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本編
30. 野獣の想い *
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何度か腰を打ち付けて、フェリクスがリィナの腟内に全て射精し終えると、リィナの身体から力が抜けた。
たっぷりと注がれた白濁はリィナの腟内に収まりきらずに、2人の隙間から溢れ出す。
ぐったりとシーツの海に沈み込んだリィナに口付けて、フェリクスは身体を起こすとリィナの腟内から自身を引き抜いた。
混ざり合った2人の体液がこぷりと溢れ出ると、リィナの身体がふるりと震える。
「リィナ?」
フェリクスがリィナの乱れた髪を整えるように撫でて、額に貼り付いている前髪を払えば、泣きそうな顔をしたリィナがフェリクスに抱き着いてくる。
「どうした?」
潤んでいる瞳を覗き込むと、リィナがくしゃりと顔を歪ませる。
「ふぇるさまの、出ちゃいます……ぜんぶ、欲しいのに」
「……入り切らないんだから、仕方ねーだろ」
苦笑を零しながらリィナの下腹部を撫でて、そしてフェリクスはリィナに口付ける。
「誓約式が終わったらいくらでも注いでやる」
「……ん」
小さく頷いたリィナを抱きしめると、リィナの腕が背中に伸ばされる。
「やっぱり、離れたくありません……このまま、一緒にいたいです」
「……そうだな。俺も、離したくない」
フェリクスの答えに、リィナが驚いたように顔を上げる。
そんなリィナの表情に、フェリクスがばつが悪そうにくしゃりと前髪を掻き上げた。
「俺だって離したくねーし、出来るならこのままめちゃくちゃに抱いちまいたい。──が、そういうわけにはいかねーだろ」
こつんと額をくっつけられて、リィナは泣きそうになるのを堪える。
想いは、離れたくないのは、一緒だった。
それでもフェリクスは、リィナの体面や親への義理を通す為に何も言わずにリィナを帰そうとしていたのだ。
自分は本当になんて子供なんだろうと、リィナはぎゅうっとフェリクスに抱きついた。
「こめんなさい、フェル様……ごめんなさいっ……」
フェリクスはぎゅうぎゅう抱き着いてくるリィナの頬を撫でて口付ける。
「それはもう終わっただろ」
「でもっ……」
「……しつこい女は嫌いだ」
そんなことを言われてリィナが慌てて口を噤んだのが分かったのか、フェリクスがくっと笑った気配がした。
リィナはフェリクスが笑った事に気付いてぷっと頬を膨らませると、つんっとそっぽを向く。
「フェリクス様は乙女心を弄ぶワルイヒトです」
「野獣の次は悪人か?まぁ、人に戻っただけマシか」
そんな事を独り言ちてリィナの頬をつっついたフェリクスは、身体を起こして水差しの水を口に含むとリィナに口移す。
リィナはこくりと水を飲み下して、そして強請る様に離れかけたフェリクスの頭を引き寄せる。
「まだ飲むか?」
「水は、もう要りません」
ちゅっと小さな音を立てて、リィナがフェリクスに口付ける。
フェリクスはその口付けを受け止めて、けれどすぐにトン、とリィナの背を叩いた。
「──こら、今日は一回だけだって言っただろーが」
口付けながら、リィナがフェリクスの足に自分の足を絡めて来たのだ。
フェリクスはリィナのおでこをぺちんと指で弾くと、足を解かせる。
「フェル様、ください」
先ほどまでの蕩けるような"おねだり”はどこへやら、ぷくっと頬を膨らませて、まるで菓子をねだる子供のようなリィナの"おねだり”に、フェリクスは苦笑を零す。
「これ以上はダメだっての」
「大丈夫です……欲しいんです」
「明日起きらんなくなるぞ」
「どうせ暇ですから、馬車で寝ますわ。その方がきっと、寂しくありませんし……」
暗にフェリクスも馬車にも同乗して欲しいと滲ませてみたリィナだったけれど、そこは譲れないらしく、もう一度おでこをぺちんと弾かれた。
「……明日、起きらんなくても知らねーぞ」
フェリクスがやれやれとばかりに息を落としてリィナの頭をくしゃりと撫でて、そして両頬を包み込む。
リィナは寄せられた唇を、瞳を閉じて受け入れた──
❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊
そうして再び熱いものをたっぷりと注がれたリィナは、そこでことりと眠りに落ちてしまった。
「リィナ?」
確かめるように小さく名を呼んでみて、その呼び掛けに僅かに身じろいだだけのリィナに、フェリクスは少しばかり困ってしまう。
まだ自身はリィナの腟内に挿ったままで、抜こうにもリィナの腕が意外としっかりと首に巻き付いていて身動きが取れない。
試しにリィナの腕を解こうとしてみるけれど、んんっとリィナの口からぐずる様な声が漏れて、巻き付いている腕にきゅうっと力が込められただけだった。
「ったく……」
フェリクスはリィナの背を支えるように手をやって、リィナに覆い被さっている体勢からベッドに横なる。
同時にリィナの背に回した腕に力を込めてリィナの身体も横向きにさせると、自身の腕の中にその小さな身体を抱え込んだ。
自分の腕の中で幸せそうに眠っている少女の柔らかな髪を弄びながら、フェリクスはどこか自嘲気味に笑う。
「馬鹿だな、逃げてくれりゃ良かったのに……」
ならばあのまま、リィナが自分から逃げ出すようにもっと酷くすれば良かったとも思う。
リィナを無理矢理追い出して、何も無かった事にだって、出来たかもしれない。
「たった1日で、堕ちるもんなんだな……」
良い年をして、と思う。
たった18歳の、無垢な……とは言いがたい知識を持ってはいたが、その身体は、反応は、眩しいくらいに真っ白だった。
愛だの恋だのいうものは、時間をかけて育むものだと思っていたが、どうやら自分はこんなちっぽけな少女に、たったの1日ですっかりと骨抜きにされてしまったらしい。
随分静かになったと言っても、フェリクスの身辺で何も起きなくなったわけではない。
いまだしつこくフェリクスを──この領地を狙っている輩は確かにいる。
狙って獲れるものでもないだろうと思うが、領主不在にしてしまえば何とかなるとでも思っているのかもしれない。
そしてそんな輩にとって、リィナは格好の餌食となるだろう。
フェリクスの肉親は既になく、親戚くらいなら探せばいるのかもしれないが会った事などなく、当然ながら跡継ぎもいない。
フェリクスがいなくなれば、この領地は確実にまた宙に浮く。
しかしリィナを妻にすることで、フェリクスの後継が産まれる可能性が出てくるのだ。
たっぷりと注がれた白濁はリィナの腟内に収まりきらずに、2人の隙間から溢れ出す。
ぐったりとシーツの海に沈み込んだリィナに口付けて、フェリクスは身体を起こすとリィナの腟内から自身を引き抜いた。
混ざり合った2人の体液がこぷりと溢れ出ると、リィナの身体がふるりと震える。
「リィナ?」
フェリクスがリィナの乱れた髪を整えるように撫でて、額に貼り付いている前髪を払えば、泣きそうな顔をしたリィナがフェリクスに抱き着いてくる。
「どうした?」
潤んでいる瞳を覗き込むと、リィナがくしゃりと顔を歪ませる。
「ふぇるさまの、出ちゃいます……ぜんぶ、欲しいのに」
「……入り切らないんだから、仕方ねーだろ」
苦笑を零しながらリィナの下腹部を撫でて、そしてフェリクスはリィナに口付ける。
「誓約式が終わったらいくらでも注いでやる」
「……ん」
小さく頷いたリィナを抱きしめると、リィナの腕が背中に伸ばされる。
「やっぱり、離れたくありません……このまま、一緒にいたいです」
「……そうだな。俺も、離したくない」
フェリクスの答えに、リィナが驚いたように顔を上げる。
そんなリィナの表情に、フェリクスがばつが悪そうにくしゃりと前髪を掻き上げた。
「俺だって離したくねーし、出来るならこのままめちゃくちゃに抱いちまいたい。──が、そういうわけにはいかねーだろ」
こつんと額をくっつけられて、リィナは泣きそうになるのを堪える。
想いは、離れたくないのは、一緒だった。
それでもフェリクスは、リィナの体面や親への義理を通す為に何も言わずにリィナを帰そうとしていたのだ。
自分は本当になんて子供なんだろうと、リィナはぎゅうっとフェリクスに抱きついた。
「こめんなさい、フェル様……ごめんなさいっ……」
フェリクスはぎゅうぎゅう抱き着いてくるリィナの頬を撫でて口付ける。
「それはもう終わっただろ」
「でもっ……」
「……しつこい女は嫌いだ」
そんなことを言われてリィナが慌てて口を噤んだのが分かったのか、フェリクスがくっと笑った気配がした。
リィナはフェリクスが笑った事に気付いてぷっと頬を膨らませると、つんっとそっぽを向く。
「フェリクス様は乙女心を弄ぶワルイヒトです」
「野獣の次は悪人か?まぁ、人に戻っただけマシか」
そんな事を独り言ちてリィナの頬をつっついたフェリクスは、身体を起こして水差しの水を口に含むとリィナに口移す。
リィナはこくりと水を飲み下して、そして強請る様に離れかけたフェリクスの頭を引き寄せる。
「まだ飲むか?」
「水は、もう要りません」
ちゅっと小さな音を立てて、リィナがフェリクスに口付ける。
フェリクスはその口付けを受け止めて、けれどすぐにトン、とリィナの背を叩いた。
「──こら、今日は一回だけだって言っただろーが」
口付けながら、リィナがフェリクスの足に自分の足を絡めて来たのだ。
フェリクスはリィナのおでこをぺちんと指で弾くと、足を解かせる。
「フェル様、ください」
先ほどまでの蕩けるような"おねだり”はどこへやら、ぷくっと頬を膨らませて、まるで菓子をねだる子供のようなリィナの"おねだり”に、フェリクスは苦笑を零す。
「これ以上はダメだっての」
「大丈夫です……欲しいんです」
「明日起きらんなくなるぞ」
「どうせ暇ですから、馬車で寝ますわ。その方がきっと、寂しくありませんし……」
暗にフェリクスも馬車にも同乗して欲しいと滲ませてみたリィナだったけれど、そこは譲れないらしく、もう一度おでこをぺちんと弾かれた。
「……明日、起きらんなくても知らねーぞ」
フェリクスがやれやれとばかりに息を落としてリィナの頭をくしゃりと撫でて、そして両頬を包み込む。
リィナは寄せられた唇を、瞳を閉じて受け入れた──
❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊
そうして再び熱いものをたっぷりと注がれたリィナは、そこでことりと眠りに落ちてしまった。
「リィナ?」
確かめるように小さく名を呼んでみて、その呼び掛けに僅かに身じろいだだけのリィナに、フェリクスは少しばかり困ってしまう。
まだ自身はリィナの腟内に挿ったままで、抜こうにもリィナの腕が意外としっかりと首に巻き付いていて身動きが取れない。
試しにリィナの腕を解こうとしてみるけれど、んんっとリィナの口からぐずる様な声が漏れて、巻き付いている腕にきゅうっと力が込められただけだった。
「ったく……」
フェリクスはリィナの背を支えるように手をやって、リィナに覆い被さっている体勢からベッドに横なる。
同時にリィナの背に回した腕に力を込めてリィナの身体も横向きにさせると、自身の腕の中にその小さな身体を抱え込んだ。
自分の腕の中で幸せそうに眠っている少女の柔らかな髪を弄びながら、フェリクスはどこか自嘲気味に笑う。
「馬鹿だな、逃げてくれりゃ良かったのに……」
ならばあのまま、リィナが自分から逃げ出すようにもっと酷くすれば良かったとも思う。
リィナを無理矢理追い出して、何も無かった事にだって、出来たかもしれない。
「たった1日で、堕ちるもんなんだな……」
良い年をして、と思う。
たった18歳の、無垢な……とは言いがたい知識を持ってはいたが、その身体は、反応は、眩しいくらいに真っ白だった。
愛だの恋だのいうものは、時間をかけて育むものだと思っていたが、どうやら自分はこんなちっぽけな少女に、たったの1日ですっかりと骨抜きにされてしまったらしい。
随分静かになったと言っても、フェリクスの身辺で何も起きなくなったわけではない。
いまだしつこくフェリクスを──この領地を狙っている輩は確かにいる。
狙って獲れるものでもないだろうと思うが、領主不在にしてしまえば何とかなるとでも思っているのかもしれない。
そしてそんな輩にとって、リィナは格好の餌食となるだろう。
フェリクスの肉親は既になく、親戚くらいなら探せばいるのかもしれないが会った事などなく、当然ながら跡継ぎもいない。
フェリクスがいなくなれば、この領地は確実にまた宙に浮く。
しかしリィナを妻にすることで、フェリクスの後継が産まれる可能性が出てくるのだ。
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