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番外編
『はちみつの日』SS
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本編あとがきで書くって言ってた番外編が思いのほか長くなっているので……
8/3にTwitter上で開催された 「#はちみつの日一次創作企画」 で書いたものをちょこっと修正したものを上げておきます。
暇つぶしにでもどうぞ~
あとはっちゃけすぎてるので(作者が)危険を察知したら回れ右して下さい。
だってはちみつって言ったらこれしか………(ry
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「セヴィ様宛に、ご実家からお荷物が届いていますよ」
レナードからそう言われて差し出された小包を受け取って、セヴィは何かしら?と箱を振ってみる。
箱の中からは、コトコト と小さな音がした。
🍯◦🍯◦🍯◦🍯◦🍯
「はちみつか」
その日の午後のお茶の時間、さくさくのクラッカーにはちみつをかけて幸せそうに頬張っているセヴィの頬についた屑を指で落としてやってから、クードは小さな琥珀色の液体が入った瓶を持ち上げる。
「良いはちみつを頂いたからお裾分け、だそうです。クードさまもいかがですか?」
とっても美味しいですよと微笑んでいるセヴィの頬をふにふにと撫でながら、クードはそうだな、と口端を上げた。
🍯◦🍯◦🍯◦🍯◦🍯
「ま……待ってください。どうしてお洋服を……」
「はちみつを味わうんだと、言わなかったか?」
「それは聞きましたけど……。でもどうしてはちみつを食べるのにクードさまのお部屋で、お洋服を脱がなくちゃいけないんですか?」
セヴィがそう言っている間にも、クードはセヴィの腕を持ち上げて、ゆったりとした部屋着を頭からするりと引き抜いてしまった。
「どうしてって………まぁ、こうするからだな」
ぽすんと寝台に押し倒されて、クードが寝台の脇のサイドテーブルに置いてあったはちみつの瓶を手に取る。
そしてその瓶を開けると、セヴィの胸の上で瓶を傾けた。
「ひゃっ……!?」
瓶から零れ落ちたはちみつが、とろとろとセヴィの胸の上に落ちていく。
瓶をゆっくり動かしながらセヴィの両胸に円を描くようにはちみつを落としたクードは、瓶をサイドテーブルに戻すとゆっくりとセヴィの肌に舌を這わせた。
「やっ……クードさま………っ」
セヴィの肌に塗りつけるようにはちみつを舌で広げていくクードに、セヴィはイヤイヤと首を振る。
「だめ……だめです、クードさま……っ」
「だめな割に、ここは立ってきたぞ?」
まだ触れてもいないのにぷくりと膨らみ始めている胸の頂を、からかう様にクードが舌先でつん、とつつく。
けれどそれ以上そこには触れずに、クードは頂の周りをくるりと舐めた。
「あぁ……っ」
もどかし気に身体を捩ったセヴィの腰をゆるく押さえて、クードははちみつで描かれている線を舌でなぞって行く。
左の膨らみから、谷間を抜けて右の膨らみへ。
そして頂へと登って、くるりと円を描いてまた谷間へと向かう。
谷間でぴちゃりと音を立ててはちみつを拭うように舐め取っているクードを押し返そうとしたのか、セヴィの手がクードの頭に添えられたけれど、結局その手は弱々しく髪を撫でるように動いただけだった。
「ん……クードさま……そこ……っ」
まだセヴィの肌に残るはちみつを、時折ぴちゃぴちゃと音をさせながら舐めていたクードが、その声に顔を上げる。
口の周りについたはちみつをぺろりと舌で舐め取ると、クードはニヤリと口端を上げた。
「"そこ"?」
「……っ……い、じわる……しないで……っぜんぶ、舐めてくださ……」
「はちみつなら、もう全部舐めたが?」
潤んだ瞳で見上げてくるセヴィに、クードはそうだな、ともう一度はちみつの瓶を手に取る。
「どこを舐めて欲しいのか……自分で塗ってみてくれないか」
「じぶん……で………?」
ふにゃりと眉を下げたセヴィの指を取ると、クードは瓶の中にセヴィの指を導く。
セヴィは少し震える指ではちみつを掬うと、おずおずと自身の胸の、ぷくりと膨らんでいるそこにはちみつを塗りつけた。
「ここ……です………」
「良い子だ」
クードは喉を鳴らすとセヴィの頭を撫でて、そうしてセヴィに見せつけるように今はちみつが塗られたばかりの頂にゆっくりと舌を這わせる。
「あっ……あぁ………っ」
うっとりとしたような吐息を落としたセヴィの頂に残るはちみつを、ぴちゃぴちゃと音をさせて舐め取る。
けれどそこでまた動きを止めたクードに、セヴィは指に残ったはちみつを、今度は反対側の頂に塗りつけた。
そうして胸のはちみつをクードが全て舐め終えた頃には、セヴィはすっかり蕩けてシーツの海にくたりと沈み込んでしまっていた。
「セヴィ?まだたっぷり残ってるぞ?」
はちみつの瓶を軽く揺らしながらそんな事を言われて、セヴィは小さく首を振る。
「も……や、です………はやく……」
「そうか」
クードは一言そう言うと身体を起こす。
そうして寝台を下りようとしたものだから、セヴィはえ?と声を上げた。
「クードさま……?」
どうして?と半身を起こしたセヴィに、クードはわざとらしく首を傾げて見せる。
「もう嫌、なんだろう?」
「!!」
セヴィの耳がぺたりと下がって、今までとは違う涙で瞳が潤む。
「……今日のクードさま、いじわる、です……」
くすんと鼻を鳴らしたセヴィが上掛けを引っ張り上げてその中に潜り込んでしまったのを見て、クードはさすがにいじめすぎたかと、上掛けから覗いている小さな頭を撫でる。
けれど嫌々をするように小さく頭を振られて、もっと深く潜られてしまった。
頭のてっぺんまですっぽりと上掛けに収まってしまったセヴィに、クードはセヴィの背中の辺りに手を移動させる。
「すまなかった──顔を見せてくれ、セヴィ………セヴィ?」
反応のないセヴィの背を上掛け越しに撫でると、ようやくセヴィがちらりと顔を覗かせる。
「もういじわるなこと、言いませんか?」
「………ああ、言わない」
微妙なその間に、セヴィがぷくりと頬を膨らませる。
そしてはちみつの入った瓶とクードを交互に見つめて、うん、と一つ頷くと、上掛けからもそもそと抜け出してクードの手から瓶を取り上げる。
それを一旦サイドテーブルに置くと、セヴィはクードの腕を引いた。
セヴィに誘われるまま寝台に戻ったクードは、けれどセヴィに胸を押されて首を傾げる。
「寝るのか?」
こくんっと無言で頷くセヴィに、クードは首を捻りつつ寝台に背を預ける。
サイドテーブルに手を伸ばして、そうして再び瓶を手にしたセヴィに、クードはほんの僅か眉を寄せた。
「セヴィ?」
それにも答えずにセヴィはクードの足の間に座ると、そこで瓶を傾けた。
「っ……!セヴィっ!?」
とろり、とはちみつがクードを濡らしていく。
「待て、セヴィ……っ!」
半身を起こしたクードの胸を止まれとばかりに手で押して、ことりとサイドテーブルに瓶を戻したセヴィが、クードの足の間に顔を寄せる。
クードが唖然としている間に、セヴィは小さな舌でクードの先端を濡らしているはちみつを舐め始めた。
「セ、ヴィ……っ」
小さな舌でぺろぺろと舐め続けていたセヴィが、唐突にぱくんと先端を口に含んだ。
口内で円を描くように舌を動かしたかと思ったら、そのままゆっくりとクードを飲み込んで行く。
「んんっ……」
けれどセヴィの口には大きすぎるのか、苦しそうな声が漏れた。
「っ……セヴィ、もう良い……」
セヴィの顔を上げさせようとしたクードの手を拒むように、セヴィの小さな頭が上下し始める。
ちゅぷ、ちゅぽ、と水音を立てて、時折苦しそうな声を漏らしているセヴィの拙いけれど懸命な様子に、クードのそこがどくりと大きさを変えた。
「んっ」
驚いたのか、セヴィの身体がぴくんと揺れる。
少し戸惑ったように動き続けるセヴィの頬を撫でて、クードはその動きを少し強引に止めさせると、腰を引いてセヴィの口内から自身を引き出す。
「ん、くーどさま、まだ……」
はふ、と吐息を落としたセヴィの口端に付いているはちみつを拭うと、クードは困った様な小さな笑みを見せる。
「それでは苦しいだろう──根元、を握って」
躊躇いがちにそう指示をするクードに、セヴィはこくんと喉を鳴らすと、クードの根元にそっと手を添える。
「そうだ。根元から、上に向かって……舌、で」
セヴィは再びクードの足の間に顔を埋めると、言われた通りに根元からゆっくりと、様子を伺うように舌を這わせて行く。
「そこを舐めてくれ」
少し上擦ったクードの声に、セヴィはクードの少し括れたところをぺろぺろと舐めてみる。
そこからまだ残っているはちみつを掬うようにくるりと一周して、もう一度ぱくりと先端を口に含んでみると、クードの口から小さく声が漏れた。
クードのその反応に気を良くしたセヴィはもう一度根元に戻って、そしてさっきとは少し場所を変えて舐め上げる。
括れたところを丁寧に舐めて、また根元に戻って今度は先端を含んで──
「っセヴィ……っ」
何だか苦しそうな声がクードの口から零れて、もう甘さの無くなってきてしまった先端からじわりと白濁が滲み出てくる。
セヴィがその白濁をちろりと舐めてみると、はちみつとは全然違った苦味が口内に広がった。
「セヴィ、手で……扱いてくれ」
「しごく………?」
クードの手が根元を握っているセヴィの手に添えられて、そしてその手を上下させられる。
クードにさせられた通りに手を動かしながら、クードの先端を口に含んでみると、セヴィの頭の上からうっ、と小さな声が落ちて来た。
「くーどさま……きもちいい……?」
「あぁ……堪らない」
余裕のなさそうな手でくしゃりと頭を撫でられて、セヴィの胸の中に喜びのようなくすぐったい気持ちが広がる。
あぁ、私にもできる事があったんだ、と、
いつもいつも、クードはセヴィの中は気持ち良い、最高だと言ってくれるけど、セヴィばっかり与えられているような気がしていて、
クードがしてくれる時に感じている気持ち良さも、どうにかなってしまいそうな多幸感も、
セヴィが同じだけクードに返せているのか、分からなかった。
きっと、これなら少しは返せるんだわ
そんな風に思ったセヴィの手に自然と力が籠る。
クードの口からまた小さな呻きが零れて、手の中でびくりと震えた。
さっきよりも固くなったそれを強く握って、セヴィは一生懸命手を動かす。
少し恥ずかしかった水音だって、クードが喜んでくれるならもう恥ずかしくもなかった。
「くっ……ぅ……!セヴィ……っ」
それまでより強さも速度も増した手と、じゅぽじゅぽと水音が響くほどにクードを口いっぱいに含んで懸命に頭を動かしているセヴィに、クードは耐えきれずに声を漏らす。
もうすっかりと甘さなんて無くなってしまったクードの先端から苦い体液が溢れてきて──そうしてセヴィの口内でどくりと膨れ上がった。
「セヴィ、離れろ……っ」
ぐっと頭を引き剥がされそうになって咄嗟に抵抗してみたけれど、セヴィの口からクードが抜けてしまった。
ちゅぷ、と音がしてセヴィの唇が離れた瞬間、クードがぶるりと大きく震えて──そうしてセヴィの口元で白濁がびゅるびゅると弾けた。
不思議な匂いのする、だけどいつもセヴィの中を温かく満たしてくれる白濁が、セヴィの口元を濡らしてぱたぱたと胸や腹に落ちていく。
「すまない、セヴィ!すぐに拭いて……セヴィ……?」
どこか熱に浮かされたような表情で、セヴィが口元に散ったクードの白濁を手で拭う。
そうして白濁で濡れた手をじっと眺めたかと思うと、セヴィは自身の手に唇を寄せた。
「──……っ」
やめろ、と制止しようとしたクードの眼前で、セヴィの小さな舌が、ぺろりと手を、手をべったりと濡らしているクードの白濁を、舐め取った。
艶めかしさすら覚えるセヴィのその姿に、クードは知らずごくりと喉を鳴らす。
「セヴィっ」
クードはセヴィの細い肩を乱暴に掴んで押し倒す。
気遣う余裕など吹き飛んでしまったように覆い被さってきたクードに、セヴィはとろりと微笑むと、ゆっくりと手を伸ばした──
🍯◦🍯◦🍯◦🍯◦🍯
「すまない………」
翌朝、クードは垂れ耳をぺっしょりと垂れさせているセヴィに頭を下げていた。
サイドテーブルの上に戻したはずの瓶がいつの間にやらひっくり返って、中のはちみつがほとんど全部、床に零れ落ちてしまっていたのだ。
久しぶりに相当に羽目を外した自覚のあったクードは寝台の上でセヴィに向かって、深々と頭を下げる──遥か東方の国で最上級の謝罪の意を表すという土下座なるものを、まさか自身でする日が来ようなどとは思ってもいなかったそれを、今まさに一糸纏わぬ姿で最愛の番に向けてしていた。
セヴィは空っぽになってしまった瓶と、床の上でとろりと甘い芳香を放っているはちみつを悲しげに見つめながら小さく頭を振る。
「いいえ、きっと私の置く場所が悪かったんです……私も、ごめんなさい」
「いや、ここに持ち込んだのは俺だ。全て俺が悪い」
また頭を深く下げたクードの姿にセヴィはフルフルっと頭を振ると、意識して明るい声を出す。
「でも美味しいはちみつでしたよね。もしまた貰えたら、次はちゃんと食べましょうね」
私はちみつが大好きなんです、と微笑んだセヴィが、
食堂にずらりと並ぶ色々なはちみつにぽかりと口を開けることになるのは、数日後の話───
🍯 おしまい 🍯
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
今晩中にもう一本、1700文字くらいのSSをUP予定です!
8/3にTwitter上で開催された 「#はちみつの日一次創作企画」 で書いたものをちょこっと修正したものを上げておきます。
暇つぶしにでもどうぞ~
あとはっちゃけすぎてるので(作者が)危険を察知したら回れ右して下さい。
だってはちみつって言ったらこれしか………(ry
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
「セヴィ様宛に、ご実家からお荷物が届いていますよ」
レナードからそう言われて差し出された小包を受け取って、セヴィは何かしら?と箱を振ってみる。
箱の中からは、コトコト と小さな音がした。
🍯◦🍯◦🍯◦🍯◦🍯
「はちみつか」
その日の午後のお茶の時間、さくさくのクラッカーにはちみつをかけて幸せそうに頬張っているセヴィの頬についた屑を指で落としてやってから、クードは小さな琥珀色の液体が入った瓶を持ち上げる。
「良いはちみつを頂いたからお裾分け、だそうです。クードさまもいかがですか?」
とっても美味しいですよと微笑んでいるセヴィの頬をふにふにと撫でながら、クードはそうだな、と口端を上げた。
🍯◦🍯◦🍯◦🍯◦🍯
「ま……待ってください。どうしてお洋服を……」
「はちみつを味わうんだと、言わなかったか?」
「それは聞きましたけど……。でもどうしてはちみつを食べるのにクードさまのお部屋で、お洋服を脱がなくちゃいけないんですか?」
セヴィがそう言っている間にも、クードはセヴィの腕を持ち上げて、ゆったりとした部屋着を頭からするりと引き抜いてしまった。
「どうしてって………まぁ、こうするからだな」
ぽすんと寝台に押し倒されて、クードが寝台の脇のサイドテーブルに置いてあったはちみつの瓶を手に取る。
そしてその瓶を開けると、セヴィの胸の上で瓶を傾けた。
「ひゃっ……!?」
瓶から零れ落ちたはちみつが、とろとろとセヴィの胸の上に落ちていく。
瓶をゆっくり動かしながらセヴィの両胸に円を描くようにはちみつを落としたクードは、瓶をサイドテーブルに戻すとゆっくりとセヴィの肌に舌を這わせた。
「やっ……クードさま………っ」
セヴィの肌に塗りつけるようにはちみつを舌で広げていくクードに、セヴィはイヤイヤと首を振る。
「だめ……だめです、クードさま……っ」
「だめな割に、ここは立ってきたぞ?」
まだ触れてもいないのにぷくりと膨らみ始めている胸の頂を、からかう様にクードが舌先でつん、とつつく。
けれどそれ以上そこには触れずに、クードは頂の周りをくるりと舐めた。
「あぁ……っ」
もどかし気に身体を捩ったセヴィの腰をゆるく押さえて、クードははちみつで描かれている線を舌でなぞって行く。
左の膨らみから、谷間を抜けて右の膨らみへ。
そして頂へと登って、くるりと円を描いてまた谷間へと向かう。
谷間でぴちゃりと音を立ててはちみつを拭うように舐め取っているクードを押し返そうとしたのか、セヴィの手がクードの頭に添えられたけれど、結局その手は弱々しく髪を撫でるように動いただけだった。
「ん……クードさま……そこ……っ」
まだセヴィの肌に残るはちみつを、時折ぴちゃぴちゃと音をさせながら舐めていたクードが、その声に顔を上げる。
口の周りについたはちみつをぺろりと舌で舐め取ると、クードはニヤリと口端を上げた。
「"そこ"?」
「……っ……い、じわる……しないで……っぜんぶ、舐めてくださ……」
「はちみつなら、もう全部舐めたが?」
潤んだ瞳で見上げてくるセヴィに、クードはそうだな、ともう一度はちみつの瓶を手に取る。
「どこを舐めて欲しいのか……自分で塗ってみてくれないか」
「じぶん……で………?」
ふにゃりと眉を下げたセヴィの指を取ると、クードは瓶の中にセヴィの指を導く。
セヴィは少し震える指ではちみつを掬うと、おずおずと自身の胸の、ぷくりと膨らんでいるそこにはちみつを塗りつけた。
「ここ……です………」
「良い子だ」
クードは喉を鳴らすとセヴィの頭を撫でて、そうしてセヴィに見せつけるように今はちみつが塗られたばかりの頂にゆっくりと舌を這わせる。
「あっ……あぁ………っ」
うっとりとしたような吐息を落としたセヴィの頂に残るはちみつを、ぴちゃぴちゃと音をさせて舐め取る。
けれどそこでまた動きを止めたクードに、セヴィは指に残ったはちみつを、今度は反対側の頂に塗りつけた。
そうして胸のはちみつをクードが全て舐め終えた頃には、セヴィはすっかり蕩けてシーツの海にくたりと沈み込んでしまっていた。
「セヴィ?まだたっぷり残ってるぞ?」
はちみつの瓶を軽く揺らしながらそんな事を言われて、セヴィは小さく首を振る。
「も……や、です………はやく……」
「そうか」
クードは一言そう言うと身体を起こす。
そうして寝台を下りようとしたものだから、セヴィはえ?と声を上げた。
「クードさま……?」
どうして?と半身を起こしたセヴィに、クードはわざとらしく首を傾げて見せる。
「もう嫌、なんだろう?」
「!!」
セヴィの耳がぺたりと下がって、今までとは違う涙で瞳が潤む。
「……今日のクードさま、いじわる、です……」
くすんと鼻を鳴らしたセヴィが上掛けを引っ張り上げてその中に潜り込んでしまったのを見て、クードはさすがにいじめすぎたかと、上掛けから覗いている小さな頭を撫でる。
けれど嫌々をするように小さく頭を振られて、もっと深く潜られてしまった。
頭のてっぺんまですっぽりと上掛けに収まってしまったセヴィに、クードはセヴィの背中の辺りに手を移動させる。
「すまなかった──顔を見せてくれ、セヴィ………セヴィ?」
反応のないセヴィの背を上掛け越しに撫でると、ようやくセヴィがちらりと顔を覗かせる。
「もういじわるなこと、言いませんか?」
「………ああ、言わない」
微妙なその間に、セヴィがぷくりと頬を膨らませる。
そしてはちみつの入った瓶とクードを交互に見つめて、うん、と一つ頷くと、上掛けからもそもそと抜け出してクードの手から瓶を取り上げる。
それを一旦サイドテーブルに置くと、セヴィはクードの腕を引いた。
セヴィに誘われるまま寝台に戻ったクードは、けれどセヴィに胸を押されて首を傾げる。
「寝るのか?」
こくんっと無言で頷くセヴィに、クードは首を捻りつつ寝台に背を預ける。
サイドテーブルに手を伸ばして、そうして再び瓶を手にしたセヴィに、クードはほんの僅か眉を寄せた。
「セヴィ?」
それにも答えずにセヴィはクードの足の間に座ると、そこで瓶を傾けた。
「っ……!セヴィっ!?」
とろり、とはちみつがクードを濡らしていく。
「待て、セヴィ……っ!」
半身を起こしたクードの胸を止まれとばかりに手で押して、ことりとサイドテーブルに瓶を戻したセヴィが、クードの足の間に顔を寄せる。
クードが唖然としている間に、セヴィは小さな舌でクードの先端を濡らしているはちみつを舐め始めた。
「セ、ヴィ……っ」
小さな舌でぺろぺろと舐め続けていたセヴィが、唐突にぱくんと先端を口に含んだ。
口内で円を描くように舌を動かしたかと思ったら、そのままゆっくりとクードを飲み込んで行く。
「んんっ……」
けれどセヴィの口には大きすぎるのか、苦しそうな声が漏れた。
「っ……セヴィ、もう良い……」
セヴィの顔を上げさせようとしたクードの手を拒むように、セヴィの小さな頭が上下し始める。
ちゅぷ、ちゅぽ、と水音を立てて、時折苦しそうな声を漏らしているセヴィの拙いけれど懸命な様子に、クードのそこがどくりと大きさを変えた。
「んっ」
驚いたのか、セヴィの身体がぴくんと揺れる。
少し戸惑ったように動き続けるセヴィの頬を撫でて、クードはその動きを少し強引に止めさせると、腰を引いてセヴィの口内から自身を引き出す。
「ん、くーどさま、まだ……」
はふ、と吐息を落としたセヴィの口端に付いているはちみつを拭うと、クードは困った様な小さな笑みを見せる。
「それでは苦しいだろう──根元、を握って」
躊躇いがちにそう指示をするクードに、セヴィはこくんと喉を鳴らすと、クードの根元にそっと手を添える。
「そうだ。根元から、上に向かって……舌、で」
セヴィは再びクードの足の間に顔を埋めると、言われた通りに根元からゆっくりと、様子を伺うように舌を這わせて行く。
「そこを舐めてくれ」
少し上擦ったクードの声に、セヴィはクードの少し括れたところをぺろぺろと舐めてみる。
そこからまだ残っているはちみつを掬うようにくるりと一周して、もう一度ぱくりと先端を口に含んでみると、クードの口から小さく声が漏れた。
クードのその反応に気を良くしたセヴィはもう一度根元に戻って、そしてさっきとは少し場所を変えて舐め上げる。
括れたところを丁寧に舐めて、また根元に戻って今度は先端を含んで──
「っセヴィ……っ」
何だか苦しそうな声がクードの口から零れて、もう甘さの無くなってきてしまった先端からじわりと白濁が滲み出てくる。
セヴィがその白濁をちろりと舐めてみると、はちみつとは全然違った苦味が口内に広がった。
「セヴィ、手で……扱いてくれ」
「しごく………?」
クードの手が根元を握っているセヴィの手に添えられて、そしてその手を上下させられる。
クードにさせられた通りに手を動かしながら、クードの先端を口に含んでみると、セヴィの頭の上からうっ、と小さな声が落ちて来た。
「くーどさま……きもちいい……?」
「あぁ……堪らない」
余裕のなさそうな手でくしゃりと頭を撫でられて、セヴィの胸の中に喜びのようなくすぐったい気持ちが広がる。
あぁ、私にもできる事があったんだ、と、
いつもいつも、クードはセヴィの中は気持ち良い、最高だと言ってくれるけど、セヴィばっかり与えられているような気がしていて、
クードがしてくれる時に感じている気持ち良さも、どうにかなってしまいそうな多幸感も、
セヴィが同じだけクードに返せているのか、分からなかった。
きっと、これなら少しは返せるんだわ
そんな風に思ったセヴィの手に自然と力が籠る。
クードの口からまた小さな呻きが零れて、手の中でびくりと震えた。
さっきよりも固くなったそれを強く握って、セヴィは一生懸命手を動かす。
少し恥ずかしかった水音だって、クードが喜んでくれるならもう恥ずかしくもなかった。
「くっ……ぅ……!セヴィ……っ」
それまでより強さも速度も増した手と、じゅぽじゅぽと水音が響くほどにクードを口いっぱいに含んで懸命に頭を動かしているセヴィに、クードは耐えきれずに声を漏らす。
もうすっかりと甘さなんて無くなってしまったクードの先端から苦い体液が溢れてきて──そうしてセヴィの口内でどくりと膨れ上がった。
「セヴィ、離れろ……っ」
ぐっと頭を引き剥がされそうになって咄嗟に抵抗してみたけれど、セヴィの口からクードが抜けてしまった。
ちゅぷ、と音がしてセヴィの唇が離れた瞬間、クードがぶるりと大きく震えて──そうしてセヴィの口元で白濁がびゅるびゅると弾けた。
不思議な匂いのする、だけどいつもセヴィの中を温かく満たしてくれる白濁が、セヴィの口元を濡らしてぱたぱたと胸や腹に落ちていく。
「すまない、セヴィ!すぐに拭いて……セヴィ……?」
どこか熱に浮かされたような表情で、セヴィが口元に散ったクードの白濁を手で拭う。
そうして白濁で濡れた手をじっと眺めたかと思うと、セヴィは自身の手に唇を寄せた。
「──……っ」
やめろ、と制止しようとしたクードの眼前で、セヴィの小さな舌が、ぺろりと手を、手をべったりと濡らしているクードの白濁を、舐め取った。
艶めかしさすら覚えるセヴィのその姿に、クードは知らずごくりと喉を鳴らす。
「セヴィっ」
クードはセヴィの細い肩を乱暴に掴んで押し倒す。
気遣う余裕など吹き飛んでしまったように覆い被さってきたクードに、セヴィはとろりと微笑むと、ゆっくりと手を伸ばした──
🍯◦🍯◦🍯◦🍯◦🍯
「すまない………」
翌朝、クードは垂れ耳をぺっしょりと垂れさせているセヴィに頭を下げていた。
サイドテーブルの上に戻したはずの瓶がいつの間にやらひっくり返って、中のはちみつがほとんど全部、床に零れ落ちてしまっていたのだ。
久しぶりに相当に羽目を外した自覚のあったクードは寝台の上でセヴィに向かって、深々と頭を下げる──遥か東方の国で最上級の謝罪の意を表すという土下座なるものを、まさか自身でする日が来ようなどとは思ってもいなかったそれを、今まさに一糸纏わぬ姿で最愛の番に向けてしていた。
セヴィは空っぽになってしまった瓶と、床の上でとろりと甘い芳香を放っているはちみつを悲しげに見つめながら小さく頭を振る。
「いいえ、きっと私の置く場所が悪かったんです……私も、ごめんなさい」
「いや、ここに持ち込んだのは俺だ。全て俺が悪い」
また頭を深く下げたクードの姿にセヴィはフルフルっと頭を振ると、意識して明るい声を出す。
「でも美味しいはちみつでしたよね。もしまた貰えたら、次はちゃんと食べましょうね」
私はちみつが大好きなんです、と微笑んだセヴィが、
食堂にずらりと並ぶ色々なはちみつにぽかりと口を開けることになるのは、数日後の話───
🍯 おしまい 🍯
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
今晩中にもう一本、1700文字くらいのSSをUP予定です!
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