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37章
元魔王様と災厄の対策 8
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ジルの初撃によって早速人数を減らした剣の誓い。
いきなり四人に減ってしまったがAランクパーティーらしく、動揺する事も無く戦意は健在だ。
「我は仕事をしたから、後は任せる。」
そう言ってジルは銀月を鞘に戻す。
そのまま後ろに下がって戦いを見守る事にして戦闘は二人に任せた。
実力者を一瞬で無力化させたので実力は示せただろう。
「あれを避けるなら、少しは楽しめそうだな。」
「平等に二人ずつ分ける。」
二人は残った相手を見て嬉しそうに呟いている。
「ちっ、いつまでも舐めてくれる!」
二人の態度に苛立ちながらギルメンテが素早く動きつつ剣を振ってくる。
「おっと、危ねえ。ギルメンテだったか?俺とやり合ってくれるのは嬉しいが、先に邪魔者の排除といかせてもらうぜ。」
「お楽しみは最後。」
ギルメンテの攻撃を避けた後、それに構わず手負いの者に向けて二人は走り出す。
ジルの攻撃を回避した猛者の方とはじっくり楽しみたいので、残りの二人は早々に退場してもらう事にしたのだ。
「首狩り!」
アレンが両手に持つ両刃斧を相手の首目掛けて振るう。
剣の誓いの者が迫る凶悪な斧を剣で防ごうとするが、威力が強くて強引に押し込まれてしまい、そのまま大きく吹き飛ばされて気を失った。
「武闘術・脚式、閃回脚!」
膨大な魔力で片足を魔装したエルミネルは相手との距離を一瞬で詰め、身体をくるりと回転させて相手に回し蹴りを叩き込む。
流れる様な一連の動きに反応出来ず、相手はなす術無く吹き飛ばされて気を失った。
「っ!?俺のパーティーメンバーを一撃で!?」
呆気無く倒されてしまった二人を見てギルメンテが驚愕の表情を浮かべている。
目の前で起こっている光景が信じられないと言った様子だ。
「次はお前の番だな。」
「楽しませて。」
二人がニヤリと笑って残る相手に向かっていく。
そこから激しい戦いが繰り広げられ、10分程経過してもまだ続いている。
と言ってもアレンとエルミネルが遊んでいるだけで状況は一方的である。
「はぁはぁ、ちくしょう、何故この俺が低ランク相手に。」
「リーダー、こっちも限界です。」
剣の誓いの二人は肩で息をしており体力も残り僅かと言った状況だ。
「なんだなんだ、だらしねえな。リハビリにもなんねえぞ。」
「もう少し楽しみたかったけど残念。」
対する二人は全く息を乱しておらず、まだまだ戦えると言った様子だ。
予想外に早くバテてしまった二人を見て残念そうにしている。
「お前達早く終わらせろ。待たされているこちらの身にもなれ。」
ただでさえ乗り気では無い模擬戦なのに、二人が楽しんでいるせいで時間が掛かってしまっている。
ジルとしてはさっさと終わらせて会議に戻りたい。
「だってよ、これ以上待たせると機嫌が悪くなりそうだし、そろそろ終わらせとくか。」
「分かった。足りない分は後でアレンとする。」
「いいぜ、付き合ってやるよ。」
二人はまだまだ戦い足りない様子だ。
一応相手はAランクパーティーなのだが、実力的には少し物足りなかったらしい。
「お前達、随分と余裕な態度だがまだ終わってはいないぞ!」
舐められている事に激怒してギルメンテが全身を魔装する。
最後の力を振り絞ってアレンを倒そうと特攻してくる。
「面白え!」
「終わらせる!」
剣と戦斧が激しくぶつかり合い火花を散らす。
何度か至近距離で打ち合い、アレンが威力任せに戦斧を振るって無理矢理ギルメンテを弾き飛ばす。
「首斬り!」
アレンが片方の戦斧をギルメンテ目掛けて放り投げる。
両方の柄が鎖で繋がっているのだが、鎖がどんどん伸びていっている。
戦斧だけで無く、鎖も含めて魔法道具なのだ。
「そんな単調な直線攻撃が当たるか!そして武器を減らしたな!」
ギルメンテは真っ直ぐ飛んでくるだけの戦斧を少し動くだけで簡単に回避して、ジャラジャラと音を鳴らしながら真横で伸びている鎖の横を走る。
武器が片手だけとなり戦力ダウンしたアレンと決着を付けるつもりだ。
「そいつは勘違いって奴だな。首落とし!」
柄同士を繋いでいた鎖が今度は急速に縮まっていく。
つまり投げていた戦斧が鎖に引かれてアレンの手元に戻ってくる事になる。
これにより何が起こるかと言うと、鎖が縮んで引き戻された戦斧によってアレンは後ろから強襲される事となる。
「かはっ!?」
全く警戒していなかった首後ろへと戦斧が勢い良く激突する。
突然の強烈な衝撃に理解が追い付かず、そのままギルメンテは意識を失った。
「何が起こったか理解する前に気絶しちまったか?だが俺の勝ちだ。」
「私も勝った。」
勝利ポーズを取っているエルミネルの近くで相手が白目を剥いて大の字で横たわっていた。
「勝者はジルちゃん達のチームよ。」
ラブリートの宣言によって模擬戦が終了となる。
見ていた者達の反応としては驚愕が一番多かった。
低ランク即席パーティーがAランクパーティーを圧倒するなんて、この街に住んでいる者達でなければ誰も予想出来無かっただろう。
「どれだけ待たせてくれる、時間を掛け過ぎだ。」
圧倒的に観戦時間の方が長かったジルが文句を言う。
「せっかくの高ランク冒険者との戦いなんだぜ?楽しみてえじゃねえか。」
「でも満足出来て無い。」
実力的にはAランク冒険者の中でも上位に位置しそうな二人なので、同じランク帯でも満足出来る相手は少ないのだろう。
「そうだな、早速やるか?」
「うん。ジルもやる?」
「やらん。と言うか会議の途中だろうが。」
ジルが指摘すると二人はそう言えばと言った表情をしている。
模擬戦に夢中で会議の途中だと言う事をすっかり忘れている二人だった。
いきなり四人に減ってしまったがAランクパーティーらしく、動揺する事も無く戦意は健在だ。
「我は仕事をしたから、後は任せる。」
そう言ってジルは銀月を鞘に戻す。
そのまま後ろに下がって戦いを見守る事にして戦闘は二人に任せた。
実力者を一瞬で無力化させたので実力は示せただろう。
「あれを避けるなら、少しは楽しめそうだな。」
「平等に二人ずつ分ける。」
二人は残った相手を見て嬉しそうに呟いている。
「ちっ、いつまでも舐めてくれる!」
二人の態度に苛立ちながらギルメンテが素早く動きつつ剣を振ってくる。
「おっと、危ねえ。ギルメンテだったか?俺とやり合ってくれるのは嬉しいが、先に邪魔者の排除といかせてもらうぜ。」
「お楽しみは最後。」
ギルメンテの攻撃を避けた後、それに構わず手負いの者に向けて二人は走り出す。
ジルの攻撃を回避した猛者の方とはじっくり楽しみたいので、残りの二人は早々に退場してもらう事にしたのだ。
「首狩り!」
アレンが両手に持つ両刃斧を相手の首目掛けて振るう。
剣の誓いの者が迫る凶悪な斧を剣で防ごうとするが、威力が強くて強引に押し込まれてしまい、そのまま大きく吹き飛ばされて気を失った。
「武闘術・脚式、閃回脚!」
膨大な魔力で片足を魔装したエルミネルは相手との距離を一瞬で詰め、身体をくるりと回転させて相手に回し蹴りを叩き込む。
流れる様な一連の動きに反応出来ず、相手はなす術無く吹き飛ばされて気を失った。
「っ!?俺のパーティーメンバーを一撃で!?」
呆気無く倒されてしまった二人を見てギルメンテが驚愕の表情を浮かべている。
目の前で起こっている光景が信じられないと言った様子だ。
「次はお前の番だな。」
「楽しませて。」
二人がニヤリと笑って残る相手に向かっていく。
そこから激しい戦いが繰り広げられ、10分程経過してもまだ続いている。
と言ってもアレンとエルミネルが遊んでいるだけで状況は一方的である。
「はぁはぁ、ちくしょう、何故この俺が低ランク相手に。」
「リーダー、こっちも限界です。」
剣の誓いの二人は肩で息をしており体力も残り僅かと言った状況だ。
「なんだなんだ、だらしねえな。リハビリにもなんねえぞ。」
「もう少し楽しみたかったけど残念。」
対する二人は全く息を乱しておらず、まだまだ戦えると言った様子だ。
予想外に早くバテてしまった二人を見て残念そうにしている。
「お前達早く終わらせろ。待たされているこちらの身にもなれ。」
ただでさえ乗り気では無い模擬戦なのに、二人が楽しんでいるせいで時間が掛かってしまっている。
ジルとしてはさっさと終わらせて会議に戻りたい。
「だってよ、これ以上待たせると機嫌が悪くなりそうだし、そろそろ終わらせとくか。」
「分かった。足りない分は後でアレンとする。」
「いいぜ、付き合ってやるよ。」
二人はまだまだ戦い足りない様子だ。
一応相手はAランクパーティーなのだが、実力的には少し物足りなかったらしい。
「お前達、随分と余裕な態度だがまだ終わってはいないぞ!」
舐められている事に激怒してギルメンテが全身を魔装する。
最後の力を振り絞ってアレンを倒そうと特攻してくる。
「面白え!」
「終わらせる!」
剣と戦斧が激しくぶつかり合い火花を散らす。
何度か至近距離で打ち合い、アレンが威力任せに戦斧を振るって無理矢理ギルメンテを弾き飛ばす。
「首斬り!」
アレンが片方の戦斧をギルメンテ目掛けて放り投げる。
両方の柄が鎖で繋がっているのだが、鎖がどんどん伸びていっている。
戦斧だけで無く、鎖も含めて魔法道具なのだ。
「そんな単調な直線攻撃が当たるか!そして武器を減らしたな!」
ギルメンテは真っ直ぐ飛んでくるだけの戦斧を少し動くだけで簡単に回避して、ジャラジャラと音を鳴らしながら真横で伸びている鎖の横を走る。
武器が片手だけとなり戦力ダウンしたアレンと決着を付けるつもりだ。
「そいつは勘違いって奴だな。首落とし!」
柄同士を繋いでいた鎖が今度は急速に縮まっていく。
つまり投げていた戦斧が鎖に引かれてアレンの手元に戻ってくる事になる。
これにより何が起こるかと言うと、鎖が縮んで引き戻された戦斧によってアレンは後ろから強襲される事となる。
「かはっ!?」
全く警戒していなかった首後ろへと戦斧が勢い良く激突する。
突然の強烈な衝撃に理解が追い付かず、そのままギルメンテは意識を失った。
「何が起こったか理解する前に気絶しちまったか?だが俺の勝ちだ。」
「私も勝った。」
勝利ポーズを取っているエルミネルの近くで相手が白目を剥いて大の字で横たわっていた。
「勝者はジルちゃん達のチームよ。」
ラブリートの宣言によって模擬戦が終了となる。
見ていた者達の反応としては驚愕が一番多かった。
低ランク即席パーティーがAランクパーティーを圧倒するなんて、この街に住んでいる者達でなければ誰も予想出来無かっただろう。
「どれだけ待たせてくれる、時間を掛け過ぎだ。」
圧倒的に観戦時間の方が長かったジルが文句を言う。
「せっかくの高ランク冒険者との戦いなんだぜ?楽しみてえじゃねえか。」
「でも満足出来て無い。」
実力的にはAランク冒険者の中でも上位に位置しそうな二人なので、同じランク帯でも満足出来る相手は少ないのだろう。
「そうだな、早速やるか?」
「うん。ジルもやる?」
「やらん。と言うか会議の途中だろうが。」
ジルが指摘すると二人はそう言えばと言った表情をしている。
模擬戦に夢中で会議の途中だと言う事をすっかり忘れている二人だった。
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