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16章
元魔王様とシキの契約者 8
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魔物を従魔にしようとした場合、大半は服従してもいいと思わせる為に力の差を見せ付ける事になる。
他にも可能性は低いが多大な恩を与えたり、従魔となった時の魅力を伝えられれば、魔物が主人と認めてくれる事もある。
なので戦闘能力を持たないシキはテイマーと絶望的なまでに相性が悪い。
低い可能性に賭けて頑張って従魔を得る方法しかなかった。
だが異世界通販のスキルがその壁を取り払ってくれた。
だからこそシキであってもテイマーとなる事が出来たのだ。
「ライムはいつか最強になるスライムなのです。」
ライムの事を更に自慢気に紹介している。
それが嬉しいのかライムもプルプルと揺れてご機嫌だ。
「スライムがですか?」
シキの事は信用しているがその言葉だけは少し疑ってしまう。
スライムと最強と言う言葉はそれ程に縁遠い物なのだ。
「ライムは特殊個体なんだ。」
「特殊個体ですか、成る程。」
ブリジットはその言葉一つで納得した。
特殊個体と言う事は普通の魔物には無いものを何かしら持っている事になる。
その何かしらで魔物は一気に化ける可能性があるのだ。
ブリジットは普通のスライムとの違いを調べるかの様にジーッとライムを見ている。
当の本人はプルプルと揺れているだけだ。
見た目は普通のスライムと変わらないので外見で判断は出来無い。
「まあ、今はまだ成長途中だけどな。」
シキが言う様に最強になるのはいつになるか分からないのだ。
それでも着実に成長しているのは確かだ。
「そうですか、シキの安全に配慮して護衛を付けている事は分かりました。ですがそれでも私はジルさん本人の実力を確かめたいのです。」
どうやら戦いたい気持ちは収まらない様子だ。
「そんなに気になるのか?」
「ええ、相当な実力者なのは分かるのですが、直接戦ってみたいのです。それに他にも利点はあります。」
「利点?」
あまり模擬戦に乗り気では無いジルをその気にさせる為にブリジットは説得に入る。
「私にとっては強い冒険者との接点が出来る事ですね。貴族としては、有能な人材と接点を持っていて損はありません。」
雇う事が出来無いとしてもそう言った冒険者と知り合っておけるのは貴族にとって大きなメリットである。
印象が良ければ何かと頼み事をしやすいのもあり、有事の際には力となる為に駆け付けてくれるかもしれない。
「我にとっては何かあるのか?」
ブリジットのメリットを提示されても当然乗り気になる事は無い。
「貴族との繋がりが出来る事です。冒険者であれば貴族と繋がりを持ちたがる者が多いのですが、ジルさんは違うのですか?」
むしろ冒険者はそれを狙い積極的にアピールしてくる。
場合によっては玉の輿のチャンスでもあるので必死な者も多い。
逆に冒険者であるジルがそう言った感情を一切持っていない事の方がブリジットからすれば不思議であった。
「我はあまり興味が無いな。貴族と関係を持てば面倒事に巻き込まれる可能性も高まるだろう。それに知り合いであればトゥーリがいる。」
セダンの街の領主であるトゥーリは、まだ子供ながら立派な貴族の一員である。
乗っ取り騒動に手を貸した事で知り合ったが、身分を考えても良い関係を築けていると思う。
「成る程、この街の領主であるトゥーリ様とお知り合いだったのですね。それも深い繋がりがあるご様子ですね。」
平民が貴族を呼び捨てにするなんて滅多に無い事だ。
不敬罪と捉えられてもおかしく無い。
なのでそれくらい二人の仲が親密なのだとブリジットは思った。
「そうかもな。」
多大な恩を感じてもらえてるので頼み事は比較的しやすい間柄だ。
「しかしこうも考えられませんか?貴族との知り合いが多いからこそ、面倒事の対処に協力してもらえると。」
「まあ、一理あるな。」
厄介な面倒事が起きた時にトゥーリだけでは対処出来無い問題もあるかもしれない。
貴族の知り合いが多ければ、それだけ力を借り受けられる可能性がある。
「こちらも無理難題を押し付けるつもりはありませんし、依頼であれば正当な報酬を約束します。それにシキの契約者の方を騙す様な真似はしません。」
ブリジットは隣りの領に住んでいるので近くにいる有能な者とは是非とも知り合っておきたい。
それにジルの力を正確に測れれば、依頼する難易度の指標にもなる。
「そこまでして我と戦いたいのか。分かった、昼もご馳走になったからな。少し付き合ってやるとしよう。」
特に予定も無いのでブリジットの頼みを聞き入れる事にした。
「ふふふ、ありがとうございます。では冒険者ギルドに参りましょうか。」
ジルの返答を聞いたブリジットは満足そうに頷いた。
他にも可能性は低いが多大な恩を与えたり、従魔となった時の魅力を伝えられれば、魔物が主人と認めてくれる事もある。
なので戦闘能力を持たないシキはテイマーと絶望的なまでに相性が悪い。
低い可能性に賭けて頑張って従魔を得る方法しかなかった。
だが異世界通販のスキルがその壁を取り払ってくれた。
だからこそシキであってもテイマーとなる事が出来たのだ。
「ライムはいつか最強になるスライムなのです。」
ライムの事を更に自慢気に紹介している。
それが嬉しいのかライムもプルプルと揺れてご機嫌だ。
「スライムがですか?」
シキの事は信用しているがその言葉だけは少し疑ってしまう。
スライムと最強と言う言葉はそれ程に縁遠い物なのだ。
「ライムは特殊個体なんだ。」
「特殊個体ですか、成る程。」
ブリジットはその言葉一つで納得した。
特殊個体と言う事は普通の魔物には無いものを何かしら持っている事になる。
その何かしらで魔物は一気に化ける可能性があるのだ。
ブリジットは普通のスライムとの違いを調べるかの様にジーッとライムを見ている。
当の本人はプルプルと揺れているだけだ。
見た目は普通のスライムと変わらないので外見で判断は出来無い。
「まあ、今はまだ成長途中だけどな。」
シキが言う様に最強になるのはいつになるか分からないのだ。
それでも着実に成長しているのは確かだ。
「そうですか、シキの安全に配慮して護衛を付けている事は分かりました。ですがそれでも私はジルさん本人の実力を確かめたいのです。」
どうやら戦いたい気持ちは収まらない様子だ。
「そんなに気になるのか?」
「ええ、相当な実力者なのは分かるのですが、直接戦ってみたいのです。それに他にも利点はあります。」
「利点?」
あまり模擬戦に乗り気では無いジルをその気にさせる為にブリジットは説得に入る。
「私にとっては強い冒険者との接点が出来る事ですね。貴族としては、有能な人材と接点を持っていて損はありません。」
雇う事が出来無いとしてもそう言った冒険者と知り合っておけるのは貴族にとって大きなメリットである。
印象が良ければ何かと頼み事をしやすいのもあり、有事の際には力となる為に駆け付けてくれるかもしれない。
「我にとっては何かあるのか?」
ブリジットのメリットを提示されても当然乗り気になる事は無い。
「貴族との繋がりが出来る事です。冒険者であれば貴族と繋がりを持ちたがる者が多いのですが、ジルさんは違うのですか?」
むしろ冒険者はそれを狙い積極的にアピールしてくる。
場合によっては玉の輿のチャンスでもあるので必死な者も多い。
逆に冒険者であるジルがそう言った感情を一切持っていない事の方がブリジットからすれば不思議であった。
「我はあまり興味が無いな。貴族と関係を持てば面倒事に巻き込まれる可能性も高まるだろう。それに知り合いであればトゥーリがいる。」
セダンの街の領主であるトゥーリは、まだ子供ながら立派な貴族の一員である。
乗っ取り騒動に手を貸した事で知り合ったが、身分を考えても良い関係を築けていると思う。
「成る程、この街の領主であるトゥーリ様とお知り合いだったのですね。それも深い繋がりがあるご様子ですね。」
平民が貴族を呼び捨てにするなんて滅多に無い事だ。
不敬罪と捉えられてもおかしく無い。
なのでそれくらい二人の仲が親密なのだとブリジットは思った。
「そうかもな。」
多大な恩を感じてもらえてるので頼み事は比較的しやすい間柄だ。
「しかしこうも考えられませんか?貴族との知り合いが多いからこそ、面倒事の対処に協力してもらえると。」
「まあ、一理あるな。」
厄介な面倒事が起きた時にトゥーリだけでは対処出来無い問題もあるかもしれない。
貴族の知り合いが多ければ、それだけ力を借り受けられる可能性がある。
「こちらも無理難題を押し付けるつもりはありませんし、依頼であれば正当な報酬を約束します。それにシキの契約者の方を騙す様な真似はしません。」
ブリジットは隣りの領に住んでいるので近くにいる有能な者とは是非とも知り合っておきたい。
それにジルの力を正確に測れれば、依頼する難易度の指標にもなる。
「そこまでして我と戦いたいのか。分かった、昼もご馳走になったからな。少し付き合ってやるとしよう。」
特に予定も無いのでブリジットの頼みを聞き入れる事にした。
「ふふふ、ありがとうございます。では冒険者ギルドに参りましょうか。」
ジルの返答を聞いたブリジットは満足そうに頷いた。
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