【毎日更新】元魔王様の2度目の人生

ゆーとちん

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45章

元魔王様とお手軽金策事業 2

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 袋の中を覗くとリンゴやベリーから作られたドライフルーツがたっぷりと入っている。
美味しいだけで無く色鮮やかで見た目も綺麗だ。

「これを売ってくればいいんだな?」

「相場が分からないので高値で交渉してきてほしいのです。」

 シキはドライフルーツ以外にも今まで我慢していた実験を色々と浮島で行っている。
なので交渉ごとは貴族にも一切遠慮の無いジルに頼む事にした。

「良さげな値段が付いたら更に追加で売ったり定期的な納品契約を結ぶのです。」

「そんなに量産出来るものなのか?」

 定期的に卸すとなるとそれなりに数が必要となる。
そんな量を作る暇があるのかと思った。

「無限倉庫を見れば分かるのです。既にこの袋と同じ物が三十個はあるのです。」

 シキに言われて無限倉庫のスキルを使ってみると確かにドライフルーツが大量に入った袋が三十個もあった。
既に量産体制が整っている様である。

「こんなに作っていたのか。さすがは魔法道具だな。」

「あの魔法道具があれば簡単に量産出来るから助かるのです。これからもどんどん使うのです。」

 ジルが魔王時代に作った魔法道具を活用してドライフルーツを作っているので、通常の作成時間と比較すると効率が段違いだ。

「当分はこれの量産をして浮島での金策活動をしつつ、自分達の食べる分もたっぷり確保するのです。」

「ホッコもいっぱい食べるの!」

 毎日貰いにきているホッコだがまだまだ飽きる様子は無い。
これからも暫くドライフルーツブームは続くだろう。

「だったらホッコもたまには手伝うのです。そしたら沢山食べさせてあげるのです。」

「手伝うの!」

 シキの発言に目をキラキラさせながら言う。
沢山食べられると言う言葉に直ぐに食い付いた。

「タイプC、ホッコに作り方を教えてもらえるです?」

「分かりました、ホッコ様こちらに。」

「いっぱい作っていっぱい食べるの!」

 ホッコはタイプCに連れられて調理場へ向かった。
シキとしても量産の手伝いが増えて更に効率が上がるので有り難い。

「ちなみにシキはどのくらいの値段を想定しているんだ?」

 大まかな指標が無いと交渉がしにくい。
材料の購入から作るまで全てシキが把握しているので、どれくらいの値段が妥当なのかも分かるだろう。

「むむむ、一袋小金貨数枚は欲しいところなのです。」

「成る程な、それくらいを目処に交渉すればいいか。」

 少し高いかとも思ったが作る手間を考えればそれくらいでも良さそうだ。
甘味好きなら少し高くても買ってくれるだろう。

「お願いするのです。沢山売れれば量産の意欲も高まるのです。」

 どのくらい人気になるのかは売ってみるまで分からない。
最悪売れなくても自分達で食べる分を量産出来ればそれでもいい。

「将来的にはここで作った物を売る店を構えるのもいいかもしれないな。」

 自分達の店を持てれば物を売るのも楽になる。
トゥーリに頼めば簡単に土地を用意してくれそうではある。

「ありなのです。それなら一々交渉に出向く必要も無いのです。でも今は商品が少ないからもっと先の話しなのです。」

「何か商品を増やす予定でもあるのか?」

「異世界の食べ物の中で人気が出そう且つ再現出来そうな物はこんな感じで作っていくつもりなのです。それが増えてきたら店を構えるのも検討なのです。」

 既に候補がいくつか頭の中にあるのだろう。
ジルとしても異世界の物には興味があるので楽しみだ。

「まあ、シキがやりたい様にやればいい。ここは我らの拠点で各々が自由に過ごせる様に用意した場所なんだからな。」

「本当に最高なのです!誰の目も気にせず異世界の知識を使って再現を楽しめるのです。」

 何をしても迷惑を掛ける事は無いし、情報が漏れる心配も無い。
オーバーテクノロジーなんてのも気にせず、どんどん魔王時代に作った魔法道具を使ってもいい素晴らしい環境だ。

「あ、そう言えば許可を貰いたい事があったのです。これを購入してもいいのです?」

「果物の木?異世界の植物か。」

 シキが見せてきた異世界通販の画面には様々な果物の実を生やしている木が映っていた。

「説明によると人の欲する果物を周りの魔力を使って自由に実らせてくれる不思議植物らしいのです。浮島にあれば色んな果物が食べられてドライフルーツの材料費削減にもなるのです。」

 魔力の存在するところであれば果物を無限に収穫出来る様になる。
今後の浮島生活も豊かになる事間違い無しだ。

「異世界通販での買い物だから少し高いが、予定の値段でドライフルーツの売り上げを上げられるなら先行投資としては全然ありだな。」

 小金貨数枚での取り引きが可能になれば、何回かこなせば余裕で元を取れる。
材料となる果物を買いにいく手間も省けて、いつでも新鮮な果物を得られる様になるのは大きなメリットだ。

「お金ならシキも蓄えが少しあるのです。」

「我も出すから何個か買って植えてもいいぞ。」

「わーいなのです。早速買ってみるのです。」

 シキに金を渡すと喜んで買い物をしている。
後は任せてジルは交渉をする為に地上に降りた。
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