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51章
元魔王様とエトワールの生誕祭 9
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直接ジルに感謝を伝えられてエトワールは一先ず満足した様だ。
「それにしてもジルへの招待は駄目で元々と思って送ったのだが応じてくれて嬉しいぞ。」
ジルを招待するにあたって人となりを調べたらしく、断られる可能性の方が高いと思っていたらしい。
「なんだ、来なくてもよかったのか。」
「そう言う訳では無い。家族達も妹を助けてくれた恩人に会いたがっていたからな。」
大事な家族を救ってくれた恩人の一人として王族達はジルに会いたがっていたのだ。
ちなみにルルネットも恩人の一人と言う事になっているのだが、トレンフルでは今の時期に領地経営で非常に忙しく、今回は来られないと言う旨が伝えられたらしい。
優秀な臣下と言う事は王族も分かっているので無理強いする事も無く、国の発展に尽力してもらえれば王族としては文句は無い。
ちなみに忙しくなった原因に少なからずシキが関わっていたりするのだが当人達以外は気付いていない。
「喜んで頂けて幸いです。説得した甲斐があります。」
トゥーリがジルと交渉していなければ本当に来なかった可能性の方が高いので、あの時の自分の判断は間違っていなかったと安心した。
「トゥーリ伯爵が連れてきてくれたのか、感謝する。」
「Sランクの闘姫とも良好な関係を築いている様だし、若いのに素晴らしい手腕ですわ。」
「お褒めに預かり光栄です。」
国王と王妃に褒められたトゥーリは緊張しながらもそう言って頭を下げる。
「本来なら命の恩人に挨拶させてやりたかったのだが。」
「そう言えばステファニア王女がいないわよね。」
エトワールの言葉にラブリートが周囲を見回して言う。
ステファニアと言う人物がジルの譲った万能薬で助かった者の名前らしい。
ジルは面識が無いので分からないが、トゥーリとラブリートは知っているので、いない事に首を傾げている。
「申し訳ないが今回はパーティーには出ずに人気の無い場所で待機を命じてある。ステファニアに悪意ある者がいると分かって、こんな場所には出せん。」
ステファニアは貴族からの贈り物を身に付けて呪われる事になった。
敵意を持った者がこの場に紛れ込んでいる可能性を考えると迂闊に出歩かせたくは無いだろう。
「だからまたの機会に是非会ってやってくれ。ステフも直接礼を言いたいと言っていたからな。」
「機会があればな。」
エトワールの言葉を受けたジルは確約はしないでおく。
ここで宣言してしまえば再び王城を訪れなければいけなくなる。
エトワールは少し残念そうにしていたが、王族との約束程面倒な事もないだろう。
「では後も控えている事ですし、そろそろ祝いの品を献上して私達は下がらせてもらいます。」
トゥーリが後ろをチラリと確認してから言う。
王族へ謁見するのはこの国の貴族や権力者ばかりだ。
あまり待たせて不満を買うのも面倒である。
「わざわざ済まないな。だが同時にお前達から何がもらえるのかとても楽しみな自分もいる。」
エトワールがワクワクした様子で言う。
貴族達が献上してくれた金銀財宝と言った似たり寄ったりのお宝とは違う物が見れそうなので楽しみなのだろう。
「ジル君、出してもらえるかい?」
「ああ。」
トゥーリの献上品を無限倉庫に収納していたので取り出して渡してやるが、中々の大きさなので小柄なトゥーリだけでは持てないので一緒に持ってあげる。
「エトワール王太子殿下、こちらは私からの贈り物となります。お納め下さい。」
「トゥーリ伯爵、有り難く貰い受ける。」
礼を言ってエトワールが抱える様に受け取る。
「これは羊毛か?」
「ま、まさかスリープシープ!?」
エトワールは感触を確かめる様に揉んでいたが、見ただけで物の正体が分かったリルファニアが驚愕しながら立ち上がる。
「さすがはリルファニア王女殿下、お目が高い。」
トゥーリが献上したのは王都に到着する道中に出会った珍しい魔物、スリープシープの羊毛である。
既に適切に処理された羊毛であり凶悪な睡眠効果は弱まっている為、ここから好きな寝具に加工出来る。
何に使っても安眠は約束されたも同然である。
「ほほう、スリープシープの羊毛とは珍しい物を。」
「素晴らしい贈り物ですね。」
「それなりに量は用意してあります。エトワール王太子殿下だけでは使い切れないかと。」
そう言ってトゥーリがジルに合図すると追加で羊毛が出される。
元々他の王族達が欲しがった場合に追加で献上出来る様にとトゥーリが用意していたのだ。
それでも自分達で使う分は確保してあるので問題は無い。
「っ!?トゥーリ伯爵、感謝するわ!」
「ははは、姉上がそれ程食い付くとはな。」
「それくらい素晴らしい物なのよ!」
リルファニアが新たに出された羊毛を見て嬉しそうにしている。
寝付きが悪かったり安眠出来無い者からすれば、それらが直ぐにでも解決出来るスリープシープの素材は是が非でも入手したいだろう。
「次は私ね、ジルちゃん。」
ラブリートの献上品も預かっていたので取り出して渡す。
「おおお、なんと立派な魔石だ!」
「前にセダンの街でスタンピードが起こってね。その時に現れたSランクの魔物の魔石よ。」
エトワールに渡したのは魔石の中では最上級の価値を持つSランクの魔物の魔石である。
ジル達がトレンフルに行っている間にラブリートが一人で倒した魔物の物だ。
「Sランクの魔石!?そんな高価な物を。」
「使い道は色々とあるから好きに使ってちょうだい。飾っても綺麗だしね。」
「ああ、ラブリート殿感謝する。」
Sランクの魔石となると武器、防具、魔法道具と幅広く使い道があり、素材に使って作られた物もとんでもない性能となる。
王族とは言え滅多に手に入らないので非常に使い道に迷う品であり、エトワールも大いに迷う事だろう。
「それにしてもジルへの招待は駄目で元々と思って送ったのだが応じてくれて嬉しいぞ。」
ジルを招待するにあたって人となりを調べたらしく、断られる可能性の方が高いと思っていたらしい。
「なんだ、来なくてもよかったのか。」
「そう言う訳では無い。家族達も妹を助けてくれた恩人に会いたがっていたからな。」
大事な家族を救ってくれた恩人の一人として王族達はジルに会いたがっていたのだ。
ちなみにルルネットも恩人の一人と言う事になっているのだが、トレンフルでは今の時期に領地経営で非常に忙しく、今回は来られないと言う旨が伝えられたらしい。
優秀な臣下と言う事は王族も分かっているので無理強いする事も無く、国の発展に尽力してもらえれば王族としては文句は無い。
ちなみに忙しくなった原因に少なからずシキが関わっていたりするのだが当人達以外は気付いていない。
「喜んで頂けて幸いです。説得した甲斐があります。」
トゥーリがジルと交渉していなければ本当に来なかった可能性の方が高いので、あの時の自分の判断は間違っていなかったと安心した。
「トゥーリ伯爵が連れてきてくれたのか、感謝する。」
「Sランクの闘姫とも良好な関係を築いている様だし、若いのに素晴らしい手腕ですわ。」
「お褒めに預かり光栄です。」
国王と王妃に褒められたトゥーリは緊張しながらもそう言って頭を下げる。
「本来なら命の恩人に挨拶させてやりたかったのだが。」
「そう言えばステファニア王女がいないわよね。」
エトワールの言葉にラブリートが周囲を見回して言う。
ステファニアと言う人物がジルの譲った万能薬で助かった者の名前らしい。
ジルは面識が無いので分からないが、トゥーリとラブリートは知っているので、いない事に首を傾げている。
「申し訳ないが今回はパーティーには出ずに人気の無い場所で待機を命じてある。ステファニアに悪意ある者がいると分かって、こんな場所には出せん。」
ステファニアは貴族からの贈り物を身に付けて呪われる事になった。
敵意を持った者がこの場に紛れ込んでいる可能性を考えると迂闊に出歩かせたくは無いだろう。
「だからまたの機会に是非会ってやってくれ。ステフも直接礼を言いたいと言っていたからな。」
「機会があればな。」
エトワールの言葉を受けたジルは確約はしないでおく。
ここで宣言してしまえば再び王城を訪れなければいけなくなる。
エトワールは少し残念そうにしていたが、王族との約束程面倒な事もないだろう。
「では後も控えている事ですし、そろそろ祝いの品を献上して私達は下がらせてもらいます。」
トゥーリが後ろをチラリと確認してから言う。
王族へ謁見するのはこの国の貴族や権力者ばかりだ。
あまり待たせて不満を買うのも面倒である。
「わざわざ済まないな。だが同時にお前達から何がもらえるのかとても楽しみな自分もいる。」
エトワールがワクワクした様子で言う。
貴族達が献上してくれた金銀財宝と言った似たり寄ったりのお宝とは違う物が見れそうなので楽しみなのだろう。
「ジル君、出してもらえるかい?」
「ああ。」
トゥーリの献上品を無限倉庫に収納していたので取り出して渡してやるが、中々の大きさなので小柄なトゥーリだけでは持てないので一緒に持ってあげる。
「エトワール王太子殿下、こちらは私からの贈り物となります。お納め下さい。」
「トゥーリ伯爵、有り難く貰い受ける。」
礼を言ってエトワールが抱える様に受け取る。
「これは羊毛か?」
「ま、まさかスリープシープ!?」
エトワールは感触を確かめる様に揉んでいたが、見ただけで物の正体が分かったリルファニアが驚愕しながら立ち上がる。
「さすがはリルファニア王女殿下、お目が高い。」
トゥーリが献上したのは王都に到着する道中に出会った珍しい魔物、スリープシープの羊毛である。
既に適切に処理された羊毛であり凶悪な睡眠効果は弱まっている為、ここから好きな寝具に加工出来る。
何に使っても安眠は約束されたも同然である。
「ほほう、スリープシープの羊毛とは珍しい物を。」
「素晴らしい贈り物ですね。」
「それなりに量は用意してあります。エトワール王太子殿下だけでは使い切れないかと。」
そう言ってトゥーリがジルに合図すると追加で羊毛が出される。
元々他の王族達が欲しがった場合に追加で献上出来る様にとトゥーリが用意していたのだ。
それでも自分達で使う分は確保してあるので問題は無い。
「っ!?トゥーリ伯爵、感謝するわ!」
「ははは、姉上がそれ程食い付くとはな。」
「それくらい素晴らしい物なのよ!」
リルファニアが新たに出された羊毛を見て嬉しそうにしている。
寝付きが悪かったり安眠出来無い者からすれば、それらが直ぐにでも解決出来るスリープシープの素材は是が非でも入手したいだろう。
「次は私ね、ジルちゃん。」
ラブリートの献上品も預かっていたので取り出して渡す。
「おおお、なんと立派な魔石だ!」
「前にセダンの街でスタンピードが起こってね。その時に現れたSランクの魔物の魔石よ。」
エトワールに渡したのは魔石の中では最上級の価値を持つSランクの魔物の魔石である。
ジル達がトレンフルに行っている間にラブリートが一人で倒した魔物の物だ。
「Sランクの魔石!?そんな高価な物を。」
「使い道は色々とあるから好きに使ってちょうだい。飾っても綺麗だしね。」
「ああ、ラブリート殿感謝する。」
Sランクの魔石となると武器、防具、魔法道具と幅広く使い道があり、素材に使って作られた物もとんでもない性能となる。
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