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16章
元魔王様とシキの契約者 13
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知り合えてよかったと言う程にジルとの模擬戦は充分に満足してくれた様子だ。
「それでも我は貴族との面倒事は御免だ。依頼も面倒だと思えば受けるつもりは無いからな。」
ここだけははっきりとさせておかなければならない。
美人な貴族令嬢であっても、シキの前契約者であっても、ジルは気が向かなければ依頼を受けるつもりは無い。
「ちょ、ちょっとジルさん!?」
ジルの発言を聞いてミラが慌てている。
指名依頼をブリジットがしてきても受けるつもりは無いと言っているのだ。
貴族に平民が面と向かってそんな事を言うなんて命知らずとしか思えなかった。
「これは規則の範疇だ。文句を言われる筋合いは無いぞ。」
「うっ。」
ジルの言葉が正論でありミラは言葉に詰まる。
貴族に対しての発言としては無礼だと感じられるかもしれないが、ギルドの規則的には断っても問題は無い。
冒険者に対しての指名依頼で強制力が発揮されるのはCランク以上の者達である。
指名されるのは冒険者にとっても名が売れている名誉な事であり、それを断れば高ランクの資格を問われて相応の評価や罰が下される事もある。
そして一応Dランク以下にも指名依頼をする事自体は可能だ。
しかしDランクは新人から抜け出した中堅どころのランク帯であり、新人程では無いが実力にやや不安が残る者も多い。
それを考慮して実力的に不安であればDランク以下は断っても構わない事になっており、評価や罰に繋がる事も無いのだ。
その規則に則ると実力に不安なんて全く無いのだが、ジルはDランクなので依頼を断っても問題無いと言う事になる。
むしろこれこそがDランクに留まる理由なのである。
「はい、分かっていますよ。もしも指名依頼をさせて頂く機会があれば、ジルさんが受けたくなる様な報酬を用意させてもらいます。」
ブリジットも無理矢理引き受けさせるつもりは無い。
貴族の中には権力を使って依頼を強制的に受けさせようとする者も少なくない。
なのでブリジットはそう言う者達と比べると凄く真面目である。
「あまり面倒事を持ってきてくれるなよ?」
指名依頼も内容次第では受ける事もあるかもしれない。
しかし貴族が頼んでくる依頼なんて通常よりも面倒な気がしてならない。
「貴族の世界も大変なのです。頼るつもりは無くとも、頼らざるをえない場合もありますからね。」
そう言ってブリジットが溜め息を吐く。
貴族社会では貴族同士の揉め事なんて日常茶飯事で行われている。
他家を潰してでも自分がのし上がる、上位貴族と婚姻する為に候補者を排除、極悪非道な方法で金を稼いで財力を増やす等上げればキリが無いだろう。
そしてそれは自分達が行なっていなくても被害を受ける可能性はある。
手勢で足りなければ優秀な冒険者を雇って事態の収束に当たらせる様な事もあるかもしれないのだ。
「なんとも面倒な話しだ。だからこそランクを上げたいとは思わないのだがな。」
高い報酬を出されたとしても、そんな面倒な貴族の事情に関わりたいとは微塵も思わない。
「こちらとしてはジルさんにはCランクに上がってほしいんですけどね。様々な依頼をお願いする事が出来る様になりますから。」
ミラは溜め息を吐きながら呟く。
これはミラだけで無く、セダンの冒険者ギルドの殆ど総意の様なものであった。
既にジルの事を知らないギルド職員は少なく、その実力は知れ渡っている。
しかしジルがそれを嫌がる事は分かりきっている。
職員の何人かからはギルドの為に強制的にでも上げるべきと言う意見が上がっているくらいだ。
だがジルに冒険者を辞められる事が一番の損失なので、エルロッドがギルドマスターの権限で阻止してくれてたりする。
「そうなればギルドカードは用済みだ。即刻灰にして街から出ていくだろうな。」
それをミラも当然理解しているので再び溜め息を吐いている。
「普通冒険者は高ランクを目指すものだと思うのですけどね。」
そう言ってブリジットが珍しい人を見る目を向けてくる。
ブリジットの言葉通りジルはかなり少数派である。
「我はついでに付いてくる面倒事に関わりたく無いだけだ。」
今世は自由に過ごしていく。
自分がある程度やりたい様に生きれなければ転生した意味が無い。
「報酬も高ランクである程上がるのにですか?」
冒険者と言う職業は一攫千金を狙ってなる者が多い。
平民でも貴族並の大金を稼ぐチャンスがあるので目指す者は相当な数になる。
その代わりに危険も常日頃から付き纏うので、冒険者の死者数も信じられないくらいに多い。
正しくハイリスクハイリターンなのだ。
「金策は済んでいるのだ。ランクを上げるメリットは無いな。」
ジルの無限倉庫のスキルの中には高純度のミスリル鉱石がまだまだ大量に残っている。
ミラやダナンの反応からも売れれば物凄い額になる事は確定している。
更に異世界通販のスキルによって広めた異世界料理のフライドポテトなのだが、売り上げの一部が発案者のジルに還元されている。
なので売れれば売れるだけ何もしていなくても収入が入るのだ。
「そうなんですよね。ジルさんは貴族並みに裕福でしょうし、ギルド的には報酬で釣れないのが残念です。」
当然金はあればあるだけ嬉しいとは思う。
異世界通販のスキルでの買い物には幾らあっても足りないからだ。
しかし面倒事を引き受けてまで欲しいとは思えない。
「それ程の財力もお持ちとは。身内に欲しいくらいですね。」
「他を当たれ。」
ジルは適当に流したがブリジットの発言を聞いたミラは驚愕していた。
冗談なのかもしれないがその発言は婿に来いと捉えられる。
平民であってもジルは優秀な人材なので伴侶にしてでも引き入れたいとブリジットは思ったのかもしれない。
貴族の大半はいかに優秀な平民であっても身分の違いからそんな行動にはでない。
しかしブリジットは本音で言っているとミラには感じられた。
実際に断られたブリジットの表情が少し残念そうにミラには見えていたのだった。
「それでも我は貴族との面倒事は御免だ。依頼も面倒だと思えば受けるつもりは無いからな。」
ここだけははっきりとさせておかなければならない。
美人な貴族令嬢であっても、シキの前契約者であっても、ジルは気が向かなければ依頼を受けるつもりは無い。
「ちょ、ちょっとジルさん!?」
ジルの発言を聞いてミラが慌てている。
指名依頼をブリジットがしてきても受けるつもりは無いと言っているのだ。
貴族に平民が面と向かってそんな事を言うなんて命知らずとしか思えなかった。
「これは規則の範疇だ。文句を言われる筋合いは無いぞ。」
「うっ。」
ジルの言葉が正論でありミラは言葉に詰まる。
貴族に対しての発言としては無礼だと感じられるかもしれないが、ギルドの規則的には断っても問題は無い。
冒険者に対しての指名依頼で強制力が発揮されるのはCランク以上の者達である。
指名されるのは冒険者にとっても名が売れている名誉な事であり、それを断れば高ランクの資格を問われて相応の評価や罰が下される事もある。
そして一応Dランク以下にも指名依頼をする事自体は可能だ。
しかしDランクは新人から抜け出した中堅どころのランク帯であり、新人程では無いが実力にやや不安が残る者も多い。
それを考慮して実力的に不安であればDランク以下は断っても構わない事になっており、評価や罰に繋がる事も無いのだ。
その規則に則ると実力に不安なんて全く無いのだが、ジルはDランクなので依頼を断っても問題無いと言う事になる。
むしろこれこそがDランクに留まる理由なのである。
「はい、分かっていますよ。もしも指名依頼をさせて頂く機会があれば、ジルさんが受けたくなる様な報酬を用意させてもらいます。」
ブリジットも無理矢理引き受けさせるつもりは無い。
貴族の中には権力を使って依頼を強制的に受けさせようとする者も少なくない。
なのでブリジットはそう言う者達と比べると凄く真面目である。
「あまり面倒事を持ってきてくれるなよ?」
指名依頼も内容次第では受ける事もあるかもしれない。
しかし貴族が頼んでくる依頼なんて通常よりも面倒な気がしてならない。
「貴族の世界も大変なのです。頼るつもりは無くとも、頼らざるをえない場合もありますからね。」
そう言ってブリジットが溜め息を吐く。
貴族社会では貴族同士の揉め事なんて日常茶飯事で行われている。
他家を潰してでも自分がのし上がる、上位貴族と婚姻する為に候補者を排除、極悪非道な方法で金を稼いで財力を増やす等上げればキリが無いだろう。
そしてそれは自分達が行なっていなくても被害を受ける可能性はある。
手勢で足りなければ優秀な冒険者を雇って事態の収束に当たらせる様な事もあるかもしれないのだ。
「なんとも面倒な話しだ。だからこそランクを上げたいとは思わないのだがな。」
高い報酬を出されたとしても、そんな面倒な貴族の事情に関わりたいとは微塵も思わない。
「こちらとしてはジルさんにはCランクに上がってほしいんですけどね。様々な依頼をお願いする事が出来る様になりますから。」
ミラは溜め息を吐きながら呟く。
これはミラだけで無く、セダンの冒険者ギルドの殆ど総意の様なものであった。
既にジルの事を知らないギルド職員は少なく、その実力は知れ渡っている。
しかしジルがそれを嫌がる事は分かりきっている。
職員の何人かからはギルドの為に強制的にでも上げるべきと言う意見が上がっているくらいだ。
だがジルに冒険者を辞められる事が一番の損失なので、エルロッドがギルドマスターの権限で阻止してくれてたりする。
「そうなればギルドカードは用済みだ。即刻灰にして街から出ていくだろうな。」
それをミラも当然理解しているので再び溜め息を吐いている。
「普通冒険者は高ランクを目指すものだと思うのですけどね。」
そう言ってブリジットが珍しい人を見る目を向けてくる。
ブリジットの言葉通りジルはかなり少数派である。
「我はついでに付いてくる面倒事に関わりたく無いだけだ。」
今世は自由に過ごしていく。
自分がある程度やりたい様に生きれなければ転生した意味が無い。
「報酬も高ランクである程上がるのにですか?」
冒険者と言う職業は一攫千金を狙ってなる者が多い。
平民でも貴族並の大金を稼ぐチャンスがあるので目指す者は相当な数になる。
その代わりに危険も常日頃から付き纏うので、冒険者の死者数も信じられないくらいに多い。
正しくハイリスクハイリターンなのだ。
「金策は済んでいるのだ。ランクを上げるメリットは無いな。」
ジルの無限倉庫のスキルの中には高純度のミスリル鉱石がまだまだ大量に残っている。
ミラやダナンの反応からも売れれば物凄い額になる事は確定している。
更に異世界通販のスキルによって広めた異世界料理のフライドポテトなのだが、売り上げの一部が発案者のジルに還元されている。
なので売れれば売れるだけ何もしていなくても収入が入るのだ。
「そうなんですよね。ジルさんは貴族並みに裕福でしょうし、ギルド的には報酬で釣れないのが残念です。」
当然金はあればあるだけ嬉しいとは思う。
異世界通販のスキルでの買い物には幾らあっても足りないからだ。
しかし面倒事を引き受けてまで欲しいとは思えない。
「それ程の財力もお持ちとは。身内に欲しいくらいですね。」
「他を当たれ。」
ジルは適当に流したがブリジットの発言を聞いたミラは驚愕していた。
冗談なのかもしれないがその発言は婿に来いと捉えられる。
平民であってもジルは優秀な人材なので伴侶にしてでも引き入れたいとブリジットは思ったのかもしれない。
貴族の大半はいかに優秀な平民であっても身分の違いからそんな行動にはでない。
しかしブリジットは本音で言っているとミラには感じられた。
実際に断られたブリジットの表情が少し残念そうにミラには見えていたのだった。
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