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57章
元魔王様と国宝級の武具 5
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混成のスキルによる光りが収束すると、テーブルの上から全ての素材が消えて一本の剣が置かれていた。
「「「おおお。」」」
見るからに存在感を漂わせる武器にジル達の視線は釘付けだ。
「はぁはぁ、酷い目に遭った。」
そんな三人とは違ってポーションの後味が口に残っているドメスが、渋い顔をしながら舌を出している。
「お疲れ様でした。無事に成功して良かったですね。」
「人にあんな物を飲ませておいてよく平気な顔をしていられるな。」
ドメスがキュールネに文句を言う。
覚悟も無くポーションを飲まされるなんてたまったものでは無い。
「魔力切れになりそうだったのですから仕方無いじゃないですか。スキルが失敗してあの素材の数々を弁償出来たのですか?」
使われていたのは中々手に入らない価値の高い物ばかりだった。
市場にも殆ど出回らないので一生掛かっても揃えられない可能性もある。
「それはそうかもしれないが、振り掛けるだけでもよかっただろ?」
ポーションは飲まなくても体表に振り掛けるだけでも効果を発揮する。
と言ってもその効果は半減してしまうので、一番効率が良いのは直接飲む事だ。
「効果を半減させるなんて非効率です。自前のポーションを何本も使いたくはありませんから。」
「ったく、飯が不味くなるだろうが。まあ、今は剣の完成を祝うとするか。」
文句も程々にしてテーブルの上に視線を移す。
持ち主となるホッコが早く触りたくてうずうずしているので、ドメスは手早く終わらせようと懐から虫眼鏡の様な物を取り出す。
「それは?」
「混成のスキルで作った鑑定用の魔法道具だ。完成した物が注文通りになってるか毎回確認しないといけないからな。」
自分の作った物は渡す前に自分で調べて性能を確かめている。
渡した後に注文通りでは無いと文句を言われない為だ。
「おおお、注文以上だな。さすがは俺だ。混成装具師の名に恥じない逸品だ。」
虫眼鏡でテーブルに置かれる剣を見て満足そうに頷いている。
魔力切れになりそうなアクシデントはあったが、混成のスキルは無事に成功した様だ。
「一人で満足していないで説明をしてもらえますか?」
キュールネの言葉にジルとホッコも頷く。
万能鑑定を使えば効果は分かるが、せっかく鑑定用の魔法道具を使っているのだからドメスから聞く事にした。
「悪い悪い、あまりにも素晴らしい出来栄えにな。この剣の所有者はあんただったな。受け取ってくれ。」
「ありがとうなの!」
ドメスから渡された剣を両手で受け取ったホッコはお礼を言って微笑んでいる。
自分専用の武器が完成したのが余程嬉しい様だ。
「名を龍聖剣と言う。間違い無く世界最高峰の武器に名を連ねるだろう。」
混成のスキルを使って完成した段階で武器の名前から性能まで全て決まっている。
それを調べてドメスが教えてくれる。
早速ホッコが龍聖剣を鞘から抜いてみる。
「格好良いの!」
「ドラゴンの素材を使っているだけはあるな。」
「色合いも美しいですね。」
刀身が光沢のある黒い色を基調としていて、それを邪魔しない様に綺麗な薄緑色の模様が描かれている。
圧倒的な力強さを感じる刀身に思わずドメスは息を呑んでいた。
「説明を続けるぞ。龍聖剣はその剣自体が最高の素材を使っていることからかなりの強度を持っている。それに加えて修復のスキルも付いているな。」
修復のスキルは文字通り剣が刃こぼれしたりヒビが入っても、魔力を取り込みその部分を自動で修復してくれるスキルだ。
さすがに折れてしまうと修復でも直らないが、元々強度は高いので半永久的に使える武器となる。
「次にご希望の魔法効果上昇に風刃のスキルも付いている。どちらも発動するには剣を持って戦う必要があるが、剣士ならばそこは問題無いだろう。」
本当は魔物なのだが最近は獣人の姿で戦う事しかないのでホッコとしても問題は無いだろう。
「次のスキルだが…。」
「ちょ、ちょっと待って下さい。まだスキルが付加されているのですか?」
キュールネが驚きながら言う。
既に注文したスキルは全て付加されている。
「素材が良かったからか追加のスキルがまだある。やはりあれだけの素材が揃うと違うな。」
「邪魔になる様なスキルではないんだろう?」
「当然だ、使用者にとってはプラスにしかならないから安心してくれ。追加のスキルは二つある。一つ目は敏捷補正だな。」
「ありきたりなスキルですが無いよりは当然ある方が有り難いですね。」
敏捷補正は装備者の速度を少しだけ高めてくれる効果がある。
劇的に変わる訳では無いが付けないよりは当然付けている方が便利である。
「最後のスキルは何なの?」
ホッコがワクワクする様に尋ねる。
それを察してドメスがニヤリと笑う。
「かなりの強スキルだと思うぞ。スキル名は龍爪と言って、剣を振るう時に使えば相手に追加攻撃を与えてくれるスキルらしい。」
「ほう、龍の名を冠するスキルか。」
「早速使ってみたいの!」
ホッコの希望でドメスの店の裏にある物置きスペースを使わせてもらえる事になった。
「「「おおお。」」」
見るからに存在感を漂わせる武器にジル達の視線は釘付けだ。
「はぁはぁ、酷い目に遭った。」
そんな三人とは違ってポーションの後味が口に残っているドメスが、渋い顔をしながら舌を出している。
「お疲れ様でした。無事に成功して良かったですね。」
「人にあんな物を飲ませておいてよく平気な顔をしていられるな。」
ドメスがキュールネに文句を言う。
覚悟も無くポーションを飲まされるなんてたまったものでは無い。
「魔力切れになりそうだったのですから仕方無いじゃないですか。スキルが失敗してあの素材の数々を弁償出来たのですか?」
使われていたのは中々手に入らない価値の高い物ばかりだった。
市場にも殆ど出回らないので一生掛かっても揃えられない可能性もある。
「それはそうかもしれないが、振り掛けるだけでもよかっただろ?」
ポーションは飲まなくても体表に振り掛けるだけでも効果を発揮する。
と言ってもその効果は半減してしまうので、一番効率が良いのは直接飲む事だ。
「効果を半減させるなんて非効率です。自前のポーションを何本も使いたくはありませんから。」
「ったく、飯が不味くなるだろうが。まあ、今は剣の完成を祝うとするか。」
文句も程々にしてテーブルの上に視線を移す。
持ち主となるホッコが早く触りたくてうずうずしているので、ドメスは手早く終わらせようと懐から虫眼鏡の様な物を取り出す。
「それは?」
「混成のスキルで作った鑑定用の魔法道具だ。完成した物が注文通りになってるか毎回確認しないといけないからな。」
自分の作った物は渡す前に自分で調べて性能を確かめている。
渡した後に注文通りでは無いと文句を言われない為だ。
「おおお、注文以上だな。さすがは俺だ。混成装具師の名に恥じない逸品だ。」
虫眼鏡でテーブルに置かれる剣を見て満足そうに頷いている。
魔力切れになりそうなアクシデントはあったが、混成のスキルは無事に成功した様だ。
「一人で満足していないで説明をしてもらえますか?」
キュールネの言葉にジルとホッコも頷く。
万能鑑定を使えば効果は分かるが、せっかく鑑定用の魔法道具を使っているのだからドメスから聞く事にした。
「悪い悪い、あまりにも素晴らしい出来栄えにな。この剣の所有者はあんただったな。受け取ってくれ。」
「ありがとうなの!」
ドメスから渡された剣を両手で受け取ったホッコはお礼を言って微笑んでいる。
自分専用の武器が完成したのが余程嬉しい様だ。
「名を龍聖剣と言う。間違い無く世界最高峰の武器に名を連ねるだろう。」
混成のスキルを使って完成した段階で武器の名前から性能まで全て決まっている。
それを調べてドメスが教えてくれる。
早速ホッコが龍聖剣を鞘から抜いてみる。
「格好良いの!」
「ドラゴンの素材を使っているだけはあるな。」
「色合いも美しいですね。」
刀身が光沢のある黒い色を基調としていて、それを邪魔しない様に綺麗な薄緑色の模様が描かれている。
圧倒的な力強さを感じる刀身に思わずドメスは息を呑んでいた。
「説明を続けるぞ。龍聖剣はその剣自体が最高の素材を使っていることからかなりの強度を持っている。それに加えて修復のスキルも付いているな。」
修復のスキルは文字通り剣が刃こぼれしたりヒビが入っても、魔力を取り込みその部分を自動で修復してくれるスキルだ。
さすがに折れてしまうと修復でも直らないが、元々強度は高いので半永久的に使える武器となる。
「次にご希望の魔法効果上昇に風刃のスキルも付いている。どちらも発動するには剣を持って戦う必要があるが、剣士ならばそこは問題無いだろう。」
本当は魔物なのだが最近は獣人の姿で戦う事しかないのでホッコとしても問題は無いだろう。
「次のスキルだが…。」
「ちょ、ちょっと待って下さい。まだスキルが付加されているのですか?」
キュールネが驚きながら言う。
既に注文したスキルは全て付加されている。
「素材が良かったからか追加のスキルがまだある。やはりあれだけの素材が揃うと違うな。」
「邪魔になる様なスキルではないんだろう?」
「当然だ、使用者にとってはプラスにしかならないから安心してくれ。追加のスキルは二つある。一つ目は敏捷補正だな。」
「ありきたりなスキルですが無いよりは当然ある方が有り難いですね。」
敏捷補正は装備者の速度を少しだけ高めてくれる効果がある。
劇的に変わる訳では無いが付けないよりは当然付けている方が便利である。
「最後のスキルは何なの?」
ホッコがワクワクする様に尋ねる。
それを察してドメスがニヤリと笑う。
「かなりの強スキルだと思うぞ。スキル名は龍爪と言って、剣を振るう時に使えば相手に追加攻撃を与えてくれるスキルらしい。」
「ほう、龍の名を冠するスキルか。」
「早速使ってみたいの!」
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