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本編

58. 欲しがり乙女と意地悪な野獣。**

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「来んなって言わなかったか?」

部屋への侵入を防ぐようにドア枠に手をついて、フェリクスは呆れ交じりにそう言った。

身体が大きいせいで手なんかつかなくても、ただそこに立っているだけでリィナがこの部屋に入る事は出来ないのだけれど、これ以上ないくらいの拒絶の意思を示されているようで、リィナは哀し気に眉を下げる。

「おやすみなさいの挨拶をしに来ました」
「はいはい、オヤスミ。ほら、戻れ」

くるんと身体を反転させられて、リィナは慌てて反転し直してフェリクスと向き合うと、目を瞑って顎を持ち上げる。
そのままじっと待っているリィナに、フェリクスは仕方ねーなと、ちょんと軽く触れるだけのキスを落とす。

「──もっと」

きゅっとフェリクスのシャツを握ったリィナに、フェリクスははぁっと息を落とす。

「自分の部屋に戻れ」
「キス、して下さい」
「今しただろ」
「そうではなくてっ──!!」

叫ぶように声をあげた口を塞がれて、リィナは瞳を潤ませてフェリクスを見上げる。

「こんなとこで大声出すな、馬鹿」
「────でしたら、中に入れて下さい」

フェリクスはがしがしと頭を掻くと、少しだけだぞと、身体をずらした。


ぱたんと客室のドアが閉まるのを、アンネ達は物陰から確認して頷き合うと、そっとその場を後にする。

「真面目かってね」
「あんな極悪人みたいな顔してねぇ」
「お嬢様、すぐに追い出されてしまったりしないかしら……」

呆れたように呟いたアンネに、ベティが同意を示す。クラーラは頬に手をあてて心配そうに首を傾げた。

「お嬢様を部屋に入れた時点でフェリクス様の負けは確定でしょ」
「明日は少し早めに起こしに行った方が良いわよね?」
「旦那様に気付かれるとまた泣いてしまいそうだから、そうしましょうか」

小声でそんな事を言いながら、3人はリィナの部屋には戻らず、そのまま使用人用の自分達の部屋へと戻って行った──。


❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊

「──ん」

くちゅっと水音を響かせて、フェリクスが絡ませていた舌を解いてリィナの唇から自身のそれを離すと、リィナははふっと吐息を落として、フェリクスの胸にもたれ掛かる。

「──ほら。もう充分だろ」

リィナの髪を撫でてそう言ったフェリクスに、リィナはもうちょっと、と囁く。

「だって、明日は採寸が済んだらすぐに帰ってしまわれるのでしょう?」
「まぁ、な」
「その後は、また暫くお会い出来ないんですよね……?」
「そうだな。まぁ、どうせすぐ騎士団に呼び出されるだろうが──」
「それだって、日帰りで戻ってしまわれるおつもりでしょう?」

そうだな、と返したフェリクスに、リィナが顔を上げる。

「そんなの、キスだって、出来ないかもしれないじゃないですか」
「──そんな顔すんな」

今にも泣きそうな顔をしているリィナの頬を撫でて、フェリクスはもう一度リィナに唇を落とす。

「痕が消える前には会いに来る約束だろ?」
「会うだけ──ですか?それでは、すぐに消えてしまいます。その後は?いつまで我慢すれば良いのですか?」

言いながら、リィナが自分のネグリジェの胸元のボタンを外す。

「おい──」

止めようとしたフェリクスの声に顔を上げて、リィナはボタンを外した胸元を寛げた。
ネグリジェの下には何も身につけていなかったのか、自身がつけた紅い痕が散っているリィナの白い肌が露わになる。

「フェリクス様。また、つけて下さい──フェリクス様の徴、つけ直して──」
「ったく、人が我慢してるってのによ……」

フェリクスが低く呟いて、リィナのネグリジェの裾を捲り上げる。

「きゃっ!?」

思い切り裾を捲り上げられて、そのまま万歳をするような恰好をさせられたと思ったらばさりと腕からネグリジェが引き抜かれて、気付いた時には下着1枚になっていた。
その最後の1枚も、腰の紐をするりと解かれてあっという間に落とされる。

そして自身の衣服も脱ぎ捨てたフェリクスに抱き上げられて、何故か風呂場へと連れて行かれて、リィナはきょとりとフェリクスを見上げた。

「フェリクスさま??」
「シーツ汚したら、ヤったってバレるだろ?」

リィナを下ろしながらそう言うと、リィナの腰を引き寄せて噛み付くように唇を重ねる。

「んっ……ぅんっ」

舌を絡められて、大きな手で胸をやわやわと揉まれれば、それだけでリィナの足から力が抜ける。
その身体を抱き止めて、フェリクスはゆっくりとリィナを風呂場の床に横たえた。
タイルの冷たさにリィナの身体が僅かに震えたけれど、その震えもフェリクスが胸の徴に唇を寄せた事で、すぐに違う震えに取って代わる。

胸の痕をぺろりと舐めてから、吸う。
リィナの身体が僅かに跳ねた事でふるりと震えた乳房の上で唇を滑らせて、既に固くなってツンと立っている小さな頂きを口に含む。
反対側の頂きも指の腹でくるくると撫でて、時折きゅっとつまんでやると、リィナの口からは甘い声が漏れて、腰が揺れた。

フェリクスは次の痕が残る臍の横まで舌を這わせて、そこも吸う。
リィナの片足を持ち上げて足の付け根の痕も同じように上書いて、そのまま足の間、既にしっとりと濡れてしまっているそこに、フェリクスは唇を這わせた。

「ひゃっ……!ぁ、だめ……です、なめちゃ、だめ……!」
「何だよ、もうこんなに濡らしてんのか?」

くちゅくちゅと音を立てて秘裂を舐めて、ぐっと腟内に舌を差し込めば、リィナは小さな悲鳴を上げて腰を弾ませる。

「こら、あんま声出すな」
「だっ……て……」
「リディやエミリオに聞かれるかもしれねーぞ?」
「そん、な……っ……きこえ、な……」
「──本当に?」

フェリクスがちらりと風呂場の小さな窓に視線をやると、フェリクスの視線を追ったリィナの身体が小さく震えた。
慌てた様に両手で自身の口を塞いだリィナに、フェリクスは口端を上げる。

「良い子だ──」

実際にはこの屋敷の住人の部屋と客室とは離れているから、仮に外に声が漏れたところで聞こえるはずはない。
けれどリィナはあっさりとフェリクスを信じてしまったらしい。

来るなと、抱く気は無いと、伝えていたにも関わらず部屋にやって来たリィナに、少しばかり意地悪をしても罪はないだろうと、フェリクスはつぷりとリィナの腟内に指を入れると、ゆるゆると動かし始める。

「んんっ」

ゆっくりと腟内を擦られて、リィナは吐息を零す。
既に何度かフェリクス自身を受け入れているリィナは、指の1本では物足りなさを覚えて腰を捩る。

「もっと、か?」

短く問われて、リィナがこくんと小さく頷くと、フェリクスはすぐに指を増やす。

「んんっ…!んっ!……はっ、ん……!!」

2本、3本と増やされて、段々と激しくなる指の動きに、リィナは必死に口を塞いで、声を飲み込む。

「すげぇ、中ぎゅうぎゅう締め付けてやがる」

ぐちゅぐちゅと音を立ててリィナの弱いところを責め立てながら、フェリクスは己の指を締め付けてくるリィナの膣を押し広げるように中で指を広げる。

「ん──っ!!」

びくんっとリィナの身体が震えた。
声を出さないように口を覆っているせいでリィナの可愛らしい声を聞くことは出来ないが、その代わり必死に耐えるような表情と、力が籠っているからかいつもよりも締め付けてくるリィナの腟内に、フェリクスはこれは思ったよりもクルなと、唇を舐める。

「孕ませんなって言われてっからな」

リィナの身体をうつ伏せにさせて、腰を引き上げる。

「これで我慢しろ」

リィナの太腿に自身を挟んで、ゆっくりと動く。

「んっ…んんっ……!ふぇ、り……さ……あっ!」

リィナがフェリクスの方に顔を向けようとして、けれど少しずつ早くなる律動に背を反らす。

「わた……、の…で………」
「どうした?」

リィナが何か言おうとしている事に気付いたフェリクスが、ゆるりと動きを止める。
ふにゃんと力が抜けたリィナの背に唇を寄せてから、フェリクスは自分の方に顔を向けたリィナの頬を撫でる。

「……わたし、おくすり……のみました……」

はぁっと熱い吐息とともにそんな事を言われて、リィナの頬を撫でていたフェリクスの手が、止まる。

「お前、どんだけヤる気だったんだよ」

くっと喉を鳴らしたフェリクスに、リィナがだって……と小さく呟く。
フェリクスはリィナの身体を抱き上げて風呂場の床に胡坐をかくように座ると、膝の間にリィナを座らせる。

「欲しいか?」

リィナの下腹部に指を滑らせて問えば、リィナは頬を上気させたまま、こくんと頷いた。

「フェルさまの、ください。 痕も、いっぱいつけて──」


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