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81章
元魔王様とフォルトゥナとの再会 1
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解体作業が終わると再び砂漠船が走り出す。
中立都市テルイゾラの周囲は湖に囲まれているので砂漠が終わるとそのまま水の上を進んでいく事になる。
どちらも問題無く進めるのは砂漠船の良いところだ。
ジル達は無事にテルイゾラへ入行する事が出来た。
「ゴールドカードの所持者は滞在期間を長く出来るんだったか?」
「カードのランクで滞在期間が決められていますからね。混雑防止策らしいですよ。」
「ここには各国々から多くの人が集まりますからね。」
偶然ではあったがゴールドカードの入行許可証を手に入れられたのは良かった。
テルイゾラを訪れる殆どの者がブロンズカードなので人の行き来が激しく落ち着いて行動したいのであればシルバーカード以上が欲しくなるそうだ。
「まあ、今回は明日には帰る予定だ。フォルトゥナを捜索しつつオークションも少し楽しむくらいだな。邪神教に関しては見つかればいいくらいで考えておこう。」
大元の目的であるフォルトゥナさえ見つけられれば問題無い。
その他はついでと言ってもいいだろう。
「元々あの女性が頻繁に利用しているのかも分からないですからね。ランクは高いですがカードの所持者だけなら珍しくもありませんし。」
ゴールドカードはそう簡単に手に入る物では無いが、だからと言ってテルイゾラに頻繁に通っている保証も無いのだ。
「そちらも時間があれば調べておきます。」
「悪いなミネルヴァ。」
ミネルヴァは邪神教に付いては知らなかったが軽く説明しておいた。
フォルトゥナの情報収集ついでに調べてくれそうだ。
「いえ、皆さんはテルイゾラをお楽しみ下さい。それではこれで。」
「ちょっと待ってミネルヴァ。」
「何でしょうか?」
早速フォルトゥナ探しに向かおうとしたミネルヴァの腕をテスラが掴んで止めている。
「いいからいいから。レイアもこっちね。ジル様、少しお待ち下さい。」
「?」
テスラがミネルヴァだけでなくレイアの腕も掴んでジルから少し離れた場所に移動する。
女性だけで何か話したい事でもあるのかもしれないと思って待つ事にした。
「急に何ですか?」
「ミネルヴァには言っておかないといけない事があってね。」
「フォルトゥナの件を引き受けてくれた事ですか?」
急な話しだったのにミネルヴァは快く引き受けてくれたので二人はとても助かった。
「それもあるけど違うわ。ミネルヴァ、ジル様の今回の目的はフォルトゥナの捜索よ。」
「存じております。」
既にその事に関しては共有されている。
テルイゾラにいるフォルトゥナと言う魔族のインキュバス種を探すのが今回の目的だ。
「でも私達は違うの。私達はジル様とデートする事が目的なんだから。」
「それも存じております。なので私に頼まれたのですよね?」
「そうね。」
デート時間を少しでも長く確保したい。
その為にフォルトゥナの捜索をミネルヴァに頼んだ。
「テスラは何が言いたいのですか?」
「つまりフォルトゥナに関する情報は必ず手に入れなければならない。でも私達のデート時間も確保したい。だから見つけても直ぐには戻って来ないでタイミングを見計らってほしいって事。」
ミネルヴァがフォルトゥナに関する情報を持ち帰れば、そこでデートは終了してしまうだろう。
せっかくならこの機会に目一杯楽しみたいのだ。
「テスラ、ジル様よりも自分の欲を優先するのですか?」
レイアが呆れた様な視線を向けて言う。
「はぁ、相変わらず頭が固いわね。レイア、よく考えてみなさい。女好き臆病インキュバスとジル様とのデート、私達にとってどっちの方が大切かなんて分かり切っているでしょ?」
「…。」
「無言は肯定と受け取るわ。」
レイアとてフォルトゥナを探す事よりもジルとのデートの方が気持ち的には重要である。
それでもジルに仕える立場として、それを優先してしまっていいのか悩ましいところなのだ。
「それにあのフォルトゥナが簡単に命を落とすとも考えられないでしょ?奴隷になっててもしぶとく生き延びてそうじゃない?」
「確かにそうですね。」
「でしょ?悔しいけど私達でも勝てないでしょうからね。」
「そんなにお強い方なのですか?」
ミネルヴァが少し驚きながら尋ねる。
二人の実力は先程まで砂賊だった自分がよく分かっている。
圧倒的過ぎて敵対する事すら愚かだと思わせられるくらい実力差があると感じていた。
「臆病で逃げてばかりの方ですが戦う気になれば最強の魔族です。ジル様から昔聞いた話しでは、原初の龍に襲われている女性を助ける為に腕を落としたそうですよ。」
魔王時代に聞いた話しだ。
実話であればとんでもない事である。
「原初の龍と言えば御伽話の存在ですが実在するのでしょうか?」
「するわよ、私達は見た事があるもの。あれは魔物の頂点に君臨するドラゴン種の中でも別格の存在よ。」
魔王軍の元四天王である二人にそう思われるくらい魔物としての格が他とは違う。
魔法の始祖とも呼ばれているだけあって、その強さは世界でもトップクラスだ。
「そんな存在の腕を落とす様な人物…。恐ろしくはないのですよね?」
「女性に対しては甘々よ。ミネルヴァが何か頼み事をすれば喜んで引き受けてくれるでしょうね。」
「そう言う男なのですよ。」
テスラの言葉にレイアは大きく頷いて同意している。
同じ魔王軍にいた頃から何度その光景を見てきた事か。
魔王にも見習ってほしいくらいであった。
「そ、そうなのですね。一先ずテスラ様が仰りたい事は分かりました。ジル様とのデート中には戻らない様にします。」
「優秀な部下を持って私達は幸せ者だわ。」
テスラが満足気に頷いている。
伝えたい事は言えたのでジルの下へ戻る。
「要件は済んだのか?」
「はい、少し伝え忘れていた事がありましたので。ですがもう完璧です。そうよね?」
「はい、必ずやフォルトゥナ様に関する情報を掴んできます。それでは今度こそ行って参ります。」
ミネルヴァは一礼して人混みの中へと消えていった。
中立都市テルイゾラの周囲は湖に囲まれているので砂漠が終わるとそのまま水の上を進んでいく事になる。
どちらも問題無く進めるのは砂漠船の良いところだ。
ジル達は無事にテルイゾラへ入行する事が出来た。
「ゴールドカードの所持者は滞在期間を長く出来るんだったか?」
「カードのランクで滞在期間が決められていますからね。混雑防止策らしいですよ。」
「ここには各国々から多くの人が集まりますからね。」
偶然ではあったがゴールドカードの入行許可証を手に入れられたのは良かった。
テルイゾラを訪れる殆どの者がブロンズカードなので人の行き来が激しく落ち着いて行動したいのであればシルバーカード以上が欲しくなるそうだ。
「まあ、今回は明日には帰る予定だ。フォルトゥナを捜索しつつオークションも少し楽しむくらいだな。邪神教に関しては見つかればいいくらいで考えておこう。」
大元の目的であるフォルトゥナさえ見つけられれば問題無い。
その他はついでと言ってもいいだろう。
「元々あの女性が頻繁に利用しているのかも分からないですからね。ランクは高いですがカードの所持者だけなら珍しくもありませんし。」
ゴールドカードはそう簡単に手に入る物では無いが、だからと言ってテルイゾラに頻繁に通っている保証も無いのだ。
「そちらも時間があれば調べておきます。」
「悪いなミネルヴァ。」
ミネルヴァは邪神教に付いては知らなかったが軽く説明しておいた。
フォルトゥナの情報収集ついでに調べてくれそうだ。
「いえ、皆さんはテルイゾラをお楽しみ下さい。それではこれで。」
「ちょっと待ってミネルヴァ。」
「何でしょうか?」
早速フォルトゥナ探しに向かおうとしたミネルヴァの腕をテスラが掴んで止めている。
「いいからいいから。レイアもこっちね。ジル様、少しお待ち下さい。」
「?」
テスラがミネルヴァだけでなくレイアの腕も掴んでジルから少し離れた場所に移動する。
女性だけで何か話したい事でもあるのかもしれないと思って待つ事にした。
「急に何ですか?」
「ミネルヴァには言っておかないといけない事があってね。」
「フォルトゥナの件を引き受けてくれた事ですか?」
急な話しだったのにミネルヴァは快く引き受けてくれたので二人はとても助かった。
「それもあるけど違うわ。ミネルヴァ、ジル様の今回の目的はフォルトゥナの捜索よ。」
「存じております。」
既にその事に関しては共有されている。
テルイゾラにいるフォルトゥナと言う魔族のインキュバス種を探すのが今回の目的だ。
「でも私達は違うの。私達はジル様とデートする事が目的なんだから。」
「それも存じております。なので私に頼まれたのですよね?」
「そうね。」
デート時間を少しでも長く確保したい。
その為にフォルトゥナの捜索をミネルヴァに頼んだ。
「テスラは何が言いたいのですか?」
「つまりフォルトゥナに関する情報は必ず手に入れなければならない。でも私達のデート時間も確保したい。だから見つけても直ぐには戻って来ないでタイミングを見計らってほしいって事。」
ミネルヴァがフォルトゥナに関する情報を持ち帰れば、そこでデートは終了してしまうだろう。
せっかくならこの機会に目一杯楽しみたいのだ。
「テスラ、ジル様よりも自分の欲を優先するのですか?」
レイアが呆れた様な視線を向けて言う。
「はぁ、相変わらず頭が固いわね。レイア、よく考えてみなさい。女好き臆病インキュバスとジル様とのデート、私達にとってどっちの方が大切かなんて分かり切っているでしょ?」
「…。」
「無言は肯定と受け取るわ。」
レイアとてフォルトゥナを探す事よりもジルとのデートの方が気持ち的には重要である。
それでもジルに仕える立場として、それを優先してしまっていいのか悩ましいところなのだ。
「それにあのフォルトゥナが簡単に命を落とすとも考えられないでしょ?奴隷になっててもしぶとく生き延びてそうじゃない?」
「確かにそうですね。」
「でしょ?悔しいけど私達でも勝てないでしょうからね。」
「そんなにお強い方なのですか?」
ミネルヴァが少し驚きながら尋ねる。
二人の実力は先程まで砂賊だった自分がよく分かっている。
圧倒的過ぎて敵対する事すら愚かだと思わせられるくらい実力差があると感じていた。
「臆病で逃げてばかりの方ですが戦う気になれば最強の魔族です。ジル様から昔聞いた話しでは、原初の龍に襲われている女性を助ける為に腕を落としたそうですよ。」
魔王時代に聞いた話しだ。
実話であればとんでもない事である。
「原初の龍と言えば御伽話の存在ですが実在するのでしょうか?」
「するわよ、私達は見た事があるもの。あれは魔物の頂点に君臨するドラゴン種の中でも別格の存在よ。」
魔王軍の元四天王である二人にそう思われるくらい魔物としての格が他とは違う。
魔法の始祖とも呼ばれているだけあって、その強さは世界でもトップクラスだ。
「そんな存在の腕を落とす様な人物…。恐ろしくはないのですよね?」
「女性に対しては甘々よ。ミネルヴァが何か頼み事をすれば喜んで引き受けてくれるでしょうね。」
「そう言う男なのですよ。」
テスラの言葉にレイアは大きく頷いて同意している。
同じ魔王軍にいた頃から何度その光景を見てきた事か。
魔王にも見習ってほしいくらいであった。
「そ、そうなのですね。一先ずテスラ様が仰りたい事は分かりました。ジル様とのデート中には戻らない様にします。」
「優秀な部下を持って私達は幸せ者だわ。」
テスラが満足気に頷いている。
伝えたい事は言えたのでジルの下へ戻る。
「要件は済んだのか?」
「はい、少し伝え忘れていた事がありましたので。ですがもう完璧です。そうよね?」
「はい、必ずやフォルトゥナ様に関する情報を掴んできます。それでは今度こそ行って参ります。」
ミネルヴァは一礼して人混みの中へと消えていった。
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