくなり始めている事と、自身の中の魔力がもう間もなく完全に満たされる、という事だけは理解していた。
「射精すぞ」
何度目かの宣言と共にしっかりと腰を押さえ付けられて、そうしてまた白濁が注ぎ込まれる。
「ぐら、とさ……も、いっぱい……おなか……」
全く勢いの衰えていない白濁を受け止めながら、ソフィアがもう入らないと訴えるのと同時にグラートもそれを理解した。
それまで飲み込まれていた白濁が、ソフィアの膣内に広がったからだ。
「……これが普通のはずなんだが……変な感じだな」
呟きながら、グラートがずるりとソフィアの中から剛茎を抜くと、今まで溢れるのはソフィアの愛液ばかりだったそこからどろりと自身の白濁が零れ落ちてくる。
ソフィアが満たされた証と思えば喜ばしい事ではある。が――
グラートはへにゃりとベッドに沈んでいるソフィアの肩に口付ける。
「ソフィア、もう一回だけ、良いか?」
「ん……まだ、たりない……?」
とろんと眠そうな顔をしているソフィアに若干の罪悪感を覚えながらも、グラートはソフィアを抱き上げる。
「まだ出来ると思ってたから、いきなり終わりだと言われると、な。――腹一杯になったら出来ない、なんてわけじゃないよな?」
向き合うようにグラートの膝の上に下ろされたソフィアの肌に、一晩中暴れまわったというのに全く萎えていないグラートの剛茎が触れる。
その感触にソフィアはうっとりとした笑みを浮かべるとうん、と頷いた。
「飲めないから勿体ないけど……気持ちいいこと、もっとして?」
「何だ、まだ余裕そうだな」
甘えるようにするりと腕を回してきたソフィアに、グラートは愉快そうに口端を上げて口付ける。
「だがまぁ、今日のところはこれで最後にしておくさ」
グラートの肩に手をおいて自ら腰を上げたソフィアに良い子だと囁いて、とろとろに蕩け切っている秘園に自身の先端を擦り付ける。
期待するように甘やかな吐息を落としたソフィアの腰をゆっくりと沈ませると、軽い身体が跳ね上がらないようにその細腰を押さえて、そうして一気に突き上げた。
「あぁぁっ!」
一突きであっという間に高みへと押し上げられたソフィアは、ぎゅうっとグラートにしがみ付く。
自分に抱き付いたまま身体を震わせているソフィアの髪を愛おし気に撫でながら、グラートがヤバいな、と呟いた。
「……?」
その呟きが届いたソフィアが何が? と問うようにグラートの肩口で僅かに顔を上げると、グラートはソフィアの髪を一筋持ち上げる。
「手放せそうにない」
毛先に口付けてみせたグラートに、ソフィアは抱き付いていた腕を弛めると、その頬にちゅっと口付ける。
「はなさないで……もっと、ちょうだい」
ソフィアが小さく腰を揺すった事でくちゅ、と立った水音に、グラートは苦笑を零す。
「まだ煽るのかよ」
最後だと言っただろう、と咎めるようにソフィアの鼻先を甘噛めば、ソフィアは甘えるようにその鼻先を擦り付け返してくる。
「……ったく。覚えとけよ」
ぼそりと落とされたグラートの呟きに反応する前にずんっと突き上げられて、ソフィアは嬌声を上げた。
腰を押さえられているせいでグラートの勢いを逃す術もなく、何度も何度も最奥を突かれて、ソフィアはまたグラートにしがみ付く。
「ぐらーとさ……っおく……これ、だめぇ……っ! ふかい、の……こわれちゃ……っあ、あぁっ!」
「だめ、の割に締めすぎじゃないか?」
必死にしがみ付いてくる腕と蜜口に応えるようにグラートが腰を抱き寄せて突き上げれば、ソフィアはグラートの耳元で甘い声を響かせる。
その声に目を細めて、グラートは小さく呟いた。
逃がさないから覚悟しとけよ、と――
❊❊❊ ✽ ❊❊❊
「んー……」
目覚めたソフィアは身体を起こしてふぁっと小さく欠伸をした。
すごくよく眠った気がする。
身体がギシギシと痛むけれど、気分は良い。
ここのところ――というよりももう何ヶ月も、こんな爽快な目覚めはなかったのに、と思って、ソフィアははたと顔を上げた。
何ヶ月も、爽快な目覚めどころか身体を起こすのだって大変だったのに、今自分がするっと身体を起こせたのは何故だろう――
そう思ったと同時にぼんやりと記憶が蘇ってきて、ソフィアはそろりと視線を動かした。
見知らぬ部屋に、床には衣類が放られていて、視線を真下に落とせば恥ずかしいくらいに痩せ細った自身の裸の身体――に点々と浮かんでいる赤い痕はひとまず見なかったことにして、そのままそぉーっと視線を横にずらす。
――と、視覚は自分と同じく裸のまま眠っている大きな男の姿を捉えた。
「……っっっ!!!」
途端に昨晩のあれやこれやの記憶が怒涛の如く蘇って、ソフィアは悲鳴を上げそうになって慌てて自分の手で口を塞いだ。
少しでも冷静になろうと、飛び飛びの記憶を整理しようと、スーハーと深呼吸をする。
手で口を塞いでいるせいでしゅっと空気が鳴ってしまって、今度は慌てて手を離す。
そうして改めて深呼吸をした。
昨日は――というよりここ数日はずっと起き上がることもままならずに自室で寝ていた。はずなのに、いつの間にか外にいて、そこをこのグラートさんに保護されて、それで血を貰って……
という所まではまぁ、恐らくは冷静の範囲内で思い出せたソフィアだったけれど、そこから先を冷静に思い出すのは無理な話だった。
(…………しっ……しちゃった!!)
多分茹で蛸のようになっているであろう顔を両手で覆う。
しちゃった、なんて可愛いものでは無い気がする。
保護されたのが何時頃なのかは分からないけれど、月が出ていたと思う。
そこから外が明るくなるまで、ずっとずっとしていたのだ。
淫らな声を上げて、恥ずかしい事も、はしたない事も、たくさんたくさん言ってしまったように思う。
空腹なんてもうすっかりどこかに行ってしまっているし、すっからかんだった魔力も満タン状態。
主に下半身が筋肉痛に見舞われていて、最中には飲む余裕がなかったからか喉の乾きは感じるけれど、それ以外はすこぶる調子が良さそうだ。
(ど、どうしよう……!)
こういう時どうすれば!? とオロオロと室内を見回して、そうしてハッと思い出す。
覚醒してまだ間もない頃。
お腹を鳴らしているソフィアに「その辺でさくっと頂いて来ちゃいなさいよ~」なんて軽く言ってくれたフローラに「最初は好きな人が良い」「その辺でなんて絶対無理!」と訴えて〝食事〟を拒否していたら、じゃあまぁこれでも読んでみなさいな、と何故だかたくさんの恋物語の本を――大人向けのえっちな感じの話ばかりを積まれた事があった。
恐らくフローラの狙いはそれでソフィアが「えっちしてみたい!」と思うようになる事だったのだろう。
残念ながら、というか当然の事ながら、それで「その辺の人としてみても良いかも」とはならなかったけれど、そういう事に興味自体はあったから読んでみた中に、あったではないか。
酒に酔った勢いや、失恋した悲しみを埋めるように、一夜の関係を持ってしまったヒロインたちの物語が。
(――逃げよう!)
そうだ。そういうヒロインたちはヒーローが眠っている隙に部屋を後にしていた。
逃げなくても良いのに、なんて思っていた当時の自分に言いたい。
やってしまった感が半端ないのだと。
お相手が目覚めた時に一体どんな顔をして、何を言えば良いのか分からないのだと。
だからヒロインたちは皆ヒーローが目を覚ます前に逃げたのね、と納得しながら、ソフィアは善は急げとばかりに――けれど隣で眠っている一夜限りの相手を起こしてはマズイので、そぉっとベッドから下りる。
そうして床に放られているしっかりした生地の騎士の制服を掻き分けて、一番下にあった薄っぺらなそれを引っ張り上げる。
けれどそこでソフィアははたと手を止めた。
手にあるのは自分が身につけていた、薄っぺらな夜着。
ちらりとこの部屋唯一の窓に目を向ける。
カーテンが引かれているけれど、隙間から光が入り込んでいる。
どうやら真昼間であるらしい、という事がカーテン越しでも分かる明るさだ。
きっと窓の外では太陽が燦々と輝いているだろう。
あぁ、洗濯日和に違いないわ……と目を細めて、そうしてソフィアはガックリと項垂れた。
(逃げられない……!)
この場から逃げ出してしまいたいけれど、太陽降り注ぐ真昼間の往来を夜着で歩くなんて恥ずかしすぎて無理だ。
しかも靴も履いてなかったんだわと、ぼんやりと思い出す。
グラートが眠っている間にこっそりと帰るのは無理そうだと、ソフィアがどうしよう、と手にしていた夜着を握りしめたその時。
背後でのっそりと起き上がった気配がして、ベッドがぎしりと音を立てた。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
魔力満タン・満腹になったらヒーローの白いのが出て来ちゃう
というのが書きたかったんです\(^p^)/
ちなみに飲み込まれた白いのは即座に魔力に変換されている、という感じです……たぶん…… ←
「さっきからイキっぱなしだろう」
可笑しそうに笑いながら、グラートは意地悪く腰を回した。
ごり、と子宮の入り口を刺激されて、ソフィアはぎゅうっとシーツを掴む。
「やぁぁっ! あ、あぁ……っ」
今また達したはずだけれど、グラートは動くことを止めてくれずに背後からの抽挿を続ける。
ソフィアはもうずっと高いところから下りる事を許されずにいて、待って、と訴える事はとうに諦めた。
貪っているのか、貪られているのか、そんな事すらよく分からない。
絶え間なく与えられる苦しいくらいの快楽と濃厚な精気に、ソフィアはただただ溺れた。
ばちゅ、ばちゅ、と身体のぶつかる音と激しい水音を奏でながらグラートに最奥を突き上げられて、ソフィアは嬌声を上げてシーツに額を擦り付ける。
幾度も体勢を変えられて、何度達して、何度射精されたのか、ソフィアには分からなかった。
ただ視界の片隅で捉えたカーテン越しの窓の外が明るくなり始めている事と、自身の中の魔力がもう間もなく完全に満たされる、という事だけは理解していた。
「射精すぞ」
何度目かの宣言と共にしっかりと腰を押さえ付けられて、そうしてまた白濁が注ぎ込まれる。
「ぐら、とさ……も、いっぱい……おなか……」
全く勢いの衰えていない白濁を受け止めながら、ソフィアがもう入らないと訴えるのと同時にグラートもそれを理解した。
それまで飲み込まれていた白濁が、ソフィアの膣内に広がったからだ。
「……これが普通のはずなんだが……変な感じだな」
呟きながら、グラートがずるりとソフィアの中から剛茎を抜くと、今まで溢れるのはソフィアの愛液ばかりだったそこからどろりと自身の白濁が零れ落ちてくる。
ソフィアが満たされた証と思えば喜ばしい事ではある。が――
グラートはへにゃりとベッドに沈んでいるソフィアの肩に口付ける。
「ソフィア、もう一回だけ、良いか?」
「ん……まだ、たりない……?」
とろんと眠そうな顔をしているソフィアに若干の罪悪感を覚えながらも、グラートはソフィアを抱き上げる。
「まだ出来ると思ってたから、いきなり終わりだと言われると、な。――腹一杯になったら出来ない、なんてわけじゃないよな?」
向き合うようにグラートの膝の上に下ろされたソフィアの肌に、一晩中暴れまわったというのに全く萎えていないグラートの剛茎が触れる。
その感触にソフィアはうっとりとした笑みを浮かべるとうん、と頷いた。
「飲めないから勿体ないけど……気持ちいいこと、もっとして?」
「何だ、まだ余裕そうだな」
甘えるようにするりと腕を回してきたソフィアに、グラートは愉快そうに口端を上げて口付ける。
「だがまぁ、今日のところはこれで最後にしておくさ」
グラートの肩に手をおいて自ら腰を上げたソフィアに良い子だと囁いて、とろとろに蕩け切っている秘園に自身の先端を擦り付ける。
期待するように甘やかな吐息を落としたソフィアの腰をゆっくりと沈ませると、軽い身体が跳ね上がらないようにその細腰を押さえて、そうして一気に突き上げた。
「あぁぁっ!」
一突きであっという間に高みへと押し上げられたソフィアは、ぎゅうっとグラートにしがみ付く。
自分に抱き付いたまま身体を震わせているソフィアの髪を愛おし気に撫でながら、グラートがヤバいな、と呟いた。
「……?」
その呟きが届いたソフィアが何が? と問うようにグラートの肩口で僅かに顔を上げると、グラートはソフィアの髪を一筋持ち上げる。
「手放せそうにない」
毛先に口付けてみせたグラートに、ソフィアは抱き付いていた腕を弛めると、その頬にちゅっと口付ける。
「はなさないで……もっと、ちょうだい」
ソフィアが小さく腰を揺すった事でくちゅ、と立った水音に、グラートは苦笑を零す。
「まだ煽るのかよ」
最後だと言っただろう、と咎めるようにソフィアの鼻先を甘噛めば、ソフィアは甘えるようにその鼻先を擦り付け返してくる。
「……ったく。覚えとけよ」
ぼそりと落とされたグラートの呟きに反応する前にずんっと突き上げられて、ソフィアは嬌声を上げた。
腰を押さえられているせいでグラートの勢いを逃す術もなく、何度も何度も最奥を突かれて、ソフィアはまたグラートにしがみ付く。
「ぐらーとさ……っおく……これ、だめぇ……っ! ふかい、の……こわれちゃ……っあ、あぁっ!」
「だめ、の割に締めすぎじゃないか?」
必死にしがみ付いてくる腕と蜜口に応えるようにグラートが腰を抱き寄せて突き上げれば、ソフィアはグラートの耳元で甘い声を響かせる。
その声に目を細めて、グラートは小さく呟いた。
逃がさないから覚悟しとけよ、と――
❊❊❊ ✽ ❊❊❊
「んー……」
目覚めたソフィアは身体を起こしてふぁっと小さく欠伸をした。
すごくよく眠った気がする。
身体がギシギシと痛むけれど、気分は良い。
ここのところ――というよりももう何ヶ月も、こんな爽快な目覚めはなかったのに、と思って、ソフィアははたと顔を上げた。
何ヶ月も、爽快な目覚めどころか身体を起こすのだって大変だったのに、今自分がするっと身体を起こせたのは何故だろう――
そう思ったと同時にぼんやりと記憶が蘇ってきて、ソフィアはそろりと視線を動かした。
見知らぬ部屋に、床には衣類が放られていて、視線を真下に落とせば恥ずかしいくらいに痩せ細った自身の裸の身体――に点々と浮かんでいる赤い痕はひとまず見なかったことにして、そのままそぉーっと視線を横にずらす。
――と、視覚は自分と同じく裸のまま眠っている大きな男の姿を捉えた。
「……っっっ!!!」
途端に昨晩のあれやこれやの記憶が怒涛の如く蘇って、ソフィアは悲鳴を上げそうになって慌てて自分の手で口を塞いだ。
少しでも冷静になろうと、飛び飛びの記憶を整理しようと、スーハーと深呼吸をする。
手で口を塞いでいるせいでしゅっと空気が鳴ってしまって、今度は慌てて手を離す。
そうして改めて深呼吸をした。
昨日は――というよりここ数日はずっと起き上がることもままならずに自室で寝ていた。はずなのに、いつの間にか外にいて、そこをこのグラートさんに保護されて、それで血を貰って……
という所まではまぁ、恐らくは冷静の範囲内で思い出せたソフィアだったけれど、そこから先を冷静に思い出すのは無理な話だった。
(…………しっ……しちゃった!!)
多分茹で蛸のようになっているであろう顔を両手で覆う。
しちゃった、なんて可愛いものでは無い気がする。
保護されたのが何時頃なのかは分からないけれど、月が出ていたと思う。
そこから外が明るくなるまで、ずっとずっとしていたのだ。
淫らな声を上げて、恥ずかしい事も、はしたない事も、たくさんたくさん言ってしまったように思う。
空腹なんてもうすっかりどこかに行ってしまっているし、すっからかんだった魔力も満タン状態。
主に下半身が筋肉痛に見舞われていて、最中には飲む余裕がなかったからか喉の乾きは感じるけれど、それ以外はすこぶる調子が良さそうだ。
(ど、どうしよう……!)
こういう時どうすれば!? とオロオロと室内を見回して、そうしてハッと思い出す。
覚醒してまだ間もない頃。
お腹を鳴らしているソフィアに「その辺でさくっと頂いて来ちゃいなさいよ~」なんて軽く言ってくれたフローラに「最初は好きな人が良い」「その辺でなんて絶対無理!」と訴えて〝食事〟を拒否していたら、じゃあまぁこれでも読んでみなさいな、と何故だかたくさんの恋物語の本を――大人向けのえっちな感じの話ばかりを積まれた事があった。
恐らくフローラの狙いはそれでソフィアが「えっちしてみたい!」と思うようになる事だったのだろう。
残念ながら、というか当然の事ながら、それで「その辺の人としてみても良いかも」とはならなかったけれど、そういう事に興味自体はあったから読んでみた中に、あったではないか。
酒に酔った勢いや、失恋した悲しみを埋めるように、一夜の関係を持ってしまったヒロインたちの物語が。
(――逃げよう!)
そうだ。そういうヒロインたちはヒーローが眠っている隙に部屋を後にしていた。
逃げなくても良いのに、なんて思っていた当時の自分に言いたい。
やってしまった感が半端ないのだと。
お相手が目覚めた時に一体どんな顔をして、何を言えば良いのか分からないのだと。
だからヒロインたちは皆ヒーローが目を覚ます前に逃げたのね、と納得しながら、ソフィアは善は急げとばかりに――けれど隣で眠っている一夜限りの相手を起こしてはマズイので、そぉっとベッドから下りる。
そうして床に放られているしっかりした生地の騎士の制服を掻き分けて、一番下にあった薄っぺらなそれを引っ張り上げる。
けれどそこでソフィアははたと手を止めた。
手にあるのは自分が身につけていた、薄っぺらな夜着。
ちらりとこの部屋唯一の窓に目を向ける。
カーテンが引かれているけれど、隙間から光が入り込んでいる。
どうやら真昼間であるらしい、という事がカーテン越しでも分かる明るさだ。
きっと窓の外では太陽が燦々と輝いているだろう。
あぁ、洗濯日和に違いないわ……と目を細めて、そうしてソフィアはガックリと項垂れた。
(逃げられない……!)
この場から逃げ出してしまいたいけれど、太陽降り注ぐ真昼間の往来を夜着で歩くなんて恥ずかしすぎて無理だ。
しかも靴も履いてなかったんだわと、ぼんやりと思い出す。
グラートが眠っている間にこっそりと帰るのは無理そうだと、ソフィアがどうしよう、と手にしていた夜着を握りしめたその時。
背後でのっそりと起き上がった気配がして、ベッドがぎしりと音を立てた。
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
魔力満タン・満腹になったらヒーローの白いのが出て来ちゃう
というのが書きたかったんです\(^p^)/
ちなみに飲み込まれた白いのは即座に魔力に変換されている、という感じです……たぶん…… ←
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