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本編
22. 乙女は野獣を所望する。 *
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「ふぇる、さま、もっ……あっ……!」
リィナが達したのと同時に、リィナの中に挿入る事なく、ぴたりと閉じさせた太腿の間で暴れていたフェリクス自身からも白濁が溢れる。
くたりとベッドに沈んだリィナのうなじに唇を落としてから、フェリクスは一旦その場を離れると浴室で湿らせたタオルを持って戻ってくる。
うつ伏せのままだったリィナの身体を反転させて、そうしてリィナとフェリクスの体液で濡れてしまったリィナの身体を拭っていく。
「悪い、結局汚しちまったな」
汚さない様にと捲り上げていたリィナのワンピースには、結局先ほど放ってしまった白濁が飛んでしまっている。
「ん……着替えるので、大丈夫です……」
とろんとしたまま微笑んだリィナに口付けてから、フェリクスは自分の衣服を整える。
「悪ぃがまだやる事が残っててな。片づけたらまた来るから、それまで休んでろ」
「はい────あの、フェリクス様?」
呼びかけられたフェリクスが視線でどうしたと問えば、リィナは恥ずかしそうに瞳を伏せて、そしてフェリクスに向けて手を伸ばす。
フェリクスがその手を掴まえて引き寄せると、リィナは甘える様にフェリクスの首に腕を回した。
「あの、今夜も…………一緒に、寝て下さいますか?」
フェリクスはリィナの髪をくしゃりを撫でると、口端を上げる。
「何だ?今のじゃ足りなかったか?」
「だ、だって………」
「だって?」
リィナが言いたい事など分かっているだろうに意地悪気に笑っているフェリクスを、リィナは睨むように見上げて、唇を尖らせる。
「だって……」
けれどやはりその先を続ける事が出来ずにきゅっと口を引き結んでしまったリィナに、フェリクスは軽く口付ける。
何度か角度を変えて口付けながら視線で促せば、リィナは瞳を潤ませながらおずおずと口を開いた。
「だって……いれて、下さらなかったから……」
小さな声でそう言ったリィナの髪を一筋掬って、フェリクスはニヤリと笑う。
悪そうな顔、素敵、と見蕩れてしまっていたリィナの耳に、フェリクスが唇を寄せる。
「一晩で随分やらしくなったもんだな?リィナ」
そんな事を囁かれて、リィナはフェリクスの首から腕を解くと、その厚い胸板をポカリと叩く。
「や……やらしく、したのは、フェリクス様です」
「そうか?昨日は俺を襲おうとまでしたのに?」
「あっ…あれは……!」
リィナの顔だけではなく身体までが赤く染まったのを見て、フェリクスはくつくつと笑って掬ったまま弄んでいたリィナの髪に口付ける。
「お嬢様のご所望とあれば」
そう言ってニッと笑ったフェリクスに、リィナははくはくと口を開閉させて、
そしてフェリクスの胸に顔を埋める。
「しょ……所望、します」
リィナが小さく呟いたその言葉に、フェリクスは喉を鳴らす。
「承りました、お嬢様」
「~~~もうっ!何ですか、これ」
フェリクスの胸にぐりぐりと額を押し付けているリィナをゆるりと抱き締めて、フェリクスは満足そうに口端を上げた。
❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊
「返事、来てましたよ」
執務室へと戻ったフェリクスに、リシャールが封筒を1通、差し出す。
「あぁ、他は?」
「重要・急ぎの物は特には」
リシャールの言葉に頷いて手紙を受け取ると、開封して目を通す。
手紙を読み終えると、フェリクスはリシャールにその手紙を開いたまま渡した。
「明日は留守にする」
開かれたまま渡されたという事は『読んでおけ』という事だ。
リシャールは渡された手紙にさっと目を通して、そして僅かに頬を緩めると「諒解いたしました」と頭を下げた。
「こっちにいなくて良いから、お前は離れにいろよ」
「はいはい、分かっておりますよ──一応、男としては妻に守られるというのも複雑なんですけどねぇ」
「仕方ないだろう。運動神経迷子のお前よりもアリスの方が遥かに強いんだから」
それどころかリィナだってリシャールより強いだろうなと思ったが、さすがにそれは口にしないでおく。
一応少しばかり『妻に守られる夫』という立場を気にしているらしいリシャールには、年若く、小さくて可愛らしい令嬢よりも弱いだなんて事実は、流石に酷だろう。
「まぁ、そこに惚れたから良いんですけどね」
「ラーシュが稽古始めた時に一緒にやるとか言ってたくせに、2日で音を上げたじゃねーか。お前がアリスを守るなんて事は死んでも無理だ」
「あんなの無理ですよ。こなせているラーシュはきっと天才です」
「馬鹿か。あんなのただの準備運動だ」
6歳児の準備運動で怪我をするとはどういう事かと、むしろフェリクスの方が聞きたいくらいだ。
アリスが何故これに惚れたのか謎ではあるが、子供を2人作った今でも変わらず夫婦仲は良い──どころかまだまだ"ラブラブ"と言われるくらいなのだから、悩むだけ無駄な事だろう。
フェリクスは執務机に着くと、積まれていた書類を片すべく手に取った。
リィナが達したのと同時に、リィナの中に挿入る事なく、ぴたりと閉じさせた太腿の間で暴れていたフェリクス自身からも白濁が溢れる。
くたりとベッドに沈んだリィナのうなじに唇を落としてから、フェリクスは一旦その場を離れると浴室で湿らせたタオルを持って戻ってくる。
うつ伏せのままだったリィナの身体を反転させて、そうしてリィナとフェリクスの体液で濡れてしまったリィナの身体を拭っていく。
「悪い、結局汚しちまったな」
汚さない様にと捲り上げていたリィナのワンピースには、結局先ほど放ってしまった白濁が飛んでしまっている。
「ん……着替えるので、大丈夫です……」
とろんとしたまま微笑んだリィナに口付けてから、フェリクスは自分の衣服を整える。
「悪ぃがまだやる事が残っててな。片づけたらまた来るから、それまで休んでろ」
「はい────あの、フェリクス様?」
呼びかけられたフェリクスが視線でどうしたと問えば、リィナは恥ずかしそうに瞳を伏せて、そしてフェリクスに向けて手を伸ばす。
フェリクスがその手を掴まえて引き寄せると、リィナは甘える様にフェリクスの首に腕を回した。
「あの、今夜も…………一緒に、寝て下さいますか?」
フェリクスはリィナの髪をくしゃりを撫でると、口端を上げる。
「何だ?今のじゃ足りなかったか?」
「だ、だって………」
「だって?」
リィナが言いたい事など分かっているだろうに意地悪気に笑っているフェリクスを、リィナは睨むように見上げて、唇を尖らせる。
「だって……」
けれどやはりその先を続ける事が出来ずにきゅっと口を引き結んでしまったリィナに、フェリクスは軽く口付ける。
何度か角度を変えて口付けながら視線で促せば、リィナは瞳を潤ませながらおずおずと口を開いた。
「だって……いれて、下さらなかったから……」
小さな声でそう言ったリィナの髪を一筋掬って、フェリクスはニヤリと笑う。
悪そうな顔、素敵、と見蕩れてしまっていたリィナの耳に、フェリクスが唇を寄せる。
「一晩で随分やらしくなったもんだな?リィナ」
そんな事を囁かれて、リィナはフェリクスの首から腕を解くと、その厚い胸板をポカリと叩く。
「や……やらしく、したのは、フェリクス様です」
「そうか?昨日は俺を襲おうとまでしたのに?」
「あっ…あれは……!」
リィナの顔だけではなく身体までが赤く染まったのを見て、フェリクスはくつくつと笑って掬ったまま弄んでいたリィナの髪に口付ける。
「お嬢様のご所望とあれば」
そう言ってニッと笑ったフェリクスに、リィナははくはくと口を開閉させて、
そしてフェリクスの胸に顔を埋める。
「しょ……所望、します」
リィナが小さく呟いたその言葉に、フェリクスは喉を鳴らす。
「承りました、お嬢様」
「~~~もうっ!何ですか、これ」
フェリクスの胸にぐりぐりと額を押し付けているリィナをゆるりと抱き締めて、フェリクスは満足そうに口端を上げた。
❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊
「返事、来てましたよ」
執務室へと戻ったフェリクスに、リシャールが封筒を1通、差し出す。
「あぁ、他は?」
「重要・急ぎの物は特には」
リシャールの言葉に頷いて手紙を受け取ると、開封して目を通す。
手紙を読み終えると、フェリクスはリシャールにその手紙を開いたまま渡した。
「明日は留守にする」
開かれたまま渡されたという事は『読んでおけ』という事だ。
リシャールは渡された手紙にさっと目を通して、そして僅かに頬を緩めると「諒解いたしました」と頭を下げた。
「こっちにいなくて良いから、お前は離れにいろよ」
「はいはい、分かっておりますよ──一応、男としては妻に守られるというのも複雑なんですけどねぇ」
「仕方ないだろう。運動神経迷子のお前よりもアリスの方が遥かに強いんだから」
それどころかリィナだってリシャールより強いだろうなと思ったが、さすがにそれは口にしないでおく。
一応少しばかり『妻に守られる夫』という立場を気にしているらしいリシャールには、年若く、小さくて可愛らしい令嬢よりも弱いだなんて事実は、流石に酷だろう。
「まぁ、そこに惚れたから良いんですけどね」
「ラーシュが稽古始めた時に一緒にやるとか言ってたくせに、2日で音を上げたじゃねーか。お前がアリスを守るなんて事は死んでも無理だ」
「あんなの無理ですよ。こなせているラーシュはきっと天才です」
「馬鹿か。あんなのただの準備運動だ」
6歳児の準備運動で怪我をするとはどういう事かと、むしろフェリクスの方が聞きたいくらいだ。
アリスが何故これに惚れたのか謎ではあるが、子供を2人作った今でも変わらず夫婦仲は良い──どころかまだまだ"ラブラブ"と言われるくらいなのだから、悩むだけ無駄な事だろう。
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