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38章
元魔王様と災厄の到来 4
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「ホッコ、どうかしたか?」
「クォン。」
ホッコが二つある尻尾で方向を示す。
その方向を注意深く見ると、かなり遠いがゴブリンの集団が見える。
付近にはゴブリン種が大量にいるのだが、その集団は少し他とは違っていた。
「統率個体や上位種ばかりだな。何かを守っているのか?」
明らかに一箇所に固まり過ぎていて怪しい。
まるで何か大事な物を最高戦力で守っているかの様だ。
「どうせ殲滅するんだ、あれを叩いてみるか。」
「クォン。」
ホッコが賛成とばかり鳴く。
それを確認してからジルが集団に向かっていく。
「邪魔だ!」
「クォオ!」
魔装によって強化された銀月と氷結魔法で立ち向かってくるゴブリン達を次々に倒していく。
「ちっ、数に加えて統率個体もいるから防御力が相当高いな。ホッコ、後ろに隠れていろ。」
「クォン。」
指示通り直ぐに背中の服の中にホッコが入っていく。
「周りに冒険者もいないし、少し派手な魔法を使う。」
そう呟くジルの片手には、不気味な黒いモヤが形成されていく。
「超級呪詛魔法、ブラッドサースティ!」
ジルが魔法を使用すると黒いモヤが手から離れ、ゴブリン達の下へと向かう。
黒いモヤはゴブリン達の身体を覆う様に纏わり付いていく。
するとそのゴブリン達が急に先程まで味方だったゴブリン達を襲い始めた。
突然人格が変わってしまった様に武器や身体で攻撃を仕掛け始め、仲間同士での殺し合いが始まる。
ジルとホッコは静観しているだけでゴブリン達の数が見る見る減っていく。
「やはり危険な魔法だが効果は絶大だな。」
ゴブリン達の様子を眺めながらジルが呟く。
ジルが今回使用した呪詛魔法は、受けた相手の闘争本能を刺激して血を求める様に促すものだった。
効果時間は限られているが激しく仲間同士で削り合ってくれているので、多少残っても簡単に処理出来るだろう。
「クオォ。」
目の前の惨劇を見て改めて従魔になって良かったとホッコは思った。
「そろそろ終わるか。」
目に見えて数を減らしてくれたので残りは手負いの者ばかりだ。
高ランクや統率個体であっても敵では無い。
「これで残ったのを片付ければ終了って訳だ。」
あっさりと残ったゴブリン達を斬り捨てて集団の殲滅完了となる。
「さて、何を守っていたんだ?」
ゴブリン達の死体の山の奥にあったのは大きな石碑であった。
これをゴブリン達が守っていたのだが、それを見たのでジルは納得した。
「これはマジックモニュメントか。」
その石碑には見覚えがあった。
影丸が仲間になった時にウルフを呼び出し続けていたのがこの魔物であった。
「成る程、そう言う事か。魔法を使えるこの魔物が今回はゴブリン種の召喚魔法を使っていたと言う訳だな。」
万能鑑定で見たので間違い無い。
前回のマジックモニュメントの時のゴブリン版と言う事だ。
これがある限りゴブリンは無限に湧き出してくるのでジルは魔装した銀月で真っ二つに斬った。
「破壊完了。これでゴブリン達が無限に湧き出ていた原因も無くなったし、前戦も少しは楽になるだろう。」
問題も解決したし、これで遊撃に戻れる。
早速魔の森の外に移動しようとすると、突然足元に魔法陣が浮かび上がった。
「魔法陣?この形状は召喚魔法、しかも我が召喚される側か。ご丁寧に拘束効果まで付いているとは用心深い。」
突然の事だが冷静に現状を把握していく。
動けないのでこのまま魔法陣の効果によってどこかに召喚される事となる。
なので遊撃には戻れなそうだ。
「ホッコは動けるか?」
「クォン。」
ジルの上をぴょんぴょん跳ねて移動している。
「拘束は触れている者だけか。それでも魔法陣の上にいれば共に召喚はされるだろう。どこにいくのか分からないがホッコもいくか?」
「クォン!」
ジルと離れるつもりはホッコには無い。
どこに召喚されようと付いていくつもりだ。
「マジックモニュメントの破壊がトリガーだったか?だがあの魔物は本来一つの魔法しか持っていない。こうなると何か別の者の手が加わっている可能性が高いな。」
魔法陣が発動した原因を考えるとマジックモニュメント自体がした事とは思えない。
「そうなるとスタンピードも少し怪しくなってくるか。人為的に引き起こされた、可能かどうかで言えば可能だしな。」
似た様な事であれば前世の魔王だった頃なら簡単に出来ただろう。
圧倒的な強さを持つ魔王が少し力を使えば、魔物達は恐怖で暴れ回り、それが広まってスタンピードが起こせるのだ。
「そろそろ召喚される様だな。ホッコ、召喚先で何が起こるか分からないから注意しておくんだぞ?」
「クォン!」
魔法陣が光り出して地面に沈む様にジルの身体が下がっていく。
数秒もすればジルとホッコの身体は完全に飲み込まれて、役目を失った魔法陣は消えた。
後には魔物達の死体しか残らなかった。
「クォン。」
ホッコが二つある尻尾で方向を示す。
その方向を注意深く見ると、かなり遠いがゴブリンの集団が見える。
付近にはゴブリン種が大量にいるのだが、その集団は少し他とは違っていた。
「統率個体や上位種ばかりだな。何かを守っているのか?」
明らかに一箇所に固まり過ぎていて怪しい。
まるで何か大事な物を最高戦力で守っているかの様だ。
「どうせ殲滅するんだ、あれを叩いてみるか。」
「クォン。」
ホッコが賛成とばかり鳴く。
それを確認してからジルが集団に向かっていく。
「邪魔だ!」
「クォオ!」
魔装によって強化された銀月と氷結魔法で立ち向かってくるゴブリン達を次々に倒していく。
「ちっ、数に加えて統率個体もいるから防御力が相当高いな。ホッコ、後ろに隠れていろ。」
「クォン。」
指示通り直ぐに背中の服の中にホッコが入っていく。
「周りに冒険者もいないし、少し派手な魔法を使う。」
そう呟くジルの片手には、不気味な黒いモヤが形成されていく。
「超級呪詛魔法、ブラッドサースティ!」
ジルが魔法を使用すると黒いモヤが手から離れ、ゴブリン達の下へと向かう。
黒いモヤはゴブリン達の身体を覆う様に纏わり付いていく。
するとそのゴブリン達が急に先程まで味方だったゴブリン達を襲い始めた。
突然人格が変わってしまった様に武器や身体で攻撃を仕掛け始め、仲間同士での殺し合いが始まる。
ジルとホッコは静観しているだけでゴブリン達の数が見る見る減っていく。
「やはり危険な魔法だが効果は絶大だな。」
ゴブリン達の様子を眺めながらジルが呟く。
ジルが今回使用した呪詛魔法は、受けた相手の闘争本能を刺激して血を求める様に促すものだった。
効果時間は限られているが激しく仲間同士で削り合ってくれているので、多少残っても簡単に処理出来るだろう。
「クオォ。」
目の前の惨劇を見て改めて従魔になって良かったとホッコは思った。
「そろそろ終わるか。」
目に見えて数を減らしてくれたので残りは手負いの者ばかりだ。
高ランクや統率個体であっても敵では無い。
「これで残ったのを片付ければ終了って訳だ。」
あっさりと残ったゴブリン達を斬り捨てて集団の殲滅完了となる。
「さて、何を守っていたんだ?」
ゴブリン達の死体の山の奥にあったのは大きな石碑であった。
これをゴブリン達が守っていたのだが、それを見たのでジルは納得した。
「これはマジックモニュメントか。」
その石碑には見覚えがあった。
影丸が仲間になった時にウルフを呼び出し続けていたのがこの魔物であった。
「成る程、そう言う事か。魔法を使えるこの魔物が今回はゴブリン種の召喚魔法を使っていたと言う訳だな。」
万能鑑定で見たので間違い無い。
前回のマジックモニュメントの時のゴブリン版と言う事だ。
これがある限りゴブリンは無限に湧き出してくるのでジルは魔装した銀月で真っ二つに斬った。
「破壊完了。これでゴブリン達が無限に湧き出ていた原因も無くなったし、前戦も少しは楽になるだろう。」
問題も解決したし、これで遊撃に戻れる。
早速魔の森の外に移動しようとすると、突然足元に魔法陣が浮かび上がった。
「魔法陣?この形状は召喚魔法、しかも我が召喚される側か。ご丁寧に拘束効果まで付いているとは用心深い。」
突然の事だが冷静に現状を把握していく。
動けないのでこのまま魔法陣の効果によってどこかに召喚される事となる。
なので遊撃には戻れなそうだ。
「ホッコは動けるか?」
「クォン。」
ジルの上をぴょんぴょん跳ねて移動している。
「拘束は触れている者だけか。それでも魔法陣の上にいれば共に召喚はされるだろう。どこにいくのか分からないがホッコもいくか?」
「クォン!」
ジルと離れるつもりはホッコには無い。
どこに召喚されようと付いていくつもりだ。
「マジックモニュメントの破壊がトリガーだったか?だがあの魔物は本来一つの魔法しか持っていない。こうなると何か別の者の手が加わっている可能性が高いな。」
魔法陣が発動した原因を考えるとマジックモニュメント自体がした事とは思えない。
「そうなるとスタンピードも少し怪しくなってくるか。人為的に引き起こされた、可能かどうかで言えば可能だしな。」
似た様な事であれば前世の魔王だった頃なら簡単に出来ただろう。
圧倒的な強さを持つ魔王が少し力を使えば、魔物達は恐怖で暴れ回り、それが広まってスタンピードが起こせるのだ。
「そろそろ召喚される様だな。ホッコ、召喚先で何が起こるか分からないから注意しておくんだぞ?」
「クォン!」
魔法陣が光り出して地面に沈む様にジルの身体が下がっていく。
数秒もすればジルとホッコの身体は完全に飲み込まれて、役目を失った魔法陣は消えた。
後には魔物達の死体しか残らなかった。
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