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本編

13. 乙女は野獣にたべられる。5 **

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「リィナ……もう大丈夫だよ、なっ」

返事を聞く前にリィナの最奥まで腰を進めて、最後に軽く突き上げれば、甘い甘い──嬌声と呼べる声を上げて、リィナが背を反らした。

突然の刺激に、リィナはちかちかと星が瞬いたような感覚に襲われていた。
そして今まで抱き締めてくれていた、大きくて暖かい身体が離れていってしまう事に気付いて、ぼんやりと目を開ける。

「ふぇりくすさま……?」

力が入らなくて、フェリクスの背からぱたりと落ちてしまった腕を持ち上げようとしたけれど、フェリクスに膝裏を抱え上げられて腰が浮いてしまったから、持ち上げた腕がまたシーツの海に落ちてしまう。

「──いくぞ。壊れんなよ」

フェリクスの短い宣言に何か返す暇もなく、リィナは大きく腰を引いたフェリクスに、一気に突き上げられた。

「ひゃっ!?…あっ……あぁっ……なに、ふぇり…さ……」

ぐちゅんっと隙間から蜜が溢れ出す感覚と音と、打ち付けられる度に響く身体がぶつかり合う音に、リィナは必死で首を振る。

「やぁっ…おと……いやっ……はずかしっ……ひんっ……んんっ……」

やめて、と言いたいのに言わせてもらえずに突き上げられて、リィナは縋るように必死にシーツを掴む。

「最初に言っただろ、あんな音で恥ずかしがってちゃ最後までできねーぞって」

ぐちゅぐちゅと、わざとじゃないかと思うくらいに中を擦って水音をさせるフェリクスに、リィナは必死で「ばかいじわる へんたい」と、切れ切れながらもリィナの中での精一杯の悪態をついてみたのに、フェリクスはそんなリィナを愛おしそうに見つめて笑うと、またリィナの最奥を突き上げた。

「ふぇり…しゅ………んぁっ……ら…めっ……やっ…」

何度も何度も突き上げられていくうち、呂律の回らなくなってきたリィナの口端から零れた唾液をフェリクスが指で掬う。

「ふぇ…り……んぅっ………ふぇ、りゅっ……ま……」

フェリクスさま、と名前を呼ぼうとしているのか、けれど上手く呼べずに繰り返しているリィナの蕩けきった表情に、フェリクスはぞくりと愉悦を覚えた。

「フェル、でも良いぞ」

さっきから全然言えてねーしと笑ったフェリクスに、リィナは懸命に手を伸ばす。

「ん……ふぇる、さま……で、い?」

フェリクスはリィナの腕を引いて、繋がったままその身体を抱き起こした。

「良いぜ。リィナだけの、呼び方だ」
「わたし、だけ……? とくべつ……?」
「そうだな、特別だ」

座ったフェリクスの上に跨る格好になって、リィナはやっと近くなったフェリクスの顔に、強請る様に唇を寄せる。

「ふぇる、さま──フェルさま……」

お互いに唇を重ねて、その合間に "特別な呼び方" を繰り返すリィナの頬を包み込んで、フェリクスが苦笑を零す。

「何だよ、そんなに嬉しいのか?」
「ん。わたしだけ……なの、うれし…です……。フェル、さま。 フェルさま──すき、です」
「ったく……」

フェリクスがリィナの腰を掴んだと思ったら、いきなり下からがんっと突き上げられる。
今までよりも奥に穿たれて、どこかに飛ばされてしまいそうな感覚を覚えて、リィナは必死にフェリクスに縋りつく。

「やっ……こわい、の……ふぇる さまっ」
「こわくねーよ、ちゃんと掴まえててやってんだろ?」

がんがんと突き上げられて、今までよりも深いところを何度も何度も突かれて、リィナはまたチカチカと明滅するあの感じに襲われる。

「ふぇ、る……また、きちゃぅ………っ!だ、め………おくっ……や ぁっ……!」
「いいぜ、俺も、そろそろ限界だ」

最後とばかりにフェリクスが思い切り突き上げると、リィナが悲鳴のような細い声を上げて、
そうしてリィナの中が大きくうねって── 弾けた。

「くっ………」

リィナの中が、フェリクスを搾り取るように痙攣する。
フェリクスはリィナの中から自身を引き抜くと、リィナを押し倒してその白い腹に白濁を吐き出した。

「ふぁっ……ん……」

自分の腹に吐き出されたフェリクスの熱に、リィナの身体がふるりと震えた。


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