ホントのきもち

桜月みやこ

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しちゃった。

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その日のサーシャは、きっと誰がどう見ても酔っ払いだったに違いない。

結婚式が行われたその日は村中の人が集まっての大宴会で、あちらこちら酔っ払いだらけだった。

幼馴染のロランとサーシャも、祝いと言う事で出されていた少し上等な果実酒を、少しだけのつもりでこっそり口にして、そしてその飲みやすさに騙されてくぴくぴといってしまった。
そして宴会の場がお開きになった今、2人はロランが1人で暮らしている村外れの小さな家に、余っていた果実酒をこれまたこっそり拝借してきていた。

「ろらんのぉ、失恋記念日にかんぱ~~い!」
「はいはい、カンパイ」
「だから早く告白しちゃえって言ってたのにぃ」

コップに口をつけながらへにゃへにゃと笑っているサーシャの頭を、ロランがはいはい、とぐっしゃぐっしゃと掻き回す。

この日の新婦はロランがずっと憧れていた、ロランとサーシャの2つ上のオーガスタ姉さん。

年下を気にしてなのか、いつまでも告白しないでいたロランに口癖のように「告白しちゃいなよ」と言い続けていたサーシャは、馬鹿だなぁ、とロランの頭を掻き回し返す。

「ろらんはさぁ、これで村を出て行っちゃったりするの?」

へにゃへにゃと笑っていたサーシャが、急にシュンとしたようにそんな事を言う。

「いや、別にそこまで考えてない」
「でもおししょー様に呼ばれてるんでしょう?」

ロランは以前村に暫く滞在していた薬師の仕事に興味を持ってその薬師に弟子入りして、薬師からもその才を見込まれている。
薬師がいる間に色々な事を学んだし、今でも時折ふらりとやって来ては、ロランにあれこれ教えたり書物を授けたりしている"おししょー様"は、最近熱心にロランを王都に来ないかと誘っているらしい。

「王都行ったらさー、キレーな女の子たくさんいそうだよねぇ。良いじゃん。ろらんは顔はいーんだから、きっとモテるよ~」

またへにゃへにゃと笑いだしたサーシャに、ロランは別に、とそっぽを向く。

「好きでもない女からモテても嬉しくない」
「えー?姉さん似の美人さんだっているかもよー」
「……似てても、本人じゃないだろ」
「そーだけどさぁ……じゃあろらんは、まだ村にいてくれるの?」

机にふにゃっとしなだれ掛かったサーシャの顔にかかった髪を払ってやりながら、ロランはいるよ、と答える。

サーシャはそっかぁ…と呟いて、コップをゆらゆらと揺らす。
ふいに訪れた沈黙の時間。

サーシャがことんとコップを置いた音が、何だかやけに室内に響いた。

「じゃあさぁ、わたしがなぐさめてあげよーか?」
「───慰める?」

ロランが何それ、と言って自分のコップに口をつける。

「うん、そぉ。姉さんほどれはないけろぉ、わたしらってけっこー胸あるよ。エッチしたことはないけろ、たぶん、らいじょーぶ!」

えへへーと笑ったサーシャを、ロランがマジマジと見つめる。

「サーシャ、自分が何言ってるか分かってる?」
「わぁかってるよぉ。サーシャさんがぁ、失恋して泣いてるろらんをぉ、なぐさめてあげるのぉ」

そう言った途端、サーシャはロランの首にするりと腕を巻き付ける。

「こら、サーシャ」
「んー、ろらんいいにおいするー」

すん、とロランの首筋に鼻をあてているサーシャの身体を緩く抱きとめながら、ロランは溜息を落とす。

「ほら、離れろよ。別に慰めて貰わなくても大丈夫だから」
「だーめ。わたしがきめたの。ろらんとエッチなことするの」

すんすんとロランの匂いを嗅いでいたサーシャがふいにぺろりとロランの首筋を舐める。

「っ──おい、サーシャ」

ロランはサーシャを引き離そうとしたけれど、サーシャの腕が思いの外しっかりと巻きついていて離れない。

「いい加減にしないと怒るぞ、サーシャ」

ロランが少しキツイ口調でそう言うと、僅かにサーシャの腕が緩んで身体が離れた。
ほっと息をついたロランは、けれど次の瞬間唇に感じた柔らかな感触に、目を見開く。

ちゅっと小さな音を立てて離れたサーシャの唇が、小さく弧を画いた。

「ろらんのくちびる、やわらかぁい」

もっと、とまた重ねられた唇に、ロランは目眩を覚える。
ちゅっちゅっと可愛らしく繰り返されるキスに、ロランは自身の昂りを覚えて、慌ててサーシャの肩を掴む。

「サーシャ、本当いい加減に……」
「ね、エッチしよーよ、ろらん。姉さんの代わりでいーから。ろらんの好きにしていーから……」

ちゅっとまたキスをしたサーシャに、ロランはこの酔っ払いと小さく舌打ちを落として──けれど次にサーシャの口から零れた小さな小さな呟きに、動きを止めた。

「ろらん、すき」

サーシャ自身言うつもりはなかったのかもしれない、聞き取れたのが奇跡なくらいのその小さな呟きに、ロランはぐっと拳を握る。

「──っ後悔しても知らないからな、馬鹿サーシャ」

ロランはサーシャの身体を抱き上げると、部屋の奥へとサーシャを運んで、そして固いベッドにサーシャを横たえる。

 ──自分のベッドに、サーシャがいる。

その事実だけで更に昂りが増して、ロランはもう知るかとばかりにサーシャに覆い被さった。

「ろらん……」

腕を伸ばして来るサーシャの身体を抱きしめて、今度は自分からサーシャの柔らかな唇に自身のそれを押し付ける。

「んっ……ろらん……ろらん……」

キスの合間にサーシャの口から零れる自分を呼ぶ甘い声音に、ロランは何度もその唇を味わって、そしてサーシャの豊かな胸の膨らみに手を伸ばす。

「あっ……」

思ったよりもずっとずっと柔らかなそれを揉みしだくと、サーシャの口から吐息が漏れた。
ふにふにと揉んでいるうちに、サーシャの頂きが硬くなってきて、つんと立ち上がってくる。

「やぁっ……ろらん、それだめぇっ……」

ロランがそこを撫でたりつまんだりしてみると、サーシャの背が跳ねて、イヤイヤと首を振る。

「だめなのか?本当に?」
「だめ、なの……おなかのおく、ヘンだから……」

だめぇ、とちっともダメそうには聞こえない声だったから、ロランはひとまず柔らかな胸から手を離すとサーシャのエプロンドレスのボタンに手をかける。

「サーシャ、これ脱ごうか」

ぷち、と器用にボタンを外したロランをぼんやりと見上げていたサーシャが、うん、と小さく頷いた。

ロランは1度サーシャの身体を起こすと、前ボタンを3つ外して、腰で結ばれているエプロンを解いて、そしてワンピースの裾を持ち上げると、両腕を上げたサーシャの頭からバサりとエプロンごとワンピースを引き抜く。

サーシャの長い髪が乱れて、落ちた。

健康的に日焼けしている顔や腕以外の、日に当たらないサーシャの身体は思ったよりも白くて、ロランは思わず息を飲んだ。

たゆっと揺れた胸に噛み付くように顔を寄せると、サーシャが僅かに身体を引く。
ロランは逃げられないようにサーシャをベッドに押し倒すと、胸の頂きを吸って舐めて、そして空いたもう片方を指先でいじる。
子供の頃からずっと一緒にいるロランでさえ聞いたことのない、甘やかな可愛らしい声が、ロランの鼓膜を揺らした。

初めて触れる女の身体に、サーシャの身体に、その柔らかさに、ロランは夢中になった。

撫でても揉んでも、舐めても噛んでも、サーシャはいや、だめと言いながらも可愛く啼く。
ふと、サーシャの腰が揺れていることに気付いたロランは、あぁそうだとサーシャの足の間に指を滑らせた。
辿り着いた下着の上から撫でてみると、そこはしっとりと濡れていた。

「ひゃんっ」

サーシャにしてみれば突然の事だったその行為に、サーシャは身体を跳ねさせる。
けれどロランの指は、更に下着の隙間から中へと侵入してくる。
割れ目を直接撫でられて、サーシャは子猫みたいな声をあげた。

「サーシャのここ、トロトロだ。ほら、いやらしい音してる」

くちくちと水音を響かせながらそんな事を言うロランに、サーシャは首を振る。

「だって、ろらんがおっぱいいじるから……おなかのおくから、トロトロって……ろらんのせー…だもん」
「じゃあ責任取らないとな」
「せきにん……?」

ロランはサーシャの下着を下ろしてぽいと放ると、膝をぱかりと開かせる。
サーシャがやだぁと足を閉じようとするのを手で押さえて、ロランはサーシャの割れ目に舌を這わせた。

「や、やだっ…!ろらん、だめっ……そんなとこ、きたな……!」

腰を捩って逃げようとするサーシャの、足を押さえている手に力を込めてロランはぐっとサーシャの蜜壷の中に舌を挿れる。

「ひゃっ!!」

びくりと震えたサーシャの中を舌でかき混ぜてみれば、サーシャはまたいや、だめと可愛く啼く。
蜜壷の少し上の、ぷくりと膨らんでいる突起にも舌を這わせると、サーシャの身体が大きく弾んだ。
ロランが突起を噛んでみると、サーシャの口からは悲鳴のような声が零れてロランから逃げようともがき始める。

そこをいじるとサーシャの蜜壷からトロトロとたくさんの蜜が溢れて来る事に気付いたロランは、突起を責めた。
舐めて、吸って噛んで、舌先で転がして……
トロトロの蜜壷にも指を挿れてかき混ぜると、サーシャの口から一際高い声が零れて、そしてぷしゅっと透明な体液が吹き出してきた。

顔にかかった飛沫を、ロランはあぁこれが…と指で拭う。

「やっ……ろらん、ごめんなさい……ごめ…なさ……」

しゃくり上げながら謝るサーシャのその頬に、ロランはキスを落とす。

「サーシャ、今のはイッたんだ」
「いった……?」
「そう。女の子は気持ち良いと、今みたいに潮を吹くんだって──なぁ、サーシャ。気持ち良かった?」

髪を撫でられながらそんな事を聞かれて、サーシャは恥ずかしそうに顔を背けながらも、うん、と小さく頷いた。

「きもち、よかった……」
「もっとしても良い?」

ちゅっとキスをされて、サーシャは今度は少しだけ考えると、やだ、と首を振った。

「気持ち良かったのに?」
「だって……おなかのおく、きゅってなるの……何か、たりなくて……むずむずしちゃうから……だめ」

潤んだ瞳でそんな事を言われたロランのロランが、またムクリと大きさを増す。
というかもう限界だ。ギチギチで痛い──

ロランは身体を起こすと、シャツもズボンもパンツも、ものすごい速さでぽいぽいと脱ぎ捨てて、ぽやんとその様子を眺めていたサーシャの身体を抱き締めた。

「サーシャ、挿れても良い?」
「う、ん……」

小さく頷いたサーシャに、ロランはサーシャの割れ目に己を押し付けて──そしてふと思い出す。

男だけが集まると、やっぱり話はそういう方向へ行く事が多い。
「女の穴はちいせーからしっかり解してやらねーと」
「多少痛がっても、まぁすぐに慣れてアンアン言うけどな」
ガハハ、と笑う男達を下品だなぁなんて思った事もあったけれど、もしかして結構重要な事だったのかなと、ロランはサーシャに押し付けていた自身を引くと、つぷんとサーシャの蜜壷に指を入れる。

「んっ……」

ぴくんと小さく反応したサーシャの額にキスを落とす。

「痛くない?」 
「ん……だいじょーぶ」
「じゃあこれは?」

指を2本に増やしてみると、少しだけサーシャの眉が寄る。

「痛い?」
「う……ん、へーき……」

痛いのかな、とロランは何度か指を抜き差しして、中を掻き混ぜた。
そうするとサーシャはすぐにあの甘い声で啼いて、ロランにしがみ付いて来る。
指を3本に増やしたら、ぎゅうっとサーシャの腕に力が籠った。

顔が見えないなと思いながらも、サーシャの声に少しの苦痛が混ざっていたから、ロランはゆっくりと抜き差しだけを繰り返す。
少しずつ、サーシャの少し強張っていた身体から力が抜けて、声にも甘さが宿る。

「サーシャ」

耳元で名前を呼べば、嬉しそうにへにゃっと笑う。
指の動きにも蕩けるような声で、反応で、ロランに応える。

「サーシャ、良い?」

ロランが限界、と言えば、サーシャは迷う事なくうん、と頷いた。



ロランの指に溶かされて、サーシャはもうあまり言葉の意味を考える事なんてできなくなっていた。
だからロランが「良い?」と聞いてきた時も、ちらりと何をだろう、と思ったけど、さっきからずっと気持ち良い事しかされていないから──指が増えた時は少し痛かったけれど、そんなのもすぐにどこかへ行ってしまったから、
だからサーシャは、迷う事なくうんと頷いた。

すぐにサーシャの入り口に何だか熱くて太いものがあてられて、あれ?と思った時にはずずっとサーシャの中に押し入って来た。

「やぁっ……!いたっ……!!」

今までのロランの指との、あまりの質量の違いにサーシャの入り口が悲鳴を上げる。

「サーシャ、ゆっくりするから……すぐ良くなるはずだから……」

ロランがサーシャをぎゅうっと抱き締めてそう言うから、サーシャは涙をぽろぽろ零しながらも、うん、とロランに抱き着いて、必死に堪えた。
ロランは言葉の通りにゆっくりゆっくり、小さく腰を揺らしながら進んでくれた。
けれど痛みは増すばかりで、少し奥で無理矢理押し開かれるような感覚の直後にものすごい痛みに襲われて、サーシャは悲鳴を上げてしまった。

「痛っ…痛いの、ろらん!やだ、もぉやだ……っ!」

痛みから逃げたくて、サーシャは身体を捩る。
けれどそうすると中に挿ったままのロランが擦れて、余計に痛む。

「サーシャ、少し我慢して」

名前を呼ばれて、涙を拭われて、キスをされて、
ロランが、ロランの声が、手が、唇が、全部が優しかったから、サーシャはがんばる、とこくこくと頷いた。


けれど、ロランが全部挿っても、ゆっくり動き始めても、サーシャは痛いまんまだった。
指でしてくれていた時はあんなに気持ち良かったのに、ロランのおおきいのは、ただただ、痛かった。

でも「ろらんの好きにしていーよ」って、自分から言ったから、やめてなんて言えなくて、
サーシャはロランにしがみ付いて、いたい、と零れそうになる声を必死で飲み込んだ。
時折痛い?大丈夫?と聞いてくれるロランに、だいじょうぶ、もっと、と返しながら、サーシャは一生懸命、耐えた。



何だこれ、ヤバい。気持ちいい──

ロランはきゅうきゅうと締め付けて来るサーシャに、意識まで持って行かれそうになっていた。
めちゃくちゃに腰を振りたい衝動を何とか抑えて、ゆっくり進んで、そうしてやっとサーシャの一番奥にたどり着いた時、ロランはふと気づいた。

「サーシャ……サーシャ?痛いか?」

さっきまでのような甘い声が聞こえてこなくて、ロランはサーシャに確認をする。
けれどぎゅうっと抱き着いたまま荒い息の中でだいじょーぶ、と言われれば、もうサーシャの中を犯す事でいっぱいの頭はそれを鵜呑みにする事しか出来なかった。

「サーシャ……っ」

ゆっくり、ゆっくり、と頭の中で唱えながらも、それでも早くなってしまう腰の動きを、ロランはもう抑えることが出来なくて、
ろらん、と名前を呼ばれる度に高まる感情のまま、サーシャに腰を打ち付けて、欲望をぶつけた。



「サーシャ、すごい良い……サーシャ……」
「んぁっ、ろらん……!ぃ、あっ……っ!」

部屋の中に2人の身体がぶつかる音が響いて、がくがくと激しく身体を揺さぶられていたサーシャの中で、ロランがぐっと質量を増して──
そしてサーシャの一番奥で、ロランの熱が弾けた。

どくどくと注がれる熱に、サーシャはその時やっと、少しだけ快感を得た。

ぎゅっと眉を寄せていたロランが何度かサーシャに腰を打ち付けて、そしてはぁっと息をついたその表情を、涙で滲む視界の中で確認したサーシャも、ほっと息をつく。

 ねぇ、ロラン。少しは気持ち良かった?
 わたし、姉さんの代わりに、なれたかな──?

ロランが気持ち良かったのなら、良いなぁ……とぼんやり思いながら、サーシャはゆっくりと意識を手放した。



己の熱を全部サーシャの中に放ったロランは、サーシャが意識を失った事に気付いて慌てて身体を起こす。

「サーシャ」

ぐったりとベッドに横たわっているサーシャの顔は、涙で濡れていた。

「サーシャ……?」

灯りを消していたら、気付かなかったかもしれない。
けれどロランはそんな余裕もなくて灯りは点けっぱなしだったから、気付いてしまったサーシャの目尻から残る幾筋もの涙の痕に、そっと触れる。

痛いと、言っていた。
もぉやだと、言っていた。
少しだから、良くなるはずだからと言って、サーシャの顔も見ずに、サーシャの言葉だけを信じて、抱いた。

気持ち良かった。
信じられないくらい気持ち良くて、だからサーシャだって気持ち良いはずだと、思っていた。

声は?
甘くて可愛いあの声を、聞いただろうか?

いくら思い出そうと思っても、快楽に溺れ切っていた自分の頭では、サーシャの様子を思い出すことが出来なくて──
ロランは呆然とサーシャの涙の痕を拭った。


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