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70章
元魔王様とリュシエルのダンジョン探索 4
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目の前でガーゴイルと言う石の身体を持つ石像の魔物がリュシエルの持つ剣によって斬られる。
既に辺りはその残骸で埋め尽くされている。
「ふぅ、残り一体です!」
ボス部屋に大量に召喚されたガーゴイルも時間を掛けて最後の一体まで倒した。
「一体一体の強さはそこまででは無いが数に苦戦させられたな。」
対多数の戦闘はまだまだ慣れていない。
今回のボス戦は良い訓練になっただろう。
「ジル、終わりました。」
最後のガーゴイルを斬り倒したリュシエルが言う。
「中々上手く立ち回れていたんじゃないか?」
「そうだといいのですが。そう言えば戦利品で剣が出ましたよ。」
「どれどれ。」
受け取って無限倉庫から鑑定用の魔法道具を取り出して見てみる。
と言ってもそれはカモフラージュで実際は万能鑑定を使用する。
「中々強そうな見た目ですね。そろそろ武器の新調を考えていたので丁度良いかもしれません。」
一見すると強そうな剣に見えるが残念ながらハズレであった。
「ふむ、呪われたければ装備しても構わないぞ。」
「えっ?呪いですか?」
「この剣は呪いの装備だ。強力な戦闘力を得る代わりに僅かに使用者の寿命を削る類いだな。」
「い、いりません!仕舞って下さい。」
手をブンブンと振って拒否する姿勢を取る。
呪いの装備は代償がある代わりに強力な力を得られる。
好んで使う変人もいるが基本的にはリュシエルの様な反応が一般的だ。
「さて、二十階層を突破したがどうする?」
「私としてはこのまま挑みたいですね。」
既にダンジョンに潜って数時間は経過しているのだが、リュシエルはまだ探索したい様だ。
「疲れてないのか?」
「少し疲労を感じている程度ですよ。」
「それならこれをやろう。」
「ぽ、ポーションですか?」
ジルが無限倉庫から取り出したポーションを受け取ってリュシエルが微妙な反応をしている。
ポーションが想像を絶する不味さなのは周知の事実だ。
「まあ、その表情になるのも分かるが、騙されたと思って飲んでみろ。」
ジルは振り掛けるのでは無く飲んでみろと言う。
高い効果を得られるのは当然飲む方なのだが、それを聞いたリュシエルは少し嫌そうな表情をしている。
「ジルはそう言って普通に騙してきそうなのですが。」
「何か言ったか?」
「頂きます。」
覚悟を決めてポーションを一気に飲む。
直ぐに味覚を破壊する後味が襲ってくると覚悟していたがいつまで経っても感じられない。
それどころかポーションを飲んだのに甘みを感じると言うあり得ない事が起こって驚いた。
「甘い。それに美味しい。」
もっと飲みたいと思える程にジルが渡してきたポーションは美味しかった。
まるで果実水でも飲んでいるかの様だ。
「そうだろう?それなのに効果もしっかりある。ポーションの革命だと思わないか?」
「はい、これがポーションだなんて信じられません。一体どんな方法を使ったのですか?」
「企業秘密だと言われているがシキのお手製だ。だから我も作り方は知らん。」
作り方は知らないが極上蜂蜜が使用されて美味しいポーションになったのは知っている。
ハニービーから摂取出来る様になる極上蜂蜜の使い道を模索していて偶然出来た品らしい。
「疲労も魔力も回復しました。これならまだまだ行けそうですよ。」
「それなら次に向かうか。」
二人は階層を降りて二十一階層へと向かう。
「また草原ですね。」
「だが魔物の強さは上がっているみたいだ。高ランクの魔物もいるみたいだぞ。」
草原なのは変わらないが魔物のランクが変わっている。
これまでと違ってリュシエルでも簡単に倒せない魔物もいる。
「それならば先程の近道をする必要もありませんね。怖いですし。」
また階層を一気に抜ける為に大穴に飛び込む事にはならなそうでリュシエルは一安心だ。
「おっ、あれは。」
「どうかしましたか?」
「魔法でこの階層の索敵をしていたのだが、あっちに宝箱が見えた。」
一先ず周囲の安全確保をしようと空間把握を使用したら宝箱を発見した。
距離もそこまで離れていない。
「行きましょう!」
「食い付きが凄いな。」
「ダンジョンと言えば宝箱ではないですか。貴重な魔法武具や魔法道具が手に入れられる絶好の機会を逃す理由はありません。」
運悪くここまで宝箱を発見出来ていなかったので、やっとダンジョンの醍醐味を味わえるとリュシエルのテンションが上がっている。
「まあ、それもそうだな。剣を欲していたみたいだし、良さげなのが出たらお嬢が使うといい。」
「宜しいのですか?」
リュシエルが嬉しそうな声を上げる。
ダンジョン産の強い魔法武具ともなれば誰もが欲するお宝だ。
貴族でも簡単には入手出来無い物も多い。
「ああ、我は既に愛剣があるからな。」
ダナンに作ってもらった銀月はそこらの魔法武具よりも強いので今のところ変えるつもりは無い。
「それでしたら有り難く貰いますね。本格的に鍛え始めてから武器も自分に合う物を見繕いたかったので。この領地で揃えるのは中々難しいですからね。」
「確かにシャルルメルトは冒険者の仕事があまり無いからな。良質な武具もあまり扱われないか。」
「そう言う事です。」
鍛治師も自分の作った武具が使われずに店先で埃を被るよりは、使う者がいる場所で販売したいだろう。
シャルルメルトに鍛治師や武具店が少ないのはそう言う理由だ。
「だがこれからは大きく変わってくるかもしれんぞ?」
「ダンジョンが見つかったからですか?」
「ダンジョンは人を呼ぶからな。そこを中心に様々な人や物資が集まって発展する傾向にある。」
トレンフルもそう言う場所だった筈だ。
ダンジョンは資源の宝庫なので多くの者を寄せ付ける。
「将来的にはそうなって領地が盛り上がってくれるといいのですけどね。」
「不安は無いのか?」
「無いと言えば嘘になります。なので早く強くなって自衛出来る様に頑張ります。」
未来を見据えて覚悟を決めたリュシエルが歩みを止める事はもう無さそうだ。
既に辺りはその残骸で埋め尽くされている。
「ふぅ、残り一体です!」
ボス部屋に大量に召喚されたガーゴイルも時間を掛けて最後の一体まで倒した。
「一体一体の強さはそこまででは無いが数に苦戦させられたな。」
対多数の戦闘はまだまだ慣れていない。
今回のボス戦は良い訓練になっただろう。
「ジル、終わりました。」
最後のガーゴイルを斬り倒したリュシエルが言う。
「中々上手く立ち回れていたんじゃないか?」
「そうだといいのですが。そう言えば戦利品で剣が出ましたよ。」
「どれどれ。」
受け取って無限倉庫から鑑定用の魔法道具を取り出して見てみる。
と言ってもそれはカモフラージュで実際は万能鑑定を使用する。
「中々強そうな見た目ですね。そろそろ武器の新調を考えていたので丁度良いかもしれません。」
一見すると強そうな剣に見えるが残念ながらハズレであった。
「ふむ、呪われたければ装備しても構わないぞ。」
「えっ?呪いですか?」
「この剣は呪いの装備だ。強力な戦闘力を得る代わりに僅かに使用者の寿命を削る類いだな。」
「い、いりません!仕舞って下さい。」
手をブンブンと振って拒否する姿勢を取る。
呪いの装備は代償がある代わりに強力な力を得られる。
好んで使う変人もいるが基本的にはリュシエルの様な反応が一般的だ。
「さて、二十階層を突破したがどうする?」
「私としてはこのまま挑みたいですね。」
既にダンジョンに潜って数時間は経過しているのだが、リュシエルはまだ探索したい様だ。
「疲れてないのか?」
「少し疲労を感じている程度ですよ。」
「それならこれをやろう。」
「ぽ、ポーションですか?」
ジルが無限倉庫から取り出したポーションを受け取ってリュシエルが微妙な反応をしている。
ポーションが想像を絶する不味さなのは周知の事実だ。
「まあ、その表情になるのも分かるが、騙されたと思って飲んでみろ。」
ジルは振り掛けるのでは無く飲んでみろと言う。
高い効果を得られるのは当然飲む方なのだが、それを聞いたリュシエルは少し嫌そうな表情をしている。
「ジルはそう言って普通に騙してきそうなのですが。」
「何か言ったか?」
「頂きます。」
覚悟を決めてポーションを一気に飲む。
直ぐに味覚を破壊する後味が襲ってくると覚悟していたがいつまで経っても感じられない。
それどころかポーションを飲んだのに甘みを感じると言うあり得ない事が起こって驚いた。
「甘い。それに美味しい。」
もっと飲みたいと思える程にジルが渡してきたポーションは美味しかった。
まるで果実水でも飲んでいるかの様だ。
「そうだろう?それなのに効果もしっかりある。ポーションの革命だと思わないか?」
「はい、これがポーションだなんて信じられません。一体どんな方法を使ったのですか?」
「企業秘密だと言われているがシキのお手製だ。だから我も作り方は知らん。」
作り方は知らないが極上蜂蜜が使用されて美味しいポーションになったのは知っている。
ハニービーから摂取出来る様になる極上蜂蜜の使い道を模索していて偶然出来た品らしい。
「疲労も魔力も回復しました。これならまだまだ行けそうですよ。」
「それなら次に向かうか。」
二人は階層を降りて二十一階層へと向かう。
「また草原ですね。」
「だが魔物の強さは上がっているみたいだ。高ランクの魔物もいるみたいだぞ。」
草原なのは変わらないが魔物のランクが変わっている。
これまでと違ってリュシエルでも簡単に倒せない魔物もいる。
「それならば先程の近道をする必要もありませんね。怖いですし。」
また階層を一気に抜ける為に大穴に飛び込む事にはならなそうでリュシエルは一安心だ。
「おっ、あれは。」
「どうかしましたか?」
「魔法でこの階層の索敵をしていたのだが、あっちに宝箱が見えた。」
一先ず周囲の安全確保をしようと空間把握を使用したら宝箱を発見した。
距離もそこまで離れていない。
「行きましょう!」
「食い付きが凄いな。」
「ダンジョンと言えば宝箱ではないですか。貴重な魔法武具や魔法道具が手に入れられる絶好の機会を逃す理由はありません。」
運悪くここまで宝箱を発見出来ていなかったので、やっとダンジョンの醍醐味を味わえるとリュシエルのテンションが上がっている。
「まあ、それもそうだな。剣を欲していたみたいだし、良さげなのが出たらお嬢が使うといい。」
「宜しいのですか?」
リュシエルが嬉しそうな声を上げる。
ダンジョン産の強い魔法武具ともなれば誰もが欲するお宝だ。
貴族でも簡単には入手出来無い物も多い。
「ああ、我は既に愛剣があるからな。」
ダナンに作ってもらった銀月はそこらの魔法武具よりも強いので今のところ変えるつもりは無い。
「それでしたら有り難く貰いますね。本格的に鍛え始めてから武器も自分に合う物を見繕いたかったので。この領地で揃えるのは中々難しいですからね。」
「確かにシャルルメルトは冒険者の仕事があまり無いからな。良質な武具もあまり扱われないか。」
「そう言う事です。」
鍛治師も自分の作った武具が使われずに店先で埃を被るよりは、使う者がいる場所で販売したいだろう。
シャルルメルトに鍛治師や武具店が少ないのはそう言う理由だ。
「だがこれからは大きく変わってくるかもしれんぞ?」
「ダンジョンが見つかったからですか?」
「ダンジョンは人を呼ぶからな。そこを中心に様々な人や物資が集まって発展する傾向にある。」
トレンフルもそう言う場所だった筈だ。
ダンジョンは資源の宝庫なので多くの者を寄せ付ける。
「将来的にはそうなって領地が盛り上がってくれるといいのですけどね。」
「不安は無いのか?」
「無いと言えば嘘になります。なので早く強くなって自衛出来る様に頑張ります。」
未来を見据えて覚悟を決めたリュシエルが歩みを止める事はもう無さそうだ。
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