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15章
元魔王様と災厄の予兆 11
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これなら門限に間に合い野宿しなくてすみそうである。
「ん?」
遠目から門が見えたが少し様子がおかしい。
普段とは違って門の前に武装した騎士や冒険者が大勢待機していた。
「アレン、今日は何か催しでもあるのか?」
「俺が知る訳ねえだろ。」
二人がそのまま近付いていくと向こうも爆速で街に近付いてくるジルとアレンに気が付いた。
その中から二人の冒険者がこちらに向かってくる。
「あんた達無事だったんだね!」
「取り敢えず一安心だね。」
その二人は魔の森にて先に帰還させたAランクパーティーであった。
治療も終えた様で毒は治っている。
「この人数はなんだ?何かあるのか?」
二人なら事情も知っているだろうと尋ねる。
「何かあるのかって…。あのタイタンベノムスネークの為に集められたんだよ。」
「魔の森とセダンの街はそれなりに近いからね。万が一街に向かってきた時の為の防衛さ。」
どうやらタイタンベノムスネークを警戒して集められた者達だった様だ。
この戦力で倒せるかどうかは別として、急いで戦える者を集めたのだろう。
「と言うかあんたらが中々帰ってこないから、やられたのかと思って警戒していたんだよ。増援を向かわせようかとも思ったんだけど、あたし達より強い人は出払ってたからね。」
Aランクの二人でも倒せなかった魔物なので、それよりも弱い者達を向かわせても足手纏いにしかならないと思い止まった様だ。
「治療もつい先程終わったところだったんだ。今から向かうと日が沈んでしまって、夜間戦闘になってしまうからね。」
夜間の戦闘は視界が悪く、昼間の様に自由に身動きが取れなくなってしまうので難易度が上がってしまう。
なのでわざわざ危険な夜間戦闘をする冒険者は少ない。
「そう言う事だったか。帰りが遅くなって悪かったな。」
報告をせずに狩りを続け要らぬ心配をさせてしまったので素直に謝罪しておく。
「無事だったなら構わないよ。それより倒せたのかい?」
「当然俺達で討伐済みだ。」
女性の質問に対して大きく頷くアレン。
特殊個体の大物を仕留めただけで無く、数多くの魔物を狩ってこられたのでご機嫌な様子である。
「そうかい、それはよかったよ!」
「他の皆にも伝えて安心させてあげよう!」
二人に門の前に待機していた大勢のところに連れていかれる。
ジル達が脅威となった今回の魔物を倒した事を説明すると皆口々に感謝していた。
既に先に魔の森から戻った冒険者達によって、今回の魔物の恐ろしさが伝わっていたらしい。
街まで攻めてきたらそんな魔物に襲われるのかと皆心配していたのだ。
「あんたらが来てくれたおかげで、あたし達も生き残る事が出来たよ。改めてありがとうね。そう言えば名乗ってすらいなかったね、あたしはアイネってんだ。」
Aランクパーティーの女性の方が名乗る。
鋼糸と言うスキルでタイタンベノムスネークを足止めしようとしていた者だ。
「僕はアダン。これでも鋼鉄と言う名前のAランクパーティーだから、もし困った事があったらいつでも相談してくれ。」
アイネに続いて名乗ったのは防御力が非常に高かった男だ。
Aランクパーティーと言うだけあって、他の者達にもかなり信用されている様だ。
倒せなかったと言っても実質Sランクのタイタンベノムスネークの特殊個体相手に暫く持ち堪えていたので、その実力の高さは本物だ。
「鋼鉄って言やあ有名人じゃねえか。」
「機会があれば頼らせてもらおう。」
二人が手を差し出してくるので、ジルとアレンも握手に応じておく。
脅威であった魔物は倒されたので、集まっていた者達も安堵しながら解散していった。
「早速換金にいこうぜ。」
「そうだな。報告も必要だろう。」
二人は早速ギルドに向かった。
中に入ると先に戻った冒険者達から話しが伝わっているのか、すれ違う者達に口々に感謝されて英雄扱いであった。
「お二人共!ご無事で良かったです!」
いつもの受付であるミラのところにいくと、ジルとアレンの姿を確認したミラが心底安心したと言った様子で言う。
「大袈裟だな。大して問題は無いと言っていただろう。」
その様子を見たジルがミラに言う。
そう簡単に倒されない事は、今までの依頼からミラもよく分かっている筈だ。
「確かにそう言われましたけど、こんなに遅いと心配になるじゃないですか。Aランクパーティーでも倒せなかったんですから。それに普段のジルさんならあっさり倒して帰ってきそうですし。」
どうやらジルの実力を知っているからこそ、帰りが遅く心配した様であった。
確かに定期的に受ける依頼はどんな物でも速攻で終わらせる事が多い。
今回の依頼はAランクのパーティーですらも倒せない様な強敵である事に加えて、普段直ぐに依頼を終わらせて戻ってくるジルがいつもよりも時間が掛かっていた。
もしかしたら倒せなかっただけで無く、その魔物に殺されてしまったのかもしれないと言う最悪の想像すら考えてしまったのだ。
「そう言う事か。ちなみに遅くなったのはアレンのせいだぞ。」
ミラの気持ちを察したジルが、自分が悪い訳では無いと隣りにいるアレンを指差して言う。
「俺に振るのかよ。」
「実際そうだろう。」
ジルの発言に言葉を詰まらせるアレン。
実際に帰りを遅らせた原因が自分にあると分かってはいるのだろう。
「どう言う事ですか?」
分かっていない様子のミラが尋ねてくるのでタイタンベノムスネークを倒した後に何をしていたのか話してやった。
「ん?」
遠目から門が見えたが少し様子がおかしい。
普段とは違って門の前に武装した騎士や冒険者が大勢待機していた。
「アレン、今日は何か催しでもあるのか?」
「俺が知る訳ねえだろ。」
二人がそのまま近付いていくと向こうも爆速で街に近付いてくるジルとアレンに気が付いた。
その中から二人の冒険者がこちらに向かってくる。
「あんた達無事だったんだね!」
「取り敢えず一安心だね。」
その二人は魔の森にて先に帰還させたAランクパーティーであった。
治療も終えた様で毒は治っている。
「この人数はなんだ?何かあるのか?」
二人なら事情も知っているだろうと尋ねる。
「何かあるのかって…。あのタイタンベノムスネークの為に集められたんだよ。」
「魔の森とセダンの街はそれなりに近いからね。万が一街に向かってきた時の為の防衛さ。」
どうやらタイタンベノムスネークを警戒して集められた者達だった様だ。
この戦力で倒せるかどうかは別として、急いで戦える者を集めたのだろう。
「と言うかあんたらが中々帰ってこないから、やられたのかと思って警戒していたんだよ。増援を向かわせようかとも思ったんだけど、あたし達より強い人は出払ってたからね。」
Aランクの二人でも倒せなかった魔物なので、それよりも弱い者達を向かわせても足手纏いにしかならないと思い止まった様だ。
「治療もつい先程終わったところだったんだ。今から向かうと日が沈んでしまって、夜間戦闘になってしまうからね。」
夜間の戦闘は視界が悪く、昼間の様に自由に身動きが取れなくなってしまうので難易度が上がってしまう。
なのでわざわざ危険な夜間戦闘をする冒険者は少ない。
「そう言う事だったか。帰りが遅くなって悪かったな。」
報告をせずに狩りを続け要らぬ心配をさせてしまったので素直に謝罪しておく。
「無事だったなら構わないよ。それより倒せたのかい?」
「当然俺達で討伐済みだ。」
女性の質問に対して大きく頷くアレン。
特殊個体の大物を仕留めただけで無く、数多くの魔物を狩ってこられたのでご機嫌な様子である。
「そうかい、それはよかったよ!」
「他の皆にも伝えて安心させてあげよう!」
二人に門の前に待機していた大勢のところに連れていかれる。
ジル達が脅威となった今回の魔物を倒した事を説明すると皆口々に感謝していた。
既に先に魔の森から戻った冒険者達によって、今回の魔物の恐ろしさが伝わっていたらしい。
街まで攻めてきたらそんな魔物に襲われるのかと皆心配していたのだ。
「あんたらが来てくれたおかげで、あたし達も生き残る事が出来たよ。改めてありがとうね。そう言えば名乗ってすらいなかったね、あたしはアイネってんだ。」
Aランクパーティーの女性の方が名乗る。
鋼糸と言うスキルでタイタンベノムスネークを足止めしようとしていた者だ。
「僕はアダン。これでも鋼鉄と言う名前のAランクパーティーだから、もし困った事があったらいつでも相談してくれ。」
アイネに続いて名乗ったのは防御力が非常に高かった男だ。
Aランクパーティーと言うだけあって、他の者達にもかなり信用されている様だ。
倒せなかったと言っても実質Sランクのタイタンベノムスネークの特殊個体相手に暫く持ち堪えていたので、その実力の高さは本物だ。
「鋼鉄って言やあ有名人じゃねえか。」
「機会があれば頼らせてもらおう。」
二人が手を差し出してくるので、ジルとアレンも握手に応じておく。
脅威であった魔物は倒されたので、集まっていた者達も安堵しながら解散していった。
「早速換金にいこうぜ。」
「そうだな。報告も必要だろう。」
二人は早速ギルドに向かった。
中に入ると先に戻った冒険者達から話しが伝わっているのか、すれ違う者達に口々に感謝されて英雄扱いであった。
「お二人共!ご無事で良かったです!」
いつもの受付であるミラのところにいくと、ジルとアレンの姿を確認したミラが心底安心したと言った様子で言う。
「大袈裟だな。大して問題は無いと言っていただろう。」
その様子を見たジルがミラに言う。
そう簡単に倒されない事は、今までの依頼からミラもよく分かっている筈だ。
「確かにそう言われましたけど、こんなに遅いと心配になるじゃないですか。Aランクパーティーでも倒せなかったんですから。それに普段のジルさんならあっさり倒して帰ってきそうですし。」
どうやらジルの実力を知っているからこそ、帰りが遅く心配した様であった。
確かに定期的に受ける依頼はどんな物でも速攻で終わらせる事が多い。
今回の依頼はAランクのパーティーですらも倒せない様な強敵である事に加えて、普段直ぐに依頼を終わらせて戻ってくるジルがいつもよりも時間が掛かっていた。
もしかしたら倒せなかっただけで無く、その魔物に殺されてしまったのかもしれないと言う最悪の想像すら考えてしまったのだ。
「そう言う事か。ちなみに遅くなったのはアレンのせいだぞ。」
ミラの気持ちを察したジルが、自分が悪い訳では無いと隣りにいるアレンを指差して言う。
「俺に振るのかよ。」
「実際そうだろう。」
ジルの発言に言葉を詰まらせるアレン。
実際に帰りを遅らせた原因が自分にあると分かってはいるのだろう。
「どう言う事ですか?」
分かっていない様子のミラが尋ねてくるのでタイタンベノムスネークを倒した後に何をしていたのか話してやった。
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