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本編
31. 野獣は過去を思い出す。
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すみません、ちょっと重暗いです。
駆け足でいきますので1話だけお付き合いお願いします…m(__)m
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
6年前の光景が、フェリクスの瞼の奥に浮かんだ。
元騎士達が、アリスがいなかったら、誰も生き残りはしなかっただろう。
生き残った者がいただけでも良かったのかもしれない。
けれど零れ落ちてしまった何の罪もない女達の命を、護り切ろうと最後まで戦った男達の命を、フェリクスは十字架のように背負い続けている。
戦場で数えきれないくらいの命を奪っておいてと言う者もいるだろう。
戦だったのだから仕方がなかった、などと言う気はない。
国を勝利に導いた功労者だの英雄だのと言われてはいるが、フェリクス自身は6年前に屋敷を襲って女達を弑した輩と自身は、何ら変わりがないと思っている。
己の手は血濡れている。
赦される事など、ないだろう。
だからフェリクスは、与えられた伯爵という地位を、領地を治める事を、領民を護る事を、己の贖罪とする事にした。
彼らは、フェリクスのその贖罪故の、被害者だ。
戦で戦えなくなった騎士達は、元々はフェリクスの上官だった。
正直いつの上官なのかは、先の戦において目まぐるしく配置転換され、ただひたすらに戦い続けていたフェリクスはきちんとは覚えていない。
それでも身分など気にすることの無いくらいに気の合う、終戦後にも連絡を取り合うような人間は何人かいた。
フェリクスが伯爵となってこの屋敷に住み始めた頃に、そんな気の合った仲間の何人かが揃ってふらりと"遊びに"やって来て、そしてその内の幾人かが警備員だなどと言って勝手に住み始めた。
フェリクスを──『ヴァルデマン伯爵』を狙う動きを察していたのだろうと思う。
騎士や兵士を辞めてまでフェリクスに膝を折ってくれた者もいる。
何故そこまで……と、今でも思うが、アリスには『お前が思ってるよりも、お前は好かれてるって事だよ』と笑われて、正直よく分からなかった──今でも分からないが、そうか、とだけ返しておいた。
ちなみにアリスもその時に『ヴァルデマン伯爵』を冷やかしに来た一人だった。
そこで何がどうなってリシャールと心を通わせたのかは知らないが、その時は一度帰ったアリスが数か月後に「騎士団辞めて来た」と言ってさっさとリシャールの妻の座に収まってしまった。
そうしてそれまで屋敷に住み込んでいたリシャールは、結婚を機に空いたままだった離れの1つを夫婦の居として、ついでに何人かの使用人を雇い入れた。
あの日は、屋敷の方は件の元騎士2名と女達を残して、あとの人間はフェリクスとリシャールと共に視察に同行していた。
不在の屋敷が狙われるとは──妻子のいないフェリクスは、本人以外が狙われるとは、思っていなかったのだ。
事件の後、フェリクスは残っていた護衛とリシャールを解雇しようとした。
妻子が同じ目に遭っても良いのかと、戦を生き抜いた命をこんなところで無駄にするなと、護衛達は半ば力づくで放り出した。
リシャールは国王を脅して解任状に判を押させるところまでは行った。
しかしそこで立ちはだかったのがアリスだった。
今となっては解任状など後回しにして、とにかく護衛達と一緒に放り出してしまえば良かったと、フェリクスは思っている。
解任状をもぎ取るのに時間を食ってしまったのが悪かったのだろう。
事件の混乱と動揺の中で強引ながらも即座に放り出せた護衛達と違って、その数日の間にすっかり冷静になって、夫婦で『居座る方法』を話し合えてしまったのだ。
その時はアリスがラーシュを出産して、まだ三月程しか経っていなかった。
リシャールの実家までは馬車で数日かかる。生まれたばかりの赤子にそんな旅は耐えられないし、とりあえず町で新居を構えるにしても家探しからしなければいけない。土地勘もないし赤子を連れて自分達が住む家なんだから、家の周辺なんかもしっかり見ないと決められない、等と捲し立てられて、だったら新居が見つかるまでの間なら居ても良いと、せいぜい一月もすれば決まるだろうと、ひとまずはと解任状をしまい込んでしまった。
いくら思い出しても赤ん坊を盾にするというのはやはり卑怯な手だと思うが、今更そこを穿り返しても仕方がないので頭の中で時折愚痴るくらいに留めている。
リシャールが離れで雇っていた使用人達も、アリスの口利きで集まった退役した元騎士・兵士がほとんどだったので、彼らもそのまま──勿論残るかどうかの意思確認はきちんと行った上で、続投された。
──そして何故だか、6年経った今でもリシャールはフェリクスの補佐のままで、着実に家族と使用人を増やしつつ変わらず離れで暮らしている。
リシャールの屋敷にいる使用人は退役したとは言え腕に覚えのある人間ばかりなので、確かに中々の護りだとは思う。
実際事件後に人のいなくなった、フェリクス一人で暮らしていた屋敷は ──事件の事は公表しなかったというのに── 面白いくらいに狙われた。
その時に彼らが侵入者捕縛に大きく貢献してくれたのも事実だった。フェリクス一人ではそこまでの数を捕らえる事は出来なかっただろう。
もうリシャール解任は諦めるにしても、せめて町で暮らせと言っているが、アリスも、多少町に移る事も考えていたらしいリシャールまでもが、最近では頑として首を縦に振ろうとはしない。
そこに来て、リィナの登場だ。
フェリクスは妻を娶るつもりなどなかった。
怯えて暮らす事になるのも可哀想だと思うし、護ると言ったところで、絶対とは言い切れない。
あの女達のように儚く零れ落ちてしまう可能性の高い未来であるのならば、他の男のところに嫁いだ方が何倍も幸せだろう。
幸いにしてフェリクスの顔面は令嬢達には恐ろしくて仕方ないらしいので、何もせずとも勝手に嫁候補が消えていってくれた。
妻を娶るような事態にはならずに安心をしていたというのに……。
「とんだ刺客がいたもんだな」
呟いて、フェリクスは指を回してリィナのふわふわの髪を緩く巻き付けてみる。
指の動きを止めると、フェリクスの指に纏わりついていた髪がくるりと解けて、ふわりと落ちた。
リィナ本人では、恐らくは多少の時間稼ぎぐらいは出来たとしても、命を取りに来ている相手には通用しないだろう。
──しかしあの侍女達だ。嬉しい誤算とはこういう事かと思う。
アンネは、恐らくはアリスと互角にやり合えるくらいには出来るだろう。
アリスは女だてらに騎士の中でも上位の腕だった。その容姿から舐められる事も多く、そんな舐めて来た相手をしょっちゅう涼しい顔をしてやり込めていた。
侍女達はルチアを出産後、育児が忙しくなってあまり自身の鍛錬が出来ないと嘆いていたアリスの良い鍛錬相手になるかもしれないだとか、リィナが正式に嫁いでくる前に侍女達の実力を計る為にも手合わせをしておきたいが出来るだろうかだとかを、つらつらと考え込んで、しかしフェリクスは一度頭を振ると思考を中断する。
腕の中ですやすやと眠っているあどけなさの残る少女の髪から手を離して、フェリクスはその背で手を組む。
「いい加減、覚悟を決めろ──って事か」
呟きを落としたフェリクスに応えるように、リィナが「ふぇるしゃま…」とふにゃふにゃと寝言を言う。
その呑気な様子に思わずふっと笑みを零して、フェリクスは少し緩んできているリィナの腕をそっと解くと、ゆっくりとリィナの膣内から自身を引き抜いた。
リィナが「んんっ」と小さく声を出して身じろぐ。
きゅっと皺が寄った眉間にキスをしてやると、途端に皺がふわりとほどけた。
「寝てる……んだよな?」
つんと眉間を突いてみるが、今度は穏やかな寝息が聞こえてくるだけだった。
駆け足でいきますので1話だけお付き合いお願いします…m(__)m
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6年前の光景が、フェリクスの瞼の奥に浮かんだ。
元騎士達が、アリスがいなかったら、誰も生き残りはしなかっただろう。
生き残った者がいただけでも良かったのかもしれない。
けれど零れ落ちてしまった何の罪もない女達の命を、護り切ろうと最後まで戦った男達の命を、フェリクスは十字架のように背負い続けている。
戦場で数えきれないくらいの命を奪っておいてと言う者もいるだろう。
戦だったのだから仕方がなかった、などと言う気はない。
国を勝利に導いた功労者だの英雄だのと言われてはいるが、フェリクス自身は6年前に屋敷を襲って女達を弑した輩と自身は、何ら変わりがないと思っている。
己の手は血濡れている。
赦される事など、ないだろう。
だからフェリクスは、与えられた伯爵という地位を、領地を治める事を、領民を護る事を、己の贖罪とする事にした。
彼らは、フェリクスのその贖罪故の、被害者だ。
戦で戦えなくなった騎士達は、元々はフェリクスの上官だった。
正直いつの上官なのかは、先の戦において目まぐるしく配置転換され、ただひたすらに戦い続けていたフェリクスはきちんとは覚えていない。
それでも身分など気にすることの無いくらいに気の合う、終戦後にも連絡を取り合うような人間は何人かいた。
フェリクスが伯爵となってこの屋敷に住み始めた頃に、そんな気の合った仲間の何人かが揃ってふらりと"遊びに"やって来て、そしてその内の幾人かが警備員だなどと言って勝手に住み始めた。
フェリクスを──『ヴァルデマン伯爵』を狙う動きを察していたのだろうと思う。
騎士や兵士を辞めてまでフェリクスに膝を折ってくれた者もいる。
何故そこまで……と、今でも思うが、アリスには『お前が思ってるよりも、お前は好かれてるって事だよ』と笑われて、正直よく分からなかった──今でも分からないが、そうか、とだけ返しておいた。
ちなみにアリスもその時に『ヴァルデマン伯爵』を冷やかしに来た一人だった。
そこで何がどうなってリシャールと心を通わせたのかは知らないが、その時は一度帰ったアリスが数か月後に「騎士団辞めて来た」と言ってさっさとリシャールの妻の座に収まってしまった。
そうしてそれまで屋敷に住み込んでいたリシャールは、結婚を機に空いたままだった離れの1つを夫婦の居として、ついでに何人かの使用人を雇い入れた。
あの日は、屋敷の方は件の元騎士2名と女達を残して、あとの人間はフェリクスとリシャールと共に視察に同行していた。
不在の屋敷が狙われるとは──妻子のいないフェリクスは、本人以外が狙われるとは、思っていなかったのだ。
事件の後、フェリクスは残っていた護衛とリシャールを解雇しようとした。
妻子が同じ目に遭っても良いのかと、戦を生き抜いた命をこんなところで無駄にするなと、護衛達は半ば力づくで放り出した。
リシャールは国王を脅して解任状に判を押させるところまでは行った。
しかしそこで立ちはだかったのがアリスだった。
今となっては解任状など後回しにして、とにかく護衛達と一緒に放り出してしまえば良かったと、フェリクスは思っている。
解任状をもぎ取るのに時間を食ってしまったのが悪かったのだろう。
事件の混乱と動揺の中で強引ながらも即座に放り出せた護衛達と違って、その数日の間にすっかり冷静になって、夫婦で『居座る方法』を話し合えてしまったのだ。
その時はアリスがラーシュを出産して、まだ三月程しか経っていなかった。
リシャールの実家までは馬車で数日かかる。生まれたばかりの赤子にそんな旅は耐えられないし、とりあえず町で新居を構えるにしても家探しからしなければいけない。土地勘もないし赤子を連れて自分達が住む家なんだから、家の周辺なんかもしっかり見ないと決められない、等と捲し立てられて、だったら新居が見つかるまでの間なら居ても良いと、せいぜい一月もすれば決まるだろうと、ひとまずはと解任状をしまい込んでしまった。
いくら思い出しても赤ん坊を盾にするというのはやはり卑怯な手だと思うが、今更そこを穿り返しても仕方がないので頭の中で時折愚痴るくらいに留めている。
リシャールが離れで雇っていた使用人達も、アリスの口利きで集まった退役した元騎士・兵士がほとんどだったので、彼らもそのまま──勿論残るかどうかの意思確認はきちんと行った上で、続投された。
──そして何故だか、6年経った今でもリシャールはフェリクスの補佐のままで、着実に家族と使用人を増やしつつ変わらず離れで暮らしている。
リシャールの屋敷にいる使用人は退役したとは言え腕に覚えのある人間ばかりなので、確かに中々の護りだとは思う。
実際事件後に人のいなくなった、フェリクス一人で暮らしていた屋敷は ──事件の事は公表しなかったというのに── 面白いくらいに狙われた。
その時に彼らが侵入者捕縛に大きく貢献してくれたのも事実だった。フェリクス一人ではそこまでの数を捕らえる事は出来なかっただろう。
もうリシャール解任は諦めるにしても、せめて町で暮らせと言っているが、アリスも、多少町に移る事も考えていたらしいリシャールまでもが、最近では頑として首を縦に振ろうとはしない。
そこに来て、リィナの登場だ。
フェリクスは妻を娶るつもりなどなかった。
怯えて暮らす事になるのも可哀想だと思うし、護ると言ったところで、絶対とは言い切れない。
あの女達のように儚く零れ落ちてしまう可能性の高い未来であるのならば、他の男のところに嫁いだ方が何倍も幸せだろう。
幸いにしてフェリクスの顔面は令嬢達には恐ろしくて仕方ないらしいので、何もせずとも勝手に嫁候補が消えていってくれた。
妻を娶るような事態にはならずに安心をしていたというのに……。
「とんだ刺客がいたもんだな」
呟いて、フェリクスは指を回してリィナのふわふわの髪を緩く巻き付けてみる。
指の動きを止めると、フェリクスの指に纏わりついていた髪がくるりと解けて、ふわりと落ちた。
リィナ本人では、恐らくは多少の時間稼ぎぐらいは出来たとしても、命を取りに来ている相手には通用しないだろう。
──しかしあの侍女達だ。嬉しい誤算とはこういう事かと思う。
アンネは、恐らくはアリスと互角にやり合えるくらいには出来るだろう。
アリスは女だてらに騎士の中でも上位の腕だった。その容姿から舐められる事も多く、そんな舐めて来た相手をしょっちゅう涼しい顔をしてやり込めていた。
侍女達はルチアを出産後、育児が忙しくなってあまり自身の鍛錬が出来ないと嘆いていたアリスの良い鍛錬相手になるかもしれないだとか、リィナが正式に嫁いでくる前に侍女達の実力を計る為にも手合わせをしておきたいが出来るだろうかだとかを、つらつらと考え込んで、しかしフェリクスは一度頭を振ると思考を中断する。
腕の中ですやすやと眠っているあどけなさの残る少女の髪から手を離して、フェリクスはその背で手を組む。
「いい加減、覚悟を決めろ──って事か」
呟きを落としたフェリクスに応えるように、リィナが「ふぇるしゃま…」とふにゃふにゃと寝言を言う。
その呑気な様子に思わずふっと笑みを零して、フェリクスは少し緩んできているリィナの腕をそっと解くと、ゆっくりとリィナの膣内から自身を引き抜いた。
リィナが「んんっ」と小さく声を出して身じろぐ。
きゅっと皺が寄った眉間にキスをしてやると、途端に皺がふわりとほどけた。
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