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「そういえば、お前はどの辺りにいるんだ?」
「どの辺り?」

 翌朝、出仕支度をしていたブラウンが思い出した様に問うと、ベッドの中のマーシャはこてんと首を傾げた。
 ブラウンはマーシャの寝癖を撫でつけながら「今度の合同演習だ」と答える。

「合同演習……?」

 きょとんとしているマーシャに、ブラウンは信じられないものを見るような目を向ける。

「来週あるだろう。騎士団と魔法師団の、大規模合同演習が」
「あ……あー、あれですか。いえ、私は不参加で。というかガルーシュ様からお前がいると連携も何もないから絶対近寄るなって。なのでその日も研究室に籠ってます」 

 バルちゃんと色々調整しなくっちゃ! と握り拳など作っているマーシャに、ブラウンは何だ、とつまらなさそうな顔を見せる。

「どこでどんな大物ぶっ放すかと期待したんだが……残念だ」
「別に私の攻撃魔法は普通ですけど……」
「自分基準で物を言うな」

 ぴんっとおでこを弾かれて、マーシャは首を傾げつつも「ブラウン様が私に期待……?」と胸を高鳴らせた。

「さて、俺はもう出るが……マーシャはこのまま寝てて良いぞ」
「ブラウン様がいらっしゃらないのに居座るなんてしませんよ。とりあえず帰りま……あぅぅっ……!」

 身体を起こそうとしたものの、昨晩の激しすぎる運動により身体中のあちこちが悲鳴を上げたマーシャの情けない声に、ブラウンはそらみろ、とマーシャをベッドに戻す。

「ガルーシュには休むと伝えておく。好きなだけ休んでいろ」

 くしゃくしゃと頭を撫でられて、マーシャは小さく唸る。

「じゃあ、お言葉に甘えてこのまま寝てます……えぇっと、あの……い……いって、らっしゃい……」

 恥ずかしそうにそう言ったマーシャのおでこに口付けて、ブラウンは行ってくると自宅を後にした。
 

 そうして借りていたバングルの返却と共にマーシャの休みを伝えに来たブラウンに、ガルーシュはそれはそれは、と笑顔を見せた。

「うーん……マーシャが落とされた方かな?」

 ガルーシュのそんな呟きにブラウンは首を傾げたが、気にするなと言われてしまう。

「あれは突飛な事も仕出かすが、まぁブラウンなら上手く手綱を握れるだろうからね。期待しているよ」
「いや、全く握れる気はしないが……」
「まだ持ってても良いんだよ」

 バングルを振ってみせたガルーシュにブラウンは首を振る。

「確かに大人しくはなるが、どうにもつまらん」

 マーシャはマーシャだから面白い、と言って部屋を出て行くブラウンの背中を、ガルーシュはおや、と見つめる。

「……あれ。やっぱりブラウンが落ちた方か?」

 まぁどっちでも良いか、とガルーシュはバングルを撫でながら満足気に微笑んだ。


 翌日、騎士団と魔法士団の役職者が集まった会議で、大きな変更もなく六日後の大規模合同演習を予定通りに行う事が決せられて、騎士団も魔法師団も最終準備に追われた。
 ブラウンも多忙を極め、マーシャと顔を合わせる暇はほとんどなかった。

 そうして迎えた合同演習当日――もう間もなく全ての演習が無事に終わる、という頃にそれは起こった。
 
 平原で行われていた実戦作戦も終盤。突如その平原に一人の魔法士が現われた。
 何だ? どうしてあんなところに? 作戦の変更か? と団員たちがざわめき始めた頃。
 幾重にも張られていた防御魔法が一瞬で無効化されて、魔法師団員たちがそれに気づいた時には、空を割るような轟音が鳴り響いていた。
 巨大な雷が落ちたかのような衝撃の後、団員たちが目にしたのは、ぽっかりと大地に開いた巨大なクレーター。

 即座に異常を察知したガルーシュとブラウンが駆けつけて、そうしてもうもうと立ちこめる土埃の中にいる犯人の姿に、二人は頭を抱えた。
 その犯人から「だってブラウン様が見たいっておっしゃったから……」ともじもじしながら「どうですか?」とばかりに期待に満ちた目で見つめられたブラウンは、ひくりと頬を引き攣らせた。
 犯人は――マーシャは、その場でブラウンから鉄拳を食らい即回収。魔法士団長室へと連行され、そこでガルーシュから滾々と説教を食らった。
 幸い――そこはきちんと考えましたよぅ! との事だったが――人間への被害はなかったものの、マーシャは綿密に計画された演習を妨害した事で十日間の謹慎処分を食らって、
 その謹慎期間中、ブラウンから散々に夜のお仕置きをされたのだった。

 そしてマーシャの謹慎明けと同時に、騎士団長の名に相応しい立派過ぎる筋肉と腕っぷしのブラウンと、その魔力の高さも魔法も飛びぬけているものの今や魔法士団・騎士団の全ての団員から問題児認定されているマーシャの、とんでも夫婦が爆誕した。
 浮いた噂の一つもなく独身を貫いていた質実剛健な騎士団長と、問題行動により謹慎を食らった魔法士との突然の婚姻に、ブラウンを敬愛する騎士団員たちからは非難の声が上がった。
 能力だけは優秀な問題児を監視するために魔法師団長によって無理矢理まとめられたのではないか、という噂が立ったのだ。
 が、そんな噂はブラウンとマーシャの人目も憚らぬ仲睦まじさにすぐに消えていった。



「ブラウン様、見てください。バルちゃんの触手、また増えましたよ」
「おい、待て。そんなには入らな……うぐっ!!」
「あー……っすごいです、ブラウン様……♡ すっごくキツくなって……っあ、やんっ! そこ舐めちゃイヤで……あぁんっバルちゃんも、だめぇ……っ!」
「こら、マーシャの中には勝手に入るなと……っ……このっ! 挿れるぞ、マーシャ」

 ぬちゅぬちゅと本体と触手でブラウンの後孔を犯しながらマーシャの膣内にも触手を伸ばしたバルちゃんを制するように、ブラウンはマーシャの中へと男根を穿つ。
 
「あぁぁんっ! ぶらうんさま……っあ、締まって……あんっ! だめ、ナカ……ゴリゴリしないでぇ……っ!」
「嘘をつけ。こうして……うっ……擦られ、て……突かれるのが、ぅあっ……あ……っ好き、だろう……?」

 擦られて突かれて、擦って突いて――もう何がどうなって何に感じているのかもよく分からなくなりながら、ブラウンとマーシャは今夜も互いに犯し犯される。

「あ、あ……ブラウンさま、イく……っも、イくのぉ……! バルちゃん……バルちゃんも、出してぇ……っ!」
「そら、イけ! くっ……あ……っ!」
「あぁぁぁんっ!」

 派手に潮を吹きながらマーシャが絶頂して、その絶頂を受け取ったバルディーアが承知とばかりにブラウンの中で粘液をびゅびゅっと噴射する。
 バルディーアの吐精もどきをすっかりと快楽としてしか捉えなくなってしまったブラウンもまた、マーシャの中にどぷどぷと白濁を放った。
 

 まさか騎士団長夫婦の活に常に一匹の魔物が絡んでいて、夜毎かなりおかしなプレイがなされている事など、人々が知る事はなかった――。



 ~おしまい~



*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
肝心の仕返しが一瞬で終わってしまったので()タイトルを「啼かせたい」で統一しようか悩んでいます……
でもとりあえずTLっぽく着地させられたのではないかと思っています。
着地、してる……はず!!
 
色々ペース配分間違えてますが、ブラウンさんとマーシャちゃんの変態っぷりが伝わると嬉しいです。
前作書いていた時は、ブラウンさんはただの堅物真っ当人間のつもりだったんですけど、
ブラウンさんにも何か少し変態みを加えてどっちもどっちにしてみようと思ったら……こんなぺろぺろ魔人に……。
まぁ楽しそうだからいっか! という事で許してください。

バルちゃんは色々改造されて生殖機能はなくされてしまいますが、その分普通のバルディーアより長生きします。
数年酷使された後にブラウンさん家の庭に丁重に葬られることでしょう(笑)

  
あと多分この二人だったら魔物のスタンピードとか起きても二人であっさり沈めちゃうんだろうな、と思うなど……
ブラウンさんはマーシャちゃんをコントロールする係だけど、
でもウズウズして自分も戦いに行って結局二人で大暴れしてスッキリして帰って来るんだろうな~、とか。
……余談でした(笑)


ブラウンさんとマーシャちゃんにお付き合い下さいましてありがとうございました♡
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