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04 特別が出来た日
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キラキラ輝く4つに分かれたリボンを受け取って、ティレーリアはありがとう!と微笑んだ。
「今日の帰りは…コレに付いて行けば良い」
ヴィリディスが手の平を上に向けると、リボンと同じ水色の小鳥が現れる。
チィッと小さく鳴いてヴィリディスの手の平の上でくるりと旋回すると、ティレーリアの肩に止まった。
「可愛い」
大人しく自分の肩に止まっている小鳥の頭をそっと撫でると、小鳥はチチッと鳴いて、ティレーリアを見上げた。
「ヴィーはすごいのね。わたしなんて小さな怪我を治すくらいしか出来ないわ」
「それだって充分すごいよ」
ヴィリディスの小さな微笑みに、ティレーリアはそうかしら?と首を傾げる。
ティレーリア程度の魔法ならほとんどの人が使える。
特別すごいわけではないし、今見たヴィリディスの魔法の方がずっとずっと凄かった。
「僕には、人を癒すことは出来ないから…」
ぽつんと落とされたヴィリディスの言葉に、ティレーリアは目を丸くする。
「癒しの魔法が使えないの?」
「うん、他は大体使えるけど」
「そっかぁ…じゃあ、ヴィーが怪我したりしたら、わたしが治してあげる!」
どんっと胸を叩いたティレーリアに、ヴィリディスは驚いた様な顔をして、そして少し寂しそうに笑った。
「……うん、その時はよろしく」
「任せて!……本当はね、あんまり魔法の練習は好きじゃないの。でもヴィーがどんな怪我をしても良いように、わたしこれからは練習頑張るわ!」
ぐっと小さな拳を握ったティレーリアに、ヴィリディスは苦笑を零す。
「無理はしないようにね」
「うん、ありがとう」
その日、ティレーリアは水色の小鳥に連れられて無事に村まで辿り着いた。
一人で彷徨っている間に思ったよりも遠くに来てしまっていたみたいで驚いたけれど、
途中小鳥が止まってチィチィ鳴いた木に目印のリボンを結んで来たから、次もちゃんと湖畔に辿り着けるかしらという心配は、なかった。
村では一緒に森に入った子供たちがはぐれたティレーリアを心配して、それを聞いた大人たちが探しに森に入ろうとしているところだった。
大人たちからたっぷりお小言を貰ったけれど、ティレーリアはほとんど聞いていなかった。
その日から毎月1回、10の日はティレーリアにとって特別な日になった。
「今日の帰りは…コレに付いて行けば良い」
ヴィリディスが手の平を上に向けると、リボンと同じ水色の小鳥が現れる。
チィッと小さく鳴いてヴィリディスの手の平の上でくるりと旋回すると、ティレーリアの肩に止まった。
「可愛い」
大人しく自分の肩に止まっている小鳥の頭をそっと撫でると、小鳥はチチッと鳴いて、ティレーリアを見上げた。
「ヴィーはすごいのね。わたしなんて小さな怪我を治すくらいしか出来ないわ」
「それだって充分すごいよ」
ヴィリディスの小さな微笑みに、ティレーリアはそうかしら?と首を傾げる。
ティレーリア程度の魔法ならほとんどの人が使える。
特別すごいわけではないし、今見たヴィリディスの魔法の方がずっとずっと凄かった。
「僕には、人を癒すことは出来ないから…」
ぽつんと落とされたヴィリディスの言葉に、ティレーリアは目を丸くする。
「癒しの魔法が使えないの?」
「うん、他は大体使えるけど」
「そっかぁ…じゃあ、ヴィーが怪我したりしたら、わたしが治してあげる!」
どんっと胸を叩いたティレーリアに、ヴィリディスは驚いた様な顔をして、そして少し寂しそうに笑った。
「……うん、その時はよろしく」
「任せて!……本当はね、あんまり魔法の練習は好きじゃないの。でもヴィーがどんな怪我をしても良いように、わたしこれからは練習頑張るわ!」
ぐっと小さな拳を握ったティレーリアに、ヴィリディスは苦笑を零す。
「無理はしないようにね」
「うん、ありがとう」
その日、ティレーリアは水色の小鳥に連れられて無事に村まで辿り着いた。
一人で彷徨っている間に思ったよりも遠くに来てしまっていたみたいで驚いたけれど、
途中小鳥が止まってチィチィ鳴いた木に目印のリボンを結んで来たから、次もちゃんと湖畔に辿り着けるかしらという心配は、なかった。
村では一緒に森に入った子供たちがはぐれたティレーリアを心配して、それを聞いた大人たちが探しに森に入ろうとしているところだった。
大人たちからたっぷりお小言を貰ったけれど、ティレーリアはほとんど聞いていなかった。
その日から毎月1回、10の日はティレーリアにとって特別な日になった。
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