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第一部
42. 寂しがり屋な甘えん坊 *
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「んっ……んんっ………ここ……くーどさま、ここ……もっと、して……」
クードに跨って、セヴィは一生懸命動いた。
最初はただ上下するだけだったけれど、その内にこれではだめなんだと気付いて、前後に動いてみたり、ほんの少し体勢を変えてみたり……
そんな風にクードの反応を見ながらゆっくり動いていたセヴィは、見つけてしまった。
いつもクードにごりごりと刺激されると気持ち良くなって、どこかに飛ばされてしまいそうになるところ。
だけど自分で動くだけではなんだか物足りなくて、セヴィは愛しそうに、けれど愉しそうに自分を見つめているクードに懇願していた。
「たりないの、クードさま……っクードさま、おねがい……っ」
キスをして舌を絡めながら、クードの先がその場所に当たるように必死で動いた。
切な気に懸命に、自分の上で動いているセヴィに僅かに目を眇めると、クードはセヴィの頬をゆったりと撫でる。
「しっかり捕まっていろ」
言われて、セヴィは嬉しそうに微笑むとクードの首に腕を回す。
「クードさま………」
期待するような声音で呼ばれて、クードはそれに応えるようにセヴィの背を撫でると、そのまま腰へ滑らせた。
「あぁぁっ! あっ、あっ、そ こ……っくーどさま……っそこ、もっと……!」
甘い啼き声に応えるようにクードに突き上げられて、セヴィは一層高い声で啼いて善がる。
ガツガツと突き上げられて、その度に音を立てるソファにどこか冷静な自分がソファが壊れてしまわないかしら、床は傷つかないかしら、なんて考えて、
けれど与えられる快楽と胸いっぱいに広がる幸福感に、セヴィの思考はすぐにとろとろに溶けてどこかへ流されて行ってしまう。
「くーどさま……くーどさま、すき、です……すき……あぁっ!」
また突き上げられて、跳ねた腰を押さえつけられて一番奥を擦られれば、セヴィの嬌声と共に腟内がひくりと痙攣してクードを締め上げる。
「セヴィ、出すぞ……っ」
「いっしょ、に……っくーどさま……あっ、あぁ……っイッちゃう……!くーどさま、イッちゃ……あ、あ、あぁ──っ!」
ごりごりと擦られて揺さぶられて、ダメ押しとばかりに突き上げられる。
そうして高い高い啼き声でクードの鼓膜を震わせながらセヴィが達した直後、クードもまたセヴィの最奥で勢いよく白濁を放った──。
❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊
「失礼します」
軽いノックの音にクードが入ってくれと返すと、レナードとカーサが揃って入ってくる。
「どうかされましたか」
自室ではなく何故だか応接室に、しかもセヴィの事で話があると呼び出された為にどこか心配そうな顔をしているレナードに、クードはあー……と呻きつつ困ったように前髪をぐしゃりと掻き上げた。
クードが日常の生活に戻って五日が経った。
一見すると何の問題もなく過ごせている──が、クードは少しばかり困った事態に陥っていた。
「……その、だな………セヴィが、可愛くて仕方がないんだが……」
「………惚気るために呼んだんですか?」
「そうじゃない……そうじゃないんだが、とにかく可愛いくてどうして良いか分からない」
はぁっと何故か重い息を吐き出しているクードに、レナードとカーサは訝しげに首を傾げた。
「話とは、セヴィ様がお可愛らしい、ということですか?」
「──そうだ」
やっぱり惚気じゃないか、とレナードは心の中で呟いて、カーサはまぁまぁと孫を見るような目で微笑んでいる。
クードはもう一度息を吐くと、カーサに視線を向けた。
「本当に、日中セヴィに変わりはないか?」
「えぇ……時折お寂しそうな様子で窓の外を眺めてらっしゃる事もございますが、それ以外は今まで通り過ごしてらっしゃいますよ」
「寂しい……と口にすることはあるか?」
「いいえ。私どもの前では……」
むぅ、と難しい顔をしたクードに、ですが、とレナードが頬を緩める。
「セヴィ様に寂しがって頂けるようになった、というのは我々にとっては一安心ですね──セヴィ様のお気持ちを考えると手放しでは喜べませんが」
「そうねぇ……兎族のあれは、時間が解決するものでもありませんし……」
カーサの呟きに、クードが顔を上げる。
「"あれ"?」
「えぇ、兎族のあれですよ── 寂しがり屋な甘えん坊。セヴィ様だと一層可愛らしい感じがしますね」
ふわふわと微笑んでいるカーサに、クードが片眉を上げる。
「寂しがり屋な甘えん坊……?」
不思議そうに何だそれはと言ったクードに、今度はレナードとカーサが不思議そうな顔をする。
「何って……兎族の性質と申しますか……あらやだ、まさかクード様ご存知ありませんでしたか?」
あらあらまぁまぁと口元に手を充てて目を丸くしているカーサに、クードは慌てたように身を乗り出した。
「寂しかった、と一晩の間に何度も言うんだ。元々甘えてはいたが……なんと言うか、本当に一時も離れないというか……とにかくベッタリで、さすがに心配になってだな……。その兎族の性質、というもののせいか?」
真剣な表情をしているクードにカーサも表情を改めると、良いですか、と指を立ててみせる。
「兎族は元来寂しがり屋な種だと言われているんです。家族や恋人への愛情は特に深いそうで、一度親愛の情を抱いた相手にはそれはもう、先ほどクード様もおっしゃっていらしたように、ベッタリになるのだと言われております」
「"兎族は寂しいと死んでしまう" 等と揶揄われる事もあるくらいですからね」
レナードの補足に、クードががばりを顔を上げる。
「死ぬ……!?」
「いえ、本当に死んでしまうわけでは………あー……」
バァーン!と派手に音を立てて部屋を飛び出して行ってしまったクードを見送って、レナードがやれやれと肩をすくめる。
「まさか兎族の性質をご存知ないとは……」
「本当に。常識のようなものなのに……。厨房に明日の朝食はお部屋でと、伝えておこうかしら?」
「それが良いでしょうね」
同意を示したレナードに微笑んで、カーサはいそいそと厨房へ向かおうとして、はたと足を止める。
「そう言えばレナード。まだあの件はクード様にはお話していなかったわよね……?」
「あぁ、そうですね……クード様が完全に落ち着くまでは、と思っていましたが……しかしセヴィ様の事を考えると、早めにお話した方が良さそうですね」
「そうねぇ……明日にでも様子を見て、クード様にお伝えしましょう」
二人は顔を見合わせて頷き合うと、応接室を後にした。
クードに跨って、セヴィは一生懸命動いた。
最初はただ上下するだけだったけれど、その内にこれではだめなんだと気付いて、前後に動いてみたり、ほんの少し体勢を変えてみたり……
そんな風にクードの反応を見ながらゆっくり動いていたセヴィは、見つけてしまった。
いつもクードにごりごりと刺激されると気持ち良くなって、どこかに飛ばされてしまいそうになるところ。
だけど自分で動くだけではなんだか物足りなくて、セヴィは愛しそうに、けれど愉しそうに自分を見つめているクードに懇願していた。
「たりないの、クードさま……っクードさま、おねがい……っ」
キスをして舌を絡めながら、クードの先がその場所に当たるように必死で動いた。
切な気に懸命に、自分の上で動いているセヴィに僅かに目を眇めると、クードはセヴィの頬をゆったりと撫でる。
「しっかり捕まっていろ」
言われて、セヴィは嬉しそうに微笑むとクードの首に腕を回す。
「クードさま………」
期待するような声音で呼ばれて、クードはそれに応えるようにセヴィの背を撫でると、そのまま腰へ滑らせた。
「あぁぁっ! あっ、あっ、そ こ……っくーどさま……っそこ、もっと……!」
甘い啼き声に応えるようにクードに突き上げられて、セヴィは一層高い声で啼いて善がる。
ガツガツと突き上げられて、その度に音を立てるソファにどこか冷静な自分がソファが壊れてしまわないかしら、床は傷つかないかしら、なんて考えて、
けれど与えられる快楽と胸いっぱいに広がる幸福感に、セヴィの思考はすぐにとろとろに溶けてどこかへ流されて行ってしまう。
「くーどさま……くーどさま、すき、です……すき……あぁっ!」
また突き上げられて、跳ねた腰を押さえつけられて一番奥を擦られれば、セヴィの嬌声と共に腟内がひくりと痙攣してクードを締め上げる。
「セヴィ、出すぞ……っ」
「いっしょ、に……っくーどさま……あっ、あぁ……っイッちゃう……!くーどさま、イッちゃ……あ、あ、あぁ──っ!」
ごりごりと擦られて揺さぶられて、ダメ押しとばかりに突き上げられる。
そうして高い高い啼き声でクードの鼓膜を震わせながらセヴィが達した直後、クードもまたセヴィの最奥で勢いよく白濁を放った──。
❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊
「失礼します」
軽いノックの音にクードが入ってくれと返すと、レナードとカーサが揃って入ってくる。
「どうかされましたか」
自室ではなく何故だか応接室に、しかもセヴィの事で話があると呼び出された為にどこか心配そうな顔をしているレナードに、クードはあー……と呻きつつ困ったように前髪をぐしゃりと掻き上げた。
クードが日常の生活に戻って五日が経った。
一見すると何の問題もなく過ごせている──が、クードは少しばかり困った事態に陥っていた。
「……その、だな………セヴィが、可愛くて仕方がないんだが……」
「………惚気るために呼んだんですか?」
「そうじゃない……そうじゃないんだが、とにかく可愛いくてどうして良いか分からない」
はぁっと何故か重い息を吐き出しているクードに、レナードとカーサは訝しげに首を傾げた。
「話とは、セヴィ様がお可愛らしい、ということですか?」
「──そうだ」
やっぱり惚気じゃないか、とレナードは心の中で呟いて、カーサはまぁまぁと孫を見るような目で微笑んでいる。
クードはもう一度息を吐くと、カーサに視線を向けた。
「本当に、日中セヴィに変わりはないか?」
「えぇ……時折お寂しそうな様子で窓の外を眺めてらっしゃる事もございますが、それ以外は今まで通り過ごしてらっしゃいますよ」
「寂しい……と口にすることはあるか?」
「いいえ。私どもの前では……」
むぅ、と難しい顔をしたクードに、ですが、とレナードが頬を緩める。
「セヴィ様に寂しがって頂けるようになった、というのは我々にとっては一安心ですね──セヴィ様のお気持ちを考えると手放しでは喜べませんが」
「そうねぇ……兎族のあれは、時間が解決するものでもありませんし……」
カーサの呟きに、クードが顔を上げる。
「"あれ"?」
「えぇ、兎族のあれですよ── 寂しがり屋な甘えん坊。セヴィ様だと一層可愛らしい感じがしますね」
ふわふわと微笑んでいるカーサに、クードが片眉を上げる。
「寂しがり屋な甘えん坊……?」
不思議そうに何だそれはと言ったクードに、今度はレナードとカーサが不思議そうな顔をする。
「何って……兎族の性質と申しますか……あらやだ、まさかクード様ご存知ありませんでしたか?」
あらあらまぁまぁと口元に手を充てて目を丸くしているカーサに、クードは慌てたように身を乗り出した。
「寂しかった、と一晩の間に何度も言うんだ。元々甘えてはいたが……なんと言うか、本当に一時も離れないというか……とにかくベッタリで、さすがに心配になってだな……。その兎族の性質、というもののせいか?」
真剣な表情をしているクードにカーサも表情を改めると、良いですか、と指を立ててみせる。
「兎族は元来寂しがり屋な種だと言われているんです。家族や恋人への愛情は特に深いそうで、一度親愛の情を抱いた相手にはそれはもう、先ほどクード様もおっしゃっていらしたように、ベッタリになるのだと言われております」
「"兎族は寂しいと死んでしまう" 等と揶揄われる事もあるくらいですからね」
レナードの補足に、クードががばりを顔を上げる。
「死ぬ……!?」
「いえ、本当に死んでしまうわけでは………あー……」
バァーン!と派手に音を立てて部屋を飛び出して行ってしまったクードを見送って、レナードがやれやれと肩をすくめる。
「まさか兎族の性質をご存知ないとは……」
「本当に。常識のようなものなのに……。厨房に明日の朝食はお部屋でと、伝えておこうかしら?」
「それが良いでしょうね」
同意を示したレナードに微笑んで、カーサはいそいそと厨房へ向かおうとして、はたと足を止める。
「そう言えばレナード。まだあの件はクード様にはお話していなかったわよね……?」
「あぁ、そうですね……クード様が完全に落ち着くまでは、と思っていましたが……しかしセヴィ様の事を考えると、早めにお話した方が良さそうですね」
「そうねぇ……明日にでも様子を見て、クード様にお伝えしましょう」
二人は顔を見合わせて頷き合うと、応接室を後にした。
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