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82章
元魔王様とテルイゾラの地下空間 7
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娼館の娼婦から女主人の行き付けの酒場を聞き出したジル達は先にその場所は向かって待ち構える事にした。
「美味いな。さすがは隠れた名店だ。」
「ジル様、こちらも美味しいですよ。お一つ如何ですか?」
「あ、もう飲み物無くなりそうですね。すみません、エールを追加でお願いします。」
「美味い!久しぶりにこんなに豪勢な食事が食べられました!」
「あの、皆さん。目的はお忘れではないですよね?」
ジル達だけで無くフォルトゥナも美味しい料理をバクバクと食べている。
それを見たミネルヴァが酒場に来た目的を覚えているかと確認してくる。
「ミネルヴァ、腹が減っては何とやらと言う言葉が異世界にはあってな。何か大きな事をする前には腹一杯食べて英気を養っておくものなのだ。」
「そう言うものでしょうか?」
ジルの言葉に首を傾げるミネルヴァ。
異世界の勇者達と会った事が無いミネルヴァは初めて聞いた言葉だろう。
と言っても食べる事が大好きな太った勇者の言葉だったので少し意味が違って伝わっていたりする。
「ミネルヴァ、警戒はいいから貴方も食べなさい。」
「そうですよ、ジル様からの施しを受け取らないなんてあり得ない事です。」
「も、申し訳ありません。頂きます。」
レイアとテスラに言われてミネルヴァも席に着く。
料理を一口食べるとその美味しさに目を見開いている。
砂賊時代はまともな食事にあり付ける事の方が珍しかったのだろう。
「それにしてもフォルトゥナ、お前しっかり食事をしていなかったのか?」
「毎日食べれてはいましたけど、こんなに豪勢にとはいきませんよ。僕達は人質を取られて無理矢理働かされている身ですからね。」
治安維持組織として働かされていたが給料は少なかったらしい。
こんなご馳走も久しぶりだと言う。
「それならば思う存分食べるといい。金ならある。」
そう言ってこの国の金貨が大量に入った袋をテーブルに出す。
「えー!?物凄い大金じゃないですか!?しかもちゃんと全部テルイゾラのお金なんですか!?」
突然現れた大金にフォルトゥナとミネルヴァが驚愕している。
治安維持の仕事や砂賊の稼ぎだけでこれ程稼ぐのにどれだけ掛かるか分からない。
「この国に来てから稼いだ金だ。」
「砂漠に生息する魔物や砂賊で得たんですよ。」
「倒すのも簡単だしガッツリ儲けてやったわ。」
この国の者達にとっては大金だが、ジル達なら直ぐに稼げる金額だ。
多少散財しても痛くも痒くも無い。
「ぼ、僕は一日中働かされて銀貨数枚くらいなのに。この差は理不尽過ぎる…。」
あまりの稼ぎの差にフォルトゥナが肩を落としていた。
「あら?マスター、今日は随分とお客さんが多いわね。いつも閑古鳥が鳴いているのに。」
「閑古鳥が鳴いていて悪かったな。いつものか?」
「ええ、お願いね。」
ジル達が食事をしていると新しく客が入ってきた。
口調から常連らしく、煌びやかな服を纏う女性である。
「ジル様、ターゲットの女主人ですよ。すっごく美人だと思いませんか?」
「成る程、こいつか。」
フォルトゥナが鼻の下を伸ばしながら教えてくれる。
娼婦から聞いた情報通りである。
「何よ、私の方がスタイルいいじゃない。」
「美味しくなさそうな血の香りがします。」
女性陣には不評な女主人。
性別や種族が変わると感想も変わるものだ。
「では早速始めるか。」
「具体的な作戦はどうするんですか?」
「フォルトゥナがベタ惚れ薬を身に付けて女主人を惚れさせる。話しはそれからだ。」
「と言う事でナンパ開始です!」
フォルトゥナが意気揚々とベタ惚れ薬を取り出して自分の身体に振り掛けている。
娼婦達の様に自分の虜になる女主人を想像してニヤけている。
ちなみにレイアとテスラは魅了魔法の適性を持っているので耐性があるがミネルヴァは魅了される可能性があるので状態異常回復のポーションを渡してある。
それを見たフォルトゥナが少し残念そうにしていたが、魅了する対象を間違えないでもらいたい。
「フォルトゥナがナンパ?上手くいくとは思えないわね。」
「同感です。」
「ふっ、レイアさんもテスラさんもあまいですね。このベタ惚れ薬がどれだけ強力な魔法道具かお見せしましょう!」
ベタ惚れ薬を使い終わったフォルトゥナは普段と違って自信満々に女主人に向かって歩いていった。
娼館での成功体験があるからだろう。
「口にしていて恥ずかしくはないのでしょうか?」
「インキュバスとしての誇りも何もあったもんじゃないわね。」
「お前達、そう言ってやるな。」
四人は女主人のナンパに向かったフォルトゥナを見送って食事をしながら待つ事にした。
「美味いな。さすがは隠れた名店だ。」
「ジル様、こちらも美味しいですよ。お一つ如何ですか?」
「あ、もう飲み物無くなりそうですね。すみません、エールを追加でお願いします。」
「美味い!久しぶりにこんなに豪勢な食事が食べられました!」
「あの、皆さん。目的はお忘れではないですよね?」
ジル達だけで無くフォルトゥナも美味しい料理をバクバクと食べている。
それを見たミネルヴァが酒場に来た目的を覚えているかと確認してくる。
「ミネルヴァ、腹が減っては何とやらと言う言葉が異世界にはあってな。何か大きな事をする前には腹一杯食べて英気を養っておくものなのだ。」
「そう言うものでしょうか?」
ジルの言葉に首を傾げるミネルヴァ。
異世界の勇者達と会った事が無いミネルヴァは初めて聞いた言葉だろう。
と言っても食べる事が大好きな太った勇者の言葉だったので少し意味が違って伝わっていたりする。
「ミネルヴァ、警戒はいいから貴方も食べなさい。」
「そうですよ、ジル様からの施しを受け取らないなんてあり得ない事です。」
「も、申し訳ありません。頂きます。」
レイアとテスラに言われてミネルヴァも席に着く。
料理を一口食べるとその美味しさに目を見開いている。
砂賊時代はまともな食事にあり付ける事の方が珍しかったのだろう。
「それにしてもフォルトゥナ、お前しっかり食事をしていなかったのか?」
「毎日食べれてはいましたけど、こんなに豪勢にとはいきませんよ。僕達は人質を取られて無理矢理働かされている身ですからね。」
治安維持組織として働かされていたが給料は少なかったらしい。
こんなご馳走も久しぶりだと言う。
「それならば思う存分食べるといい。金ならある。」
そう言ってこの国の金貨が大量に入った袋をテーブルに出す。
「えー!?物凄い大金じゃないですか!?しかもちゃんと全部テルイゾラのお金なんですか!?」
突然現れた大金にフォルトゥナとミネルヴァが驚愕している。
治安維持の仕事や砂賊の稼ぎだけでこれ程稼ぐのにどれだけ掛かるか分からない。
「この国に来てから稼いだ金だ。」
「砂漠に生息する魔物や砂賊で得たんですよ。」
「倒すのも簡単だしガッツリ儲けてやったわ。」
この国の者達にとっては大金だが、ジル達なら直ぐに稼げる金額だ。
多少散財しても痛くも痒くも無い。
「ぼ、僕は一日中働かされて銀貨数枚くらいなのに。この差は理不尽過ぎる…。」
あまりの稼ぎの差にフォルトゥナが肩を落としていた。
「あら?マスター、今日は随分とお客さんが多いわね。いつも閑古鳥が鳴いているのに。」
「閑古鳥が鳴いていて悪かったな。いつものか?」
「ええ、お願いね。」
ジル達が食事をしていると新しく客が入ってきた。
口調から常連らしく、煌びやかな服を纏う女性である。
「ジル様、ターゲットの女主人ですよ。すっごく美人だと思いませんか?」
「成る程、こいつか。」
フォルトゥナが鼻の下を伸ばしながら教えてくれる。
娼婦から聞いた情報通りである。
「何よ、私の方がスタイルいいじゃない。」
「美味しくなさそうな血の香りがします。」
女性陣には不評な女主人。
性別や種族が変わると感想も変わるものだ。
「では早速始めるか。」
「具体的な作戦はどうするんですか?」
「フォルトゥナがベタ惚れ薬を身に付けて女主人を惚れさせる。話しはそれからだ。」
「と言う事でナンパ開始です!」
フォルトゥナが意気揚々とベタ惚れ薬を取り出して自分の身体に振り掛けている。
娼婦達の様に自分の虜になる女主人を想像してニヤけている。
ちなみにレイアとテスラは魅了魔法の適性を持っているので耐性があるがミネルヴァは魅了される可能性があるので状態異常回復のポーションを渡してある。
それを見たフォルトゥナが少し残念そうにしていたが、魅了する対象を間違えないでもらいたい。
「フォルトゥナがナンパ?上手くいくとは思えないわね。」
「同感です。」
「ふっ、レイアさんもテスラさんもあまいですね。このベタ惚れ薬がどれだけ強力な魔法道具かお見せしましょう!」
ベタ惚れ薬を使い終わったフォルトゥナは普段と違って自信満々に女主人に向かって歩いていった。
娼館での成功体験があるからだろう。
「口にしていて恥ずかしくはないのでしょうか?」
「インキュバスとしての誇りも何もあったもんじゃないわね。」
「お前達、そう言ってやるな。」
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