全年齢ゲームのはずなのに、セッ…しないと出られないって何で!?

桜月みやこ

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05.

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「あっ、あんっ、あっ」

 対面座位に立位、背面立位――ベッドに戻ったと思ったら横向きにされたり上に乗らされたりと、もう一体いくつのサブクエストを達成したのか、サーラは全く分からない。
 システム音が鳴るとギードはすぐに体勢を変えて来るのだけれど、潮を吹いた直後に挿入された時から、サーラはもうずっと登り詰めたまんま休む暇もなく揺さぶられ続けている。
 おかげでサーラは何度も達しているのに、ギードは二度目以降まだ射精していない。
 余裕そうなギードに、サーラはただただ翻弄され続けている。

「ギー、ド……も……」
「何だよ、もうギブか?」

 騎乗位の体勢を保っていられずに傾いだサーラを自分の胸に引き寄せると、ギードはサーラの臀を掴んで下から突き上げた。
 サーラの声と重なって、またピロリンと鳴ったシステム音をかろうじて捉えたサーラは、これも何か名前のある体位なのかと頭の片隅で思いながら、ぐったりとギードに体重を預けた。

「まだクエストクリアになってねーぞ?」
「なんでぇ……」

 セックスしてるのに。
 体位が変わる度にピロリンピロリンとサブクエストのクリア音が鳴っているのに、なぜクエストクリアにならないのか。
 もう力が入らずギードに体重を預けたままのサーラに、ギードは仕方ねぇなぁと呟くと、サーラをころりと寝かせた。

「じゃあ終わらせてやる」

 そう言うと、ギードはひどくゆっくりとサーラの中へと自身を挿入する。

「ふぁ……あ、ん……っ」

 今までの乱暴なまでの激しさから打って変わって、ゆっくりと動くギードを不思議に思いながらも、サーラはその優しすぎる刺激に甘い声を漏らす。
 くちゅくちゅと、二人の隙間から立つ水音も控え目だ。

「ん、ギード……あっ、はぁ……っ」

 とろんと蕩けたように見上げて来るサーラの髪を、へにょりと力を失っている耳を、大きな掌で撫でながら眦や頬にキスを落とすと、サーラがん、と甘えるように僅かに顎を持ち上げた。
 サーラの濡れた唇にギードが自身のそれを重ねてやると、サーラはうっとりと目を閉じる。

「キスが好きか?」
「ん……好き……きもちいい……」
「もっと、か?」
「ん」

 ゆるゆると腰を揺らしながら、もう一度キスをする。
 そのまま角度を変えて二度、三度と繰り返してから、ギードはゆっくりとサーラの口内へと舌を滑り込ませる。
 窺うようにサーラの小さな舌を舐めてみても逃げることなく応じたサーラに、ギードは僅かに口端を持ち上げると、しっかりと舌を絡ませる。

「ん……ん、ん……」

 くちゅくちゅと音を立てて絡ませて吸い上げて、飲み下せずにサーラの口の端から零れた唾液を舐め取って、また舌を絡ませる。
 緩やかだった動きも少しずつ速さを増して、ぱちゅぱちゅと肌が音を立ててぶつかり始める。

「あっ、ん……っんくっ……ぅんっ」

 息を継ごうと、顔を離そうとしたサーラの両頬を掴んでぐっとキスを深めて、それと同時に腰を引いて、そうして突き入れる。

「んん――――っ!」

 突然ずんっと最奥までを一気に埋められて、サーラはびくりと身体を跳ねさせた。

「ぁっ、ギー……っあぁっ!」

 身体を起こしたギードに両足を開かされたと思ったら、ギードはまた腰を打ち付け始めた。
 それと同時に秘豆に指が伸ばされる。

「ひぁぁっ!」

 こりこりと少し乱暴に転がされて、それまで蕩けていた頭の中でまた星が瞬き始める。

「あっ、ギード……いっちゃ……また、いっちゃうぅ……!」

 すっかり覚えさせられてしまった達する感覚に、もう間もなく訪れるその時に備えて、サーラの足に力が入る。

「…………え?」

 もう少し、というその時に、ギードはふっと動きを止めた。
 秘豆を弄っていた手までも止めてしまったギードに、サーラはギードを見上げる。

「ギード……?」

 弾けそうになっていた快感が行き場を失ったように燻って、サーラの膣内が物欲しげにひくひくとギードを誘う。
 けれどギードは動きを止めたまま、また優しいキスを降らせ始めた。

「ん……ギードぉ……」

 甘えた声で名を呼びながら自ら腰を揺すっているサーラの両頬を包み込んで、ギードはサーラの耳に口を寄せる。

「サーラ」
「――――!!」

 低く名前を呼ばれて、サーラはぴくんっと身体を震わせた。

 三人の中で一番最後に雇ったギードは、他の二人と同じで名前呼びで良いと言っているのに何故だかサーラの事を「主」と呼ぶ。
 雇い主なんだから間違ってはねーだろ、と言われてしまえば、それはまぁ……と。
 もっと仲良くなったら名前で呼んでくれるかな、と、寂しさを覚えつつもそのままにしていたのだ。

「サーラ。なぁ、知ってるか?」
「な、に……を……?」

 急に名前を呼ばれて、サーラの心臓がとくとくと音を立てる。

「俺が雇われた時、あいつらに忠告された事がある」
「忠告……? ヴィルと、ラウリから……?」
「そう。サーラは雇い主ではあるけれど、守るべき愛しく清らかなオヒメサマだから、絶対にフラチな感情を抱くな。手を出すな、ってな」
「……え??」

 愛しく、清らかな、お姫様――と頭の中で繰り返して、サーラはやっぱりもう一度「え??」と首を傾げた。

「何、それ……?」
「まぁ俺にそんな忠告をするってこたぁ、あいつら自身が守るべき愛しく清らかなオヒメサマにフラチな感情を抱いて手ぇ出してぇって思ってるって事だよな」
「えっ!!?」 

 サーラはびっくりしてギードを見上げる。
 だって、二人ともそんな雰囲気はちっともなかった。
 優しいなぁとか甘やかされてるなぁと思う事はあったけれど、それはあくまで雇用主だからだと思っていた。
 まさかそんな、愛しいだとか清らかだとかお姫様だとか……不埒な……だとか。
 全年齢なゲーム内で、まさかそんな事を彼らNPCから思われているだなんて、サーラはちっとも思っていなかったのだ。

「……あ、だからギードは私のことを『主』って呼んでた……の……?」
「最初は俺だって雇用主としか思ってなかったからよ。やたら威嚇してくるあいつらがウザったくて、だから呼び方で示してたんだけどな」

 ギードはそこでふっと笑みを落とすと、サーラの頬をむにっとつまむ。

「なのによぉ。ちっこいくせに威勢は良いわ、慎重かと思えば予想外な無茶をしでかすわで目が離せねぇ」

 うぐっと唸ったサーラの耳をつんつんと引いて、ギードはサーラのふわふわの耳にキスをする。

「気が付いたら、俺も手ぇ出したくて堪らなくなってた」
「っ!!」
「だから、このクエストは俺にとっては天からのギフトだ。――なぁ、サーラ。俺の事は嫌いか?」
「き……嫌いだなんて、そんな事!」

 サーラが何度もギルドに足を運んで、やっと見つけた好みのNPCだ。
 三人とも最初は外見からだったけれど、今では中身までひっくるめ大好きで、とっても大切で大事な仲間だ。

「仲間、な」
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